アリスさんは語った。
どのようなことをしたのか、どのような結果になったのか。
苦しそうに、それでも一生懸命に。
そして、話が終わる頃には、泣きそうになりながらも、気丈に振る舞っていた。
……なるほど。
「アリスさんはスペリオルドラゴンなんすね」
「ちゃんと話聞いてた!?」
勇者と魔王が一つにとか、もうそれしかないじゃん。
いまんとこ、その魔王さんがやらかしたみたいだけど……
「聞かれてるんですよね?ケイさんって人に」
「はい。でも、あの頃からずっと出てくる気配はなくて……」
「それってどっちが主導権握ってるんす……あー、すいません」
そもそもアリスさんが制御できるなら止めてるか……
それより、他の子だ。
……多分、同じだろうけど。
「アリスちゃん、それって……本当、なんだよね」
「はい」
「そんな……アリスとケイが……」
「あんたらはやってないんすか?」
「……え?」
「別に、アリスさんが襲うなら、あんた達もやってそうだなー、と」
「モブ子さん、皆はそんなこと「やらない、って確定できますか?」あ……うぅ……」
「私は別に、先生やあなた達のこと深く知りませんよ。だけど、私はアリスさんのパーティーメンバーで、アリスさんの手助けをしたい。なら、心苦しいですが、疑います。アリスさんが想う、先生の害にならないか」
私はそう言って、そこにいる全員の目を……ロッカーは除き穴を見る。間違えてたら本当に申し訳ないけど、アリスさんのためだから我慢して。
変わろうとする子に私は優しいぞ。
「わ、私は……」
「……私達も、やりました」
どもるモモイに被せるようにミドリがそう言葉を放つ。
……えっ。
「言うの?」
「聞いたのそっちからじゃないですか!」
「いや聞いたけど、大人しく言うとは思わなかった……それで、どうしたいんすか?」
「…………私は……
もう一度、先生を手に入れたい」
「ミドリ!?」
「私は先生が好き。誰にも……渡したくない。ホントなら、お姉ちゃんもだけど……お姉ちゃんは、欲しくないの?」
「そ、れは……」
なるなる
ほどほど
駄目だな?どうしようか、説得しかないが……
「モブ子さんこそ、そんなことしてないんですか?」
「なんで私が先生やらなきゃいけないんすか」
「……妙に、知ってる風ですね」
やっべぇ、ガバった。なんとか話を……
「……アビドス」
……どこでそれを。
「な、なんでアビドスが?」
「C&Cの人達がそんなことを言っているのを聞いたの。……他には……
モブ子、というのも」
最近すごく見つかるみたいなんだけど何?あれ?こういうのないと進展しないみたいな?アニメとかゲームとかのストーリーで起こるガバみたいだね。
「先生の居場所、知ってるんじゃないですか?」
「……さあね」
どうする?この場所も離れられないだろ……
どうしようかと頭の中をフル回転させる。
瞬間、部室の扉がぶっ飛んだ。
「なんで???」
「モブ子!」
「なんで?????」
そして現れたのは地味子だった。
なんで??????????
地味子は私の首根っこをつかみ、引っ張りながら、どこかへ走る。
「逃げるぞ!もうバレてるからな!」
「バレてるって……」
「盗聴器だ!早くしないといろいろ来るぞ!」
「いやだから何がバレてるって!?」
「先生だよ!」
「なっ、なんでそれ知って……」
「……絶対、後で話す」
「……分かったよ」
とりあえず今は逃げることか。
「っ、やっぱり何か知ってる!追いかけようお姉ちゃん!」
「えっ、あっ、うっうん!」
「ミドリ、モモイ!……行ってしまいました…………
……?これは……」
私は全速力で地味子と廊下を走る。
「で!いまどこ!?」
「とりあえず、出口を目指してる……!止まれ!」
地味子の言葉で止まあっぶねっ!コケるかと思った。
「あれ?気づかれてた?」
「さすがの感覚ですね」
前から、人影が二つ現れる。
メイドだった。
「……なんでメイド服なの?」
「これが私達の仕事着ですので……」
「仮にメイド服が仕事着だとしても捕縛はメイドの仕事じゃないだろ。ロベルタか何かか?」
「……前に似たようなのを聞きましたね」
よく見てみれば、片方はメガネに服越しからでも分かる巨乳。
そしてもう片方は凶器だった。
「えっ、エッチだーー!!??」
「やかましい!……気持ちは分かるけど」
「……とりあえず、名乗らさせてもらいますね。私、C&Cのコールナンバー03でございます」
「01のアスナだよ!」
「……エージェント?」
「うんっ!」
ごめん待って待ってめっちゃ言いたいことあるわ。
まずエージェントでメイドはもうエロゲじゃん。でエージェントって言っていいの?そしてなんで名前言ったの?で01?私を止められるのはただ一人ってこと?
