なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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評価感想ここすきありがとうございます!良ければ今回もお願いします!(思い出したかのようなおねだり)


第九話

「ですから!どうして面会が許されないのですか!?」

 

そう叫ぶアコを横目に私は腕を組んでソファに座っている。

この問答も何度目だろう。

 

「何度も言ったはずです。先生の療養、そして犯罪者の尋問は我々ミレニアムが行い、何か分かればすぐにお伝えすると」

「理由になっていません!それに、それなら我々ゲヘナが行った方が早いと思いますが!?」

「アコ、止めなさい」

 

黒髪の、学生と言うにはいろいろ……大きい女性に噛みつくアコを窘める。

 

「ですが」

「ここにはトリニティの方もいるの。迷惑を掛けるものじゃないわ」

「……」

 

そう、ここにはトリニティの正実の委員長、副委員長もいる。……大きいわね。

 

「……っ」

「アコ」

「……分かりました」

 

はあ、めんどくさい……

このままいつまで話を続けるのかしら。

その思いを感じ取ったのか、正実の副委員長が話を進める。

 

「で、我々を呼んだ理由をお聞きしていないのですが?」

「それは、一つの提案です」

「提案……?」

「我々、ミレニアムの提案なのですが……

 

お二方の、委員長だけ面会をする、というのはいかがでしょう」

 

「委員長……だけ?」

「ええ、先生はともかく、例の犯罪者は……言い方は陳腐ですが、凶悪です。一人で我々ミレニアムに大立ち回りをし、主要人物を次々と無力化……捕らえた今も、厳重に拘束し、複数人での監視体制でなければいけないほどです」

「……だから、咄嗟の戦闘に対応できるよう?」

「ええ。……いかがでしょうか」

 

私は――

 

 

 

 

 

噂の犯罪者がミレニアムに捕らえられてから一週間が経った。

捕らえられたのは、ミレニアムから先生を誘拐した者の情報が出て、僅か数時間後のことだった。

……名は出ておらず、公表されたのはあだ名らしき『モブ子』というものだけ。

 

エレベーターの中には、私、正実の委員長、セミナーの会長だけ。言葉はない。

どうやら地下に進んでいるらしい、それもかなり深い……

数分かかって、ようやく到着した。

エレベーターを出て、さらに長い廊下を歩く。

さらに数分歩くことになる。

 

「こちらへ」

 

ようやく扉が見え、セミナーの会長に促されるように入ると、そこには

 

 

 

「モブ子、あーん」

「あーん……んぐんぐ、うまいなこれ、先生が作ったんすか?」

「うん……どうかな?」

「右手使えるんで普通に食べさしてくれ」

「じゃ、次はおじさんだよー、あーん」

「聞けよバカどもんぐんぐ……」

 

 

 

布団で、先生と小鳥遊ホシノにあーんされているモブ子がいた。

…………なんで和式?

 

 

 

 

 

こいつらマジで話……ごめんて、分かった分かったもう自分を傷つけるようなことしないって。

……ん、来たのか。

 

「おひさっす、ヒナさん」

「元気そうで何よりね」

「こいつら邪魔なんすけど」

「……そう言えるのはあなただけよ」

「…………?」

 

あ、見知らぬ人が困惑してる……とりあえず名乗るか。

 

「ドーモ。モブ子です」

「………………?」

「やーん宇宙猫……誰?」

「ツルギって言って、トリニティの風紀みたいなところの委員長で、トリニティで襲わなかった数少ない子かな……」

「お嬢様校の話はどこ行った」

「……せん、せい?」

「……久しぶり、ツルギ」

「どうして、そいつと……誘拐されたんじゃ……?」

「……少し長くなるし、衝撃もすごいだろうけど……聞いてくれる?」

 

先生はことの顛末をツルギさんに話していった。すげーころころ顔変わるな……あっ、えっちなとこでめっちゃ顔赤らめてる。初心……

話し終わり、事実を知ったツルギさんは。

 

「……まさか……ハスミ達が、そんな……!?」

「信じたくないだろうけど……ごめん、本当なんだ……」

「…………分かりました、先生の言うことなら……」

 

お、よかったよかった、信じてくれた。強いらしいから嬉しい。厨パかな?

