虹ヶ咲ヒーローorナイト&キング   作:コントラポストは全てを解決する

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第三幕 嵐を呼ぶ、スペシャルスクドル カーニバル
51.生徒会乗っ取りターイム!※スマホを準備してね


 

 ふぅ……やっとここまで来たね。りなりーが弟くんを捕まえるために本気を出せるようになった。

 きっかけは分からないけど、弟くんが何かしたって言うのはわかる。でも、肝心の弟くんは何が起こってるのか理解出来てないみたい。

 多分自分のためにやったつもりだし、りなりーにもそう言ったけど周り回ってりなりーに突き刺さった。ほら、弟くんは自分の欲しい結果のために周りを使うから、その見返りに皆を手伝って利益運ぶじゃん。

 

 誰も損してないから皆幸せ。だからこそ弟くんは全員と仲良し。やりたい事のためならどんな苦労も厭わないでどこまでも突き進んでく。突き進む勢いと距離が無茶すぎて皆が心配しちゃうけど。アタシも弟君には休んで欲しいなーってよく思うよ。

 でも、これからはもう璃奈りーが面と向かって止めてくれるから杞憂になるはず。

 

 あとは今後のために、弟くんの好みをかすかすとせっつー辺りから聞いておこうと思ったんだけど……せっつーが死んでる。ソファーの上で。

 

「……えっと、どうしたの?なにかあった……?」

「生徒会が……乗っ取られます……」

「…………生徒会選挙のこと?乗っ取られると言うかただの任期っていうか」

「生徒会長じゃなくなったら茜君に会う口実がなくなっちゃいます……!!!」

「職権乱用……」

 

 どちらかというと生徒会長って言う肩書き自体が大事っぽいけど。4月の同好会復活を阻止しようとしてたせっつーの面影がどこにもない。

 でも弟くんが言うには、最初の頃からせっつーはこうだったらしいんだよね。多分弟くんが知らずの知らずの内に生徒会長の仮面を剥がしたんだと思う。

 それで、対する弟くんは『こういう輩はまた出てくるから対処訓練』って理由で一緒にいたらしい。でもやっぱせっつーの事ちゃんと見てるし、そういう事務的なものを超えた仲の良さを出してるんだよね。

 

「こう……せっつーが会長やってたのって親の教育……というかやらなきゃダメだからやってたってイメージなんだけど」

「そうですよ……。父にリーダーシップをつけるために生徒会長になれって言われたので。誇りも責任もありましたけど、生徒会長である意味はあるのかをよく考えてました。最初の最初はそこまで拘ってなかったんです」

「何事も始めは緊張するしね。それで、弟くんに出会ったあとは?」

「出会いは私の自発でした。茜君とお近づきになりたくて、スポーツテストの結果がどうたらって嘘ついたのが始まりです」

「職権乱用……」

「私の見間違いって事にして各所に謝ったので問題はないですよ」

「そっか……」

 

 せっつーの評価が落ちてそうだけど特に問題ではないんだ……。この時点で大分のめり込んでるけど、弟くんってそんなすぐにハマれる人なの?アタシは今でも普通の友達ってしか思えないのに。もしやアタシって結構薄情だったりする?

 それともせっつーが濃すぎるだけか。話を聞いてると熱意がすごいから。

 

「それで、その後に色々あってせっつーの生徒会長道を開いてくれた、と」

「開いたとかそういうのじゃないですよ。バールでこじ開ける暴挙に出ました」

「乱暴だね……。暴力はしないってわかるけど」

「えぇ、凄かったですよあの時は。テストの嘘は初見で見破られてましたし、権力乱用とかどうなのって責められました」

「弟くんらしいね」

 

 ピンチだった過去を語ってるはずなのにせっつーの顔は活き活きしてる。多分あの頃の弟くんは会長とか知らんって感じだろうし、かなりエグい責め立て貰ってそうだよね。

 

「正しい権力との向き合い方でも教えて貰った?」

「いえ、『生徒会長の権力は使えそうだからボクのために不正利用してくれ』って言われました」

「えぇ……。せっつーも弟くんも怒られるじゃん……」

「私も本気で学費横領しようとか思ったわけじゃないですよ?でも、なんだかスッキリしちゃって。ほら、茜君ってすごい権力者みたいな風格あるじゃないですか?」

「王様みたいってユウユも言ってたね」

「だから私より権力ある茜君がこんなに緩いなら、それ以下の私がそんな強ばる必要無いんじゃないかって。リーダーシップとか親の教育とか自分の経験とか全部。そもそも主導者って皆を納得させなきゃ行けないから表現力のある言動がいるんです。それで良き表現には自由な発想力が必要でして。自由とは真逆にいた過去の私だったら絶対失敗してました」

