虹ヶ咲ヒーローorナイト&キング   作:コントラポストは全てを解決する

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34.さよならした翌日に同棲しだすまだ付き合ってないだけのカップル

 合宿を終え、皆との繋がりも増し、ラブライブに出るか否かの会議の末『新しいイベントを作る』方針が塊りみのりを得た同好会一同。

 帰宅後も各々メッセージでアイドルとして披露する曲の方向性、特別ユニットでのライブなど話題が弾んだ。

 

 そんな中、若干微妙にムラついている女がいた。

 

 

 我らがウラヌス、天王寺璃奈である。彼女は水着茜から放たれた儚いキャノンの余韻を流せていなかった。

 

 璃奈には性欲がない。いや、正確にはあるのだが滅多に表に出る事がなかった。

 しかし今ではちょっと刺激でムラつく始末。

 

 茜が原因の性欲だから本人がいなければ収まるのだろうけど、最低でも夕飯を作るために家に来るのですぐぶり返してしまう。

 泊まりの日なんか一緒の寝床で寝るから茜の匂いで脳みそのムラムラが蝗害レベルで酷い有様になっていた。

 

 

 そんな日々を送っていたせいなのかは知らないが、ある日を堺にとある問題が璃奈を苦しめた。

 

 

 当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけど、茜以外の男に興奮できなくなったのだ。

 

 

 女性用AVでも普通のAVでもエロ漫画でもダメ。初オカズが茜だったので興奮スイッチが茜になってしまった。

 そもそも何故自分は交際どころか友達でもない男とセックスするシミュをしていたのだろう。話が飛びすぎてお笑いものである。これで茜と離れ離れになったらお笑い所ではなくなるのだが。

 非常にまずいと判断し、ファンジットとdilupでアダルトアニメと漫画を買いまくった。茜似の男を集めて使いまくったのだ。字面にすると大分酷い。

 

 そして何とか低身長で暖色の長髪かつ可愛い男なら抜けるように矯正出来た。1歩間違えれば茜を押し倒していたかもしれなかった未曾有の危機を回避し、ひとまず安堵する璃奈。

 性欲の制御もできるようになり、これで心おきなく茜と遊べると喜んだ璃奈だがここでまた問題が発生。

 

 なんか知らんけど茜が目標のAIソフトを完成させてしまったのだ。

 

 自分の見立てではあと3週間はかかる予定だったのに一体どこで抜け駆けをしたのか。問い詰めたらタイピングに慣れて両利き捌きを全力で出来るようになったのと、宿泊の際だけ毎朝1時間だけ早く起きてこっそりやっていたらしい。そしたら終わったとのこと。

 

 譲歩すれば一応常識の範疇だし、無理したのではなく本来のパワーを取り戻しただけなのでなんとも判定のしずらい話だった。

 璃奈が起きてる時だけという部分は確かに違反だが、そもそも無理をさせないための条約なので効力があるのか少し微妙である。

 

 疲れもなくむしろ活き活きしてるし過労の微熱もない。なので状況的には問題無いのだろう。

 しかし目的のブツが手に入ったということは茜がこの家に要り浸かる理由が無くなったことを意味する。普通に寂しかった。

 食事は前の味に戻るだけだからまだ耐えられるとして、一緒にゲームをしたり食事中や後の軽い会話、一緒の布団で寝る、一緒に家を出て買い物して同じ家に帰る。その全部が終わるとか無理だった。

 好きな男と一緒にいたくて何が悪いと自分に言い訳したけど、茜には父親の食事を作るという大役がある。おそらくだがそろそろ弁当や作り置きにも飽きてきた頃合のはずだから素直に帰すしか道がない。

 

 ここで璃奈は1度上がった生活水準は二度と元には戻せない事を思い出した。この幸せが標準なんじゃないのかという愚痴は吐いて良いのかダメなのか。

 あの時とは違うけどあの時の様に茜は気持ちを察してくれない。いや、今回はどう足掻こうと《分からない》と言う結論を出すしかないのだ。

 

 この男に取って1番大事なのは姉であり、その姉がいない家で数ヶ月暮らして来た。大好きな人と暮らせない悲しさは璃奈も学んだから気持ちはわかる。

 誰が来ようと、誰が家にいようと、誰が出ていこうと、姉さえいるならそれで良い。茜とはそういう人間だ。

 璃奈だって両親には言わない『一緒にいたい』という願いを茜に抱いてるので否定も反対意見もない。

 

