虹ヶ咲ヒーローorナイト&キング 作:コントラポストは全てを解決する
茜くんが姉萌えに目覚める前に何とか私にオギャらせたい。やっぱり母性?お母さんに会えてないし包容力で親代わり…………そこまで侵食しちゃうと近親相姦になるからダメ。別に擬似親子になりたいわけじゃない。
となると赤ちゃんプレイ。おしゃぶりとよだれ掛けを……これやったら茜くんに距離を置かれる。
美少女ソシャゲのボイスを見てるとプレイヤーに向けたテキトーなデレボイス出しとけば良いみたいな印象があって、そこから男の子に『ヤれそう』って思わせることが出来れば勝ちなのかなとか考えてたけど現実はそこまで甘くなかった。あれはめちゃくちゃ美少女だから一挙一動全てにチャームパワーが籠もってるだけ。
私にそんな大層な魅力はない。だから茜くんどころか今まですら見向きされなかったわけだし。今だってどうすれば茜くんに刺さる行動が取れるのかを考えてるけど全然わからない。
ある程度の感情は分かるのに、1歩深く踏み込んだ瞬間真っ暗闇になる。茜くんは私の8割を見透かしてるのに不公平。もっと中身見せて。
こんな有り様じゃ友達ポジションなんて夢のまた夢。私が危惧してた90年後も今の関係ルートまっしぐら。それにあくまでも90は最長。もしかしたら67とかで死ぬかもしれない。
茜くんが話してくれたけど、何度か入院しなきゃいけないレベルの病気を患ったことがあるって言ってた。インフルエンザとか色々。おたふくの時も入院したらしい。
今の茜くんの体の強さは自前6割薬4割。昔から贔屓にしてる薬があるらしい。
普通にグレー超えたアウトな気がするけど、口で言ったところで止まらないし行動で分からせるしかなかった。
お姉さんと同レベルになりたいとかそんな贅沢な事は言わないから、こういう時に素直に話を受け入れてもらえる関係になりたい。あと何時でも手を握れて頭も撫でてくれる関係。
イマジナリーのせいかコピーの影響かはまだ分からないけど、今はお姉さんが混ざっちゃってる状態だからそれすら抜けた本当の茜くんが見たい。多分こっちに来てから一度も出せてない茜くんの本性、本当の表情、まっすぐに人を見れる明るい人格。茜くんの全部が知りたい。
でもやっぱり現状だと多く見積っても3割しか見せて貰えてない。普通の人だと0.34割とかそこら辺だから仲がいいと言えば良いけど、どちらかと言うと茜くんが周りを警戒しすぎてるだけ。
だから必要。なにか茜くんの心に深く残れる方法が。
「あ、おかえり。どしたんそんな神妙な顔して。同好会でなんかあった?」
「……料理……」
「料理?調理実習なんてあったっけ?」
「料理……教えて……」
「いきなり?まあ良いけど」
困ったら、胃袋掴む。どの恋愛作品でも主人公ヒロイン問わず胃袋で好感度上げてる。食欲と味覚って言う生物の機能に攻撃するから茜くんにだって効くはず。無痛症のせいで味覚ないみたいな例外が起こらない限りは大丈夫……なはず。聴覚と視覚以外全部消えてますみたいな秘密を茜くんは平気で隠すから。それにそれぐらいの事は起こってそうな無神経具合だし。
「……茜くん、これなに作ってるの……?」
「わからん。強いて言うならラーメンもどき?アルカリ塩化水が出す風味が苦手だから麺から作ってる。強力粉と卵。実質コシの強いパスタ」
「なんか……らしくない手間かけてるね……」
「いやさ、今日久しぶりにボクん家の近所にある商店街行ったんだよ。そこのよく通ってた個人経営の水産店に行ってな。そしたらおじちゃんとおばちゃんが伊勢海老の頭くれてさぁ。息子が内定取ったお祝いの余りだとか何とか……まあそこは良いんだけど、使い方がよう分からんくて。とりまさっきまで出汁取ってたんよ」
「出た……?出汁……」
「1時間茹でたらそれっぽいのが出てきたし、それであら汁作ろっかなって思ったのが十分前の出来事。でも既に普段とは違う路線入ってるしこのまま普通に終わらすのはボクの経験値美学に反する訳でして。だから前から試したかったラーメン苦手な人でも食えるラーメンを作ろうと思った次第」
「そっか……」
スープの味とかじゃなくて麺自体を変えちゃうんだ……ネットに載せたらブログで長ったらしい辛口文章載せてる人達からアタックされそう…………
「茜くん……5分だけ待ってて欲しい……」
「ん、待ってるから手洗っておいで」
「んっ……」
