なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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感想返すの遅くてごめんね!お前の返信いらない?それはそうだね……


第十一話

「……拘束具は、きつく締め付けないようにしても、そう簡単には外れ「何読んでんのお前」モブ子!?」

 

先生を探してみれば、空き部屋らしき部屋で多くの本を積み重ね、読んでるところを見つけた。

拘束て……まさかとは思うけどさ……

 

「それ私にか?」

「い、いやそれはそのあれだよそうまた捕まった時に脱出に使えるか調べてて私がするわけじゃないし自分がされて嫌な事……嫌な事はしちゃ駄目なのは分かってるから「……」…………ごめんなさい」

 

白状が早い。

えぇ……なんでそう、縛りたがる……

 

「あんた何が「あ!ごめんゲーム開発部の皆に呼ばれてたんだった!また後でね!」おっと」

 

先生は私の横を走り去る。いやこの本達は……まあ誰かが片付けるだろ。

……うむ。

 

 

 

 

 

「ということで、拘束などのプロに集まっていただきました。実況は私、モブ子と、解説の地味子でお送りいたします」

「ナチュラルにSだよなモブ子って……ほら集まった人皆暗い顔をしてるぞ?」

「集まったというより私達がここに来たの方が合っている気がするが」

 

セミナーの委員会室?まあそういとこにやってきた。ついでに通りで会った地味子とマエストロさんも連れて来た。

中にはセミナー四人組がいた。一人泣いてるけどなんだあいつ。

 

「……一応仕事中なんだけれど」

「……」

「……」

「リオさんって凄い人妻感あるな……でけーおっぱいだ……」

「!?」

「セクハラでは?」

「……私も、あるけどね胸くらい」

「おっとツッコミが一人消えてしまった」

 

じゃないんだよ、悪いけどそこの二人に聞きたいことがあるのよ。

 

「で、聞きたいことがあるんですけど」

「無視?……な、何かしら?」

 

声を返してくれたユウカさんの方を向く。

 

「なんで犯したのかなって……」

「……」

「目が死んでる。ついでにノアさんも死んでる」

「……あの、なんでそれを」

「興味本位……だとあれか。まあ少し、気になりましてね。あんたら普通に反省できるほど、どころか後悔できるくらいには感性が普通の筈なんですが……なして?」

「それは……私は、襲った私達は、怖かったんだと、思う」

 

怖かった?

 

「先生は、キヴォトスを、私達を、いつも守ってくれていたの。ミレニアムだけでなく、キヴォトスの学園は全てそう」

「話だけは聞いてます。中々の活躍だそうで……ですがそれがなぜ?それで好きになったから、だけですか?」

「……自分の、体と心を、顧みず」

「……」

「そう、きっと、そうなんだ……縛りたかった……どこか、手の届かない場所へ行ってしまいそうな、先生を、離れないように、傷つかないように……」

「その結果が、傷つけていた……何とも皮肉な結果だな」

「マエストロさん」

「いえ、大丈夫。見なきゃいけない現実だから……まあ、好きになったから、自分のものにしたかったっていうのも嘘じゃないと思うけど……細かいところは、個人で違うと思うわ」

 

離れないように、傷つかないように、か……

 

「……分かる。その、気持ちは」

「地味子……」

「私の知り合いのどっかのバカは、すぐ誰かを助けて、傷つきながら私と会う。それで、すっげー心配になるのにさ、本人は全然その心に気付かない……止めたくなるよ。当事者のくせにさ」

 

当事者のくせに……

 

 

『ちゃんと、自分がそこにいる。それを理解してなきゃ、いつか痛い目を見るよ?』

 

 

そっ、か……

 

「そういうことか。たくっ……私も理解しきれてなかったか……話、ありがとうございました」

「いいの、仕事中っていうことを除けばね……ところで、最初に戻るんだけど、何でこの話「すいません後で!やることあるんで!」ちょ、ちょっと!」

「モブ子ー。開発部んとこじゃなくて、反対の一の三のとこ」

「助かる」

「後な~」

「なんだよ」

 

「過ちを、繰り返させるな」

 

「……おう」

 

 

 

 

 

「……行ったか……いやー、何だったんでしょうね?」

「あなたなら聞こえてますよね……」

「人の話はぽんぽんするもんじゃないですよ。ノアさん。というか最近忙しそうですね」

「いろいろ、後処理が大変ですからね」

「だから、今来られても困ったのだけれど」

「思い立ったが期日な奴なんであいつ」

「期日になる前にやりなさいよ……」

「どうして私もこんなことを……先輩達のせいなのに……」

「……」

「言い返せない……」

「……ところでマエストロさん。さっきからずっと黙ってますけど、どしたんすか?」

「いや……人が一時の感情で動くこともあるが……急にキヴォトス全域の子ども達が、そんな暴走を起こすものだろうか……?」

「……何?」

「もしかしたら、あなた達の誰かがそういう装置……例えば感情を増幅させるものとか使ったんじゃないの?」

「ここに来て他人のせいにしようとするのは恥ずかしい事ですよユウカちゃん」

「分かってるわよ……」

「……まさか」

「え!?ホントにそう!?」

「いや、そんな装置を作ったところで、神秘にたどり着けそうにも無いのは分かっている……だが……」

「だが?」

「先生に恨みがあり、我々と同レベルの技術を持つ者、その者がいたら……」

「……その言い方は、心当たりがある言い方だな」

「ああ、一人いる。しかし……

 

