虹ヶ咲ヒーローorナイト&キング   作:コントラポストは全てを解決する

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32.同好会が夏合宿行くってよ。海の家の焼きそばが欲し……え?着いてこい?どこに?夏合宿に?…………は?

 夏休みのおかげでパソコンカタカタできる時間が増えて大分作業が進んだぞ。これなら来週には9割出来上がる。何とか予定通りに事が進みそうで嬉しい。早く目標額まで金を集めなければ。

 そうして今日もパソコンをカタカタッターン!してたら璃奈りーから合宿で海行くから準備すると言われた。なるほど、合宿。

 

「アイドルの海合宿って何するの?砂浜ダッシュと素潜りで肺鍛えるとか?」

「親睦とか、そういうのがメイン……」

「ほぇー、親睦。よくよく考えると今年新装開店したばっかの部だったね同好会って。そんでどこ行くの?ハワイ?ウユニ塩湖?」

「千葉の……守丘海岸……」

「はいはい、景色の綺麗さランキングでよく上がるところね。出発いつ?」

「5日後……3泊4日……」

「旅行セット買った?」

「大丈夫……」

 

 なるほど……少し寂しくなるけどしばらくは我慢だな。ちょうど良いし久しぶりに家帰ってゆっくりしよ。

 基本夕飯作ったらこの家に入り浸かるか、4日に1度の泊まりのために夕飯と次の日の朝と昼の弁当作るくらいしか家にいなかったし。

 父さんには申し訳なかったけど『気にせず好きなことをやれば良い。茜の人生なんだから』ってホクホクしてた。なんか鈴木達と遊びに行くって言った時より活き活きしてた。やっぱり女っ気あった方が良いのか?まじで姉さんを恋愛対象にしてるって思われてたのかな。

 この際だから彼女役の1人でも作ってギャルゲーするのが良いのかもしれん…………そうだ、みゃー子とデートしよう。8月頭に一回お国へ帰っちゃうから思い出作りに調度良い。編入予定は9月って言ってたけどやっぱちゃんと見送りはしたいじゃん?

 皆も合宿行ってるしちょうど良い。とりあえず日本の代表神器『土産屋の木刀』は絶対勧める。一応五右衛門の刀レプリカがあるけど審査で止められないか不安だし。明日みゃー子に電話しよ。

 

「今の時代海でナンパとか時代遅れのレトロムーブする輩なんていないと思うけど、一応気をつけるんだよ?」

「なら、私のこと守って……」

「衛星レーザーでも打ち上げときゃ良い?」

「茜くんも一緒に来る……」

「えっ、無理だが。男としても女としても行けん。まずカラコンと潮のコンボで目が死ぬ。おまけに水着もないぞ」

「菜々さんが茜くんの分も予約した……。宿の部屋……」

「は?」

 

 は……???

 

「いや、勝手に何しとるん……。キャンセル出来ない感じ?」

「10人以上から割引額上がる……それでちょうど良いってなって……」

「ああ、数合わせだったのか。ならずっと宿にこもってても良いってことだよね?」

「多分……」

「ならギリギリ許せる……のか?身バレする可能性がないならひとまずOKとして……仮に当日体調崩した場合どうなる?」

「規約だとサービス適用されるけど、空気冷めるからなるべくしないで欲しい……」

「逃げ道なし、と。OKOK」

 

 対話のたの字もなくて笑う事すらできない。マジであの女なに考えてるんだ?やっぱせつ菜センパイも平凡な一般人の振りした怪物なんだなぁ……。

 そもそもまともな感性と思考回路があったら親に内緒でアイドルとかやらないもん。頭イカれてるよ。イカれてるからメインキャラ張れてるんだけどさ。

 逆に言えばここまで動かなきゃ社会戦争ストーリーのネームドキャラにはなれないと言うこと。厳しぇー。

 

