虹ヶ咲ヒーローorナイト&キング 作:コントラポストは全てを解決する
無事放課後になり、現在は予定通り練習表を璃奈りーに確認して貰ってるところ。璃奈りー的には最初は勝手が分からないからメニューをやって、その中でブレイクandリビルドしたいらしい。
肝心の内容だが、まずは20分間の顔面ストレッチとマッサージを2週間。営業スマイルじゃなくて心からの笑顔ってことなのでメインでやることは楽しさの詰め合せ。今日は璃奈りーの好きな事を知るアンケートを取ろうと思う。
というわけで菜々ちゃん先輩に空き教室を使う許可を取って鍵を貰い…………菜々ちゃん先輩?早よ鍵をプリーズ。なんで離してくれないの?え、力強っ……。
「茜君、渡す前に1つ条件を提示してもよろしいでしょうか」
「空き教室の所有権は学校にありますよ。なので利用料徴収なら学長へ直接振り込みますのでお構いなく」
「違います。私も璃奈さんの特訓を見学させてください」
「はぁ、なるほど。璃奈りーはそれで大丈夫?表情練習見られるの恥ずかしかったらちゃんと言ってね」
「大丈夫……」
「だそうです」
「あと週末にスクールアイドルファン喫茶行くので一緒に来てください」
「条件は1つじゃ……?」
即行で自分の言った提示条件数を違反したぞこの人。なんでそんなに不機嫌な顔してるんだろう。空き教室貸出届け書くのがめんどくさかったのか?そもそも届け出くださいって言ったらあんた嬉々としてボクの代わりに描き始めたやんけ。
「どうしますか。行くか、行かないか」
「夕雲ひまりとして来いって言うならどんな理由でも断りますが」
「私は茜君を欲しています」
「スクドルカフェって普通のカフェと何が違うんです?」
「私みたいなオタクがいっぱい居ます。男女問わず」
「オタクの秘密基地ですか。カドショと同じ臭いしてそう」
「曲がりなりにも女性が来るのでそういうところは気遣ってます。消臭剤も普通の店の倍置いてますし」
「はぁ、なるほど」
それ逆説的にお風呂入ってなさそうなファンがよく来るって言ってないか?あの臭いは体臭と言うより繁殖した服の菌が皮脂食った時に出す分解酵素の臭いだから体臭とは別ものだが。体だとだいたい脇。アポクリン幹線。
どっちにしろ身だしなみに気を使わない男女がいる場所で飯食う気にはならないけどな。シンクネットの臭い嗅ぎながらコストコのティラミス食えるか?無理でしょ。推しが現実にいるんだからいつ遭遇しても良いように見た目と臭いは気をつけて欲しい。
鈴木を見てみろよ。今度推しのアイドル声優である丹田ちゃんの握手会に行くからって美容院予約してたぞ。そこまでしろとは言ってない。
「普通のカフェじゃダメどすえ?」
「最近伸びてるイチオシアイドルの葉月ナナ美さんが来るんです。店内ステージで踊るのでチェックしておきたい」
「ほへ、ボクが行く意味とは?」
「強いてあげるとすると、布教?」
強いてあげてやっと布教が出てくるのか。葉月ナナ美のライブはサブミッションで何か裏があるのでは?レンタル彼女みたいに後で金せびられるのかな。
菜々ちゃん先輩と遊び行ったことないし誘った事もないから余計に警戒してしまう。
「軽いお出かけみたいなものですので気張らないでください。ショッピングみたいなものです」
「いきなりデートに誘うの突拍子が無さ過ぎでは?」
「今まで何度も誘おうと試みましたが?明日お時間ありますかとか、放課後暇ですかって色々誘い続けて。現在こうして全部あしらわれたから強硬手段に出てるのですが。来てくれますよね?」
「あ、はい」
圧強っ……。
そっか、あれ誘いだったのか。生徒会の仕事手伝わされるのかと思って逃げてたよ。それにあんまりボクと菜々ちゃん先輩が裏で繋がってるって知られたくないし。
ボク達はお互いの正体っていう地雷カード持った特攻持ち同士だからね。よりにもよってなんで優木せつ菜と接点持っちゃったのか……いやまあ向こうが鬼のように迫って来たからなんだけど。もっと本気で逃げりゃ良かったなぁ……。
「はい、確かに承諾はいただきました。あとはご自由にこの部屋をお使いください」
「ざまーす。それじゃあ璃奈りー、さっそく始めようか」
「うん……」
これから鍵借りる度にデート行こうぜって誘われるのかな。デートっていうか女同士が遊びに行ってる風にしか見えないと思うけど。
