なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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第二話

もう一度、現状の説明をしてみよう。

ここにいるのは四人、私とワカモさんとネルさんと、謎の人物。

なぜか私のことを知ってる様子。一応名前聞いてみる?

 

「ワッチャネーム?I'm a 仮面ライダー……」

「それ自己紹介になってるしお前違うだろ。医者でもねえし」

「細かいこと気にするから背が低いんだぞ」

「よしお前から潰す」

「漫才をやってる場合ですか!?」

「で、名前教えてくれますか?ピンク髪さん」

「今から潰す人に、教える必要ある?」

「思ったより猟奇的だった」

 

やべえよこの女!?

……でもなんか、おかしいような……

 

「お願いしますよ、冥途の土産として、名前くらい。ね?まあメイドは横にいるんすけど(笑)」

「は?」

「……ミカ。聖園ミカだよ。じゃあ、潰すね?」

「まさかの即攻撃かよ!」

「横に跳びなさい!」

 

ワカモさんの言う通りに右側に跳んで、急に撃たれた弾丸を回避する。

クソっ、やべえなこれ、どうす「逃がさないよ」んな!?

 

「ぐへっ!?」

 

まさかの跳躍力で間合いを詰められ、拳を入れられる。

ぎりぎりバリアが緩衝材になってくれたが、それでも吹っ飛ばされる。というかちょっとめり込んで私に当たってたよ?

予想はしてたが、私狙いか……ゆっくり詰めてくるところがターミネーターのそれ。

 

「どこ向いてんだっ!」

「……」

 

その後ろに、ネルさんのキックが銃弾と共に放たれた。

しかしミカはそれを軽々と避け、銃を横に凪ってネルさんに反撃する。さらにネルさんはそれを避け……ああもう見えねぇ。説明諦めます!

奥にはワカモさんが見えて、ちょくちょく撃ってるが、よくネルさんに当たらないな、流石の戦闘力。となると、メインウェポンもない私の役目は……

逃走だな、邪魔にしかならないわここにいても。

じゃ、ギャラ貰って帰るから……

 

 

「逃がさない」

 

 

後ろを向いて、走ろうとすると、上から何か聞こえてく……ヤな予感!走れぇ!

 

 

そして天井が破られ、大きな石が降ってきた。

……隕石だこれー!?

 

「ねえこれ偶然!?それともわざと!?」

「こいつは軽々と隕石を落としてくる!さっさと離れろ!」

「物理法則もあったもんじゃねえな!?」

「じゃ……まっ!」

「なっ!?」

 

ネルさんが近接戦を仕掛けてると、足を掴まれ、ワカモさんの方にぶん投げた。

ぶん投げた!?

結構な速度で飛んでったぞ!?アッ、ぶつかって、アッ……

 

「ウッソぉ!?」

「もう、邪魔者はいない」

 

絶賛一対一!速度的にも勝てそうにありません!終わった!

 

……だが、ここまで大騒ぎになってるなら、少なくとも援軍は来る。地味子は必ず聞こえてるはずだしな。

やることは一つ。

 

「ねえ手加減ンンンンン!?ばら撒きやめろ!」

「……」

「あらやだ無視!」

 

時間稼ぎだよ……!

銃弾は出来るだけ避けてバリアを温存……!最悪()()を使わなきゃならんのか……!

右手を展開し、ガトリングをばら撒く。こことブレードのエネルギーはバリアとは違うからポンポン使える。

その攻撃をミカは落ちてた二メートルくらいの大きさの瓦礫を持ち上げ、防いだ。大団長かよ!

そしてさらにぶん投げてきた!おかしいって!

速い、無理だわバリア展開!全方位から一点集中に切り替え、防ごうとする。

無理無理無理、重いって!

なんとか横に弾くようにして退けたけど……!?

 

「えいっ!」

 

いつの間にか目の前にパンチが飛んできた。だがバリアはまだ展開して――

 

 

パキンッ

 

 

ありぇ?