 茜にとっては自分の家もこの家も、『姉のいない家』とタグ付けして見るのが限界なのだ。

 それに加えて思考回路が地球と全生物目線なので、人間の情を超えた家族の定義を模索している節もある。感謝はできるし一緒にいたいという願い事も出来るけど、離婚するならすぐ受け入れるし別居するなら指示された方について行く。そういう人間。なお姉は除く。

 

 茜が両親を大切にできてるのはおそらく血の繋がりがあるから。戸籍も親権もあって自分を育てた。家族だとしっかりわかる証拠があるから大切にできる。

 なのでそれすらない上に、1ビジネスパートナーという関係でしかない璃奈がそんな情を抱いて貰えるはずがなかった。

 やはり自分はいくら頑張ってもかすみや菜々以上に想われないのかと再度自覚し落ち込んでしまう。

 

 剣契約を結ぶ前は『お別れしたくない。何か返したい』だったのに、今では『利益とか知らんし寂しいし一緒にいたいから一緒に暮らしたい』にスケールアップしていた。

 関係が終わる頃には主語の強い家族になろうよ状態に心がレベルアップしていたのだ。

 

 茜への強い感情に名前なんていらないので決めてないけど、それでもこの気持ちは本物だから関係問わずここにいて欲しいと強欲に思ってしまう。しかしやはり打ち明けられない。こっちの両親の許可は取れてるのに世界がそれを許さない。

 きっと茜だって姉と別れる時は酷く落ち込んだはず。そして今も寂しいはず。

 その気持ちがわかるなら、同じ気持ちが抱けるならと我慢を覚悟した。

 

 

 そして夕飯を作ったあと、茜は荷物をまとめて帰ってしまった。

 ドアがしまって鍵をかけようと手を伸ばしたけど、この鍵を回したら本当に茜が帰ったことを自覚してしまうからダメだった。これを閉めたら心も一緒に施錠してしまう。

 

 

 鍵は後回しにしてご飯を食べた。茜と一緒に食べられない茜のご飯。食後に気分晴らしで食べたこんにゃくゼリー共々不味かった。今まで食べたどんなものよりも味がしない。

 

 嗚呼、これはまずいなと璃奈は後悔する。こんなことなら家政婦契約でも結んでおけば良かった……と今更思いついたけどもう遅い。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 困ったぞ。父さんと家族会議になった。そんでもって議題もよく分からない。議題『幸せ』って何?宗教?父さんがこんな真剣な顔したのっていつ以来だ?原因も分からない。

 心当たりがあるとすれば合宿でナンパされた時に『君の子供生んだら死んじゃうけど、それでも良い?』的な質問を投げたことだろうか。でも死ぬほど死にそうな顔で演技したから何事もなく終わったけど。

 

「茜、人にはやっちゃ行けないことが1つある」

「自分の心に嘘つくことでしょ」

「そうだな。父さんから見ると今の茜は嘘をついてるように見えるんだ」

「なるほど……4分ちょうだい」

「いくらでも待つからゆっくり考えて良いよ」

 

 ボクはボクの心に嘘をついた。どんな嘘だろうか?璃奈りーとまた飯が食いたいっていうのは何時でもできるし、ゲームにもネット対戦がある。食事の買い物は……璃奈りーを炎天下に晒し過ぎるのはNGだから違う。

 となると……やっぱりエレクトリックアームスしたカニを食べた事だろうか。自分の恐怖心に蓋をして生き物の責務を果たした自己犠牲精神にお怒り、とか?

 

「海が楽しかった気持ちを無視してダルそうにしてたこと?」

「遠からずの2倍当たらずって感じだな。海はどうして楽しかったんだ?ご飯が美味しかったから?」

「こう……最初は本当にふざけんなって思ったけど……推しの水着見たら手のひら返せた……感じ」

「その子といれたから楽しめた?」

「多分」

 

 菜々ちゃん先輩に水着を着せられ侑先輩には風呂に連行され、かすみさんは何故か競馬で負けた人みたいになってて宥めるのダルくて、しずくちゃんには相変わらずバチバチの敵意を向けられ、ギャル子先輩と話してたらyogiboお姉ちゃんとショタ恋シティーハンターが混ざっておもちゃになりかけ、最後は乳のデカい赤毛のアンみたいなお姉さんに自己紹介して終わった。