 それはそれとしてボクの平穏を崩さないで欲しいのだけど。緊急時以外は一般生徒Fに徹した方が都合良いからやってるのになんで意図を汲み取ってくれないんだ。

 あと1部除いて人間のヒロインとかどうでも良いからあんまり恋愛フラグ立てないで欲しい。遠出の海とか確実に一夏のヤバンチュールが始まってしまう。

 

「同好会の合宿って扱いだから少し距離置いて歩くけど、旅費の管理って誰が受け持ってる?璃奈りー?それともギャル子先輩か侑先輩?とりま渡す物渡して自由買いたいんだけど」

「愛さんと侑さんが見てる……。茜くんの分は……菜々さんが出した……」

「なんか逃がさないって言う意思を感じるね。菜々ちゃんにお金返すからレシートくれん?」

「写真、LINEで送っとく……」

「ありがと」

 

 危ねぇ。危うく菜々ちゃん先輩に時間買われるところだった。そこまでやるとマジモンのレンタル彼女で今後の関係がややこしくなる。だからそういうのは絶対にやらん。

 とりあえず1人分の宿代はわかったしあとで札束ビンタするために菜々ちゃん先輩を我が家に呼ぼう。

 

 

 

 ──

 

 

 

 大女帯の旅行に巻き込まれたなら単独行動をすれば良いじゃない。

 

 そう思っていた時期がボクにもあった。だがその時期はクッパ姫の旬より短い期間しか通用しなかった。

 この世界にあるのは女に虐げられる男だけ。所詮男の性的被害などゴシップで止まる程度の関心しかないのだ。

 

 そういうわけだから菜々ちゃん先輩の手にある明らかボクに着せるために用意した水着をビーチファイアの燃料にしなきゃいけない。その義務がボクにはあるんだ。

 

「なんでですか!一緒に海行きましょうよ!!!海ですよ!?合宿ですよ!?!?」

「潮風が目に当たるだけでキツいんですよ……だから我慢してください。ほら、海と皆が呼んでますし早くお行きなされ」

「嫌です嫌です!茜君の水着見るために呼んだのに!シュノーケルあげるので来てください!!!!」

「理由しょーもな。融通聞かな。1970年代の禿げた親父なん?」

 

 なんで男の水着1つに本気になってるんだこの人。勢いと暑苦しさが昔の部活動顧問とか父親みたいだ。本当に根気しかないのも一緒とか可哀想。

 だけどあっちの怒鳴り声はただの恐怖政治だから無能of無能だし、それに比べればこっちは大変チャーミー。

 

「カラコン問題解決出来たら行きますよ。策考えるより海で遊んでた方がずっと楽しいでしょうけど。あっ、フナムシのサンプル取ってきてくれません?家の中で放し飼いしたいので」

「わかりました。3分で片付けます」

 

 面白そうだからウルトラマンのカラータイマー音流しとこ。焦らせたあとタイムアップで退場して貰う完璧な計画。

 ウルトラマンDASHの気持ちを味わい悲しみに暮れ、ただ1人心の痛みを塩水で染める孤高の救世主であれ。

 

「女性からのナンパ防止のために黄色のカラコンと女性水着つけて行かせたいという相談の元、かすみさんが皆さんを説得して同行が許諾されました。行きますよ」

「ひまり眼の女水着とかまんまグラビアやないか。バレるやろ。よって判決無罪」

「いつもの茜君でいれば平気です」

「納得できる根拠を提示願いたい」

「髪型変えて眼鏡かけただけの私が1年バレなかった。以上会議終わり。行きますよ!!!」

 

 やべーなこの女。学校の皆と世間一般に『私の正体も見破れなかったくせによく言うよ』って言いやがったぞ(言ってない)。

 

「まあ、根拠は受け入れますが。バレた時の保険を用意していただかないと博打すぎて行く気が起きません。自分で考えろとかならこの宿のゲーセンに行きますけど」

「大丈夫です。夕雲ひまりには似合わない圧倒的メンズセンスの女水着持ってきましたので!」

「圧倒的メンズセンスまで考慮したなら男モノ持ってきてくれませんかね。ボクサータイプとスウェットパーカーあれば解決したのに」

「茜君の見た目で上出したら捕まりますよ。経験ないんですか?」

「姉さんに男女兼用できるスク水しか着ちゃダメと言われていた手前、特にそういう経験は」

「お姉さんも警戒してるじゃないですか」

 