嫌な予感がしてツイドリ開いた。茜くんの最新投稿……やっぱり載せてる。鍵付き引用RTの数が普段の3倍だし返信欄でブロガーとセクハラおばさんが血みどろのレスバしてた。地獄絵図……。
茜くんはアイドル関連じゃない暇つぶしツイの返信はそこまで見ないから知識が薄い。アイドルトラブルシューティングなら手慣れてるけどそれ以外はダメ。
そもそも茜くんの垢自体おまけって認識だから燃えようが凍りつこうがどうでも良いって思ってる。だって夕雲ひまり垢との反応の差でSNSの薄っぺらさを知ってるから。夕雲ひまりには応援コメ送るけど茜くんにはバチバチアンチコメ送る人とかザラにいるし。
それを見てきたから茜くんはSNSの付き合いを絆ごっこって切り捨ててる。でもいくら興味ないからって今回は特例中の特例。議論の余地なく消去コマンド一択しかない。
「茜くん……今やってる料理のツイ、消した方が良い……」
「えっ、なぜに?専門家が知見交わしあってるし拡散されまくりだしで良い広告塔になってるのに」
「この人達、特に資格とか持ってない映画評論家系列……。ネットでも殆どの人に嫌われてる……」
「あー……そういうタイプ?でもだいぶヒートアップしてるし無理くない?こういうのって10分あれば会場が完成しちゃうんでしょ?」
「消せばまだマシ……」
「んー、でもなんかもったいないなー……」
もったいない……。未知の世界に遭遇して経験つもうとしてるのは分かるけど今回のこれは活かす場所がないからやめた方が良い。時間の無駄。
「そうだねぇ……あぁ、漫才GPとかの人間主体審査ってどういう気分でやってるのか聞いてみたかったしその取材用に使おう。人間の感覚でしか評価出来ない物を無資格で結論付けられる仕組みを前から知りたかったんだ。店舗経営の経験すらなくて信憑性皆無だし」
「仕組みも何も直感オンリー……。自分の気分と記憶頼りだから理論も方程式もない……」
「意外と有資格者いるかもよ?ラーメン検定事態はあるんだし。1級で受験料13400円。合格率70%」
「あるんだ……」
でもそれを取るには相当の経験と覚悟がいるし、そこまで出来るならある程度繁盛したお店を持ってるはず。経営未経験でも修行中だったりとか。
「ここにいるのは個人ブロガーだけだし結局プロフェ面してる暇な方々なんだろうけど、食後のテレビ代わりにはちょうど良さそうじゃん?モドキとは言え評論自体はして来たし気分だけなら味わえるでしょ。あと長々語るつもりなんてないから平気へーき。そこまで暇じゃない」
「……じゃあ、返信は私の隣でして……。危なくなったら私が代わる……約束してくれるならやっても良い……」
「ん、約束する。じゃあさっさとご飯作って遊ぼっか。もう麺切って茹でるくらいしかやる事ないけど良い?」
「んっ……大丈夫……」
まず包丁握った回数が片手で収まる回数しかない私にはこれくらいがちょうどいい。
確か猫の形。これを標準機にしてまっすぐ包丁入れる。
「どれくらいの長さで切れば良い……?」
「24cmがベストかなー。そこに料理定規入ってるから使って良いよ」
「ありがと……」
「長さバラつくと食べにくいからね。必要経費だよ」
引き出し開けたら温度計が付いた30cm定規が出てきた。延長アタッチメント付き。こんな便利道具があったんだね。猫の手いらなかった。
「茜くん……切れた……」
「お疲れ様。あとは茹でるだけだし大丈夫だよ。ありがとね」
「茹でる工程……データ欲しい……」
「そこまでやるの?」
「知りたい……」
「苦じゃないなら良いけど」
前にフライパンを握ったことがある程度で小鍋も圧力鍋も天ぷら鍋も握った経験がない。多分私1人じゃしないと思うから絶好のチャンス。手作り麺が茹でられるなら乾麺なんて余裕で調理出来るようになるはず。茜くんの胃袋は麺で釣る。
「1分仮茹でしてあとはスープと一緒に煮る。それで終わり」
「浸透圧で塩入る……」
「麺の風味全部消すために塩をぶち込むのでそれで良い。調整として麺には味の素を吐いて貰う」
「美味しいの……?」
「アミノ酸と塩化ナトリウムは全てを解決する。実質発酵してないだけの醤油だから平気へーき」
科学的根拠があるからそこまで酷い事にはならないと思うけど、初めての料理で冒険をするのは怖い。爆発しそう。菜々さんは熱湯の中で卵爆発させた事あるし。
「ラーメンって麺の味は見ない……?」
「見る人はいると思うけど、ボクの中の麺って蕎麦を除くと汁に食感つけるためにあるってイメージだし。あと中華麺って冷やし中華くらいでしかポテンシャル生きてなくない?」