「せっつーだけのリーダーシップ、見つかったんだ。良かったじゃん」

「はい、見つかったんですけど……見つかったのが今年の4月で全然磨けてないですし、生徒会長任期満了で……。会長特権の強制生徒会室招集令も使えなくなっちゃいましたし……これからどうやって茜くんに会えば……」

 

 うーん……弟くんがせっつーの権力しか見てないみたいな言い方だね。アタシの前だと「せつ菜先輩は勢いと熱意しか無かったけど、ちゃんと気持ち込めてぶつかって来たから今があるんです」って話してくれたんだけどな。どうしてこんなに差が出たのか……。

 

 そういえば弟くんって本人の前だと悪態しかつかない人なんだっけ。伝わらずに嫌われても『恨みパワーで頑張れるから大丈夫』ってなるから問題ない。そんなつもりじゃなかったってならないし、そもそもそうなる可能性も折り込み済みだから特段焦らない。両者欠点も損もなし。弟くんが恨みで刺されるかもって言う点に目をつむればの話だけど。

 

 焚き付けて放置して周りが勝手に動いてる間に自分は必要な物を準備する。それが弟くんのやり方。

 でも今は放置しすぎてせっつーがめちゃくちゃ落ち込んじゃってるからバラすけど。この状態を維持したら多分すごいカラ回るしそのツケが弟くんに行くはず。

 

「せっつーの中の弟くんって権力にしか興味ない人?」

「他は違いますけど……茜君から見た私の魅力が権力って感じですし……。前も権力と財力と知力には逆らわない主義だって言ってたので、心の底では嫌々一緒にいたのかなって……」

「じゃあ、弟くんが生徒会長じゃ無くなったせっつーと話さなくなるイメージって出来る?」

「…………五分五分?」

「100%疎遠になるわけじゃないって思えてるなら、せっつーも弟くんが権力以外の何かで見てくれてるって自覚してるんじゃない?」

「でも、それはただの期待ですし……」

 

 うーん、せっつーの自己評価はちゃんと当たってるし信じても良いって思うんだけどな。

 やっぱり弟くんのやり方は1歩ズレると人をダメにしちゃうね。そこら辺は周囲がケアしろって事なのかな?友達ならそれくらい出来るだろーって。

 

「私には勢いと熱意しかありませんし……どうせ璃奈さんみたいな知性と相性の良さがないとダメなんですよ……うっ……」

「でも、アタシが弟くんを理解しようと思って色んな動画で勉強しても、弟くんとは打ち解けられなかったよ」

「えっ、なんでですか?そこまでしたなら茜君は懐きますよ……?」

「やり方が雑でやってる風味しか出てないって言われちゃった。それでさ、長く一緒にいたせっつーですらこんな振り回されてるのに、理解度低いアタシ如きが短い期間でボクを扱えるわけないだろーって。勢いと熱意しかないけど、本気の気持ちがあるからせっつーは夕雲茜を使えてるんだぞって言ってた。言外にだけど」

「……ほんとですか?」

 

 今の今まで気だるげに寝てたのに、話を聞いた瞬間起き上がりこぼしみたいに起き上がった。直角運動過ぎる。

 せっつーの中の弟くん、思った以上にデカい存在になってるっぽいね。そこまで必死に追いかけて手に入るのが友達関係……頑張りに見合ってないって感じちゃう。

 

「弟くんはせっつーのこと大事にしてるよ。生徒会長じゃなくなっても大丈夫」

「友達……なれますか?」

「今のままでも十分仲良さそうだけど、それじゃダメ?」

「だって……茜君が言うビジネス関係のままだったらいつか関係が終わっちゃいますし……」

「弟くんはりなりー以外ともしばらく一緒にいるって言ってたけど」

「予定の話なので何かあってからじゃ遅いんです。だからもっと深い関係性が欲しい」

 

 二度と会えないみたいな出来事がそんな高確率で起こる事ある?引越しとか?りなりーもそうだけどやたらとそこら辺警戒してるよね。かすかすもそうだった。

 やっぱり、弟くんと繋がりが深い人達には何かが見えてるの?

 

「何か大事な秘密でも隠してるとか?重い持病があったり」

「そこら辺全く教えてくれないので……私も探ってはいるんですけどこれと言った物が全く出て来なくてですね……。璃奈さんからは何か聞いてませんか?」

「せっつーと同じだよ。相手の事は見透かすのに自分の事はほとんど語らない。表面なら大丈夫だけど一歩深く入ったら逃げられるってさ」

「やっぱり……」

 

 案外友情を知るための友達ごっこをして来なかっただけで、友達を装うのには慣れてるのかも。『一見すごい仲が良さそうなのに、実際は顔見知り程度の仲の良さしかない』。それが弟くんとの友達関係。すごい気があって通じあってるって思えてる内は全然仲良くなってない。

 だから前の知り合いは誰一人弟くんと友情を築けなかった。勢いと押しが強いアタシが全力でグイグイ行ってやっと一歩進んだほどだし、多分普通のノリじゃ顔見知りになるのが限界なんだろうね。

