虹ヶ咲ヒーローorナイト&キング   作:コントラポストは全てを解決する

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62.遠出するならおしゃれしたいよな。ポム玉、動きます

 うーん……あかねくんって皆が言うほど性格悪いかな?口はたまに悪くなるけど、あんまり性格の悪さは感じないなーって。りなちゃんのためにすごい頑張ってるってイメージが強くて、そのやり方が大胆で意見が別れる……みたいな事が起きてるのかも。

 

 正直私の中だとゆうちゃんの弟分って印象の方が強くて、どうしても悪い部分が見えてこない。二人共すごい仲いいし、たまに距離が近くなりすぎてやきもきしちゃう事もある。ゆうちゃんは弟大好きのお姉ちゃんで、あかねくんは素直になれない弟。そんな感じ。

 

 確かにあんまり良くないなって思うことはするよ?それは私でも分かる。でも、それ以上にその良くないし危ない事は皆のためにしてるから、咎めたくないって気持ちが強くてね?

 一応あかねくんも何か得?してるっていうけど、お菓子のおまけを貰ったくらいの反応しかしない。そこまで大事そうにはしてなかった。

 

 だから正直に言うと、悪いとか危ないとかよりも、あかねくんは私達といて不満とかないのかなって……そんな不安でいっぱいになっちゃう。

 

「歩夢先輩、かすみさんとガチデートするのでポム玉の作り方教えてください」

 

 あかねくんはあんまり人と関わるのが好きじゃない。それなのにりなちゃんのためにあんなに頑張ってたし、今もこうしてかすみちゃんとのデートに真剣な顔で向き合ってる。真っ直ぐな目で、悪い子の雰囲気なんて欠片もないくらいの一生懸命さ。もしもこれが悪い子になるなら、この世の人はみんな刑務所にいなきゃだめだと思うよ。だからあかねくんは悪い子なんかじゃない。

 

 でも、やっぱり皆とはもっと話し合うべきって思うかな。私もあかねくんが何を言っているのか分からない時があるし。ぽ、ぽむ……?

 

「えっと……なにかの食べ物……?」

「歩夢先輩のサイドに付いてるお団子型自立稼働偵察デバイスの事です」

「これ、ただの髪の毛なんだけど……」

「そんな複雑な結び方してるのにですか?エマ姉でも再現できないのを見るに何か仕込んであるのかと。手先器用なんですね。道理でご飯が美味しいわけだ」

「あ、ありがとう……?」

 

 よくわからないけど、褒めてくれた……らしい。やっぱり伝え方が遠回しだから理解するまでに時間がかかっちゃうね。もっとまっすぐ伝えれば、皆にもあかねくんの気持ちが届くと思うのに。

 

「えっと……教えるのは大丈夫なんだけど、ひまりちゃんじゃなくて良いの?あかねくんに似合う髪型なら私より知ってるだろうし……」

「かすみさんとガチの可愛さ対決をするので、そのためにポム玉が必要なんです。今回ばかりは歩夢先輩にしか頼めず」

「ど、どんな格好で行くの?役に立てるか分からなくなっちゃった……」

「Wぽむ玉チャイナドレス」

「だ、だぶ……?」

「ぽむ団子2個とチャイナドレス着るだけですよ」

「向こうの男の人が捕まっちゃうからやめた方が良いと思うな……」

「んなもん耐える根性の無い雄猿側が悪いだけじゃないですか。今はかすみさんを悩殺する事しか考えてないので男とかどーでも良いです」

「あ、足回りとか、危なくない……?」

「スパッツ履くので大丈夫です」

「余計駄目だと思う……」

 

 こう……ゆうちゃんと菜々ちゃんが言ってた「着込んだ方が逆にエッチ」っていうのに当てはまっちゃう気がする。

 でも、ここで私が断ったら誰の手も借りてないあかねくんがデートに行っちゃうんだよね。もしもそれで危ない人に攫われたりしたら…………が、がんばろ。

 

「と、とりあえず、一回見せてくれないかな?そのチャイナ服」

「承知しました」

「写真はラインで送って…………あかねくん?なんで脱いでるの……?」

「歩夢先輩が見たいって言うから」

「着てきたの……?下に……???」

「えっ。はい」

「?????」

 

 ど、どうしてかすみちゃんに見せる衣装を今着てるの……?もしかしてゆうちゃんにも見せる約束をしてるとか……?今のあかねくんをゆうちゃんに会わせたら…………つ、捕まる。

 

