なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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―第二章―
第十二話


簡潔に言います。ボロ勝ちでした。

数的不利をものともせずとはああいうこと言うんすね。

 

「いやぁ~私達いる?うぁ伸びてる……」

「時間稼ぎしたという事実は消えませんよ」

「それいるか?」

「……実績解除?」

「ようゲーム脳」

 

このままだべっててもいいけど、やることやらないと。

黒服さんと歩いて狼(黒)に近づく。

 

「うす、初めましてっすね」

「……そうだね」

「……エロいな」

「モブ子さん」

「分かってますよ……黒服さんに促されると腑に落ちねぇな」

「なんでですか」

「んじゃ、私モブ子っす。あなたは?」

「……そうだね、クロコ、とでも呼んで」

「じゃああっちシロコっすか?」

「そうだね」

「合ってた……」

 

安直だけど合ってた……

クロコさんは真剣な顔で私を見る。

 

「モブ子」

「はい?」

「……先生を、お願い。私には、出来なかったことを」

「一人じゃ無理なんで協力してくれますか?」

「……うん、分かった……強いね」

「なんでだよ」

「二人とも、終わりましたよ」

 

黒服さんはここの四人を拘束していた。鎖……天の鎖?

 

「このタブレットで、オートマタ等を動かしていたみたいですね……えいっ」

「いい大人の男がえいって言うなよ……なんしたんすか?」

「再使用できないように自爆させました。破壊しておくに限りますね」

「……驚いた。お前なら、それを使ってアビドスを奪おうとしそうなのに」

「前の私なら、そうしたでしょうが……先生がいた方が、面白いことに気が付いたもので」

「……そう」

「ルパンととっつぁんかよ」

 

目的が変わってんじゃん。

まあんなことはいいんだよ、ワカモさんとこ行くか。

 

「どうします、クロコさん行きます?」

「うん、恩人の悪行を、止めに行かないと……そっちこそ、先生のところに行かなくていいの?」

「すぐ行きますよ。でもちょっと我慢を覚えてもらいます。どんだけ私に引っ付きたいんだよってくらい来るんで……」

「……もっと酷くなりそうな気がしませんか?」

「うん、する」

「仲いいのかてめーら」

 

そんな軽口を叩きながら、向かっていった。

 

 

 

 

 

場所は、私達がダイナミック入室したところから、かなり離れた所っぽい。

戦ってる音が超する。

で、それっぽい壊れた壁の中を覗いてみると。

 

「よっ、やってる?」

「今戦ってるのが見えませんかっ!」

「……少し押されていますね」

「やっぱりライフルとショットガンじゃ、室内戦の差は激しいね」

「そこ!うるさい!」

 

今のワカモさんはファンクラブの作ったお面で強化されてるっぽい。

詳しくは知らねーけど超凄いレンズとファンクラブのメンバーの補佐でなんか凄いらしいよ。だから、私達にゴルコンダさん来なかったんですね。

そして、元から強いワカモさんだから、かなり強いはずなんだけど……

 

「押されてますね」

「何やってんだ狐ー。あんた鋼鉄の七人でしょー」

「七、囚、人!」

「頑張れー」

「あなたは何!」

「――シロコちゃん?」

 

クロコさんの声を聞いて、動きを止めるロリ。

 

「あれ、シロコ?……ああ、見た目激似だったしパラレルの人?」

「よくそこまで分かりましたね、正解です」

「うっそぉ合ってた」

 

「……ホシノ先輩」

「やーまいったな……今の状況、分かってる?」

「分かってる。……ホシノ先輩達が間違ってるってことも……ホシノ先輩が、これが間違いだって気付いてることも」

「……」

 

雰囲気ぶち壊しにして申し訳ないんだけどワカモさんよく待ってくれるね。名乗りは邪魔しないのと一緒か。アバレキラー……

 