 

「ぐふっ!?」

 

バリアごと吹っ飛ばされた!?というか割られた!?

吹っ飛ばされた私は壁にぶつかって落ちる。いてえって!

っち、バリアは時間経過で回復するけど、到底間に合わない……ならっ!

 

私はガトリングをばら撒きながら突っ込む。

 

「おバカさん……」

 

勿論反撃で銃弾が飛んでくるが、知りません我慢我慢。

あいつの動きから察するに、私が近づいても動かないはず。だって勝てるもん。

 

そして、二メートル、一メートル――私は左腕を突き出す。

 

「……無駄だ「それはどうかな!?」――!?」

 

カッコーン☆

 

そして、ブレードを展開した。

ブレードはミカの腹辺りに当たる。

当たっても血どころか、服も破れてないから、ホントに大丈夫そう。

 

「……!?し、痺れるっ……!?」

 

ミカは痙攣したように震え、膝から崩れ落ちる。ナイスびりびりっ!

 

「今だ!」

 

私の声に応えるように、二つの影が跳び、ミカに覆いかぶさる。

ワカモさんとネルさんだ。二人がミカを拘束する。

 

「いぇーいチームプレイ」

「よくやりました、褒めてつかわします」

「どの立場?」

 

さて、乾燥した間奏ですが(激ウマギャグ)

 

 

 

「……いて」

 

 

 

ん?なんか今声……

 

 

「どいて!」

 

 

「うおっ!?」

「ぐっ……!?」

 

嘘だろ完全に固められてたのにぶん投げた!?しかもあの感じ、まだ痺れてるはずだろ!?

私は急いで吹っ飛ばされた二人の方に駆け寄り、庇うように立つ。

 

「大丈夫か!?」

「……おかしい」

「え?」

「ああ、おかしいな。……あいつは、あいつ本来の力を超えてやがる」

「は?」

「詳しい情報は分かりませんから、他の人に聞かなければならないでしょうが……簡単に言えば」

「……ピンチ?」

「……あたしは負けねえけどな」

 

うそーん……

でも、なーんかまだもやもやする……なにこれ?

だけど、それより今はこの状況を何とかせなあかん訳で……マジでどうしよ……?

 

 

 

「光よ!」

 

 

 

その声が聞こえた次の瞬間、横から飛んできた光がミカを襲った。当たったけど微動だにしてねぇ。

 

「大丈夫!?」

「……先生!それに皆!」

 

近づいてきたのは、さっきまで一緒にゲームをしていた四人。

ホシノさんが盾を展開しながら前に出て、残りのメンバーが二人の肩を支える。

 

「……先生」

「ミカ……」

 

ワカモさんの肩を支えながら、先生はミカを見つめる。

 

「……先生、先生、先生先生先生……!

 

 

 

ごめん、なさい……!ごめんなさい……!」

 

 

 

「!?」

「謝、った……?」

 

ホシノさんがぴくっと動き、地味子が困惑の声を出す。

ミカは、そのまま言葉を続ける。

 

「襲ってごめんなさい傷つけてごめんなさいいなくならないで傍を離れないでお願い先生がいないと私っそうだ離れないようにしなきゃそうだ首輪を付ければいいんだそれならどこにもいかない弱い先生は逃げられない先生を守れる絶対に離さないなのになんで消えちゃったのそうだ私が傷つけたからだごめんなさいごめんなさいごめんなさいゲヘナがミレニアムがトリニティが先生を襲って穢して痛めつけたんだ守らなきゃ守ってあげなきゃ私がお姫様が王子様をなら首輪を付けたら離れられないよね守ってあげるだから先生は傷ついて苦しんでごめんなさいごめんなさい――」

 

……

 

「……こ、怖いです……」

「頭が、ぶっ壊れたのか」

「それとも、狂ってしまったのか……キヴォトス全てに言えることですが」

 

「「違う」」

 