そういう雰囲気出すなら身長170cmくらいのボーイッシュお姉さんを呼ばないとダメかと。12cmとか14cm差がキスしやすい身長差って言うし、相手の170cmとボクの154cmでちょうど良い。
逆に身長低い人つけるとなるともう5歳児辺りを連れて来るしかないぞ。あとは璃奈りーといればちょっとは恋人同士っぽく見えるかもしれない。無表情彼女と表面取り繕いのプロ彼氏。うーんアニメチック。
「よし、まずは表情筋のストレッチだな。ストレッチっつうかマッサージ。ちょっとほっぺ触っていいかい?」
「んっ……お願い……」
「ではでは失礼して……」
さて、璃奈りーの表情筋は……おぉ……おぉ?こってるわけじゃないけどすんげぇ鈍ってる。触った感じ平均よりだいぶ下だし言っちゃうとコンクリ。
なんというか2週間後に表情筋訓練入れるか怪しいくらいに死んでるんだが。このまま予定通りやったら顔面筋肉の肉離れとかいう世界でも希有な症例起こすぞ。
「表情筋測定機、11点」
「50点満点……?」
「100点満点」
「そっか……」
しょんぼりしてるのは伝わってくるけど顔に出てないんだよなぁ。何となく昨日から思ってたけど逸材なのは確かなんだよ。
日本人はロリコンだし口数少ない女の子大好きだからオタクウケは絶対すると思う。璃奈りーのエモーショナルライブコネクトにそういう客が入ってるのかは定かじゃないけど。
「予定を変更して最初の一ヶ月全てを筋肉ほぐしのマッサージに使います。プラン通り言ったら変な笑い方つくかもだし攣るかもしれん。とりあえず懐炉当てながら軽くほっぺたをぐりぐりほぐす。これを一日10分やれば少しはマシになるぞ。とりあえずこの懐炉持って」
「んっ……」
「そしたらこうやって優しく当てて、ゆっくりほぐしながら、段々強く……」
「あの、茜君が手を握る必要ありますか?口頭で十分では?」
「加減教えるには直接触って叩き込むのが1番だと万葉集にも載ってます」
「なんか面白くないのでもうちょっと絵面何とかしてください。それと私にもして欲しいです」
「菜々ちゃん先輩は笑顔作り完璧じゃないっすか。あとマッサージに面白さ求められても」
ただの筋肉解し術にネタを求められても答えられない。店開いて強制わいせつ罪をやらかして捕まるみたいな報道ネタになれば満足かい?
それだと面白さを要求した菜々ちゃん先輩が教唆犯で捕まるけど。
「特訓って地味なものですしね。そんなイナイレとかウルトラマンレオみたいな面白い絵は撮れません」
「茜くん……多分菜々さんが言ってる面白さと……茜くんが思ってる面白さは違う……」
「ああ、正統派漫才と一発屋的な面白さ?菜々ちゃん先輩って流れ星辺り好きそうですよね」
「普通に違う……」
「茜君、そんなだから友達1人もできないんですよ」
「急にディスるじゃん」
友達作ったら付き合い続けなきゃ行けないからアイドル活動を優先して作らなかっただけなんですが。コミュ障なのは否定しないけど。
というかよく考えてみろ。友達作ったら遊び行ったり帰りに寄り道したりしなきゃいけなんでしょ?時間が勿体ない。
こちとら大して仲良い人がいないからって中3の修学旅行休んだ人間やぞ。このボクが姉さんの同伴無しでイベントを楽しめるわけ無いだろ。
「友達いないと困ることってあります?クラスで浮かない程度に会話出来るデコイがいるなら遊びに行く仲間とか不要では?」
「なんでそんなに卑屈なんですか……」
「友人関係の悪いところしか見てない……」
「最近話題のファミレス客テロ問題もそいつが身内にイキるためにやってますし、友達いなかったらやってなかったんじゃないかって……やったとしてもネットにその動画が上がる事はなかった」
「それは1部の教養の足りてない人がやるだけであって普通の方々は理性が働きます。茜君こそ友達の経験がないからソースがネット頼りで知識が偏ってるじゃないですか。友達いない弊害ですよそれ」
「そこは認めますが。でもぼっちと友達どっちが安全かっていったらぼっちの方だと思うんですよ」
せっかく少年保護法で顔と実名が隠されて報道されるのに、他人と違うことしてる俺かっけー精神のせいで顔が全国に割れるんだぞ。人生全体で見たらディスアドも良いとこでは?