 警戒……あれは警戒だったのだろうか。今に比べてちょっと肌が色白だったから紫外線を気にした結果だとずっと思ってけど……うーむ、判定の難しい話だ。

 そもそもの話、こんなリスク管理の算段を立ててまで海に行く必要があるのだろうか。水着風呂で良くないか?ボクの部屋個室あるしそこで混浴すりゃ解決じゃね?

 

「風呂の時間についでで水着見せるじゃダメすか」

「ダメです。海で見たい」

「グリーンバックで動画撮って帰ったら砂浜のフリ素と合成を」

「ダメです。現実の海以外認めません」

「砂と海水持ち帰って擬似オーシャン作るのはどうでしょうか」

「ダメです。リアルオーシャンしか認めません」

「では合併して朝4時にボクが1人で海歩いてくるので水着だけください。動画を後で送ります」

「ダメです。一緒の時間を共有しなきゃ意味無いので」

「海とか言う深度2000m超えたら光も届かず生態系も分からない魔境に足突っ込むの怖いのですが。正直身バレよりこっちの怖さが割合占めてて浮き輪あっても入りたくないレベルで嫌」

 

 まず10m潜った時点でだいぶ体がおかしくなるのに、200mがデフォの水溜まりに飛び込みの怖すぎる。ライフジャケットとビーチクルーザーに篭ってやっと出られるくらいには無理。

 そもそもの話、気持ち流れが強いかな?って程度でもヒザ下まで浸かった瞬間危険ライン判定なのダメ寄りのダメでは?

 せめて潮干狩りにしてくれ。貝狩りなら璃奈りーにビアーザザできて得だから。

 

「海入るの怖いなら荷物番しませんか?交代でやる予定だったのですけど、部員内だとちょっと疎外感出てしまって空気微妙だったんですよ。私達は本筋に主流できて得で、茜君は綺麗な景色と璃奈さんの水着が見れて得。ゲーセンに行くのだってお風呂上がりの方が良いと思いますし」

「そこまでして連れて行きたいんですか?海に。なんかここまで来ると別の思惑を感じる」

「人数合わせの部外者とは言え1人待機させるのは気まずいんですよ。皆さんの優しさがなんで分からないんですか」

「自分が気持ちよく楽しめないって言う解消欲求が基盤の感情ッスねそれ。優しさなんて相手のこと可哀想って見下してないとできないこの世で1番性格悪い──」

「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと行きますよ」

 

 ちっ、菜々ちゃん先輩に悪態耐性ついちゃった。前ならこのまま議論に入って時間潰せたのに。

 こういう時こそ先輩のめんどくさいメンヘラシェヘラザード発動してくれよ。そうすれば菜々ちゃん先輩が面倒くさくなったから回収してくれって愛さんに頼めたのに。

 

 はぁー……海も身バレも怖いって言うストレスの中じゃ景色なんて楽しめんよ……。売店でグラサン買お。

 

 

 

 ────

 

 

 

 ──マジかよこのアマ………謀りやがった……!!!

 

 

 

「いや……あの、同じ柄の水着にしたのは謝りますけど……そんな嫌でしたか……?」

「眼科紹介すんぞ。保険証がこっちにあることを忘れるな」

「…………柄もタイプもアクセサリーも全部同じのにしたのは謝りますけど……そんな嫌がります……?似合ってますよ?」

「目立つんじゃ……!何もしてなくても可愛さが引き立つから目立つんじゃ……!!!ジブン人の心とかないんか……?人の心食えよォ……人の心食えよー……!!!!」

「いや……その、なんだか騙すようで悪いなとは思いましたし……ちょっと胸も痛みましたけど、衝動には勝てなかったというか……」

「ちゃんと地球人と対話してくれ」

「私のこと話の通じない異星人みたいに言うのやめてください」

「ELSの方がまだ話聞いてくれる」

 

