「あー……暇ね……」
最近は依頼も少ないし、かと言ってお金に困ってるわけでもないし……
「何か面白い事でもおきないかしら」
「暇なの?」
「ひゃっ!?だっ、誰!?」
驚いて後ろを振り返ってみると、そこにいたのは――
「ひっ、ヒナ!?なんでここに!?」
「別に道端で会うなんて珍しい事でもないでしょ……ところで、暇って言ってなかった?」
「…………言ってないわよ」
「その沈黙は何」
「私の平穏と天秤を掛けてたの」
「なるほど、暇なのね」
「嫌って言ってるのよ!!」
「悪いけど、ヒナと地獄に付き合ってもらう」
「む!せ!る!」
その後も抗議をしたけれど、無情にも首根っこを掴まれて引きずられてしまった……
「で、何?また買い物?」
「別に。私も暇だったから連れて来ただけで」
「このっ……はあ、まあ面倒ごとよりかはいいわよね……」
「私と関わるのは面倒ごとじゃないのね」
「揚げ足を取らないでよ……」
昔から苦手な部類の人間だったけど、それは戦闘面の話で、関わり出したら予想外な感じで、想像より軽くてびっくりというか……
「昔からこんな軽い感じじゃなかったわよ」
「心を読まないで……」
「例の事件からいろいろ考えて、なんかもう、自分を抑制するのは良くないなって気付いて……別に小鳥遊ホシノにならなくてよかったというわけね」
「最後どういう意味よ。……まあ確かに、欲望を出しすぎも良くないかもしれないけど、出さないのもいけないかもね。前、結構隈凄かったし」
「……」
「……な、何よ」
「あなた、意外と人を導くの得意そうね」
「意外とって何よ意外とって!?これでも社長よ!そんなものは得意……得意……」
「そんな悩む?」
事務所の爆発、依頼主の爆発、爆発、先生のあれ……
「……」
「ねえそんな落ち込む顔になる!?だ、大丈夫よ、私も暴走しやすい上層部と部下がいても何とかなってるから!」
「それはそれでどうなの?」
もしかしたらヒナってキヴォトスでもかなりのまとも枠なんじゃ……?
そもそもまともな奴が少ないけど。
「と、ともかく。話は戻るけど、どうするの?」
「うーん……あ、ゲームショップにでも行ってみる?」
「ゲーム?私そこまで詳しくないのだけど……」
「私だってそう。でも見てみるだけでも面白いかもしれないでしょ?さ、どうせ暇なんだから行くわよ」
「あっ、もう、引っ張らなくても行くわよ!」
「……そもそもゲーム機すらないから、ソフトを見てもよく分からない……」
ヒナと共に近くにあったゲームショップに入って、見て回るも、そう零れる。
そもそも事務所が安定しないから……特に場所。
分からないから、近くで同じように物色していたヒナに声を掛けてみる。
「面白そうなのあった?」
「……ACとか?」
「どういうのよ」
「戦う理由は見つかったか、相棒」
「はあ」
「もしくは、背景を手に入れろ、かしら」
「つまりどういうこと?」
「面白いゲーム」
「なるほど、理解できなかった」
「じゃ、私の家で遊んでみる?」
そう言いながら、ゲームのパッケージを手に持つヒナ。
「そういう仲じゃない?私達」
私はなんとなく、顔を背ける。
「……多分、違うんじゃないの」
「じゃあなりましょ、今から」
「そこまでして遊びたいの?私と?……何か企んでるの?」
「単純な答えがあるわ。……陸八魔アル、あなたの事を結構気に入ってるだけ」
「……はあ?」
待てと言っても止まらず、買ってくるわね、なんてレジまでいくヒナの後ろを見つめることしか、私は出来なかった。