自分を守ってくれる法律があるのに不特定多数と現場の仲間から反応貰いたいって承認欲求で自らそれを無下にして首を締めに行く。
それを見てたら友達いらんくね?って学んだ。
「というか菜々ちゃん先輩もこっち側では?友達いるんですか?ボロ出さないように孤独のお堅い生徒会長演じてるイメージあるんですけど。璃奈りーは良いとして」
「生徒会メンバーと食事行く程度には関係気づいてますよ。あとなんで璃奈さんは許されてるんですか」
「表情が硬いだけで人寄って来ないクソゲーやってる人ですよ?心の中では感情がいっぱい溢れてるのに。それに声がかぼそいだけでちゃんと自分の意見言えますし」
「茜くん……同情はしないで欲しい……」
「ボクがそんなヤリチンクズコマンド使う人間に見える?」
「クズ、なの……?」
「男が異性に同情するのって基本泣いてる女の心に便乗してアピりたい時だけだからね。優しさアピールするなら慰めるのが1番手っ取り早いし実際印象も良い。だから泣いてる女の子とか訳あり少女に同情して近寄るのは弱い女が好きなクズだけだぞ」
「生々しい話しないでください。オブラートって言葉知らないんですか?」
「飲めたねゼリーならボクの辞書にありますけど」
現実を教えとかんと璃奈りーがパット見優男の草食系擬態ヤリチンに食われるかもしれないじゃん。ボク純愛派なんだが。
「パイセンの言い分も最もですが事実は事実じゃないですか。中学の時にいたんですよ。好みのイケメン大学生とデートしたらノリでヤっちゃってそのままデキちゃった子。それでデートの原因……というか発端が元彼に振られた悲しみをツイで呟いてたら向こうが優しく話聞いてくれたって理由で。だから璃奈りーもアイドルする時は気をつけるんだぞ。優しい男は基本ヤリモクだと警戒するべし」
「う、ん……気をつける……」
「生々しい話はしないでくださいって言ったじゃないですか……」
「でも向き合わなきゃいけない問題ですよ。ボクも半月前に大学の公演会でライブしてくれって依頼受けて、当日イベ終わったらチャラチャラした人に飲みに行こうぜって誘われましたし。カラオケオールにお酒興味あるかも聞かれたんで多分泥酔させてヤル気でしたねあいつ」
ボクが本当に女だったらワンチャンあそこがアイドル道か風俗道かの分岐点になってたと思う。LouTubeでセクハラコメント貰う時よりだいぶ緊張感あったし。そりゃ経験ないJKJCは断れないわ。
大学公演は「合コンはセフレ採掘場」っていうネットの情報がそのままお出しされて感動したくらいしか収穫がなかった。
そのうち課題とワークがやたら多くて3年0学期とか主張しつつ、女子の下着の色を指定してうなじ出すの禁止してますとかいうコテコテ自称進学校も見れるかもしれない。うなじに興奮するから禁止ってなんだ?そんなしょっちゅう見ないし先生の性癖じゃないのそれ。
「そもそもなんで気にかけるの璃奈さんだけなんですか?私も心配してください!」
「いや、菜々ちゃん先輩文武両道だし合気道有段くらいはありそうだなって……自衛完璧に見えますし」
「私だってか弱いですけど?無理やり迫られたら怖くて怯えますよ?茜君っていつもそうですよね、私のことなんだと思ってるんですか。扱いが雑。こっちも女の子なんですが???」
「璃奈りーは可愛いから心配で……」
「腹が立ったので侑さんに茜君売りますね」
「は?」
は?