このキヴォトスにはもう既に、いないはずだ」

 

 

 

 

 

「お邪魔するわよ~、っと」

「わっ、わぁ!?モブ子!?」

 

地味子の言っていた部屋の中に入れば、また同じ本を読んでた先生がいた。読み方が隠れてエロ本読む学生のそれ。

私は万一逃げられないように扉の前で立ったままになる。

 

「今度は、逃がさないゾ♡……最後の文字だけカタカナにしたらいん「それ以上いけない」アッガイ」

「……それで、どうしたの?」

「最後の確認。事実を言ってほしい。先生は、私を……縛ろうとしてるのか?心も、体も……」

「そ、そんなわけ……」

 

言い淀むなー。じゃあ……

 

「……じゃ、私の推理を聞いてほしいです。先生が急にそんな本を読み始めたわけ。自意識過剰に聞こえるかもですけど、私が……先生を守ったり、救おうとしたときに、右手やら、左手やら怪我して帰ってくる。で、出会った時から自分を守ってくれるそんな子がこれ以上傷つくところを見たくない……」

「……」

 

先生は大人しく聞いてくれている。

 

「そこで思い出した。自分がされてきたことの一つに、縛り上げるというものがあったことを。これなら、止めることが出来るかもしれない。だけど……それはよくないことだ、分かってる。けれども、読むくらいなら…………どうです?」

「……面白い、話だね」

「あいつらも似たようなもんだってよ」

「え?」

 

先生があっけにとられた眼で私を見る。

 

「先生が傷つくのはもう嫌だった。だから……人によって異なるやり方だったけど、先生を縛ろうとした。失うのが怖いから……少しでも、自分の傍を離れないように」

「……」

「そこで、やった奴らは自分の想いを制御しきれなかった。だからやっちった。……先生も、どこまで制御できる?自分の想いを」

 

時が止まったように、静かになる。

だけど、それも数十秒で、先生の声で終わった。

 

「そう、だよ……そうっ!私も今彼女達と同じ気持ち!モブ子が傷つくところをもう見たくない!私なんかのために、モブ子がっ、傷ついて、ほしくなっ、グスッ、ほしくないっ……!」

「……よしよし」

 

私は先生を抱きしめ、頭を撫でる。

 

「……どうして?君を、傷つけようとしてた人なんだよ……?」

「まだどっかの誰かさん達みたいに傷つけられてないので~」

「……変なの……」

「あんたもそうでしょうが。傷つけてきたあいつらと接しようとしてる。昔のように」

「だって、あの子達は、悪くないし……私が、勝手に傷つい……あ……」

 

やーっと気付いたか……と言いたいけど、私も気付いてなかったから何も言えないな……

そうだ、私達は、やっと理解しようとした。言い換えれば、行間を読めた、かな?ジェラミー……

 

「……そうなんだね、今の私の気持ちは、あの子達の気持ち……」

「そして、私が持っていた気持ちは先生とそっくりだった」

「……ありがとう、モブ子。あなたのおかげで、私のやるべきことが分かった」

「なんです?」

「まだ他にも、この気持ちを持っている子が必ずいる。……自分で言うのは、恥ずかしいけどね。だから、止めて、伝えなきゃ。この気持ちの苦しさを、分かってあげられなくて、ごめんねって。それで……もう、自分を簡単に傷つけない。私は先生に戻る……ううん。

 

先生に、なる」

 

そう言って、先生は手に持っていた本を破り捨てた。

先生の顔は、瞳は、私が見惚れたあの顔と、同じ雰囲気だった。

 

「……じゃあ、私も。もう自分を安売りしません。無理矢理襲われるのは好きじゃないっすからね」

「皆の前で言っちゃダメだよ?繊細だから」

「分かってますよ。……じゃ、この後どうします?」

「えーっとね……これ、捨てとかなきゃ」

「……これ、破って良かったんすか?」

「通販で買った物だし、大丈夫。……その後は、皆にこの心を伝えに行こう。やっと分かったよ、今まで気付かなくてごめんねって」

「そりゃいい考え。」

 

私達は、一歩を踏み出した。きっとこの一歩は、陳腐だけれど、大きな一歩だ。

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