虹ヶ咲ヒーローorナイト&キング   作:コントラポストは全てを解決する

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12.誰も知らないマナー言語

 生徒会の仕事が忙しくて死ぬ……。校風自由で他の学校より生徒会の権力がそこそこあって、そのせいか普通に生徒間での書類整理や事務作業を任せられる。

 全校生徒から7割票を集めて職員の許可が下れば生徒でも校則作れるし、校外行事の行先選べたり結構自由。でも自由だからその分責任と手間があるわけでして。校則作成とか実質署名活動だし署名書整理も生徒会の役目。

 校外行事の行先決定権はクラスに意見聞きにいかなきゃなので意外と労力がかかります。

 

 そんな自由度が高い学園だからか、夏休み明け2日目に行う特別授業のアンケートや取材業務も生徒会に任されてしまいました。不満とか疑問点、改善点が生徒からあれば先生も受け入れてくれるって事らしいです。何となく政治活動してる気分。

 

「私思うんですけど、やっぱり茜君のメインヒロインは私だと思うんですよ」

「黒歴史誕生の瞬間に立ち会いそうなので帰って良いですか」

「ダメです。選択授業について意見聞きたいって伝えましたよね」

「他の人で良くないっすか。璃奈りー呼びましょうよ璃奈りー。ボクと思考回路似てるから良い意見聞けると思いますよ」

「もう呼んでます」

 

 茜君オンリーだと絶対ろくでもない屁理屈をこねるので抑止力として璃奈さんを呼んだ。

 理由はわからないですが璃奈さんがいると茜君は態度を軟化させるので。推しの前だから言動に気をつけているのでしょうか。出会ったのは私が先なんですけどね。

 

『""私が先""'』なんですけどね。

 

「生徒会室でやるんですか。この部屋堅苦しいし地味だからあんま好きじゃないんですよね。やっぱり理事長室レベルの高級ソファーが欲しい。あと紅茶。無糖の紅茶とケーキ屋のクッキーの組み合わせが1番効く」

「わがまま言ってないでさっさと入ってください。無駄時間過ごしてると帰る時間遅くなりますよ」

「まず放課後にやるのが間違いだと思います。確かに学校は社畜根性養う施設ですがわざわざ自分から染まりに行くなんて孔明の対義語ですよ。始業時間と定時は厳守すべきです。あと残業なんて自分の仕事の出来なさをアピールするだけなんですから。『私は就業時間内に仕事を終わらせられなかった無能です』って」

「ごちゃごちゃ言ってないで早く入ってください。茜君が来ないと始められないですしそうなったら相対的に璃奈さんの帰りも遅くなるんですよ?」

「もしもの時は送って行くので問題ないです。ボクの料理が口に合う事も一昨日分かりましたし」

「…………そうですか。良かったですね」

 

 なんかやけに璃奈さんと打ち解けてますね。私の時と態度が全然違う。茜君の作った料理とか私は食べた事ないのですが?人によって態度変えるなと…………

 

 いえ、どうせ茜君の事だから『嫌いなやつの前で精一杯取り繕ったってダルいだけだしどうせバレるから意味なくない?』とか何とか屁理屈捏ねたんでしょうね。

 そんなだから友達は出来ないしお姉さん以外どうでも良いとか言うシスコン蛮族になるんですよ。

 

 はぁ……それでも茜君を推し続けている私にも問題があるのでしょうが。なんというかたまに優しくなるから嫌いになれないんですよね。嫌いになりそうになった事自体ないですけど。

 

 前もネオライダー三部作見たいって言ったら持って来てくれましたし、私から夕雲ひまりの中身がバレる事を危惧してたと思ったら私の心配してましたし。

 テンプレやれやれ系主人公に収まる人では無いと言うのは分かってます。というか気遣いの仕方に明るさと純粋な優しさを感じる。やれやれ系がやる不器用な優しさじゃない。なんというかこう……手慣れてる?って言うか。お姉さんへの奉仕術を応用してるのかも。

 

「じゃっましゃーす。相変わらずしけた菓子しかないですねここ。保存とコスト考えると安い醤油煎餅に行き着くのは理解出来ますが。そういや昨日試しで作ったシフォンクッキーがあったな。役員と顧問の舌肥えさせりゃちっとはマシなやつ置くようになるじゃろ。嫌がらせとクッキーを喰らえ!」