「今週の土曜日に家に来て良いそうですよ。そして日曜日は私とデート。良かったですねモテモテで」
「は?」
は?
「いや……何してくれとん……」
「女の子は怒らせると怖いんです。良い勉強になりましたね」
「そんなんだから脳筋生徒会長とかバ菜々コングとか言われるんですよ」
「茜君の方が力強いじゃないですか。女子力なら私の方が上です」
「料理はボクの方が上手いですけど?」
「私だって掃除と裁縫できますけど、茜君は?」
「やろうと思えばいくらでもやれます。菜々ちゃんパイセン如き余裕で越えられますが」
「やらない男の人って皆本気出してないだけとか本気出したら困るのは女の方とか言うんですよ」
「はーい今全国の男を敵に回しました。一人っ子の父子家庭出身男子集めて反乱おこしまーす」
料理やらせたら高確率で黒色か紫色した食えるゴ↑ミ↓を生み出す
まずなんで紫色になるん?着色料使わなきゃ出せない色でしょ。紫キャベツと茄子の皮ジュースでも入れたんか?
ある意味器用なんだろうけど食べる側の事も考えていただきたい。料理に寒色入れると食欲落ちるんやぞ。ボクのスーパー消化器官がなければ危うくゴミ箱行きだったんだから感謝して欲しい。そして悔い改めて。
「料理出来ないってディスりますけど私は捌かれてない魚調理できますが?それにシフォンケーキくらいなら作れます」
「えぇえぇ出来ますね。魚はウロコも内蔵もエラも取らずグリルにぶち込んで焦がすだけですし、ケーキだってバター入れないしアレンジとか言って牛乳の代わりに水飴入れて、そこからさらに強力粉入れまくるから硬ってぇレンガになりますけど。トンカチとアイスピック使ってやっとヒビが入るケーキはケーキとは呼ばないんですよ。食べられるゲームキューブです。歯ぁ折れるかと思いました」
「あれコーンスープにつけてふやかしたら美味しかったですよね。また今度やりますか?」
「再現できるならお好きにどうぞ」
菜々ちゃん先輩は目分量で料理するからな。もしかしたら前より柔らかくなるかもだし、その逆もしかり。指示出そうと思っても頑なに拒否られるから食材が目の前で犠牲になるのを見てることしか出来ない。この人のは調理というか知育創作だけど。
「……菜々さんと茜くん、仲良いんだね……」
「友達ですので」
「監視対象同士なので」
「友達で良いじゃないですか。私のどこに不満が?」
「えっ、全部」
「…………菜々さん、茜くんに何したの……?」
「いえ、その……ちょっと激しく迫り過ぎたと言いますか。テンション上がってDM凸とかしまして。でも校内ではよく会いに行ったりした程度で」
初めて菜々ちゃん先輩がツイドリでメッセ飛ばして来た時は怪しすぎて成りすましを疑ったからね。初DMは優木せつ菜垢でやって来たっけ。
とりあえずフォロワーが5万人いたから本人なのはわかったけど。内容はなんだったっけ……一緒にライブ出ようみたいなこと言われた気がする。
それで実際に会って、それが夕雲ひまりと優木せつ菜……いわゆる覆面アイドル同士の邂逅だった。お互いキャラ作ってるからあんまり深い話し合いができなかったのほ覚えてる。こっちは胡散臭いなって感じてて、菜々ちゃん先輩はボクの正体探ってたからもはや頭脳戦状態。
それと同時期に生徒会長がなんか絡みに来るようになって、よく見たら伊達メガネだし歩き方とか目の奥の熱がもろ優木せつ菜だったからヤバいなって思い避けるようになった。
元よりライブの話は正体探しのカモフラだから進んでないし、最悪関係切ることだって考えた。
仮に切っても生徒会長としてエンカする問題があるので菜々ちゃん先輩呼び出してそれっぽい理由の牽制を一摘み。問題児みたいに悪目立ちするから絡むの辞めてって言ったら『私!優木せつ菜です!!!』って打ち明け出して怖かった。素直にこの女ヤベーなって引いたよ。