 

 でも、弟くん側に原因があるにせよ、やっぱり突破口がりなりー頼みになってる現状はどうにかしたいなー……。アタシ、弟くん周りだとなんの役にも立ってないし。

 ひまりーに会って話が聞けたら一気に進むんだけど、弟くんを通さないと話せないし今は事情が事情だから相談した瞬間弾かれる。割と詰みに近い。

 

「せっつーはひまりーと連絡取ってないの?」

「その……最初の勢いでやらかしまして……そこまで出来る力が私には出せず……」

「弟くん除くとせっつーしかまともに話せてないし、テンション上がっちゃうのもしょうがないよ。とりあえず連絡すれば会える距離にいるってだけで万歳物だしね」

「申し訳ないです……」

「気負い過ぎ気負い過ぎ。誰から見てもせっつーは悪くないよ」

 

 そんな殴り飛ばしたとかじゃないんだから責任感背負わなくても。必死過ぎてもっと大きな秘密を抱えてるんじゃって勘ぐっちゃう。もしかして本当に別の秘密があったり?実はせっつーと弟くんが姉弟でした……とか。昼ドラ始まりそう。

 

「あっ、そういえばせっつーって前に弟くんの部屋言ったんだよね?ひまりーの部屋なかった?」

「特にはそういうのは……その代わりと言うとあれなのですけど、空き部屋が2つあってですね。片っぽが本当に何も無い部屋で、もう片方が……その……」

「なにかやばい感じのやつ?」

「お寺にあるような札が扉に貼ってありまして……」

「やばい感じのやつだ……」

 

 えっ、弟くんの家いわく付きなの?そりゃそんな家住んでたら死相出ちゃうって。お父さんは元気らしいから大丈夫そうだけど、弟くんは引き寄せられちゃうパターンでしょ。ど、どうしよ……アタシの家呼ぶ?

 あっ、違う。今はりなりーの家に住んでるんだった。危な……。

 

「すごいね……弟くんの家……」

「あともう1つあって……」

「まだあるの?」

「茜君の部屋についてなのですが……その……すごい女の子っぽい部屋で。化粧代とかエステ器具とか、あとはひまりさんの衣装が入ったクローゼット」

「部屋供用なんだね」

「…………でも、シングルベッドしかなくて」

「えっ、やば……」

 

 もしかしてひまりーってアタシが思ってる以上に弟くん大好きっ子だったりする?仲が良いってレベルじゃないでしょ……。

 あれかな。声優とか大人のアイドルが言う弟ってやつ。弟くんの『姉さん』も恋人の暗喩だったり……りなりーとの関係だって本人的にはビジネスらしいし、一応筋は通せる……。

 

 あれ、これ結構まずくない?

 

「ひ、ひまりーと弟くんって、義理の姉弟だったり……?」

「あっ、いえ、そういう関係では断じてないです。血の繋がりもちゃんとあるって言ってましたし子供の頃のアルバムも見せて貰いました」

「そ、そっか……良かったー……」

「まあその……それはそれとして関係性が以上なのですが……」

 

 それはそう。この歳で両者抵抗なく添い寝は精神に何か問題あるよ。保健の教科書に習うなら自律出来てないって事だし。この先苦労するから厳しく行った方が良い。

 

「ひまりーと弟くんのアイドル活動を明日くらいから一旦止めてさ、別々に生活させる事って出来ないかな?お互いがお互いを甘やかしてる状態だし」

「忙しさ故に行き着いた所もあるので……どうか部屋を分けるくらいで手を打って貰えれば……」

「せっつーが謝る必要ないと思うけど……」

 

 さっきから時々煮え切らなくなるね。やっぱり強く出たら嫌われちゃうとか不安だったり?無理強いは良くないからこれはアタシから言っておこ。

 

「引きが剥がさないにしても、やっぱり姉第一なところはどうにかしたいよね」

「では、もっと私達が遊びに誘ったり?」

「うーん……弟くんが動きそうな理由だと、部活の助っ人が一番かな?今度バスケ部が練習試合やるからそこに混ぜて貰うとか。アタシも手伝い頼まれてるから多分通るはず」

「念の為書類取っておきますね」

「うん、ありがと」

 

 一緒に勉強会だと弟くんが無双しちゃうから、皆で汗水垂らして全力で部活動!って感じがきっと一番だと思う。

 外に比べて学校内だとすごい顔が狭い弟くんだし、前に言ってた普通の友情を知る機会にもなるはず。

 あとは弟くんの承諾なんだけど……なんにも誘い文句が思いつかないね……。オーケーを貰う前にアタシが卒業しそう。もうここら辺は神頼みで行くしかないか。

 





応援イラストありがとうございます…!感謝のペコペコベアリングです…!!!

 倉崎 @[email protected]


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