なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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第十話

あああああ!!すっげえ暇だ!

それもそのはず寝てることしか許されてないんです。

先生やヒマリさんからは休むことが今のあなたの仕事とか言ってきて動くこと禁止にしてるし、ゲームは片腕死んでるから出来ないし、地味子は最近全然来てくれないし、タカキは頑張ってるし……

 

「よし抜け出そう」

 

私も頑張らないとな!抜け出すために。

 

「……ふふーん、見張りもいないし楽々ちんち「お邪魔するねー」はいお邪魔されます」

 

しまったホシノさんがきちった。どうしよ……あ、暇じゃなくなったからいいや。

 

「どうしたんですか急に。やることあったんじゃ?」

「えっとねー、モブ子ちゃんのこと見てきてって、地味子ちゃんにね」

「なしてよ。まあ、暇だったんでいいですけど」

「じゃー、一緒に寝よっか~」

 

え、私さっきまでずっと寝てたんだけど……

 

「問答無用~」

「ちょ、ちょっ!」

 

想いは届かず布団に運ばれる。ちくしょう!

私の横にホシノさんが横になる。

でも眠くはならない。そらね。

しょうがないんでホシノさんに話しかける。

 

「ホシノさんは最近何やってるんです?」

「最近?そうだね……寝てたりー寝てたりー……」

「ねせさりー?」

「別に特訓はしてないよ」

「あそう……ゴールデンエッグスって実質きんた「やめなさい」はい……」

「……そーいえばさ」

「はい」

「感謝……理解……って言っていいか分かんないけど……こういうやり取りを、望んでたの?」

「支離滅裂な言動。……最後の言葉に反応するなら、そうですね」

「そっか……さっき運ぶ時ね、ちょっと不安だったんだ」

「はあ」

「だって、傷つけてくる敵だった奴に、無理矢理運ばれるんだよ?嫌なはずだよ」

「また今更な……」

「モブ子ちゃんにとって今更でもおじさんにとってはまだ大ごとなんだ。そもそもおかしいだけだよモブ子ちゃんが」

 

めっちゃ失礼なこと言ってきてる……

 

「敵対しててもそれっきり。その状態が終われば普通に接する……まるで、先生みたいだ」

「それ先生おかしいって言ってない?……別に、今までは私がキレるべき案件じゃなかったし……」

「……え?」

「アビドスの時も、ミレニアムの時も、襲われてたのは先生と地味子とかだけじゃん。私は横からちゃちゃ入れてただけだぜ?その結果怪我しても、自己責任」

「……うーん、その認識は危なくない?」

「どこがっすか?」

「ちゃんと、自分がそこにいる。それを理解してなきゃ、いつか痛い目を見るよ?」

「……」

 

それは……そうだな。今のは良くない思考だった。

 

「それに、傷つかない方がいい。君は、愛されてるから」

 

えー……そうかねぇ……その自覚あんまりないけど……

……私はどこまで行っても、普通の人だよ。

 

「えっとね、おじさんが言いたかったことは、ミレニアム(ここ)の大勢の人もおじさんみたいに、悩んでる人がいるってことだから……」

「オーライ……私には普段通りでいいって言やいいんですね?」

「うーん……なんだかなぁ」

「なんでそんな反応?」

 

ともかく、目標が出来たのはいい。

でもぉ……仲良くなった人以外来ないんだよね……

うーん……あ、そうだ。

 

「京都行こう」

「どこそこ?」

「さあ?じゃなくて……頼みがあるんですけど……」

 

 

 

 

 

「たのもー!」

 

ホシノさんが扉を開け、私は中に入りながら中の人にそう呼びかける。

 

「……も、モブ子さん?」

「うーすアカネさん。元気―?」

 

そう、来たのはメイド部の部室。ホシノさんに頼んで連れてきてもらった。

いやー、表向きは犯罪者だから隠し通路使わなきゃいけなかったんだけど、結構楽しいなあれ。

私は右手を振りながら、そこにいる人を見る。

 

「うーん、巨乳しかいな……ごめん」

「なんでおじさん見て謝るの?」

「いやホントごめん」

 

いや、中にいた奴だけ数えれば巨乳か。

 

「アスナさんとカリンさんも、元気?まあ皆暗い顔してるから元気じゃなさそうだけども」

「え……っと」

「その……腕は……」

「ん?ああ大した怪我じゃないっすよ。たかが片腕……へいへいもう言いませんからホシノさん……まあ大丈夫ですよ」

「それで、何か御用で……?」

 

アカネさんが聞いてくれると話がスムーズ。

 

「落ち込んだままのエロ同人引っ張りだこグループがいるって聞きましてね。……君達を笑いに来た。そういえば気が済みます?」

「なんでサングラスなの?」

 

サボテンに花が咲いてたからね。

 

「ここにいるのは……三人だけです?」

「リーダーはどっか行ったけど、トキちゃんは……」

「……」

 

アスナさんが不自然に揺れるダンボールを見る。

 

「なんだ、ただのダンボールか」

「いや絶対あそこにいるよね?バレバレだよね!?」

「……何言ってんの?」

「なんでおじさんがおかしいみたいな反応するの!?」

「冗談はともかく。……こんこん、入ってますかー?」

「入ってません」

 

ノックしてみれば、そう返事が返ってくる。

 

「そっか、いないのか。……じゃあ独り言にはうってつけだな」

「私達の存在は?」

「うるさいぞ褐色美人……私の知り合いにな、なーぜか落ち込んだままのおバカさんが十数人くらいいるの」

「多くないですか?」

「別に落ち込んだり、反省するのは構わないんだけどさ、向きがおかしいのよ。とあるいろんな人を救い、いろんな人に襲われた某先生ならともかく、私にもだぜ?気にしてないって言ってるのにな……」