「どうして……こんなやり方しか、出来なかったの?」

「……これしか、無かったんだよ。傷つけた私達が、先生を守って、一緒にいるには、これしか無かったんだよ」

「……」

「ねぇ、分かってほしい。間違いだって、分かってるけどさ……好きな人と、一緒にいたいって、思うのは、まちが「間違いって自分で言ってんじゃん」……なに?」

 

流石に、これは口が出るよ。

 

「本当に伝わってくるよ。あんまり会話してないけどさ、あんたらの先生好き好きオーラが。いやーラブコメでも見てるのかって思うくらいには」

「なら」

 

「だが好きと愛してるは違うぞ」

 

「……」

「お前達は結局、先生の事が好きなだけなんだよ。自分の想いにしか気づけず、相手を思いやれない。好きは愛することに進化する。だけどお前らは、進もうと、進化しようとしなかった。なんでだろうな……きっと、怖かったんだろ。見えないその先が」

「知ったような口を……!」

「知るわけないじゃんお前らの事も恋もよく知らん私が知るわけが。全部妄想だよ。でもな……一つだけ、なんとなく分かるよ。

 

あんた大切な人無くしたことあるだろ?」

 

「っ、お前ぇ!」

 

ショットガンロリはそのショットガンをこっちに向け、撃とうとするが……

 

「隙あり、ですわ」

「……悪夢は、終わり」

 

ワカモさんがショットガンを蹴り上げ、クロコさんが滅茶苦茶速い速度でロリを押さえつけた。

ちなみに今の一連は早すぎて分かんなかった。後で教えてもらってやっと分かった。ドラゴンボール状態じゃん。

 

「ぐっ、うっ……!お前……!」

「……さて、気絶させますか」

「待ってくださいワカモさん。拘束だけにしましょうか……やってもらうことがある」

 

 

 

 

 

……この扉の先に、先生がいるのね。

 

「その前に……一つ」

「なんですか?」

「絵面ヤバくね?」

 

私達は歩いてきたわけなんだけど……

私、黒服さん、ワカモさん、鎖付きロリ、それを持ったクロコさんという並び……

 

「これ奴隷商人じゃね?」

「あなたが連れていくって言ったんじゃないんですか。もう認知症ですか?」

「ナチュラルに口悪いよねワカモさんって。まあそうなんだけどぉ……」

 

まいっか、捕まえてんのも犯罪者だし。

 

扉を開け、中に入るとそこには……

 

 

「…………ぇ?モブ……子……?」

 

 

壁に背を当て体育座りをしていた先生がいた。うーんデジャブ。

てか椅子あんじゃん。

私を捉えた先生は立ち上がり、ゆっくりと私に歩いてくる。

そして、目と鼻の先ほどの距離になると先生は

 

「モブ子……!」

 

抱き着いてきた。

 

「はいはい、モブ子ですよ」

「モブ子……モブ子……!」

「ねえ感動薄れないこれ?」

「そう呼べとあなたが言ったのでしょう」

「……ア感動……」

「黒服ってつまらないダジャレ言えるんだね」

 

抱き着いたまま、私の名前を呼び続ける先生の頭を、優しく撫で続ける。

……しょうがないなぁ。

 

「……ぁ」

「分かりますか、小鳥遊ホシノ。守り、救うというのは……ああいうことを言うのですよ」

「く、ろふく……」

「襲い、拉致し、監禁し……身体(しんたい)は、心と体、二つの意味が籠っています。あなた方は、体だけしか、守れなかったのですよ」

「……あ、ぁあ」

「そもそもあれぐらいで守れるのか、という話なのですが……」

 

数分ほどその状態が続いた後、やっと先生は離れた。

そして、私以外の人物を見る。

 

「ほ、しの……」

 

先生はロリを見つけ、私の裾を掴みながら後ろに隠れる。

ロリは悲しそうな顔をするが、それも当たり前だろうと分かった風の顔にすぐに変えた。

……

 

