なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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ショートネタ:ワカモ(モブ時空)が平行キヴォトスに行く話②

あの後わたくしは猛ダッシュで逃げた。どう考えても面倒なので……

現在は何処かの裏路地。ここならそう簡単には見つからないでしょう。

それにしても、はぁ……わたくしがこんな目に遭うなんて……そういえば、並行世界にもタイプが違うとか……まったく違う展開になった世界や、過去とまったく同じ世界や……

……となると、もしかすればこの世界の先生も襲われる可能性が?

……早く帰って殴るつもりでしたが、放置するわけにもいきませんね……

となれば、どうにかして衣食住を手に入れなければ「ワカモ」え?

 

「……って呼んでいいか分からないけど、とりあえずそう呼ぶね」

 

声の方には、先生と、唸っているこの世界のわたくしが。

 

「ごめん、ついてきちゃったけど、何か悩んでる様子だったから……言葉だけで申し訳ないけど、ここには私達しかいないよ」

「……」

「信用、出来ないかな?」

「あなた様……!」

 

嘘ではない、それは間違いないとは思いますが……どうしましょうか。

 

「えっと、一つだけ。先に言わせてもらうけど。……あの子、お礼を言いたがってたよ」

「……あの子?」

「うん。君が助けた、あの子」

 

また酔狂な……

ですが……意外と悪くない気分……はっ!?

毒されている……あの大馬鹿に……

ではなく、今どうするか……まあ隠し続けても良いことなど一つもないでしょうし、早々にばらしてしまいましょう。

わたくしは仮面を取る。

 

「……!?」

「顔まで、そっくり……」

「先生は、平行世界というものを信じますでしょうか?」

「……うん、信じてる。託されたこともあるからね」

 

なら、時系列ならあれの後……運がいい。

 

「わたくしは狐坂ワカモ。なぜか、こことは違うキヴォトスから参上いたしました」

 

 

 

 

 

「……話を纏めると、知り合いの家でご飯を食べていたら、いつの間にかここに?」

「その通りです」

 

わたくし達はこの世界のシャーレに向かってから、詳しい話をする。

 

「なんというか、災難だね」

「まあ……はい」

「……うーん、これを言うと二人に失礼だけど……一緒に食べる知り合いがいたんだね?」

「ええ、まあ、成り行きでと言いますか……」

「先生以外と食事とは……」

「恩人の誘いなので」

「「恩人?」」

 

あ。

流石にすべてを話すつもりはないのですが……話す?

しかし子ども達を信じている先生にそれを言うのは酷……

 

「ま、まあ、そんなことよりわたくしが元の世界に戻る方法を考えましょう。同一人物が同じ世界にいるのは少々面倒らしいので」

「うん、そうだね。でもどうしよっか。そういうこと詳しそうな奴は知ってるけど……」

 

ああ、あの異形問題児……

探すにしてもこの格好では問題。ならば。

 

「……この世界のわたくしにお願いがあるのですが」

「なんですか?」

 

「服を何着か、お借りしたいのです」

 

 

 

 

 

着替えて、一人でこの世界のキヴォトスを散策することにした。

先生には申し訳ないですが、一人で行動した方が楽なこともあるので……

何か分かったら連絡をいただけるらしいので、それまではこの世界の生徒を見なければ……

というかこの格好、久々ですわ……最近の私服はジャージだとか動きやすい服装ばかりでしたし、新鮮に感じて和服もいいですわね。

銃は見た目でバレかねないのでシャーレに預け、代わりに小振りなサブマシンガンをお借りしてきた。

まあ、早々戦闘に巻き込まれることは「おらおらぁ!」そうでしたここキヴォトスでした……

 

「前は災厄の狐に邪魔されたが、今回はもうやられないぞ!シャーレの先生も近くにいないことは分かってる、勝ったな!」

「風呂食ってくる!」

「嫌な予感しかしねえ」

 

ラブリーチャーミーな敵役(かたきやく)か何かですか……全く。

見過ごせ……って違う!

今回は無視いたしましょう。わたくし関係ないので。

 

 

「うえええええん!」

 

 

……?

 

「なんだこのガキ」

「巻き込まれちまったのか、可哀そうになぁ」

「……ああもう、うるせえな!ぶん殴って静かにさせろ!」

「いや私妹いるからそういうの無理」

「小さい子に暴力は最低だぞ」

「不良やってる奴が何言ってんだ!しょうがねえあたしがぶん殴ってぐべっ!?

 

気付いた時には既にわたくしは銃弾を放っていた。

わたくしは何を……はあ、しょうがない、ですか……

相手が行動する前に、すぐに距離を詰め殴ったり蹴ったり投げたりする。最近気付いたのですが遠くから撃つよりも近くで殴りに行った方が楽なんです。

ダウンしたのを見てから、目線を合わせるようにして少女に話しかける。

 

「怪我はありませんか?」

「う、うん……おねえちゃんだれ?」

「……ワカバ。ワカバと申します」

「ワカバおねえちゃん?」

「はい」

 

この偽名をこの世界でも使うとは……あって良かった。

 

「あ、あのね……ワカバおねえちゃん」

「なんでしょう?」

 

「かっこ、よかった!」

 

「……」

 

こ、これは……意外と……

 

「てめえよくmぶへぇ!?」

 

再起したらしい不良がこちらに殴りかかってくるのを回し蹴りで吹き飛ばす。

その仲間らしい者どもがわたくし達の方に集まる。

 

「今のわたくしは気分がいいです。なので……少しだけ本気で相手してあげましょう。お嬢さん、あまり気持ちの良いものではないので見ない方が」

「ううん、みたい!かっこいいもん!」

 

小さくともキヴォトスの子ですね……なら仕方ありません。

わたくしは銃を持っている右手を伸ばして銃口を向け、左手を胸の前に持ってくる。

あの大馬鹿なら、こう言わせるでしょうね。

 

「ここからが、ハイライトですわ」




ポジションがフロントになったワカモさん。
スキルとかステータスとかどうなるんでしょうね?
ぶっちゃけ最後言わせたかっただけ。

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