「……やべぇ言いたいことあるけど纏まらねぇわ」
「ギャグみたいだよねあれ」
そう言いながら地味子は二発撃ち込んだ。
03さんは避けながらもかすってしまったが、01さんは余裕そうに笑いながら避けた。
「あはは!すごい早撃ち!」
「……なるほど、奴さんヤバイな?」
「ちっ、面倒だ」
地味子は手早く二発リロードする。
私も腰から酔狂を引き抜く。
「話し合いを入れるつもりでしたが……あなた達がそういう判断ならば、しょうがありませんね」
そう言って03さんは何かを投げてきた。だが、地味子がすぐにそれを撃ち抜く。
穴を空けられた何かは、爆発した。
「ダイナマイトか……」
「どこに仕舞ってんねん」
つーかそれを人に投げるなや!作った人が悲しむぞ!
悪いけど、こっちも撃たせてもらう。きっと面倒なのは……
「っ!?」
01さんだ。野生の勘か知らないが、某ニュータイプみたいにギリギリ避けするなら、追尾する銃弾でどうだ!
「いたた……すごい!曲がった!」
「すごいよねこれ、どうやって作ってんだろね?」
「特注品なの?」
「そうそう」
「仲良く喋っとる場合か!」
それはそう。
……だけど、これどうする?
地味子はともかく、私は戦闘の素人、相手はプロっぽい。
……そういや逃げたらええじゃん。でも、どうや……消火器あるな。
私はすぐに消火器を撃って爆発させる。
「!?けほっ、けほっ」
「今だ!」
「やめろぉないすぅ!」
今のうちに私達は走って横を通りすぎる。
「逃がさ「おらっ!」わっ!」
なぜかこっちを捉えてた01さんは地味子の早撃ちで足止めする。
わっせ、わっせ、やべぇ死にそう。こちとら普通のおにゃのこやぞ。こんな走れんわい。
「待ちなさい!」
でも後ろから追手が来てるしなー。あぶねぇな!弾丸!
……あれ、あの太もも……ああ、あの時の。
「あの太もももお前が目的だったんだろうよ。正確には先生か」
「やっぱそうか、急な交流は」
んー、そもそも大した防衛やらもしてなかったし、妥当か。
「しかし、邪魔だな」
地味子は天井に構え、何発か撃つ。
それは何度か跳ねる音を出して、最後には
「きゃっ!?ちょ、跳弾!?」
全弾、目的に命中する。
地味子の得意技その二、『跳弾』。大した計算もせず無意識的に出来るらしい。
そこまでいったらもうあれじゃん、山猫じゃん。
「……そういうことか」
だけども件の地味子は険しいお顔。
ガラス張りの廊下に出たからか?確かにこんな開放的だと落ち着かないよね。
「もっと早く分かったでしょ、私……!」
「どしたん、話聞こか?」
「追手にしては、足の遅い太もも一人っておかしく感じない?近くにはメイドもいたのに」
「……まさか」
「うん、誘い込まれた……!やらせない!」
庇うように私とガラスの間に飛び出し、ガラスの方に一発放つ。
ガラスが割れる。超こえぇ。
「……で、当てた?」
「うん、困惑してるうちにさっさと行こう」
「……私の弾丸を、弾丸で……弾いた?」
地味子の得意技その三、『弾丸弾き』。相手の弾丸を自身の弾丸で弾く。
……あれ、よくよく考えたらヤバくね?