 やった事と言えば休憩に来たメンバーの話し相手になったのとご飯食べたくらい。

 

 これと言って特大イベントはなかったけど、璃奈りーの水着が見れたから良いかって片付けた。

 やっぱり璃奈りーといると知らない事が知れるから楽しい。夏だの海だのはぶっちゃけ関係ないんだよな。

 全人類は璃奈りーの精神情報データソースになる義務がある。zipファイルでココロを送れ。

 

「茜はその子と一緒にいたい?」

「いたい」

「仮に一緒に暮らすってなったら受け入れられる?」

「余裕だけど」

「それは茜に得があるから?」

「得……っていうのも確かにあるけど、反応が可愛くて好きなんだ。見てて飽きない。あとは単純に好き。主観でも客観視でもそれを証明出来るくらには確信してる」

 

 願うことなら璃奈りーの結婚式で後方親戚保護者面しながら新郎にちょっかい出したい。端っこら辺のテーブルで細々飯食いながら推しが遠くに行ったのを感じたい。だって推しが幸せになるところ見たいじゃん。璃奈りーが旦那と一緒にケーキ入刀してるところビデオカメラで取りたいじゃん。

 さっさとこんなエセ英雄と悪の帝王やってるいわく付き伝説ソードなんか捨てて、自分専用オーダーメイドのフル装備を纏う未来が来て欲しいじゃん。そっちの方が安泰だし。

 

 新郎に笑いかけてるところ見ながら『あの笑顔は私が育てました(写真付き)』ってマウントも取る予定。その女の初めては余がいただいた。残念だったな!(のじゃロリ高笑い)って言う悪役令嬢ムーブもめっちゃしたい。悪がいるから一般正義が輝くわけだし。

 こちとら璃奈りーの夢の景色見るために人生プラン引き伸ばしたんじゃ。これくらいやらんと満足出来ん。

 

「それで、茜はその子を置いてここに帰ってきたわけだが」

「いや……そんな家出少女でもないのに長居できないよ。一応帰りが遅いだけで親御さんいるし。家賃は確定で受け取り拒否されるし何払えば良いかわかんない」

「確認したのか?茜と一緒にいて得たメリット、直して欲しいところ、直したらいて良いのか、それとも全部関係なくいて欲しいか」

「してないけど……あんまそこまで仲良くなった覚えないよ?シェアハウスとして扱うのは普通に図々しいし」

 

 仮に璃奈パパと璃奈ママに『ローン払うの手伝うので居候させてください』って頼んだとして許可が降りるとは思えない。

 確実にロリコン疑惑かけられて出禁になるか少年院循環パンダタクシーに乗せられる。

 ただでさえ男がしょっちゅう宿泊するっていうスリルを味わってる親御さんだぞ。これ以上許可が降りるわけないでしょ。ボクが璃奈りーの親なら絶対拒否るよ。遊ぶ程度にしてくれって。

 

「家も私1人だけなら回せる。もし相手の合意が取れたら今までのやり方にするのが最善だ」

「めちゃくちゃ迷惑じゃない?」

「そのための確認だ。ダメそうな時は私に言われたからって事にすれば良い。茜も3年後には1人暮しやルームシェアをするかもしれない。慣れっていう得が手に入るしチャレンジする価値はあるんじゃないか?それに、1人ぼっちの子に誰かといる幸せを教えたなら相応の責任を取るべきだと父さんは思う」

「…………はぁ、わかったよ。やるだけやる。でもどんな答えが返って来てもガッカリしないでね?」

「私が期待主義者じゃないのは知っているだろう?」

「そうだけどさぁ……」

 

 父さんにしては考えられないレベルで暴論を言ってくる。菜々ちゃん先輩や侑先輩とは別ベクトルの何考えてるか分からない顔。

 一体全体ボクがいない一ヶ月の間に何を見出したんだ。わからん、なんも分からん。

 

 まあ、どうせ断られて終了ならやった方が良いか。ここで璃奈りーに異性愛抱いてるって性欲を見せつければ呪いの剣ポイントが溜まるし。100ポイントで祠に封印。

 

 というわけでドレモチンコジャ。

 

「──あっ、璃奈りー?ちょっちお時間よろしい?」

『んっ……どうしたの……?』

「いやさー、夕飯の麻婆豆腐辛くなかったかなーとか何とか。間違えて辛口買ったかもって思って」

『大丈夫……美味しかった……』

「そっか、なら良かった」

 

 1人反省会をしてたっぽいな。一回切って明日かけ直すか?