「……歩夢先輩、なんで顔隠してるんですか?」

「な、なんかえっちなもの見てる気がして……」

「男にそこまでの性的価値はないですよ?」

「そうかもだけど……な、なんていうかその……」

「確かにボクは男女関係なく手球に取れる生き物なので、人間の雌雄なんていう下らない括りは通用しませんけど」

「ならもうちょっと隠してくれないかな……」

「歩夢先輩が隠してるので………見えてます?」

「ち、違くて……」

 

 うぅ……あかねくんにえっちな目線向けちゃった……。私、こんなにムッツリじゃなかったんだけどな……。それに変にドキドキしちゃって上手く話せないし……なんとか気をそらさないと……あかねくんはりなちゃんの恋人さんなんだから……。

 

「と、とりあえずお団子作ろっか。鏡そこにあるから」

「はーい」

 

 なるべくあかねくんの体は見ないようにしてお団子作ったけど、全部終わった後のあかねくんの姿、完成され過ぎてて目が離せない。やっぱりこの衣装、やめさせた方が良いんじゃ……?

 

「チェック用の写真を撮ったのでラインで送りますね。時間経ったあとに見ると粗がわかったりするので」

「う、うん。ちゃんと見ておく……あかねくん?これただの自撮りじゃない……?」

「すみません間違えました。まあ、歩夢先輩とボクしか見ないので放置で良いでしょう。侑先輩にライン見られるとかなら消しておきますけど……どうします?」

「………こ、このままで良いかも」

 

 消しちゃうのはなんかもったいない気がする。あかねくんってひまりちゃんと瓜二つで可愛いから……あとはこう……衣装作りの資料とかに使えるかも。

 

「とりあえず今のところ見た目に問題はなさそうですね。あとはスリッドとスパッツとパンツの配色バランスなのですが……歩夢先輩ちょっと見てくれませんか?」

「わ、わかっt…………うん?」

 

 スリッドとスパッツとパンツ……めくるってこと?そんな変態さんみたいな事したら私がおかしくなる……。今でさえこんなにドキドキしてるのに……。

 

「ちょ、ちょっとそこをめくるのは怖いかな……。危ないっていうか……」

「ああ、構図の問題ですか?なら死体解剖風にしてエロスをなくしましょう。どうぞ」

「どうしても確認しなきゃダメ……?」

「かすみさんとの可愛さ対決は妥協したくない。プライドがあるんですよ。世界で一番可愛い自分を賭けた誇りとプライドが」

「じゃ、じゃあ、せめてベッドの上でしてくれると……良い、かも……」

「ベッドの上って逆にエロくないですか?」

「そうなの……?」

 

 昔はゆうちゃんとじゃれ合ってたから、ベッドは子供の場所でえっちとはほど遠いって思ってたんだけど……あかねくん相手だと駄目になっちゃうみたい……。

 

「ほろ、セックスって大抵ベッドでしますし」

「あ、あれって同じベッド使ってるの?汚れとかは……?」

「死ぬ気で洗うしかないですね」

「干すのも……?」

「否が応でも天日干しですよ。拭くだけだと液はどうにかなりますが臭いがエグいです。死にます」

「そうなんだ……」

 

 なんか……恋人さんは大人になってからで良いかなって思えてきた。あかねくんが言うんだし多分本当の事…………なんであかねくんはこの事を知ってるんだろう。

 

「えっと……あかねくんって恋人さんいたり?」

「いえ、姉さんの友達が放置勢だったので泊まりに行く度に死にかけてまして。顔は覚えてませんが臭いとダラシなさは覚えてます」

「も、もしかしてその子のこと嫌い……?」

「心の底から、思い出すたびに脳みそが悲鳴上げるくらいには大嫌いです」

 

 あかねくんにここまで言わせるお友だちさん、一体なにしたんだろう……。そういえば侑ちゃんの家に来た時もこの顔をしてたっけ。あれはあかねくんがお友だちさんの事を思い出してる顔だったんだね。

 

「そ、そっか。さすがにもう付き合いはない……よね?」

「連絡全無視してるだけなので切れたとは言いにくいですが……実質切れてるようなもので大丈夫です。会うとしたら助けたお礼に今後2度と近づかないでと頼むため、とか」

「なら大丈夫……かな?もしもの時はちゃんと相談するんだよ?あんまり大した事は出来ないかもだけど……」

「ありがとうございます。でも、これはボクだけで片付けたいので気持ちだけ受け取っておきます」

「でも……」

「ああ、いえ。この一件だけはボク自身がこの手で全部壊さなきゃ意味ないんです。そうしないとスッキリ出来ないので。ボクはあの人を殺して務所に行ってでもあいつと縁を切りたい」