「ツイドリDM凸はまだ受け入れられるんですよ。よく他の同業者からも来ますし。問題は学校の方。毎日付きまとわれたせいで皆から『生徒会長直々に対処しなきゃいけないヤバい生徒』みたいな目で見られ始めて大迷惑でした。こちとら目立たないようひっそり暮らしてたのに突然大阪県警が如く乗り込まれた気持ちわかります?その後やめろって注意したらいきなり正体バラしてお前も秘密言わないと泣くぞって脅されて」
「なんで茜くんも教えたの……?優木せつ菜の正体だけ持って、逃げれば解決……」
「生徒会長だしお家柄が良いって噂聞いてたから逆らうとなにかされるんじゃないかと思い。わたくし権力と知力と財力には逆らわない主義でして。今思い出すと中々キモい表情とテンションしてましたよね菜々ちゃん先輩」
「いや、だって……誰も正体知らなくて、プライベート一切不明の推しアイドルが目の前にいるんですよ……?気分上がりません……?推しの本当の良さを知ってるのは私だけ的な……」
「典型的な彼氏面オタクじゃん。タダでさえ覆面アイドルやってるのにそこから更に非日常成分求めるとか贅沢すぎでは。普通じゃない何かを求めて日々妄想に耽けるオタクの恨み買いますよ」
「反省はしてるので慈悲と許しとお友達ポジションをください」
「欲がよぉ……」
ラノベお決まり正体隠しモノの主人公とヒロインの秘密をただ1人知っちゃった恋愛モノテンプレを一挙に味わっといて何言ってんだこの人。
「茜くんは……菜々さんといるの嫌……?」
「嫌……かは分からないけど、正直いつボクのこと口外するかって考えるとヒヤヒヤしちゃうね」
「私の口は硬いです。生徒会でも目安箱とか学生名簿で個人情報持ってますけど黙ってますし。生徒会長なめないでください」
「その割には結構簡単に自分の正体バラしましたよね。パイセン自身の事とは言え機密漏らすのはダメだと思うんすよ」
「茜君だけの特別ですが?こんなにクソデカ矢印向けてるのにどうして分からないんですか。私がそんな誰彼構わず正体明かす人間に見えます?ていうか自主的に進んでバラしたの茜君が初めてですが?」
「要は関係深くなった相手なら割と簡単に口外すってことですよね?」
「違いますけど?本当に信頼した人にしか打ち明けません。茜君以外だとまだ同好会の皆にしか教えてませんし」
「十分多い上に二次被害でバレる確率が高そうなの酷いっすね。かすみさん辺りとか性悪一軍女に数回ビンタされたら吐きそうじゃないすか」
「それかすみさんじゃなくても吐きますよ」
ガチのカス虐は趣味じゃないからもし事が起こったら被害届だすけど。
この世を渡るなら裁判起こせる分の金は常時持っておいた方が良い。なにかあっても『うるせぇこっちは裁判起こせるんだぞ』って心に余裕が生まれるし、裁判を起こしたって実績は未来の厄介事から自分と被害者を守ってくれる。だからいじめがあっても誰も助けてくれない現代の学生社会において、裁判は有効で最善の一手だと言える。
「茜くん……かすみさんとも仲良いの……?」
「……言われてみればそうですね。同好会入ってないのにどこで知りあったんですか?」
「侑先輩とセットで来たと思ったら同好会入ってアイドル推そうぜって勧誘されて、その時からちょくちょく。姉以外に興味ないって突っぱねたらスクールアイドルの良さ教えちゃるって強引に連行されまして」
「私の時みたいに押切で断れば良かったのでは?」
「デート当日の朝8時半に鬼モーニングコールして来たんですよ。何度切ろうがメッセージセンター繋がるまで放置しようが出るまでかけ直して来ます。割とやばいですよあの女。1つの目的のために常識の楔が外れるところにヤンデレ味を感じる。LINEにもメッセ連投しますし」