 

『……茜くん……その……少しだけ長く電話したい……良い……?』

「良いよ。何話そっか…………じゃあ、王様の朗読配信と海の小話、どっちが良い?」

『海、が良い……』

「りー。海はそうだねぇ、イカが美味しかったよ。ピーナッツ味噌のイカ焼き。それに合う飲み物も見つけたんだ。来年辺りに2人で食べに行こ」

『うん……。茜くんは楽しかった……?』

「楽しかったよ、璃奈りーがいたから。可愛い水着だった」

『言うタイミング……今じゃない……』

「そうなん?」

 

 可愛いの言い時とかあるんだ。かすみさんとかカワイイプリーズ精神がオールウェイズオールデイズなのに。

 というか気を呼んで褒めるのってただのご機嫌取りでは?

 

「皆まとめて褒めないとバッシングされそうだったから黙ってたけど、言った方が剣ポイント溜まった?どいつもこいつも自分に似合う水着しか着て来なかったから沈黙が正解なのかなって」

『お世辞言うの……珍しいね……』

「正直もっとパリコレみたいなのを期待してただけだよ。ボクを連れて行くのなら冒険のひとつでもして欲しかったもんだね。そんなんだからこんな貧相な体した男にポケットチェーン男が来ちゃうし全受けさせる羽目になるんだよ。女としての誇りを疑う」

『でも……私はみんなより下……』

「まあ、道行く100人に聞いたら全員ギャル子先輩かあの……ショタ恋ハンターのあれ、青酸カリみたいな名前のお姉さん」

『果林さん……?』

「あぁ、それ。その人に行くと思う」

 

 だってあの2人オタクが好きな要素全盛りしてるじゃん。おそらくオタクに優しいギャルだし、果林先輩はもう筆おろし希望者死ぬほどいるでしょ。こっっっわ。

 でもあのミステリアスクールねーちゃん、普通に方向音痴なんだよな。そんでバカ。かすみさんとの違いといえばキュートに振ってるかビューティーに振ってるかの違いしかない。あとは東京駅で迷わないか。

 ねーちゃんから勉強教えてって頼まれた瞬間にボクの中のイメージがウォズから万丈になった。プライドとかないんか?

 

「あの人達めちゃくちゃ男好みのスタイルしているじゃん?乳デカくて現実的な細いくびれにケツもバランス良い。それが自分サイ強の水着を着ればそりゃ可愛くなる。材料もコックも全部一流にして作った料理なんて美味しく出来て当たり前でしょ?」

『それじゃ、ダメなの……?』

「良い物使ったら良い物が出来るのなんて当たり前。三ツ星の厨房と高級食材、ガス式エアブラシにジャンクパーツとパテとヤスリ1式工具全セット揃えた改造ガンプラ、RATのクリエイターPCとエクリストmake21で作る動画やゲーム。確定した勝利を見たってつまんないじゃん」

『……私、そんなに浮いてた……?』

「浮いてたというか浮かれてた。水着も似合ってないと言うより背伸びしてるって感じ。大切な友達みんなと海行くのが楽しみだったんだなって感じれて、目一杯オシャレしてて、可愛かった。外見一発水着と璃奈りーのイメージで見れば確かに下から2番目だけど、璃奈りーの心境を国語模試したボクからすればそれだけで100点だよ」

『そっか……ありがと……』

 

 ちなみにビリッけつは侑先輩。色気もクソもない水着だった。しかもポム先輩が言うには準備段階だと学校の水着で行こうとしたらしいし。真面目過ぎてつっまんね〜。自称真面目でお堅い生徒会長の方がまだ遊び心がある。

 まあその遊び心のせいでこっちはナンパ総受けしたんですけどね。チャラ男の顔思い出したら腹立って来たな。大学のヤリサーでも入ってろよ。

 

 結局ぶっちゃけるとさ、100人ランキング作って青酸果林パイセンやエマ姉が1位取ったところで、ボクや愛さん先輩の中では天王寺璃奈が1番なんだよ。

 そもそもこういう芸術ってデータベースと比較するとかしない限りは批評のしようがない。

 だから優劣とか気にせず自由に選ぶのが一番。はっきり物言えるやつの方が頼りがいあってモテるぞ。

 

