怪異の力で生きる道   作:牧葉

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八話:大罪と少女

次の日の昼、中庭に行くと、そこには昨日と同じようにベルゼブブが居た。莉音さんから近付くなと言われた。なら何故、ここに来たのか、理由は簡単だ。何故、怪異そのものが人間として生活しているのか、それを聞くためだ。

 

「……(ベルゼブブ)あ、夜鈴ちゃん…?何か用かな?」

 

「あ(ベルゼブブ)まり僕に近寄らない方が良いんじゃないのかい?」

 

「昨日の話……聞こえてたの?」

 

「まぁ(ベルゼブブ)ね。…で、もう一度聞くよ?一体なんの用なんだい?」

 

「……貴方は何故、人間の体を使って動いているの?」

 

「……(ベルゼブブ)………」

 

「一つ(ベルゼブブ)、君に聞くよ?君に…この娘が救えるか?」

 

「救う…?」

 

「さっ(ベルゼブブ)きの質問は、今の言葉の意味が分かれば答えてあげるよ」

 

「じゃ(ベルゼブブ)あね。」

 

そう言って、ベルゼブブは何処かに歩いていった。

今の言葉の意味……って私が魔無香を救えるかってこと?

 それから数日間調べてみて分かったのは、魔無香は中学から、殆ど誰とも話していなかったということだけだった。魔無香と中学から同じだったという子から話を聞いても、ほんとに何も知らないようだった。

 

「そ(女生徒)ういえば、中学の時、魔無香ちゃんと同じ小学校だった子から、『昔はあんな感じじゃなかったけど』って聞いた気が……」

 

そんなことを聞き、魔無香と同じ小学校の人を探した。魔無香の小学校が何処か聞き、私の高校から何キロか離れたところにある高校に、魔無香と同じ小学校の人がいることが分かった。

 それから一日後、放課後にその高校に行き、その子を訪ねた。

 

「あの、……月夛(つきた)心奏(かなで)さん…ですか?」

 

月夛心奏、腰ほどまである黒色のロングヘアーに青のメッシュが入っていて、ザ・清楚って感じの女の子だった。

 

「私(心奏)が月夛ですけど……何か用ですか?というか、制服違いますけど、どこの高校の人ですか?」

 

と、出てきて当然の疑問を投げられる。

 

「私は、葉塚学院の鬼咲と言います。」

 

「少し聞きたいことがあって…」

 

「聞(心奏)きたいこととは?」

 

「…貴女が、黒希那魔無香と同級生だったと聞いたので、魔無香について…」

 

「ッ(心奏)!魔無香ちゃんに…何かあったんですか……!?」

 

 

勢いよく聞いてくる彼女に少し驚きつつ、私は答える。

 

「少しだけ…。それを解決するために、魔無香の過去が知りたいんです。教えてくれませんか?」

 

肝心なところは濁し、魔無香の過去が知りたいと伝えると、彼女は少し考える素振りをし、20秒ほど経ってから口を開いた。

 

「分(心奏)かりました…。」

 

そこから話される魔無香の過去は、彼女が何故、表に出ていないのか。それが理解出来るほどに壮絶で、心が壊れても仕方がないと思えてしまうほど、酷く悲しいものだった。

 

「魔(心奏)無香ちゃんは、元々はとても明るい子で積極的にみんなと遊んだりする子だったんです。みんなに囲まれて、毎日笑顔で……。だげど、5年生くらいの時、私は、魔無香ちゃんとは別のクラスだったんですけど、魔無香ちゃんのクラスから、とても大きな爆発音が聞こえたんです。先生たちが先に見に行きました。それから30秒か40秒くらい経ったあと、悲鳴が聞こえました。漫画やテレビのドラマで聞くような、『きゃあああ!』って感じの……」

 

「悲(心奏)鳴が聞こえてから、私達も見に行きました。見に行って、しまったんです。」

 

「魔(心奏)無香ちゃんの教室は、床も、窓も血塗れで、何人かの………人の下半身が……倒れていました……」

 

「そ(心奏)の中で、1人、ちゃんと生きている子がいました。…それが、魔無香ちゃんです。」

 

「そ(心奏)の事は、全く何も分からない、猟奇殺人事件として、片付けられました。それから、魔無香ちゃんは学校に来なくなりました。…当たり前ですよね、あんな光景を、小学生の女の子が目の当たりにしたら……」

 

「魔(心奏)無香ちゃんは、小学生を卒業するまで学校に来ませんでした。ですが、中学…2年生?くらいの時に精神的に回復したのか、また学校に来れるようになってたらしいです」

 

「なってたらしい?月夛さんは知らなかったの?」

 

「は(心奏)い。クラスが別で、…あまり関わりが無かったので……」

 

「そ(心奏)れから3年生になるまでは普通に登校できてたらしいんですけど……また、同じようなことがありました。」

 

「で(心奏)すが、その時はクラスの子たちではなく、魔無香ちゃんの家族が事件に……小学生の時と同じ様に、血だらけで、上半身だけが無くなった状態で見つかりました。」

 

「魔(心奏)無香ちゃんはそれからも、学校に来ていましたが、目に光がないような、死を望みながら仕方なく生きているような、そんな感じでした。」

 

「そ(心奏)のまま高校で別れて……」

 

そこで魔無香の話は終わりってことか。

 

「ありがとうございます。魔無香のことを教えてくれて。」

 

お辞儀をし、御礼をした。

 

「顔(心奏)を上げてください!」

 

月夛さんは、慌てながら大きく声をあげる。

 

「今(心奏)の魔無香ちゃんは……元気…なんですか?」

 

「…まぁ……」

 

「そ(心奏)れなら、良かった」

 

それから少し、月夛さんと話したあとそろそろ帰ると告げた。

 

「じゃあ、私はそろそろ帰ります」

 

「は(心奏)い、……今の魔無香ちゃんのことを教えて下さり、ありがとうございます」

 

「いえ……では」

 

そう言って後ろに振り返って帰ろうとする。

 

「魔(心奏)無香ちゃんを助けて上げてください、夜鈴さん」

 

「っ!!」

 

振り返り、月夛さんがいた方向を向くと、そこには誰もいなかった。……私は月夛さんの前で、一度も下の名前を口に出していない。……一体、何者だったんだ??

 ともかく、魔無香の過去はわかった。これで、ベルゼブブが言っていた言葉の意味も理解ができた。…これが、魔無香を救うヒントになるはずだ。

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