なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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はい、お久しぶりですね、皆さん。
ギリ一か月前と言っても許されますでしょうか。許されない?そう……
激動の日々でした……いやー大変だった!(言い訳の屑)

ということでリハビリも兼ねて…え?本編書け?書いてます!書いてますから!許してください!!!

どうでもいいんですが、最近流行りのウサギのトレス……え?もう旬過ぎてる?しらんし。せっかく描いたんで貼っときます。下手?うん……

【挿絵表示】



ショートネタ:ワカモブ出産録

時刻は深夜の一時。

わたくしは

 

「はっ……はっ……!」

 

逸る気持ちを抑えようとしても、どうしても向かう足は速くなる。

乱れる髪も気にせず、目的の病院へ駆け込む。

その速さを少し抑え気味にして、受付へ向かった。

 

「あのっ、モブ、ああいや、狐坂の夫ですが」

「狐坂さん……ああ、モブ子さんの?今すぐご案内します」

「ありがとうございますっ」

 

ここでもその呼び名が通ってるのか……と思いながら、看護師の後ろをついていく。

早歩きで歩く看護師に、走れないのか、とやきもきが握りこぶしで現れる。

 

「今、すぐにでも産まれそうになってまして。そんな時に夫様が居られると落ち着くとおも……いますから、居てあげてください」

「その間は一体??」

「と、とりあえず来てもらえれば……」

 

何となく予想が付きながら、彼女がいる分娩室へ着いた。

急いで中に入ると、そこには、分娩台で横になっているモブ子さんが……

 

「一発芸。エイリアンします」

「止めてください縁起でもない!」

「あっはっは!いやこれクッソ痛くて笑ってないと死ぬんすけど」

「笑いながら言われても!」

 

……看護師の方々を困らせていた。

 

「あ、モブ子さん!夫さんが来ましたよ!」

「やほーワカモさーん」

「ノリが軽すぎる」

「や、ここ暑いんだからしょうがないじゃないですか」

「理由になりますかそれ?……まったく、元気そうで良かった」

 

モブ子さんの横へ行きながら軽口を叩きあい、黙って差し伸ばしてきた手を握る。

 

熱い。

 

それだけではなく、握る力も強い。

余裕そうに笑う顔も、額には汗が多く滴っている。

本当は苦しいはずなのに、それを周りに悟らせないように……

 

「いえ、あなたはそういう人ではありませんわね」

「何の話?」

「モブ子さん、痛いでしょう?」

「うん、死ぬほど痛いよ?でも……苦しくはないなぁ」

「どうして?」

「なんていうか……我が子が産まれようとしていると思うと、この痛みも嬉しくて。どれだけ味わってもいいなって、思うくらいには」

 

出産の痛みは、とても苦しいそう。

今のわたくしには、分かるなんて言葉を易々とは吐けない。

だから、今できることは……

 

「傍に、います」

「……ありがとう」

 

ただ、傍に寄り添うこと。

握っている手を、両手で包み込む。

私の勘違いでなければ、モブ子さんの表情が和らいだ。

 

「……よし、じゃあ主役も揃ったし、エイリアンの物まねを」

「だから縁起が悪いのでやめてください!!!」

「そうです、ちゃんと股から産んでください」

「そうそう……いやそこでもなくない!?バケモノ産まれちゃいますよ!?」

「名前はネクロモーフにしましょう!」

「最悪すぎる!」

 

今まで黙ってた看護師が怒濤のツッコミを入れ、それに笑うモブ子さん。

先ほどよりか、いつも通りに近くなった気がする。

 

 

 

 

 

十数分ほど話しても、生まれる気配すらなく……その間わたくし達はずっと談笑していた。

 

「うーん、どんな子が来るのかなぁ……ワカモさん寄りかな?」

「あなたから産まれるんです。きっとあなた似ですよ」

「まあ、どちらにしても……どちらでもなくとも、私は愛してるよ」

「……ですわね」

 

そう二人で、愛しげにお腹の子を見つめた、その時だった。

 

「――あ゛っ、産まれ゛っ……!!」

 

モブ子さんの握る手が更に強くなり、表情は苦悶に満ちた……ように見えながら、笑っていた。

周りにいた看護師達があわただしく、指示を飛ばしに飛ばしている。

その言葉は、わたくしには聞こえなかった。

 

「わたくしはここにいますから……!」

「うん……っ、ありがとっ……!」

「一緒に、新しい家族を、迎えましょう……!」

「うんっ……!」

 

 

さあ、いつでも生まれておいで……

 

 

そう言って、彼女は……――さんは、悲鳴を漏らしながらも、力んでいく。

わたくしには、彼女のために祈りながら、見つめることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

永遠とも、一瞬とも感じたその時間が、終わりへと到達した。

 

 

おんぎゃあおんぎゃあと、甲高く、しかし不思議と嫌いになれない声が、響いた。

 

「――さん、――さん!産まれましたよ!元気な女の子です!抱いてあげてください!」

「……うん」

 

――さんは、元気に泣くわたくし達の子を優しく抱きしめ、

 

「あぁ、あぁ……!ぐすっ、産まれてくれて、ありがとぉ……!」

 

泣き喜んでいた。

笑顔になりながらも、目から涙が止まることは無かった。

その姿は、まるで、女神のようで……

 

美しかった。

 

「あなたも、抱いてあげて」

 

そう言われ、――さんに言われるまま、わたくしは抱き上げた。

抱えて一番先に感じたのが、()()、だった。

重い。わたくしでも簡単に抱えられるほどに重い。

これが……命だと、私は感じた時、頬に暖かい筋が流れた。

 

「ああ……この子が……」

 

破壊を愛し、し続けた、わたくしの、愛しい彼女との……

……わたくしは、この子と、彼女を守るために……

 

「……この子の、名前は……」

「……ワカバ。私と、あなたの、最初の繋がり」

「ワカバ……――さん、ワカバ……」

「なあに?」

 

 

 

愛しています。

 

 

 

わたくしは、そう言葉を紡ぎ、二人を抱きしめた。

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