なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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ショートネタ:暴力を受けるモブ子

気付いたら知らんとこで両腕両足縛られた状態で椅子座らされてました。

 

「えぇ……ここどこよ?」

 

周りを見渡してみても廃墟っぽい感じと、一人女子(おなご)がいることしか分からん。

 

「あのー、すいません、ここどこですかね?」

 

とりあえず声を掛ける。どうせそれしかできないし。

でも何秒待っても返してくれません。そうだよね、会話したことない人と会話するのって難しいよね、分かる分かる。

 

一分くらい経つと、静かに近くに来てくれた。

……なんで近づくの?あれなの?声が小さいから近づく的な?あーなるほどn――

 

「ごほっ!?」

 

――右頬を殴られました。

 

「……判断が遅い?」

「……」

 

また私なにかしちゃいました?

いやホントに心当たりがないんだけどな……いや無意識になにかしちまったのやもしれん、考えてみるk――

 

「っぁ!」

 

――今度は左頬を殴られました。

いや普通に痛いんだが?これは鍛えられたいいパンチですね、素晴らしい。

何も素晴らしくないが?いや出来れば理由を言っていただけると助かるのですが。

 

「いや、別にね?殴るの構いやしないんですけど、いや構うけどさ、理由とかそういうの言っていただけるとまだ甘んじて喰らわさせていただくというか――」

 

また右頬を殴られた。

 

「――ぶへぇ!聞けよ!なに!?そんなに私のこと恨んでるの!?ウッソぉマジでごめん!心の底から恨んでないとこんな暴力でないよ!?」

 

てことはあれか、もうただ受け入れるしかないか。しゃーないね。

暴力振るってくるから暴力ちゃんと呼ぼう。暴力ちゃんは私の髪を掴んで引っ張って、椅子ごと倒してきた。普通にいてぇ。

これが真の床ペロってね、ガハハ!

 

「ぐっ!?うっ、おっ……」

 

鳩尾はルールで禁止っすよね?暴力はルール無用だろ。

いやでもいいキックだわ、そういやキックってパンチより基本強いんだっけ。そりゃそれを鳩尾に入れたら痛いわな。

出来れば軽口声に出したいけど、痛めつけたいって人には楽しくないだろうからなぁ。

 

で、次は何かな?ちょっと楽しくなってきた。

足を上げて?それを?思いっきり?

 

「――あ”」

 

顔面を踏んだぁ!ストンピングだ!

くっっっそいってぇ!オメーは石村のエンジニアか!

なんか鼻から垂れてきた……鼻水かな?ハナミズキ(?)

いや視界に赤いのが……血だわこれ。というか口からも出てきたわ。錆びた鉄の味がすりゅ……

でも実際錆びた鉄を舐める機会そうそうないよねって。いやあるにはあるだろうけど舐めないよねー。

 

ちなみに今は頭をぐりぐりされてます。ストンピングした足で。

ぎりぎり言ってるわ、SMかな?

 

「……」

「……ぁ、お"っ!」

 

解放されたかと思ったら顔面蹴ってきた!コンボでも編んでんの?今格ゲー流行ってるもんね。流行ってるか?

蹴るのは別に構いませんが靴赤く汚れるぜ?いいの?いいなら別にいいけど。

 

おっと?胸ぐらを掴んで、立たせて……?

一回!二回!三回!鳩尾に向かって連続膝蹴りだあああ!

腹ではなく鳩尾を的確に当てるのが好ポイントですね。

いや流石に痛すぎて立てねえわこれ、足腰がっくがくよ?胸ぐら持たれてぎり立ってるよ?

そういや、銃弾に当たったくらいじゃ痛いくらいで済むのにそれより痛くないはずの格闘の方がダメージ喰らうんよなぁ、どういうことなんでしょうね?

 

おっと、私の首を掴んで……?

 

ぎゅう~っと。

 

「……ぁ、ぁ、まっ……」

 

息ができっ……しこ、うが……

 

「……」

「――はっ、ああ……はぁ……はぁ……」

 

っぶねえ!?死ぬかと思ったわ……ありがとう暴力ちゃん。

勢いよく投げられなかったらなおよかったんですけどね!

 

倒れて息を整えてる私に暴力ちゃんが近づいてくる。

出来ればもうちょい待ってほしいんですけど、ダメ?ダメですか……

 

次は何――

 

「ごっ!?む、うっ、うう!?」

 

――マジかよ口に指ツッコんできやがった!

え?嚙んじゃうよ?いいの?いや嚙みませんけど、ベタベタするよ?いいの?

 

指は私の中を覚えるようにかき回してから、

 

「あ」

 

喉まで飛んでった。

 

「――うっ、おええええええっ!!」

 

予想できなかったから思いっきり吐いた。

頭に酸素がまわってなかったから、暴力を汚さないようにすることしか出来なかった。

結構吐いた。そんな食べたつもりはなかったけど、胃の中には結構あったみたいだ。

酸っぱい匂いがプンプンするぜ……

 

「……あれ、暴力ちゃん?」

 

気付いたらいなくなってた。どこ行った?私まだ縛られたままだから困るんだけど。

 

と、思ったらすぐ戻ってきた。

手にはコップと桶が。

 

「……」

 

それを綺麗な床に置いてから私を起こすと、コップを私の口に近づけてきた。

匂いとかはしない、透明な液体が入ってた。多分、水。サカナクションかな?

 

「え?飲めってこと?」

「……」

 

首を横に振った。

 

「えっ、じゃあ……うがい?」

「……」

 

首を縦に振った。

 

えっ、ここに来てデレ?何言ってんだこいつ……あ、だから桶?

訳分からんと思いつつもとりあえず従っておく。

 

「ん、クチュクチュ……ぺっ。しましたけど……えーと?何を……」

 

うがいをした後、暴力ちゃんに顔を合わせると、目の前にあり――

 

「んむ!?」

 

――マウストゥマウスしてた。

??????????????

 

 

 

一分ほどくっついていると、満足したのか離れ、私の縄を解いてどっか行った。

 

「……は?へ?え?あ?お?」

 

??????????????

えっ、どういうことだったの???

 

 

 

 

えっ?ええ?




まずは落ち着いて聞いてほしい。

最近モブ子のことをいけない眼で見てしまうんだ。モブ子に痛い目に遭ってほしいという気持ちが日に日に増していってしまうんだ。そして今日解放しちゃったんだ。モブ子ってまずどんな拷問受けても精神崩壊しないし、恨みもしないんだよ。それどころか思いやれる。仕事とか、恨みとか、しょうがないよねー的な。いいよね。そんなモブ子にとりあえず暴力って軽い感じで受けてほしかったんだ。そしてよく分かんない状態で困惑してほしかったんだ。それで周りが曇るんだけど、本人だけはマジで曇んないの。分かる?曇っちゃいけないの。モブ子はね、(身体は)弱くて、(メンタルは)強くて、アホみたいにいかれたメンタルじゃないといけないの。というか最近分かったんだけど私の性癖は狂メンタルの子が酷い目に遭うところなんだ。今回は腕とか足とか切り落としたかったし、眼も切り刻みたかった。

でも聞いてほしい。私グロいの無理なんだ。



ワカモブイチャイチャとも迷いました。

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