なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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選ばれたのは、ヒナちゃんでした。


第八話

はぁ……終わらない……

目の前の書類の山は、一向に減る気配がない。クソ。

今日三本目の栄養ドリンクを一気飲みする。ここまで来たら疲労なんて感じない。

嘘だ今すぐにでも帰りたい寝たい甘えたい。

甘えたい……先生に……

……でも、無理だ。

 

「い、委員長、大丈夫ですか?」

「大丈夫だからアコも手を動かして」

「はっはい!」

「少々お休みに……」

「チナツも働いて……イオリも」

「は、はい!凄いピリピリしてる……

 

誰のせいだと思ってるのこの性犯罪者ども。

でも言わない。今敵を増やすことに意味なんてない。でも滅茶苦茶言いたい。

 

溜息を吐きながら、想い人のことを、考える。

 

 

先生が消えた。

 

その情報は瞬く間に広がった。情報規制する暇も無かったから、仕方なく、逆に公開し、見つけてもらうことにした。

消えた理由は分からない。ネットではいろいろな憶測が流れてくる。攫われたとか、帰ったとか、酷いものには殺された、なんてものもある。

正確な理由を知っている者は少ないだろう。

 

そして、私がその数少ない知っている者の一人。

 

 

ポケットに入れていたスマホが震える。

規則的ではなく、ランダムな震え方。このバイブの設定にしてるのは一人しかいない。

 

「……ちょっと飲み物買ってくる」

「それなら私が」

「アコは私が帰ってくる前にその束を終わらせて」

「え”これ軽く私の顔ぐらいあるんですけどいいんちょ」

 

アコが言い切る前にさっさと部屋を出て、目的の場所に行く。

 

 

 

 

薄暗い場所に痛々しいほど光る自販機の光。

人通りも少なく、()()()監視カメラが壊れてるから、直さないといけないわねー。

そこに置いてあるベンチに、風紀委員の制服を着た、狐面がいた。

 

「お元気ですか?随分とやつれているように見えますが」

「元気に見えるなら病院に行ったら?頭の」

「なら、正常であることが証明されましたね」

「……ねぇ」

「なんですか?」

「虚しくない?」

「そうですね、やめましょう……」

 

二人そろってため息を吐く。

狐面の正体はワカモ、七囚人の一人。現時点での協力者だ。

 

 

出会いは先生がいなくなってすぐだった。

私が一人で探し回っていた時に、目の前に現れた。

 

『……狐坂、ワカモ』

『銃を下ろしてくださいまし。あなたにお話がありますのに、そんなことをされてしまっては、出来ませんわ』

『話すことなんか……『先生の居場所』……!?』

『わたくしは知っております。ですが、その前に……これを』

 

そう言って、三つの盗撮動画を見せられた。

首輪を付けられて、外を歩かされる先生。

足を舐めさせられる先生。

旅館で……されている先生。

 

それは、全て違う人物で、全て知っている者達だった。

違うと叫びたかった。

でも、情報部だった時の経験が言っている。

フェイク映像ではないと。

 

 

そこからいろいろあり、今は先生のために、ワカモと渋々協力している。

 

「……どう?先生は」

「楽しそうですよ。ただ、まだまだ精神の安定は大変そうです」

「へー……何で私じゃないんだろう……」

「寝てるところをキスしたからじゃないですか?起きてましたよ」

「ワカモ」

「なんですか?」

「今あなたは私を殴る権利を得たわ」

「殴る方なんですか?嫌です意味無いので……真面目に考えてみれば、あなたの元だと一週間持てばいい方でしょう」

 

そうよね……力があるっていうのも考えもの……

先生の話はそこそこに、ワカモが調べていた情報を聞く。

 

「で、仲間になりそうな人、いた?」

「トリニティの方ですと、確定的なのは正義実現委員会の委員長でしょうか。先生と会っている時は初心な少女のようでしたし、そんなことも考えられないでしょうし」

「そう……えっ、正実の委員長?」

「はい」

「あの……個性的な叫び声を上げる?」

「かなりオブラートに包みましたね……ええそうです」

 

えっ……今かなりの衝撃が来た……

人って見た目だけで判断しちゃいけないわね……

 

「ほ、他には?」

「ミレニアムはセキュリティが強すぎて探れませんでした。百鬼夜行は微妙でしたね……忍者、ぐらいでしょうか。確かな確認は出来ませんでしたが」

「ふーん……ヴァルキューレは?」

「無理です」

「即答……レッドウィンターは」

「クーデターです」

「なんで……」

「というかもう無いですよ。まあ、一応、一人心当たりが……」

「誰?」

「同じ七囚人の慈愛の怪盗です。連絡取ったことが無いので詳しくは知りませんが……」

 

なるほど、ね……

 

「クソ」

「もう少しきれいな言葉使えません?気持ちは物凄く分かりますが」

「味方の少なさにもう笑いが込み上げてくるわ……」

「……何か、飲みます?」

 

あのワカモに気を遣われるなんて世も末ね、あっはっは!