 

「お話は終わりましたか?」

 

後ろから声が聞こえたので見てみればそこには!

 

「超てんっさい美少女ハッカー!美少女ハッカーじゃないか!」

「はい、超天才儚くも美しいまるで桜のような美少女ハッカーです」

「死体でも食ってんの?」

 

ヒマリさんだ。

 

「先生、モブ子さん、ホシノさん、下水道、ヒナさん、ツルギさん……皆様、集まっていますね」

「下水道て。ほらー男子ぃリオちん泣いちゃったじゃーん」

「泣いてないけれど」

「男子もいないけどねー」

「……話続けますね。まずは現状の説明を」

 

 

 

先週の戦闘の時、詳しく言えばモブ子さん二人とトキの戦闘後、私はモブ子さんを拘束しました。

疑問はあるでしょうが、まず話しますので、お聞きください。

 

まず一つ、なぜあの場面で捕らえたのか。理由は単純、治療のためです。

すぐにでも治療しなければその腕は使い物にならなくなっていたでしょうから。

 

二つ、捕らえた理由。ミレニアムが先生を捉えた時、私はまだ動かずにいました。それは、優勢な、将来が明るい方に乗るため。

そして私は、モブ子さん達の方へ乗りました。

ですが、流石に防衛などでは我々に劣る……つまり、こういうことです。

先生とモブ子さんを守るために、先生は療養のために、モブ子さんは尋問のためにという理由をつけて保護するためでした。

隠し通すにも、長くは無理がありますからね。自由も失われているでしょうし。完璧な作戦でしょう?

 

三つ、この一週間は何をしていたのか。これはいくつかあり、モブ子さんの腕の治療、説教、そして、そこの下水道を呼び戻そうとしていたのです。無駄に隠れるのがうまいんですから……

 

最後に四つ、なぜモブ子さんを捕らえたままにせず、協力者に……いえ、協力するようしたのか……それは

 

 

 

「このキヴォトスの救世主になり得るからです」

 

そう言ってヒマリさんは話を終えた。

腕を組んで話を聞いていたヒナさんが質問する。

 

「いろいろ聞きたいけど……治療と、会長の呼び出しは分かるけれど……説教って?」

「モブ子による説教です。何人かを日に分けて、先生を襲った者と対話し、反省させました。その成功率驚異の100%!」

「胸囲?」

「……まさか、それって」

「はい、救世主の話に繋がります」

 

暑い……

 

「……その話の前に、もう一つだけ。なんでそのまま拘束して、先生を手に入れなかったの?」

「……短く纏めるなら。

 

贖罪ですよ。襲えはしてませんが」

 

「……そう」

「ねえそろそろこの横の人達離してくんない?暑いんだけど」

「こら、モブ子。大切な話の途中だよ」

「言い様の無い怒りが私の体を支配する」

 

引っ付くな引っ付くな。

 

「では、これからの話を。救世主、というのはですね……」

「ぶん殴って勝ってモブ子ちゃんの話を聞かせる。簡単じゃん?」

「……」

「めっちゃ不服そう。いや纏めたらそうなんだけどね?ちゃんと話聞いてあげよ?」

「私達がガンダムなんだよ」

「じゃいっか!」

「……分かってはいたけど、マイペースね、ある意味」

 

リオさんごめんね、身内ノリばっかして……暗いの嫌いだからね。

 

「はぁ……とりあえず、皆さんのやるべきことは」

「私がゲヘナを」

「私がトリニティの抑制をする。そういうことだな?」

「ええ、お任せしても」

「ああ……それが少しでも、先生の助けになるのなら。モブ子」

 