「茜くん……やめた方が良い……。1度上げた生活水準は戻せない……」

「でもさー……璃奈りー何してるの?」

「選択授業で呼ぶ講師の……経歴チェック……」

「ほーん。それでウィキペ使ってるのね…………そのページの講師さん、情報偽装の警告出てない?なんの講師?」

「ビジネスマナーと言語……」

「あー………………スゥ(鋼の呼吸)。じゃあダメだね(諦め)」

「あの、勝手に盛り上がらないでくれませんか……?」

 

 ここ最近2人が一緒にいるところを見れませんでしたけど、2週間前と比べて大分距離感がフランクになりましね。

 相性が良いのか同じクラスのよしみか。そういえば璃奈さんって茜君の前だとボードを使わないような。

 ボードなしでも通じる理解ある彼氏……という璃奈さんなりの惚気?そこまで好きになってるのは予想外なのですが。

 

「とりあえず始めますけど良いですか?」

「大丈夫……」

「手短にお願いします。4時からセイコマ屋でトイレ用品のセール入るんで」

「なら最初から素直に従って…………なんでもないです。まずはこちらの資料を見てください。先生方が組んだ選択授業の各コースと内容なのですが」

「ジェンダーレス……障害福祉……」

「それと描写規制と表現の自由問題にさっきのビジネスマナーですか。マナーというか就活スキルから用語まで完全網羅って感じですが。普通ですね」

「ええ、まあ、今年から組み込んだものなので荒削りとテンプレ感は否めないですけど……ですがどれも必要なものだと思います。アイドル活動にも役立ちそうですし」

 

 どれも現代を生きるなら向き合って行かなければいけない問題。

 今はスクールアイドルの水着写真などを本で出すのもネットに上げるのもダメと言われてます。危ない人に狙われるからとか何とか。

 言い分は分かるのですが、痴漢されるくらい可愛い格好した女が悪いみたいな損害押し付け論を言われてるみたいでモヤッとする。

 それとスクールアイドル活動やってるとやたらマナーにうるさい運営の人と会うのでチャチャッと覚えて黙らせたい。

 

「1個ずつ片付けるとして……描写規制ってあれですよね?女性軽視とか教育に悪いとか」

「あと……学校の劇の役にクレーム入れる親……」

「それも入るのか。ボクの知ってる話だと幼稚園で劇の配役にクレーム入ったからごんぎつねの狐役を増やしたってのは聞きましたね。そんな狐増やしたらラストの殺処分シーンが難しくなると思うのですが。ガトリングでまとめて蜂の巣にでもするとか?ごんぎつねって更生した不良狐が頑張っても報われないっていうハッピーエンドを楽しむ作品だと思ってたんですけど。前科は一生憑いて回るって事を教えるためにやるやつ」

「あの……もう少し言い方どうにかなりませんか?」

「迷惑系低脳DQNが頑張ったら真面目に生きて来たやつより評価される現実へのアンチテーゼで見てて気持ちいい。犯罪者に人権とかいらないので治験モルモットにした方がボクは人間のためだと思います」

「ほんとに性格悪いですよね茜君って……。璃奈さんはどうですか?」

「ガトリングなんて出したら……時代背景にそぐわなくて、公開3日で深宮メモリ行き……原作改変と実写オリジナルは大概ゴミ……だいたい監督が悪い……」

「ツッコミどころおかしくないですか……?」

 

 茜君に関しては覚悟してましたけど、璃奈さんまでそっちに行かれると収集がつかない。いや前から割と毒を吐く子でしたけども。このまま行ったら茜君の毒成分も混ざりそうで……。

 昼休みにかすみさんへ話を聞きに行った時も『アイドルで稼いだお金で会社立てて利益を募金すれば全世界ハッピーになると思うんです。経営上手くいかなくなったら1回畳んだあと経験を活かした経営コンサルやってですね、資金集めたらアイドル活動で増やしてまた会社を開く。以降繰り返しでアイドル業界を私色にするんです。かすみんサイキョー天才ムテキでは?』とか茜君みたいな事言ってましたし。めちゃくちゃ毒されてる。

 かすみさんの事ですし、おそらく茜君との決闘で叩き伏せられたあと真面目にファッション哲学と向き合ってしまったのでしょう。あれは耐性無い人ほどめんどくさい思考ローテに陥るので本当に厄介な代物なんですよ。

 