 なんだこれは。上も下も色以外全部菜々ちゃん先輩と同じだぞ。バンドタイプ……バンドゥー・ビキニだっけ?それ。下はショートパンツ型。本当になんなんだこれは。

 いやまぁ確かに変だなとは思ったんだよ。変っていうか違和感っていうか。ボクの屁理屈聞いても真面目に対応しないし、やたら一緒に行くことゴリ押して来たしで。

 

 まさか必死になり過ぎててそういうの全部どうでも良くなってたとか思わないじゃん。一応菜々ちゃん先輩は真面目キャラで通してるし、推しとの海に全力捧げてるとか想像つかないじゃん。マジのマジで夕雲茜と海行くために宿取ったし費用も負担しましたとかバカな真似してたとは思わないじゃん。

 

 それはそれとしてよくもまぁいけしゃあしゃあとこれを渡せたものだ。自分と同じ水着とは一言も言ってないし水着つける契約は結んだから何も違反はしてませんよ、と。でもちょっと罪悪感はありましたよ、と。

 

 もしやこの人QB族とブラッド族のハーフかなにかであらせられる?

 

「ボクがメガネ持って来てて命拾いしましたね。なかったら今頃合宿どころじゃなくなってましたよ」

「すみません。メガネはバフアイテム派閥なので封印アイテムみたいに扱うのやめてください」

「帰りますよ」

「ごめんなさい」

 

 危ない。せっかくだしひまりヘアーやるか?と検討したけど見送って良かった。予想以上に水着が可愛くてグラビア始まるところだったし。

 メガネと借りた水着パーカーがなかったら危うく大惨事が起こっていた。パーカー主のギャル子先輩に感謝の弾丸10AP(アントポイント)。

 愛さんのお陰でボクがいる。やはり璃奈りーの彼ピは格が違うしボクも責任持ってギャル魂を受け継ごうと誉をキメる事ができた。

 

 それに比べて優木せつ菜ぁ゛!!!

 

「で、この水着になんの意図が?サメでも噛みきれない素材で出来てるとか?」

「いや……単純に双子水着がしたくて……」

「大して仲良くないのにそれやってなんかあります?ボクと先輩って別に仲良しこよしって訳じゃないですし」

「泣きますよ」

「海水と塩分濃度の比較したいので採取して良いならいくらでも喚めいてどうぞ。暴力はあれですが追い罵倒くらいならしてあげます。というかこんなところに居ないでさっさと合宿に混ざってください。あなた一応生徒会長なんですから家臣の統率取るくらいはしないと立場無くなりますよ?」

「ツーショット撮ってホーム画像にして良いですか。5秒だけお時間を。ネットには上げないので……」

「…………LINEにも上げないって約束出来るなら許可します」

 

 海をバックにツーショしたあと菜々ちゃん先輩を海に放った。正直もうフナムシじゃ採算取れない段階にまで足を突っ込んでしまったが……まあそのうち何とかなるだろう。

 観光地なだけあってか海の屋台が出前館みたいな事してて荷物番でも楽しめる。配送料200円取られるけどボクにとっちゃ散財チャンスだし計算しやすいのもあってありがたい。

 守丘の浜来たら絶対に落花生味噌のイカ焼きは食えってヤフー知智袋に書いてあったから頼んだけど、結構味が濃くてジュースが進む。

 ボチボチご飯食べながらメインミッションの璃奈りー護衛をしようと思ったけど、よく考えたら菜々ちゃんに下請けしてバトらせりゃ解決だったな。ナンパ程度の見せ筋しかない雑魚なんてパイセンに掛かれば片手で捻り潰せるし。

 やっぱお家柄が良い人ってスペック高けーなー。その元気と体力ボクにもくれ。

 

 

 

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