「……」

「一番の問題は、落ち込んだままで変わろうとしないとこだな。人は良くも悪くも変わり続けられる。止まったままじゃいけないんだ……まあ、変わらず未来に進んだ炭酸水とかいるけど……さて、あいつらはどうするのかね……」

「……確かに、変わりたい。未来に進みたい。ですが……」

「……」

「ですが、怖いのです。また、同じ間違いを犯し、大切な人や恩人を傷つけてしまうのではないかと……」

 

そっか……

 

じゃあ、傷ついてないことにするか。

 

私は包帯をほどいていく。

後ろから慌てたような声が聞こえるが、ホシノさんが静かにさせる。

……ん、まぁ……大丈夫か。

右手でダンボールを上げると、体育座りのトキさんが。

 

「おや、こんなとこにいたんですね」

「……っ」

 

左腕を見て、息を吞むトキさん。

お構いなしに私は左手でトキさんの手を握る。

 

「何を」

「温かさ、伝わりますか?……ほら、握れる」

 

ほんのちょっとだけだけど。

 

「……」

「私は傷ついてない。これで重さ減ったろ?」

「……あなた、変ですね」

「なぜかよく言われる」

「分かりました。……遅い速度かもしれませんが、動いてみます」

「それで私は結構。……他はどうする?」

 

言わなくていいんで行動で言ってくださいね、と締めくくる。

だからこういうキャラじゃねーってのタコメンチども。

 

「なるほど、だからあの方は……」

「え?なんすか?」

 

 

「いえ、こんなことを聞き続けたら地味子さんもあなたが好きになりますね」

「トキちゃん!?」

 

 

……え?

 

 

 

 

 

地味子がいると言うトレーニングルームだかなんだったかに来た。

 

「……おーい、地味子ー?来てるの分かってんだろー?」

 

そう言っても誰も出て来な……あれ。

 

 

「引っ張らないで!引っ張らないで!」

「どうせあいつのことだし会えるまで追いかけてくるぞ」

「……」

 

ネルさんに引っ張られて出てきた。

 

「……じゃ、どっか行ってるぞ」

「うす、すいません助かります」

 

で、ネルさんは出て行った。

二人きりになるが、両者なかなか口を開かない。

……えーっと、どうするかな……あれにしようか、いやでもこれにしようか……

 

「……」

「……」

「……き、気持ち悪いだろ」

「……」

「知らないところでも聞かれてさ、それに、お前、ふ、普通で、私に、そういう目で見られてたなんて「私さ、初めてオナったの中一なんだよね」…………は?」

「待て、これだと知ってるか、他のだと……あ、そうだ、しかもそれでな?使ったのNTR系の漫画だったんだよね……でもあの時口に出してたかもな。別にあったか秘密……」

「ま、ままま、待って!?急に何!?」

「私が他の人に言ってない秘密」

「なんで急に!?」

 

「だって親友の秘密勝手に聞いちゃったし……」

 

最低じゃん、わざとじゃないとはいえ本人いないとこで聞くなんて。あなたって最低ね。ドロシー……

 

「え、いや、でも、わたしが、さきに」

「というかなんだよ~そんな強い五感になってるんだったら、もう少し小さい声で喋ろか?うるさいだろわたs「そんなことない!」声でか!」

 

うさぎかな?

 

「あっ、えと、ごめ、ひゃっ!?」

 

私は軽く抱きしめ、両手で地味子の両耳を抑え、

 

「大丈夫……大丈夫……」

 

小さくそう言い続けた。

地味子は驚いた顔から、どんどん惚けた顔になっていく。

 

「だいじょーぶ……だいじょーぶ……」

「ぁ……」

「……私は、お前がどんなことを考えてても、ずっと、ずーっと私の、唯一の親友だから……お前からしたら、不本意かもしれないかもだけどな……」

「……」

「だから、そうだな……オトしてみせろ。誰よりも早くな……」

「……うん、うん……!」

 

地味子も抱きしめてきて、それが十数分と、数十分と続いた……

 

 

 

 

 

「メ~イ~ド~さ~ん~?あっそびまっしょお~?」

「散開!集まったらハチの巣にされますよ!」

 

あの後、地味子がメイド部に用事があると言って、\デェェェェェェェン/と言いそうな量の武器を持ってメイド部まで走っていった。元コマンドーかな?てかどこに置いてたんだそれ。

地味子がネルさん以外のメイドを追いかけまわしながら撃ちまくってる。あいつつえーな。流石親友。

それを見ながらポップコーンを食べてると、後ろから声をかけられる。

 

「よお」

「ネルさん。元気です?」

「おう、怪我はしてねえからな。お前こそ無事……いや、聞かれまくったか」

「うす。見りゃ分かりますよね無事って」

「……」

「なぜ黙る……許されたんすねネルさんは」

「まあ喋ったのはあいつらだしな……地味子、流石にあたしには負けてたがあいつら相手にして互角とかすげーな。……あたしとロボのトキ相手にして防戦一方とはいえ互角に戦ってたチビはやべーけど」

「あんたら変わらんだろ」

「あ?」

「ごめんて」

 

そういやホシノさんは他に用事があると言ってどっか行った。私がメイドいるし大丈夫だろって言ったし。一人で行動したけど。

 

「で、どうしたんすか?」

「あいつから伝言だ」

 

ネルさんは地味子を見ながらそう言う。

 

「『私と同じように、先生も悩んでる』とさ」

 

……あいつ、またさぁ……天丼は二回までだろうが。胃もたれするからね……

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