「独特ではある……」
「でしょ?」
こう……小麦粉になにか特殊な風味が付いてる感じ。茜くんが言うかん水と反応した結果だと思う。
私は気にしたことないけど茜くんはラーメンが苦手らしい。そういえばネット記事でもラーメンが苦手な人の9割は麺が原因って言ってた記憶がある。ヤラセかどうか分かんないけど、『ラーメンは麺の不味さをスープと具材の味で誤魔化してるだけ。カップラーメンの方が売れてるのは麺の味がマシだから』とか過激発言があってコメント欄が荒れてた。
「1分経った……」
「りー。あとは汁にぶっ込んで伊勢出汁と一緒に5分」
「そんな短いの……?」
「麺から出る水分がアホみたいに少ない」
「薄まらないから……普通のレシピで作ると死ぬ……?」
「まあ、塩分を極力控えた結果行き着いた製法だからね。あと互換性も考慮したらこうなった。最悪パスタかうどんの乾麺で代替出来る」
材料が小麦粉と卵だからそれさえ入ってればある程度の換えは効く。これがプレイバリュー厨の誇りとこだわり。店で稼ぐこと考えてないから味とか素材の研究をしなくて良い。というか互換性と手軽さでそこら辺をカバーしてる。どちらかと言うと冷凍食品向けの思考。
「塩分薄くても皆喜ぶ……?」
「璃奈りーの体に良いかどうかがコンセプトだから他とか知らん。試食はさせるけど皆そこまでミネラル取らんし」
「私……?茜くんがご飯作ってくれる……」
「それ以前に溜め込んだ中性脂肪と手荒れが抜け切れてないからダメ。正直肌荒れとぼったれが起こってないのが奇跡と言って良い程には酷い。生活カツカツの大学生なん?30歳超えたら一気に太るぞ。あと臭くなる」
「…………そっか……」
チビデブ臭いはいくら可愛くても捨てるって茜くんは言ってる。それがたとえ私でも。
別に茜くんが私に料理を教える義理はないし、切る必要が出たらちゃんと切る。だからそこまで本気で世話を焼く必要も無い。斬り捨て対象に私も入ってる。
うん。茜くんはちゃんと捨ててくれる。捨てる事が出来る。皆と同じ雑扱い。皆の時と同じ態度で見てくれる事もある。そっか。
「とりあえずまともな濃度のご飯で血行は良くなり始めてるし、そろそろ風呂上がりのストレッチくらいはやっても良いかもね。前は血流悪すぎて第3関節まで指が冷えてたからな。なんで壊死してないのかが不思議。身体構造どうなってんの?」
「分かんない……」
「ほんと愛さん達に出会っといて良かったね。やばくなったらちゃんと電話するんだよ?とりあえず半分出せば皆納得して飯作ってくれるから」
「茜くんも作って……」
「気が向いたらね」
契約終わってもたまに会うくらいなら良いって。その時が友達申請するチャンスかな?愛さんとの友達ごっこも終わってるだろうし。遠い未来だけど、とりあえず『友達から初めてください』ってコマンドが使えるようになっただけ進展だと思う。
「ふぅ……とりあえずそれっぽいのは完成っと。あとは実食データだね。かすみさん達ってラーメン食べるのかな?あんま女の子が好んで食ってるイメージないんだけど」
「とりあえず太らないかが分かれば食べてくれると思う……」
「普通のラーメンに比べればマシだけど……310か。この見た目でカロリー310超えはキツいよな……。ケーキ選んだ方が煌びやかだしインスラ映えするから普通に負ける。何が悲しくてこんな可愛くないもん食わなきゃいけないんだ案件」
「タピオカは460キロカロリー……」
「まっ?ファミマの増量弁当かよ。タピオカ引き合いに出せば誰にでも食わせられるじゃん……しずくちゃんに食わせてお尻育てよ。ちょっと電話してくる」
めちゃくちゃ最低な動機を掲げながら茜くんは台所を出ていった。一体どうやって丸め込むつもりなんだろう。電話に出てくれるかさえ怪しいしそもそもしずくさんが番号を教えてるとも思えない。かすみさん経由とか。
「んっ……?LINE……しずくさんから……」
さっきからの今だし茜くんがいきなり連絡入れて来たのを怪しんでる?というか番号交換してたんだ。
『茜丸さん殺したいので家行って良いですか』
…………ストレートに言ったんだね、茜くん。
────────
頑張って交渉したら茜くんの処刑を2週間伸ばす事が出来た。その時までにしずくさんの怒りが治まってれば良いけど。