「そ、そんなに……」

「はい。なので、もしもの時はりなりーとかすみさんと菜々先輩をお願いします。特に菜々先輩はボロッボロに崩れ落ちると思うので」

「そういう理由なら私は引き受けないよ」

「どうしてもダメですか?」

「ダメ」

 

 そんな誰も望まない……それどころかひまりちゃんが絶対してほしくない事をやったって誰も喜ばない。それにあかねくんのワガママはもっと楽しい事に使うべきだと思うから……だから、絶対に引き受けない。

 

「そのお友だちさんのことブロック出来ないかな?」

「諸事情により無理です」

「通知は切れる?」

「時と場合により一時的になら」

「そっか……スマホで出来るのはここら辺しかないし……あかねくんは疲れとかストレス、溜まってない?私、軽いマッサージなら出来るよ?あとはお弁当とか……」

 

 他にできる事は……お泊り……?買い物のお手伝いとかもしてあげられるかな。あとは──

 

「…………ぷふっ……ふふっ……歩夢先輩、そこまでしなくて大丈夫ですよ」

「でも……良いの?」

「良いんです。歩夢先輩のそういうところが見れただけで満足ですから。やっぱりボク、歩夢先輩が好きです」

「あ、ありがとう……」

 

 かすみちゃんや璃奈ちゃん、あとは菜々ちゃんと一緒にいる時みたいな笑い方。冗談なんかじゃなくて、本当に私のことが好きなんだ。

 でも、やっぱりちょっと緊張しちゃうね。私は皆みたいにあかねくんの事を分かってあげられてないから。

 

「あっ、そうだ。一つだけ頼みごと良いですか?」

「う、うん!何でも言って!」

「たまにハグして貰いたいです。彼方姉様とかエマ姉とか、あと愛さん。みんなにハグされてたら居心地の良さを感じちゃって」

「わ、わかった」

 

 あかねくんの人気はやっぱりすごいね……可愛いからぬいぐるみ感覚で抱きしめちゃうのはわかるけど、一応りなちゃんの目だってあるわけだし

 少しだけ不安が残るけど、あかねくんが受け入れてるってことはりなちゃん的にも大丈夫、って事で良いのかな……?なら、ちょっとくらいは仲良くなっても二人の邪魔にならない……はず。うん、頑張ろ。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

「歩夢先輩……良いよね」

 

 私はもう駄目かもしれない……。

 

「な、何が……どう……良いの……?」

「人が理想に掲げる人への寄り添い方を120%パーペキアンサーでお出ししてくる。侑先輩っていう完璧彼氏を仕留め続けるだけの説得力を出せるの、綺麗過ぎて涙が出ちゃうよ。一体どんな遺伝子を混ぜたら歩夢先輩が生まれてくるのかマジで知りたい。籍入れたら配偶者の戸籍一覧とか家系図見れるんだっけ?」

「り、理由最低だから……駄目だと思う……」

「辿ればボクの家系図と分岐点してないかな。あとは家系図繋がってそうな人……やっぱり侑先輩とか?」

「わ、私とか……」

「曾祖父母の父母まではママ殿に見せて貰ったけど、特に影はなかったよ。……いや結局歩夢先輩の家系図見ないことには何もわからんな」

 

 お母さん何してるの……。茜くんを嫁がせる気満々で家のこと刷り込まないで……私もお母さんと似たような事してるけど……だけどもうちょっと娘の恋路と気持ちに寄り添って欲しい……。

 あと茜くんが受け入れてくれるからってユニクロの男物買ってくるのやめて。ゾゾタウンで送って来ないで。娘と息子一人ずつ欲しかったとかじゃなくて、私とのデートで映えそうだからとか恥ずかしいこと言わないで……嬉しかったけど。それに最近はちゃんと話せる時間も多くなって嬉しいけど。

 でも恥ずかしいからやめて。茜くんだって引いて…………割とノリノリだけどやめて。茜くんはもうちょっと抗って。

 

「最近……みんなとすごい仲いいね……茜くん……。前の茜くんなら、政略でも利益目的でも……そこまで言わなかった……」

「友情がわかって来たのかもしれない。これならみゃー子に友達って言っても怒られないかな?」

「別に……誰に言っても怒られない……。あと、ミアちゃんはもう友達だと思ってる……」

「そっか。ボクにもあったんだね、ホンモノの友情。抱ける相手が少ないから多分まだまだなんだろうけど」

「茜くんが欲しい仲の良さなら、それくらいの数が普通……。友達が多い人は、予定が合わない人が多くなっていって、最後は気持ちがズレて離れていく……」

「お友達ネットワークって便利そうだなって思ってたけど、管理ミスると強制解約しちゃうのか。やっぱり加減は大事なんだね」

 

 茜くんの性格と生き方でこの答えにたどり着けてないの、少しだけ違和感。自分で友達を作らなかったにしても他所から見て学んでそうなのに。他の人を見てる暇がなかったとか?