「ぶっちゃけ規制って10人程度の人間が何回もクレーム入れた結果ですよね。こっちが自由にやって良いよって電話と署名出したら黙らせられるんじゃ?」

「どうでしょうか……前例がないのでなんとも」

「そういうのを教えるべきでは」

「……一応改善案に書いておきますね。璃奈さんは何か要望などはありますか?」

「茜くんと同じ意見……」

「分かりました。次はジェンダーレスですが…………これは飛ばしていいでしょう」

「なんでこっち見るんです?」

 

 心身の性別問題に関しては茜君の存在を1つの答えとして見ていけば良いでしょう。男と女のメンタル両方持ってるような人なので判断がしやすい。

 結局区別はつけなきゃダメという答えに行き着きます。差別と区別は別物ですので。

 

「残った福祉とビジネス関連は」

「障害福祉に関してはごちゃごちゃ言ってねーで金出せとしか」

「私ユニコール派……」

「同意。王道にして知名度1番。というわけで以上、閉廷」

 

 めちゃくちゃバッサリ切られた。お金意外にも気遣う事ありますし1番悩むところだと思うのですが。もしかして論理的思考を取りすぎて効率意外に何も見えてないタイプ?

 

「福祉選択するなら、募金の仕方……種類……学ばせたい……。できれば実践も……話聞いて終わりじゃダメ……」

「一時期あれ流行ったよね。障害者の『害』をひらがな表記か漢字表記どっちにするか論争。それと似たような事やって終わりなら璃奈りーの案を提出して欲しいです。他はレポート課題3枚くらい出して終わりって感じで」

「さ、さすがにお金が関わると先生方の認証も取りにくいと思うのですが……話し合いだけじゃダメなんですか?」

「菜々ちゃん先輩って地震とか水害とか台風被害があった時に口だけ達者で特に何もしない人を見た時どう思いますか?あと学校の『戦災について語る会』とか」

「結構他人事なんだな、とは感じてしまいます」

「ですよね?それとやってる事同じですよ。祈る事だって大切ですが祈るだけじゃ何も変わらない。幸せは歩いて休んで走りながら見つけるものです。布団に潜ってるだけで変わる自分の環境とかないんですよ」

 

 増税とか総理辞めろとか選挙に行け系ツイッド見た時と似たような反応をしてますね、今の茜くん。SNSで少し反応してあとはアクションなし──みたいな。

 反応欲しさに論議ごっこするのはやめろって事でしょうか。

 

「言い分は分かるのですが、ちゃんと心の底から心配してる人もいるのでは?」

「ガチで心配してるなら何か動いてるはずですよ。少なくともYuhooの1円募金ニュースを自分で見つけてサイト入るくらいはします」

「ですがほら、TLに寄付募集の公式ツイとか出るじゃないですか?そこで動くのでは?」

「正直若い人で動いてる人……あんまり見た事ない……。だいたい30歳越えの人が集まる……。あと、東京の人が1番お金出さない……」

「日本人は貧乏性なのでなるべく費用抑えたいのは分かります。都会人とか詐欺が多いから守銭奴神経バチバチで心冷えきってますし。偽募金サイト当たったリスクを考えて動かないのも原因の1つですね」

「だとすれば仕方ない部分もあるのでは……?」

「騙すやつが1番悪いですが、とりあえず検索トップのサイトに入ってよく調べもせず金払う都民も都民です。なんの為に今まで偽通販サイトやヤフオクのぼったくり送料を経験して来たんですか。詳しく調べるの億劫になってる時点でもうダルい作業感覚やんけ。普段は良いけど今は頑張り時だろ一般人」

「URL確認と……規約確認は基本……」

 

 めちゃくちゃ叩きますねこの2人。これが理系。ネット詐欺にひっかかった事があるのかは分かりませんがやたらその方面の話に詳しい。恨みつらみが伝わってくる。

 

「そこまで口だけ人間の生態を熟知しているなら、尚更募金を課題にするのは無理があるのでは?」

「ですから他の科目には必須課題出すんじゃないですか。とりあえず100円投げて領収書貰えば完了する課題とA4数枚のクソレポート。どっちやりたいですか?レポートはパソコンで作って良いとして。あと募金は自由意志」

「それはそれで偏る気もしますね……茜君はどう考えてるんですか?」

「今回は授業なので成績に入りますし意欲見せれば内申が上がります。おそらく金出すやつが多いでしょう。金額全無視なのはわかってると思いますが、やっぱり関心意欲態度で成績稼げそうとか思うやつは出るはずです。テストで点取るより楽。あと友達との集団まとめて赤信号パワーがあるので取り組みやすい」