「で、どうするんすか、先生」

「……」

「分かってるよ、自分で何をしたかってくらい。だから「黙りなさい」……ワカモ?」

「あなたは、先生ではありません」

 

先生は、怯えながらも、ゆっくりと前に出る。裾は掴んだままだけど。

 

「…………すよ」

「え……?」

「……許すよ、皆のこと」

「……なっ、何言って」

「私は、皆のこと、嫌いになってないから。怖いけど、怖いと思ってしまったけど……

 

好き、だから」

 

「ヒューッ、やっさしー」

「ククク……流石、先生です」

「ん……いつまでも、変わらないね」

「ああ……このワカモ、嫉妬と感動と殺意が混ざり合っていますわ……!」

「おい今すぐこの人も括りつけろ闇鍋爆弾だ」

 

「……わ、わたし、わたしは……な、なんて、ことを……あ、ああ、あぁ」

 

……ん?なんか様子……

 

「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」

 

「!?うっ……!」

「なっ、ああっ!」

 

ロリが急に暴れ出して、拘束を解きやがった!クロコさんが持ってたのに、やられたってマジ!?

しかもワカモさんの銃を奪って――違う!

 

目的は銃剣!それを……!

 

 

 

「――さよなら、先生――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「させるかぁ!」

 

 

 

「……え……?」

 

ホシノが首に突き立てようとした銃剣を右腕で受け止める。

切れ味がいいおかげで綺麗に貫通してる。貫通しすぎてそのまま喉に刺さるかと思ったわ。腕ごとずらして何とか事なきをえたけどさぁ。

 

「あーいってぇ」

「なっ、何してグェッ」

 

左腕でホシノの胸ぐらを掴む。

 

「死んで楽になろうと思うな。罪から逃げるな。背負え、抱えろ、だからお前は好きどまりなんだよ」

「だっ、だって」

「だってじゃねーよバカか?人傷つけることしか出来ねーのかお前は。いやこの腕のはノーカンだけどな?そもそもあんたが死んで悲しむやつが何人いるか分かってんのか?先生はもちろん、あの四人……クロコさんだっているだろ。どんな仲かは知らないけどさ……

罰が欲しいなら、生きろ」

 

「…………ぐすっ」

「……まさか泣くとか「うぇえええええええええん!」クソったれ!」

 

泣き始めたホシノを面倒に思いながら下ろし、抱える風にしながら座る。

あ”ー、子どもはもう一人いるっての……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅れに遅れ、次の日になっちゃったけど!ミルフィーユ鍋パ、始めるぞおおおお!!」

「「「「「おー!」」」」」

「「「「「……」」」」」

「へいそこの五人元気がないじゃん!エビバディセイ!?」

「「「「「お、おー……」」」」」

「ねぇ、モブ子もそうだけどあそこの異形もなんかおかしくない?」

「お気づきになってしまいましたか……」

 

そこの狼と狐、何喋ってんじゃい!

あの後、いろいろあって、現在!

 

家で皆で鍋食っています。

 

……どこか間違いでも?

 

「モブ子。はい、あーん」

「あーん……んぐ、ウッーウッーウマウマ……へいへいそこの彼女達!なんで暗くなってんの!?」

 

利き手が動かないんで先生に食べさしてもらいながら、アビドス五人組に声を掛ける。

 

「……ほ、ホントに、いていいの、私達……?」

 

ツインテ……セリカさんがそう言ってくるけど……

 

「家主の私はいいと言った。で、直接的な被害者の先生は」

「……だいじょう、ぶだよ」

「はい問題なし」

「どこが……?」

 

いいって言ってんならいいんだよ。先生も私が近くにいたら大丈夫らしいし。

 

「んー、まだ気になるなら、パッパッと終わらせましょうよ。鍋食いたいし。で?あんたらはどうしたいの?」

「……まず、私達から……モブ子さん、その……」

「「ぼ、暴力を振るって、ごめんなさい!」」

 