 そう思うとなにかあったんじゃってほっとけなくなる。いや茜くんをほっとこうなんて考えた事ないけど。

 

「茜くんが欲しい友情は、かすみさんとか、侑さん……あとは菜々さんといれば手に入る……」

「同好会メンバー限定なのには何か理由が?」

「…………個人的な問題……」

「なるほど」

 

 私の目が届くからっいうのと信頼してるからっていう至極私的な私情of私情。だってそこら辺の陽キャ男女組に混ぜたら絶対に睡眠薬を飲まされるし。

 

「同好会メンバーならある程度いける感じ?」

「うん……。茜くんの水準に合わせると、もう内面を知ってる皆しかだめだと思うから……」

「それって璃奈りーでも良いの?」

「ぇ……」

「あ、無理なパターン?」

「えっ……ぁ、だ、大丈夫……!」

「勢いすごいね」

「き、気の所為……」

 

 あ、茜くんが私相手に普通の人みたいな興味を持ってくれてる……夢……?風の吹き回しが激しすぎて竜巻になってるんだけど。それにいきなり過ぎてどう返せば良いのかわからない……。

 

「えっと……一応、質問……。どうして急に……?友達はクソって……ずっと言ってたのに……」

「確かにクソ。学校もほとんどクソの部類。でも侑先輩と歩夢先輩、かすみさんとしずくちゃん、愛さん先輩と璃奈ー。ちゃんと理想的な友情を築いてる人達を見た。あとは明日海達。バカばっかじゃない事を見て覚えた。でも見てるだけじゃ駄目だった。それが理由」

「やってみたくなったの……?」

「余とした事が万聞も千見も一体験には遠く及ばない事を忘れておった。視覚に聴覚に触覚に嗅覚、そして熟考と六感。すべてを使う一験は何ものにも代え難い。どれも自分の意思でやり始めてこそだけどね」

 

 そっか。茜くん、欲しかった答えが手に入りそうで嬉しいんだね。もうちょっとで手が届きそうなところまで来た。

 人の根底は自分勝手で、助け合いってほざく人ほど助けて貰うことしか考えてないゴミって見せつけられて……そんな中で、やっとオアシスを見つけた。だから嬉しい。

 

 なら、私もあんまり難しく考えなくて良いのかも。素直な気持ち、言っても大丈夫。言葉は選ぶけど。

 

「まあ、散々友情をケチらして来たボクだし、そんなタダで協力しろとは言わんさ。100万寄越せとかでも受け入れるさね」

「……じゃあ、利害も損益も出来るだけ気にしない……迷惑かけてもどれだけ恩を売っても、友達だからで受け入れられる関係……。それが欲しい……。あとは、茜くんの昔のこと……毎日少しづつ聞かせて欲しい……」

「最後のは璃奈りーが後悔することになるからダメ。それ以外なら良いよ」

「後悔しても良い……。何も知らずに、茜くんと別れる後悔の方が辛いから……。後悔するなら、少しでも納得できる、後悔……したい……」

「そっか。ありがとね」

「別に手放す事、受け入れたわけじゃない……私はこのまま……ずっと、いつまでも…………ぁっ、いや……そっ……そういう重いのじゃなくて……!普通の範疇で……!」

「…………ぷふっ……ふふっ……やっぱり面白いね、璃奈りーは。別に思うだけなら自由だし、わざわざボクを気遣う必要なんてないのに。でも、璃奈りーのそういうところ……ボクは結構────ぶふっ、あははは!」

 

 結構──なに?今なんて言おうとしたの?一番肝心なところぼかさないで。デレたんだよね?なんて言おうとしたの?いや買い物行こうじゃなくて。教えて。10文字以内で良いから教えて。いや電気コンセント3つで150円とかどうでも良いから。私このままじゃ良質な睡眠が取れなくなる。ボード貸すから。いやAlceちゃん書いてないで文字書いて文字。そんな一人満足してないで気持ちを言葉にして。私このままじゃエロゲみたいなイベント起こしちゃうよ。良いの?お風呂に突撃するかもよ?寝てる時に隣で怪しい水音立てるかもよ?良いの?良いんだ……(即落ち2コマ)。

 

 結局茜くんはなにも答えてくれなかった。

 

 

 

 

 






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