「ですが授業でお金出させたってクレームは間逃れないと思うのですが……」

「お金出すのはほとんど確定……これで支援のやり方を知れるから……募金の警戒とハードルが下げって、一挙両得……。この先も考えるなら、授業の義務でお金出させてるとか……逆張り批判言ってる場合じゃない……って意見で叩きのめせる……」

「な、なるほど」

 

 レポートか寄付かの天秤が終わったら今度は意欲のチキンレース……学園頭脳戦モノ見てるみたいです。

 絶対学外から文句が来ますがそこは『動いたもん正義』で黙らせる、と。

 

「そういうわけでボクらからのダメだしはこれくらいです。とりま千羽鶴とか励ましコメの寄せ描きみたいな綺麗事は無しで頼みます」

「いや……そこ省くのはどうかと……」

「千羽鶴……正直扱いに困る……。作る側も大半はめんどくさい……って思ってる……。低学年の小学生じゃないしもっと現実見るべき……」

「璃奈さんまで……」

 

 リアリストコンビ怖すぎますね。茜君はリアルロマンチストを自称してますが。いやまあ、私も綺麗事だけ並べるのは良くないと思いますけども。テンプレ言動で人救った気になってる輩は嫌いですし。しかしこうもバッサリ切られると反論しちゃうと言うか。

 なんでしょう、作中で比企谷八幡を見てるキャラの気持ちがわかった気がします。しかもこっちは八幡が2人いますし。

 

「と、とりあえずお2人の要望は提出しますが……受理される確率低いですよ……?」

「そしたら2人で抗議しに行くのでお構いなく」

「私のパワポと……茜くんの話術で理事長黙らせる……」

「あ、はい……」

 

 連携完璧なの怖いですね……。もしかしてこの2人の組み合わせって結構危なかったり……?

 良いことなのは確かなのですが……何故そこまで福祉魂を……。

 思うところは色々ありますがここで話を終わらせておきましょう。これ以上行くと学校じゃ収まらない規模の話をされそうなので。

 

「茜君と璃奈さんが抗議に行く可能性も伝えておきますね。それで念の為聞いておくのですが、ビジネスマナーについては何かありますか?マナー教えるより先に就活の厳しさ教えろとか」

「ビジネス用語はいらないので省いて貰って良いです。面接の流れだけ教えときゃこの学校の人達なら上手くやれるでしょう。仕事の効率上げるためのビジネス用語らしいですけど、ボク達愛国者なので日本語と英語が混ざったルー太芝語には耐性ないんすよ。どうしても横文字使いたいなら英文オンリーでお願いします」

「単元そのものを否定するのはちょっと……。今の社会人には必須って言われてますし……」

「エビデンスと……アジェンダ……バッファ……コンプラ……ここら辺使う人は消して良い……。民法にもそう載ってる……。ビジネス用語入れる人と話すとわかるけど……使ってる人は確定で頭弱い……。だからMB2A語と同じ扱いにされてる……。あと、大手の企業じゃ……そんなダサい言葉まず使われない……」

「MB……なんですかそれ……?」

「マウントババア語って言う……ネットスラング……。海外旅行経験のある自慢話大好きおばさんが、確定で発症する……。会話の間に巻き舌発音の英単語挟むやつ……」

「な、なるほど……」

 

 横文字と日本語を混ぜた言葉を多様するとバカに見えるという事でしょうか。私はまだそういう人に会った事がないので用語やマナーに抵抗はありませんが、経験者の璃奈さんと茜君は拒絶反応を起こすレベルで嫌いらしい。

 

「既に講師の目処はつけてしまっているので授業内容の変更は難しいかと。一応先方への依頼はまだしてないようですが」

「さっきwikiで見たんですけど、ビジネスマナー講師の嶋原とか言う人経歴詐称してますよ。おそらくサービスマナー検定1級取得の部分ですね。実際は試験受けて落ちたかそもそもノータッチか。ビジネスマナーの国家資格ってないので民間の簡単な資格持ってれば講師名乗れるんですよ。なんなら名乗るだけなら資格なくても良いですし。だから生徒に間違った知識を教える可能性があるって言えば取り消せるでしょう」

「代替案はどうするんですか?代わりを用意しないと受け入れられないですよ」

「接客販売技能士持ちかNPOの認定マナー講師のどっっちかが良いかと。問い合わせ依頼から空いてる講師呼べば良いと思います。どう?璃奈りー」

「技能士と認定持ってる講師の公開スケジュールだと……どこも休みか先約あり……。多分夏休みにやる子供向けイベの、ワークマンマナー体験会で時間使うから……」

「ああ、一ヶ月遅れの夏休み……と。だそうです菜々ちゃん先輩」

「ダメじゃないですか……」

 