あと二度とこんな事が無いように茜くんを躾ておく。嫌われても良いし女の子に無関心だからってデリカシー無さすぎ。
「茜くん……女の子におしり大きいとか言っちゃダメ……」
「いやでもケツとモモと乳はデカければデカいほど男ウケ良いですし……男への媚び売りが9割のアイドルとしては必須科目でありまして」
「ダメ……」
「…………けどボクにも『#夕雲ひまり大臀筋ぶっとい部』がありますしやっぱり足と尻はあった方が」
「ダメ」
「うい」
さらっと知らないタグが出てきたから検索かけたけど普通にももコキのエロ絵が出てきた。夕雲ひまりには百合ごっこする相手がいないから他のアイドルよりR18作品が多い。
男の子の性欲を一心に受けてるの漢気を感じるけど正体がバレたら家凸が後を立たなそう。でも実家言ったら弁護士がいる。字面からしてもう強い。
茜くんと夕雲ひまりならスキャンダルは気にしなくても良いのかな?付き合ったあとも堂々と街中歩いて大丈夫?私は多分愛玩動物としてしか見られないと思うし。ゲーセンデートとか、アキバデート、それ以外も色々……デートしてみたいな……今はそれどころじゃないけど。
「しずくさんにちゃんとごめんなさいして……」
「お詫びの品はボクの首……?」
「……頑張って指1本にしてもらう……」
「小指切るとチャカが握れなくなるらしいよ」
「わかった……」
どこ情報かは知らないし役に立つかはわからないけど、この交渉材料で何とか話をつけてみる。今の状況で菓子折りなんて持っていったら首が飛んじゃうから平手打ちで手を打って貰えればおの字。最悪指。
「……今度一緒に出かけてくれれば良いって……」
「えっ、2人で?」
「2人で……」
「えらいこっちゃ……晩餐じゃ……」
「自業自得……」
なんで2人きりなのかは分からないけど、多分いつもみたいに茜くんへの愚痴を言うためって言うのはわかる。『仮にもかすみさんを誑かしたならもっとマシな態度をですね』とか色々お説教しながら茜くんを尻に敷いて、喧嘩夫婦みたいな惚気をするのがいつもの流れ。
しずくさんは茜くんが大嫌いだから説教するために茜くんのライブも曲もLouTubeも全部見てる厄介ファン。表情作りは可愛いし上手なのは認めるけど作り方が気に食わないって言いながら、しずくさん独学の『人間らしい表情の作り方』を説いてる。昔のオタクに多かったアンチの皮を被ったファン。
「んじゃ、刑罰も決まったし飯食って風呂入って寝るか」
「私からの判決、まだ言ってない……」
「ご、ごめんなのだ……ぶたないで……」
「お風呂……」
「もう洗ったのだ」
「一緒に入る……」
「嫌なのだ」
「ダメ……」
ジリジリ離れて行く茜くん。私の家だし鍵もチェーンも閉まってるから窓から飛び降りない限り逃げ道は無い。それにそっちに逃げたって壁しかないし。
「…………水着は?」
「バスタオルまでなら許す……」
「スク水で良いので水着をください……」
「ダメ……」
「あの……目のやり場に困ると思うので……あとボク勃起経験のある健康男児でして……権力には屈するけど圧力には負けたくないと言うか……」
「返事……」
「えっ……そのー……へ、へけ……?」
「返事」
「……うい」
意外と素直に受け入れてくれた。押しには強いけどゴリ押しには弱い?案外手を引っ張って歩けば静かに着いてきてくれるのかも。これは今後役立ちそうな情報。
裸の付き合い程度で茜くんが私を意識するなんて思ってないけど、記憶の奥底には強く刻まれるはず。
今はまだ罪悪感で残っちゃうと思うけど10年後には笑い話に出来るように私も頑張る。
茜くんは私と別れてやりたい事のために1人で生きる予定なのは分かってる。だけど私も茜くんとしたい事がいっぱいある。両者自分勝手ならどっちかが諦めるまで戦うしかない。
性別も歳も見た目も全部捨てた脳相撲。私も茜くんに合わせて力つけるしかない。勝たないと私が死ぬ。1ヶ月同居しただけで離れるのが嫌になるのに何年も離れたらもう惰性人生と同じ。
もしもの時は何十年も一緒にいてくれるけど茜くんは4年くらいあれば完遂できちゃう。だからその後の文句も考えないといけない。異次元メンタルを捕まえられる殺し文句。そのためには茜くんの全部を知らないとダメ。心も、体も。
だから股間周り以外は隠さないで。大丈夫、ちゃんと理性抑えられるように訓練してるから大丈夫。上半身全部洗いたいだけだから。あとDV彼女チェック。大丈夫。抵抗しないで。検査するだけだから。大丈夫。任せて。