「璃奈りーは気づいてないかもだけどさ、表情がなくてもこうやって気持ちは伝えられる。ボクと同じような人がいればココロも繋げられる。そうしてボク似の人と輪を繋げて刺激的な日々を送れば表情も作れるようになる。そしたらもうあとは皆の一番になって武道館よ」

『私は、茜くんの1番でいられるならそれで良い……』

「そっかー。はっはっは、随分と信用を勝ち取っちゃったみたいだ。でも、あんまりボクに基板を晒してると腐食させちゃうかもよ?ボクはバイ菌王かもしれない」

『…………ストレージもメモリもキャッシュもいっぱいのスマホに、そんな事出来ない……』

「言うじゃん。元気いっぱいで何よりだよ」

 

 お前の脳内CPUクッソ動き鈍いから無理だぞって言われた。遅いとかいう段階越えて鈍いらしい。未熟なCPUなので許してヒヤシンス。エリンギは宇宙。

 

 それにしても、なんか知らんが水着可愛いって言ったら機嫌良くなったな。オシャレのプロが周りに沢山いるのに素人意見を優先して何になるんだ?男なんてボクサータイプの赤白紺のどれかを2回買ったら終わる種族だぞ。

 相変わらず変なところまでボクに着いてきちゃうね。璃奈りーって。参考になる事なんてないのに。

 

「まあ、ボクの1番でいたいなら一緒にいてくれるだけで十分だよ。別にどれだけ水着が可愛かろうと、逆にダサかろうと、ボクは契約満了まで璃奈りーといるから。いっその事璃奈りーの気分を伝えられる水着や服を探すのも良いかもしれない。保険と活路にもなる」

『うん……良いと思う……。じゃあ、その……今度一緒に……。あと、わがまま言って良い……?』

「良いよ。なんだって叶えてみせる」

『えっと……明日……ううん、明後日……一緒に遊びたい……。アイドルとか契約とか関係なく……一緒に……』

「わかった。なにか持って行く物ある?」

『……じゃあ、アラジンの本……』

「分かった。夜通し読み聞かせてあげるよ」

『…………良いの……?』

「こっちの暴君が行けー行けーってうるさくてさー。あはは、ごめんね」

 

 ボクがそっち行くって言ったら元気度が40%くらいアップしたな。

 一人反省会で落ち込んでたのかと思ったけど、もしかして1人暮し状態に戻った寂しさで泣いてただけだったりする?

 年頃の女の子だし駄べる相手がいなくて辛いのは分かるけど、男のボクで良いのか?応急処置でも効力があるならありがたい限りだけど。

 

「璃奈りーの父上母上もいるし長居は出来ないかもだが……そうだね、8月15日まではどう?行けそう?」

『ダメ……』

「そっかー……やっぱ7日くらいが限界?」

『3ヶ月……』

「最低?最大?」

『最低……3ヶ月……一緒にいて……』

「璃奈りーの夢もでかくロングになったもんだ。そんな長期間ボク置いて大丈夫なの?」

『許可、ある……。』

「そっか」

 

 3年手前どころか大人になるまで剣になれと来た。親御さん公認なの怖すぎるな。もっと男を警戒した方が良いのでは?

 きっと璃奈りーの父上はものすごい英国紳士だったんだろう。空想とか伝承上の英国紳士。日本で言う忍者みたいな。

 母上が娘に近づく男を警戒しないくらいには旦那の人格ができてる。きっとめちゃくちゃ有能で忙しすぎて帰って来れない人なんだろうな。

 

『茜くんも良いの……?お義父さんのこと……』

「1人なら回せるってさ。まあ、ボクも男同士の家より可愛い人間だけで出来たユートピアの方が良いし。双方合意なら良いのかもね。明日そっち行くよ」

『んっ……待ってる……』

「今日はちゃんと寝れそう?風呂洗ってあるから湯船浸かって早く寝な。ソフト開発で散々コキ使っちゃったからね」

『んっ……ありがと……』

「璃奈りーには権利があるんだから良いんだよ。剣を握ったならちゃんと使って貰わなきゃボクが困る」

 

 無理強いしたのはボクの方なのにね。やっぱり真面目な子過ぎるからもっと図々しい人間になって欲しい。

 あとで人をワガママに育てる方法を父さんに聞こう。

 

 

 そして1連の話を説明したら父さんがホクホクしだした。

 いつになればボクの彼女欲しい願望が伝わるんだろう。道は長そう。

 

 

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