 

「……はぁ、先生に甘えたい……」

「……分かりますよ……」

「「はぁ……」」

 

……先生がいなくなって、その分仕事も増えて……それぐらい働いてくれていたことが分かる……

それなのに、襲われて……本当に……気付けなかった私も悪いけど……

 

「……そうなる前に、助けられなかったの?」

「その時には運悪く、ヴァルキューレに死ぬほど追いかけられてたんです。わたくしが気付く頃には、もう……」

「そう……聞いて悪かったわね……」

「いいんですよ……」

 

……なんか、仲良くなってきてる気がする……

 

……そういえば……聞いてみようかな……

 

「先生の、あの子は……どう?」

「ああ、モブ子さん……戦闘能力はありませんが、人とのやり取りが上手なので、今の先生には良いと思います」

「アコを言い負かしてたし、強いわよね……会えないかしら」

「あー……言っておきましょうか?会ってみたいと言っていたって」

「え……ビックリしない?」

「わたくしが初めて会った時は一度ビックリして終わりでしたよ。あの人一度ビックリしたら何故か耐性つくので……わたくしと一緒なら大丈夫でしょうし」

 

ええ……変な子……

 

 

そろそろ、疑問に思われる時間かしら……

 

「じゃあ、そろそろ……」

「えぇ……また、何か分かったら連絡します」

「いつもありがとう……できること少ないけど、必要なことがあったら、何か言って」

「分かりました、それでは……」

 

ワカモはそのまま暗闇の中に消えていった。

……私も戻ろう……栄養ドリンク買お……

 

 

 

 

 

「ごめん、遅くなった」

「いえ、大丈夫ですよ。お疲れでしたでしょうし……イオリとチナツは今日の捜索に参加しました」

「そう……書類は終わった?」

「あっ、あと半分です……」

 

見当違いのとこを捜索してるし、まだ悩むほどじゃないわね……アコは何してるの早く終わらして。

書類仕事しながら、あれの事を思い出す。

……アコ。

先生に首輪を付けて、外を徘徊……おもちゃを付けて。そのまま、公園のトイレで……

……イオリ。

足を舐めさせ、罵倒し、そのまま……

……チナツ。

温泉にそのまま、布団でそのまま、帰りのバスでそのまま……

 

ふふふ、こんなことが世にバレたら風紀委員会のプライドが傷つくわね……

何がプライドよ、風紀委員が風紀守ってない時点で無いわよそんなの。

 

あ”ー……終わる気がしない。暴れまわる奴も増えてきたし……最近狙って撃つの嫌になったから、近づいて銃で殴るばっか……

 

……ある意味、罰なのかもしれないわね……甘えすぎた、その罰。先生だってスーパーヒーローじゃない。悩んで、苦しむ人間。

なのに甘えすぎて、あまつさえ傷つけた……

…………

 

「ふんっ!」

「うわぁ!?」

 

自分の頬を思いっきり叩く。

私は風紀委員長、風紀を守る立場。風紀を乱すものがいるなら、それを正さなければいけない。

だから私は、戦う。

そして、先生が戻ってこられるように、する。それが、私の役目。

 

「ど、どうしたんですか?」

「気合を入れただけ。じゃあ続きをやろう」

「えっあっはい」

 

そう気合を入れて、私は書類仕事を進めた。

 

 

 

 

 

はずだった……

私は見るも無残な景色からどう現実逃避するか考えていた。

 

が、上から隕石が降ってきたため、中断せざるをえなくなった。

 

隕石、って何……?そう簡単に降ってくるものなの……?

あのピンク髪のトリニティが降らしてるみたいだけど……はぁ……

 

 

イオリからの緊急連絡で呼ばれた私は、それを見た。

聖園ミカ。

元ティーパーティーで、噂によればかなり強いとか。

 

だからって隕石は違うと思うの。何で?

 

「い、委員長、あ、あれ……!」

「イオリ、全員下がらして。対処してみる」

 

めんどくさい……めんどくさいってレベルじゃないよ。

とりあえず、話しかけてみる。

 

「これはトリニティの侵略行為として見られるわよ。今なら大して問題にならない。早く帰って」

 

大して問題にならないわけないでしょ。でも早く帰ってほしいからそう言う。

それに対して聖園ミカは。

 

「帰ってほしいなら先生を返して?」

「何言ってるの?」

「あなた達が隠してるんでしょ、先生のこと。あなた達が隠してさ、酷いことしてるんでしょ?許せない絶対に取り返すから待ってて先生早く助けるから。―規制―とか―規制―なんてされる前に必ずそれまでゲヘナの全てを破壊してやるでも先生はそんなこと望まないよね許して嫌わないでもう絶対にあんな事しないからでも先生が弱いのが悪いんだよ軽く抑えただけで動けなくなるなんてもうダメなんだから私が守ってあげなきゃでもその前に勝手に消えちゃったんだからお仕置きしなきゃ」

「」

 

私はスマホを取り出して連絡を取る。

 

「もしもし」

『その声……ゲヘナの委員長がティーパーティーに何の用ですか?』

「引き取りに来てくれない?」

『は?誰の……』

「テレビに映ってると思うけれど」

『何言って……ブフーッ!?』

「出来れば早く来て、あっ暴れ出した、私止めなきゃいけないからよろしく」

 

私は電話を切り、銃を構えて聖園ミカに突撃する。

この戦闘は数時間にわたり、トリニティが来てからも長い時間を要した……

 

 

先生、戻ってこない方がいいかもしれない……私が良くない……




スペシャルゲストとして、聖園ミカさんにも来てもらいました!
感想だと結構声が大きかったので……
ホルスさんは、アビドスとしてメイン回やるつもりだから許して……

ここからは雑談なんですけど、原作者様の新作見ました?
ケイちゃんですよケイちゃん。

プロット壊れる~!作ってないですけど。

おかしい……無いはずだったんだ……アリスちゃんにそういう感情は(決めつけ)
よくよく考えたら例外ありですが高校生ばっかなんであるに決まってますか……
でもアリスちゃんと罪滅ぼしのために現れたリオ会長と共闘してミレニアムと戦う展開が消えました。あーあ。
え?別にそういう風にすればいいじゃないかって?
できるだけ齟齬が無いようにしたいんです……だとしたら黙っておくのも駄目だよな。

原作者様!見ておられるのでしたら、pi〇ivの新作のコメント欄に現れますので、どうか謝罪を受け取ってもらえると嬉しいです!
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