皆モブワカ好きすぎじゃない?ほうれ、プレゼントだよ……
時系列は……全部解決してるんじゃない?
「……ふぁぁ」
あくびをしながらわたくしはベッドから起きる。
寒い、身に何も纏ってないからだろうとはすぐに分かる。近くに脱ぎ捨てられたシャツを拾って着る。
喉が渇いていることに気づき、部屋に備え付けられた冷蔵庫から
ペットボトルの水を取り出す。
飲もうとしたところで、シャワー室の扉が開いた。
「あ、ワカモさん。おはようございます」
裸にタオル姿のモブ子さんが出てきた。
「……おはようございます」
「シャワー開きましたけど、使います?」
「……ええ、せっかくなら」
説明し忘れていたが、ここはラブホテルだ。
そして、わたくし達はいわゆるセフレだ。
シャワーを浴びながら、どうしてこうなったんだったかを思い出す。
確か、たまたま二人でスることになって、意外にも体の相性が良く、そのままずるずると……
……そういえば、彼女の気持ちを聞いていない。
わたくしはすぐに体を流し、シャワー室から出る。
出る頃には、もう既にモブ子さんは帰る準備が整っていた。
「……あれ、どうしました?私もう帰るんですけど」
「いや……その、聞いていなかったなと……」
「何をです」
「……気持ち、でしょうか」
「気持ち……ふふっ」
「……どうして笑ってるのでしょうか」
「いや?あの災厄の狐が人の気持ちを聞くとはーとね」
あ、すごいムカつく。
「別に、ワカモさんならいいよ。知らんやつじゃないし」
「そんな簡単に……」
「それに、始まりは偶然だったとはいえ、これがワカモさんのストレス解消になることが分かったんでしょ?じゃやらない手はない」
「……あなたの気持ちが出てきていないではありませんか」
「え?あー……っとね……」
「なんです」
「…………私も気持ちいいし、別に……」
そう言って顔を背けるモブ子さん。
すこしだけ見える横顔は赤い。……そういう感情あったのですね……
「……そうですか。なら良かったです」
「そんなことより、早く着替えたらどうです?風邪引きますよ」
「……分かってますよ」
「ホントかぁ?……ふふっ」
……恋人とも、親友とも呼べる仲ではない。かといって、他人とも呼べるほど遠くもない……
こんな関係にわたくしは、案外心地よさを感じていた。
「これで先生で、恋人だったら最高だったのに……」
「ぶれねえなお前……」
「……じゃ、数分後に出てきてください。さすがに知り合いにバレるのもあれなんで」
「分かっていますよ。わたくしも知られたいわけではありませんし」
「それでは、お先に失礼――」
天井が爆発した。
「なんでだよ」
「敵襲!?」
わたくしはモブ子さんを庇うように愛銃を構えると、そこには
「……」
「地味子……?どうして今ここに……!?」
ターミネーターのように膝立ちの地味子さんがいた。
……?どうして?
と、とりあえず、穏便に済むように……
「……ワカモ」
「呼び捨て?……どうしたのですか、なにかご用事……」
「お前を、殺す」
「デデンッ!」
「乗ってる場合ですか!わたくしの命がかかっているんですが!?」
「それはそう。とりあえず逃げま――」
「っ、危ない!」
咄嗟に手を引いてモブ子さんに届きかけていた何かから守る。
「……ワイヤー?」
「ん……ごめん、外した」
「大丈夫、まだチャンスはあるから」
扉の方には、シロコさんと先生が。
「せ、先生!?あっ、あのですね、これはその……」
「……あはは……」
「なんですかその笑い!?」
ま、まずい、とにかくまずい……どうする?
どうする?ではない、逃げなくては!
「失礼!」
「え?うぉっ!?」
わたくしはモブ子さんを抱え、飛んで開いた天井から逃げる。
きっとそれが間違いだった。
「……やっぱりあの二人は……どうして……どうして……」
「ワカモ……!貴様は存在してはならないものだ……!」
ど う し て
考えている暇はない、とりあえず逃げなければ……!
そのせいで、全ての学校と生徒と、鬼ごっこすることになるとは、このときはまだ知らなかった……