「ブロックと着信拒否すれば解決じゃないですか」
「そういうカス虐は趣味じゃない」
「結構かすみさんにハマってるんだね……」
「だって可愛いし」
やっぱりいじりがいあるのって良いよね。かすみさんを傷つけない程度のいじりが絶対条件だが。からかい易さとか愛嬌あって世話焼いてあげたいみたいな愛され成分は大事なんやなって。
それとなんだかんだあの時が侑先輩との初対面でもあった。最初はアイドル排出する気がなかったのかガチでライブ鑑賞会みたいな空気で誘って来て、有意性感じないから拒否してたっけ。
そのあと無事変態へ覚醒し同好会ハーレム築き始めたけど。マジで同好会入んなくて良かった〜って今でも安堵してる。
「茜君に鬼電とかありだったんですか?そんな事したら一発で関係切って来そうなのに。OKなんだったら私もこれからしますね」
「えっ、ダメですが?かすみさんは特別待遇で許されてるだけです。あと菜々ちゃん先輩って電話長そうだしちょっと……いや普通にやめて欲しい。ただでさえメッセ1回で二次創作SS1話分くらいの文字数ぶつけて来るのに」
「好きな人と沢山話したくて何が悪いんですか。好きって気持ちは包み隠さず全力投球するのが私の主義なんです。アイドル活動だってそれが指針ですし」
「長文書くのについてはこの際目を瞑りますが、改行と句読点使ってくれませんかね。テンションゲージがぶち上がってる時の菜々ちゃん先輩の文って読みにくいんすよ。生徒会で文書作る感じでおなしゃす」
「……茜くん、一応ちゃんと読んでるんだね……メッセージ……。面倒くさそうな顔してるのに……」
「嫌よ嫌よも好きというやつですね!ね!やっぱり私の事も心の底では大好きだと。これはもう事実上友達関係と言っても過言では無い。だから私と百合営業しましょう」
「言葉の前後に脈略がなさすぎる……。頭の中で満開でも発動してるんですか?ボクの中にある同好会の印象落としてるの自覚した方が良いっすよ。あと璃奈りーには変な事しないでくださいね」
かすみさんはそもそも同好会発足の功労者だし部長だから手遅れ。そういうわけで璃奈りーだけはそっち側に行かないで欲しい。
それに入部したら絶対おもちゃにされるって不安もあるからなるべく同好会と接点持ちたくない。特に高咲と優木とかいう頭のネジが5本くらい外れてるコンビが怖い。それと中須かすみ。
侑先輩と菜々ちゃん先輩はもう少しポムポムプリン先輩を見習った方が良い。見ろよあの王道幼なじみヒロインを。侑先輩のこと大好きだし多分侑先輩から貰ったものなら全部保存してるタイプだぞ。記念日のプレゼントからお菓子のゴミまで幅広く。
ボクの見立てでは侑先輩のお下がりの服をエプロンにしたりランドセルの皮でICカードケース作ってるはず。ボクも姉さんの衣装作る時に出た余った布をぬいぐるみにして飾ったりするから気持ちわかるよ。
優木せつ菜に浮気しても廃部した同好会復活させて侑先輩のアイドル愛尊重するしマジで良い女なのよな。親友ポジ奪われる危険犯してまで大好きな幼なじみを立たせる覚悟には激烈感服。
ボクは姉さんに彼氏が出来たらひとまず圧かけると思うから歩夢先輩の御心の広さがよく分かる。
プリン先輩も同好会メンバーに変なやつが入ったらどうしようとかは考えたはずだ。それでもなお侑先輩の気持ち優先したのマジでかっこいいよ。素直に尊敬。
当の侑先輩はハーレム主人公化したけど。かすみさんとプリン先輩と菜々ちゃん先輩によく抱きついてるし基本全肯定マシンだからなぁ。みんな満更でもなさそうなのがヤバイね。近寄らんとこ。