ツルギさんが私を見る。

 

「任せたぞ」

「任された、ってね……無理だけはしないでくださいね」

 

 

その後、いくらか話をした後、リオさんに連れられヒナさんとツルギさんは帰っていった。

んー……てて……背筋を伸ばすと腕が痛いな。大丈夫だからはらはらした目で見なくてもいいよ。

 

「しっかし……腕なー……これ使えなくなってたらどうするつもりだったんです?」

「ここはミレニアム。この地の全ての叡知を使って最高の義手を送るつもりでした」

「マジか、壊した方がよかったか?」

「「……」」

「うそうそごめんうそ確かに今のはよくなかったなだから睨むの止めて結構怖いんだぞ!」

 

でもほしぃ~。コスモガン撃ちたい~アームパンチで腕から薬莢だしたい~換装もありだな。

……だからうそだって!

 

 

 

 

 

ホシノさんがアビドスに用事で戻り、先生もやるべきことがあると言ってどっか行ってしまい、暇になった。ヒマリさんも用事だって。

だけどここいいな~、私のために和室になってる。素晴らすぃーわー。

なんか見よっかなと思ってテレビまで行こうとすると、誰か来た。因みにここ味方専用の直通路があるんだって。

 

「どうも、お元気ですか?」

「ワカモさん。それに、ゲーム開発部の皆さんも」

「お見舞いに来ました!」

「ど、どうも……」

 

あら、双子の声が聞こえないぞ?

 

「どうも、モモイさん、ミドリさん」

「こ、こんにちは……」

「……こんにちは」

 

しどろもどろというか、なんというか……

 

「ま、アビドスも最初あんなんだったしいっか。で?ワカモさんはどうしたんです?」

「包帯を変えに来たんですよ。暇でしたので」

「いやあんた先生第一じゃん。そっちじゃなくていいんですか?」

「今あの人の近くには戦える者が大勢いますし、大丈夫でしょう」

「本音は?」

「行きたかった……」

「行けよ」

「あなた辛気臭い顔で包帯巻かれるの嫌がるではないですか。地味子さんは戦闘訓練中ですし」

「えっ、何してんのあいつ……いいけどさ。じゃ、よろしくお願いします」

「!アリスもお手伝いします!」

「分かりました。では、こちらを持って――」

 

ワカモさんとアリスさんは私の包帯を変える。

うーん、話したいけど邪魔するのもな……でも他は辛気臭いし……あ。

 

「三人とも、やってほしいことがあるんですけど」

 

 

 

「びっ、BTぃぃぃ!!」

「そんな……どうして……」

 

モモイさんとミドリさん泣いてるわ。やっぱ名ストーリーだわ……3まだ?

 

「……いやマルチの方がいいのでは?なぜ一人しか出来ないのに……」

「ここテレビ一台しかないもん。せっかくならこのストーリー見てほしかったし」

「一台で出来るパーティーゲームくらい沢山あるでしょう」

「うるせぇ!」

「……」

「分かった私が悪かったからつねらないで」

 

はい、ゲームをしていました。やはりゲーム……ゲームは全てを解決する……

 

「あ、あの……」

 

ユズさんが話しかけてくる。

 

「どうしました?」

「あの、その、腕怪我してるのに、いいのかなって……」

「私が頼んだことですし、全然モーマンタイですよ。それに、ゲームして笑ってる方が似合う」

「泣いてますが」

「だーらっしゃい!……言いたいことはこの一週間で言いましたし、もういいんです私は。後は……そうだな、仲良くしたい。それくらいですよ」

「……優しい、ですね……まるで……」

「先生みたいです!」

「どこがだよ」

 

仲良くしたい、か……私も変わったかな?

パーティーゲームを起動して、皆でやるところ見ながら、話す。

対話は大事。

私はそう思いながら、モモイさんが蹴落とされるのを見ていた。

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