 ものすごいスムーズに連携取ってるから期待したけど相手の忙しさに足が止まってしまった。

 こればっかりはどうにもできないでしょう。逆に対処出来るミラクルが起こるなら私はそれに乗る。

 

「どうする……?」

「んー、母さんの知り合いに世界のマナーとか礼儀作法の研究してる教授がいるけど……あの先生多忙だしなぁ……。最後に会ったの一昨年の11月だし。やるだけやってみるけど期待しないでね」

「こっちも候補探しとく……」

「おk。菜々ちゃん先輩、そういうわけなのでちょっと席外しますね」

「え、えぇ……どうぞ……」

 

 結構あっさり解決しそう……いやよく考えると勝手に講師決めるのはダメな気がする。でもたった今知り合いの講師さんに連絡を取りに行ってしまいましたし……こっちはこっちでキャンセルができなくなった。

 ど、どうするべきでしょうか……今ならギリギリ止められる……?

 信頼してないわけじゃないですけど、これでまた変な講師が出てきたら茜君の信用問題に関わりますし。やはりここは私が責任を持ってちゃんとした人を。

 

「茜くん……どうだった……?」

「こっちの教師の許可が取れるならOKだって。LINEに先生の資料送っといたから見といて」

「うん……。あとは先代の降板だけ……」

「じゃなー。嶋原先生を交代しようって案はまだ出てないんですよね?」

「はい、今のところは賛成意見しか。あっても授業内容への質問が数件来た程度です」

「なら目新しさで先生の目も引けるな。新教師に興味を持たせる点に関しては問題なし」

「目を通した事実があるなら……あとはどうにでも出来る……」

「あっ、はい……」

 

 怖いお兄さんみたいなこと言い出した……璃奈さんってこんな血の気の多い人でしたっけ……?茜君の毒素と璃奈さんの毒素がマッチしちゃったとか?2人一緒ならどこへでも行けるしなんでも言えるみたいな。

 

「じゃっ、そういう事でおなしゃーす。璃奈りー今日は部室行くんでしょ?」

「うん……。茜くんも来る……?」

「遠慮しとく。せいこま行くのと配信準備もしなきゃだし。とりま明日家行くわ」

「わかった……。その時に反省会……。コメ制限と配信停止のし忘れは気をつけてね……」

「りー」

 

 勝手にお開きにされた挙句なんかめちゃくちゃ身内事情みたいなのを見せつけられた。

 なんでしょうかこの……友達の日常に入れてない感じ。璃奈さんと茜君の距離感は友人関係そのもの。茜君がLIVE配信するなんて私聞いてない……。

 こっちは友情どころか顔見知り程度の繋がりしか持ててないのに……どこで選択を誤ったのでしょうか……。

 

 でも負けられない……アイドル云々関係なく茜君の友達第1号は私が良い……!

 アニメも特撮もラノベも漫画も好みが似てるし絶対相性抜群なのでなるべく長い付き合いを。同好会に引き込めればもっと接点が増えるのですが……どうにかしないと……。

 

「菜々さん……これ、私のサブ垢でLouTubeに入ったタブレット……。茜君の配信、見れるようにしてあるから……8時に配信開始……。ポケットWI-FIに繋げてあるから……通信量でバレる事もない……。あとはオンライン学習アプリの体験って、私から借りた風にカモフラージュすれば大丈夫だと思う……。LouTubeのアイコンとUIもそれっぽくしておいた……」

「あ、ありがとうございます……。あの……茜君は私に配信を見られて嫌な気持ちになったりはしないでしょうか?」

「しない。それくらいで嫌いになるなら……茜くんはとっくの昔に縁切ってる……。それに、口では嫌々言ってるけど、茜くんは菜々さんと一緒にいる事を楽しんでる……。根は人懐っこいから……」

「だと良いのですが……」

 

 なんかやけに茜君への解像度が高いですね。もしかしてですが璃奈さんと私で結構な差が空いてる?距離の詰め方は似たようなものだったはずなのにどこで差が生まれたのでしょうか。普通にめちゃくちゃ悔しい。

 別に付き合いたいとかそういうのはないのでヒロインレースにはならないと思いますが……でも最初に出会ったのは私……

 

 もしかして出会った順ってなんの効力もなかったりします?

 

 

 

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