だってさ、今もかなりの距離の奴に気付いてたみたいだし、それを狙撃したし……
「撃ってきた奴どんな格好?」
「褐色ぴっちりメイド」
「頭ちんちんかな?」
こいつ確か五感が……まあいいや。
「それより、早く逃げよう。すぐに撃ってくるはずだから」
「あいあい」
地味子に促されるようにまた走ろうとすると
「お待ちください」
またメイドが現れた。
「そろそろ飽きてk今度は薄着だな」
メイドって多種多様~。
「このまま、捕獲されてくださいますか?」
「されるなら逃げてないでしょ」
「そうですね。では……」
先輩。
そう言ったメイドさんの後ろから何かが飛んでくる。
すぐに私の前に地味子が出る。
「おらぁ!」
「くっ……!」
飛んできた何かは地味子に蹴りを放ったみたいだ。
両腕をクロスして受けたみたいだが……!?
私は何かに向かって撃つ。
「チッ……」
「……助かった、モブ子」
そのまま地味子に二丁のサブマシンガンを放とうとしたみたいだから、遮るために撃ったが……それは正解だったみたいだ。サスペンシブアクト……
「で、またメイドと……えっ、なんでスカジャン?」
「ああ”?文句あんのか?」
「なんでキレ気味なんだよ。アスカか。あっ、ダイナとか運命じゃないよ?」
「何の話だよ」
ていうかメイド多くね?そして武闘派すぎね?
「そういえば、さっきもメイドに会ったんすけどね」
「……そいつらがどうした」
「コールナンバーてのを名乗ってくれたんすよ。一人は名前も言ってましたけど」
「……おう……アスナか」
「ちゅーことで、あんた達にもあるんすか?そういうの」
「よくそういうの物怖じせずに言えるね……あの人強いよ」
気になるものは気になるんです。
「コールナンバー04です」
「あ、言うんだ」
ぶい、とピースしながら教えてくれる04さん。きゃわー。
「てめぇな……はぁ、コールナンバー
「そっちも教えてくれるんだ……モブ子?」
「……ガンダムか!?」
「「は?」」
「そうか……未来を切り開く……!俺が、俺達が、ガンダムだ!」
「……そいつヤバくないか?」
「……」
おーい、かわいそうな奴を見る目をやめろー。
「はぁ、もういいだろ。行くぞ、04」
「別に私一人でも問題ありませんが?」
「めんどくせぇな!」
「リーダー!」
「はぁ、はぁ……早いですね……」
なんかわらわら現れてきたな。メイド勢ぞろい。
「少し計算が狂ったけど、問題ないわ!」
「太ももも来た」
「誰が太ももよ!朝名乗ったでしょ!ユウカ!」
うーん四面楚歌。どうしよっかなー。
「もうあなた達に勝ち筋は無いわ。大人しく捕まりなさい」
「聞きたいことあるんだけど太もも」
「ユウカ!」
「こいつ、関係ないんだよね。こいつだけ逃がしてくんない?」
「モブ子!?」
「へぇ……」
「こいつは私の唯一無二だ。私が腹を抜かれようが頭を潰されようがそんな些細なこと気にしないがこいつだけは駄目だ」
「モブ子……」
「……そうしたら、捕まってくれる?」
「おう、捕まるだけな」
口を割るとは言っていない。
そんなことを考えていたら、手を握られる。
「絶対離れないから」
「やっぱ無しってよ」
「まあ、逃がすつもりもないから、関係ないけれど」
駄目じゃぁん。
まいっか。やることは一つ。
「どうにかして逃げるかー。超ピンチだけど」
「……じゃあ、やるか」
そう00さんはそう言い、全員が戦闘態勢に入る。
が、何かが降ってきた。
一枚の紙だった。
「……何これ?怪盗の予告状?……『巨大な光の剣が混乱の地に現れる時、同じく私も現れます。
――慈愛の怪盗』?なんこれ」
「……まさか!」
どこからか、青白く、太いビームが飛んできた。
そのビームで周りに砂煙がすっごいことになってる。
下手に動けないな、と思いながらこのまま警戒しながら、地味子の横に立っていると
「こっちです」
聞きなれた声が。
「ワカモさん!?」
「早く!」
ワカモさんに促され、私と地味子はついていった。
よく分からないけど、逃げられたんか?