セリカさんと巨乳……ノノミさんが謝ってくる。

でも聞いたわそれ。

 

「別にキヴォトスだと普通ですし、気にすることじゃないっすよ」

「でも……」

「あーめんどくせぇ!ちょっとお前らそこ並べ!速く!ハリー!」

 

アビドスの五人を横一列に並ばせる。……アビつか。

そして私は端の方から

 

「歯ぁ食いしばれよ」

 

ごつ、ごつ、ごつ、むに、ごつ。そんな感じで頭突きをしていった。

 

「い、痛い……」

 

メガネのアヤネさんがそんなことを抜かしてるが四人連続で頭突きした私の方が痛いよ?

 

「な、なぜ私だけ胸を……!?」

 

ノノミさんが顔を赤らめるけどしょうがない。罰です。

 

「一回でいいから巨乳の胸揉んで見たかったんだよね……あとあんたらは先生の胸好き勝手したじゃん」

「……」

「暗いな~」

「気にしてることを言われたらそうもなりますよ」

「そういうこった!」

 

たく……めんどくさいな……

じゃ、よし。

 

「私はもう終わりましたっと、お前ら元に戻れー」

「え……こ、これで終わりなの?」

 

狼のシロコさんがそう言ってくるけどはい、終わりです。

 

「私にとっちゃあんたらに攻撃されようが大したことじゃないの。……でも、絶対に先生との仲は取り繕ってはやらん。自分で何とかしろ」

 

それは、自分達でやることだ。

 

「とはいえ、先生はどうするか、それは言ってませんね」

「黒服……」

「どうするんだ、先生?もちろん我々は関与しない……あなたが望まない限りは」

「……私は、変えてないよ」

 

先生は立って……私の裾は掴んだままでだけど、まあ立って、皆の目を見る。

 

「私は、皆に罰を与えるつもりはない。皆のことが好き……ううん、愛してるから」

 

鍋食いてぇ。

 

「……分かった。私達は今度こそ、先生を……ううん、二人を、守ってみせる。……モブ子ちゃん」

「なんすか?」

「……私は、多分まだ好きなんだ……でも、その先を……愛してるを、目指す」

「なんで私に……はぁ、ま、それぐらいなら、サポートしてやるよ。よーし、これで話おわ……あ、そこの二人はあります?」

「わたくしは先生に従うだけですわ」

「……じゃあ一つだけ。もう二度と私に銃口を向けさせないで」

 

わぁお重く感じるその言葉。

……それだけ、愛してるんだろうな、クロコさんは。

 

「……うん。分かった」

 

シロコさんがその言葉に返事し、他も頷く。

これで、ホントに……いや、言っとくか。

 

「今更で悪いけど、二つだけ約束してもらう。一つが、死のうとしないこと。それは先生に対して最低の行いだからな。ねぇホシノさん」

「……うん」

「で、二つ目が……泣かないことだ。泣いてしまったら、お前達は被害者擬きになる。だから、泣くな。一つの事以外には」

「……それは、何?」

 

 

「人を、想って泣くことだ。何があっても泣かない奴を、私は信用しない。

 

 

……あー、慣れねぇことするもんじゃないね。さ!食べよっか!鍋!」

 

そう言って無理矢理話を切り上げ、私達は鍋を食べることに専念した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄い。本当に……モブ子ちゃんは。

多分、確かに弱いかもしれない、体の戦いでは……でも。

彼女は、人の心の強さを持ってる。

ある意味で、心の戦いの強さは異次元だ。

 

私じゃなく、彼女だったら、なんて考えそうになる。

けど、彼女はそんなことを知ったら殴ってくるはずだ。

 

だから、私にできることは

 

 

先生の盾になり、彼女の右腕になることだ。

なる、なってみせる……!




一章、完!
ちょうどキリがいいので、小説欄の整理、現実世界のなんやかんやをするつもりなのでこんどこそ投稿が遅れると思います…
待ってろ他の小説ー!
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