「先生?」

「モブ子?」

「壊れてない」

「ましてや狂っても……」

 

分かった、このもやもやが。

 

「あいつは」「ミカは」

 

「「苦しんでる」」

 

じゃなきゃ、あんな悲しい目はしない。

なぜああなったのかは分からない。だが、あいつは……きっと、心の形が出来ていない。

今までのアビドスやミレニアムは、まだ形が出来ていた。悪い事とかそんなこと関係なく、やりたいこと、やるべきことがはっきりしていた。

でも、あいつはそれが自分で分かっていない。口に出しているのは、多分全てやりたいことや思っていることだ。それが混ざりすぎて、自分で自分の心を整理できていない……

水の入った箱をぶん回してるみたいな状態だ。

あの戦闘力も関係しているかもしれない。感情のオーバーフローだ。神秘が溢れてるこのキヴォトスなら、あり得る。

 

「どうにかして止めてやらないと、いつホントに壊れるか分からない……!」

「うん……ああなったのは私の責任でもあるから」

 

私と先生が前に出る。

 

 

 

 

 

いや、出ようとした時だった。

 

 

 

 

 

『即刻、戦闘を中止してください』

 

 

 

 

 

そうどこからか、声が聞こえた。

誰?

 

「……ナギサ?まさか……」

 

先生が汗を一つ流す。

 

「……ナギちゃん」

『全く、トリニティがどうなるか考えなかったのですか?とはいえ、お手柄です。ミレニアムが犯罪者を匿い、先生の独占をおこなっていたことが判明したのですから』

「おいおい、セミナーは何してんだ」

「……申し訳ないわ」

「リオさん?どうしてここに……」

「詳しい話は後でするわ……モブ子さんや先生の居場所がバレた後も、交渉を続けたけれど……」

『三日後、指定した場所へ先生とその犯罪者を連れてきてください。でなければ……

 

トリニティとゲヘナが、敵になりますよ?

 

……それでは、ごきげんよう』

 

それっきり、声は途絶えた。

 

「……」

「おいっ……いや、いいか」

 

ミカも、壊した壁から歩いて、どこかへ消えていった……

 

 

 

 

 

私達はその後、セミナーに集まった。そこにはセミナーの三人もいた。

 

「……で、どうする」

 

ネルさんがそう口を開く。

 

「どうするって?」

「分かって言ってんだろ、地味子。……言う通りにするか、徹底抗戦か」

「徹底抗戦って……」

「そもそもお前らセミナーが失敗しなきゃいい話だったが……あたしから見ても無茶な話だ、責める気はねぇ。だが、言う通りに渡してどうなるか、想像がつくだろ。先生は最悪の時代に逆戻り、モブ子は間違いなく……」

「殺される」

「……ああ」

 

少し前までの私なら、死んでもいいから行って打開策を作ろうとしたが……今の私には無理だ。死ねない。

 

「なら、戦うコマンドですか?」

「先生がいれば、無理な話じゃないとは思う。勿論おじさん達も一緒に。けど……」

「それでも、どうなるか分かりません……元ティーパーティーの聖園ミカさんもいますし……」

「ノア……」

 

「我々もいますよ」

 

新しい声の方を向けば、そこには黒服さんがいた。

 

「確かに簡単な話ではないでしょうが……我々と、ミレニアムの技術を合わせれば、飛躍的に勝つ確率が上がる。……成功すれば、トリニティもゲヘナも、全てではないにしろ、元に戻るでしょう」

「黒服……」

 

先生は覚悟を決めたように、言葉を放った。

 

「ごめん、皆の命をちょうだい」

 

皆、一瞬の間を置き、力強く頷いた。

次の瞬間、慌ただしく皆動き始めた。笑ったり、緊張した顔だったり、様々な雰囲気で、皆自分がやれることをやり始めた。

 

……決めた。

 

「ホシノさん、ネルさん、地味子。頼みがある。

 

 

私を、鍛えてくれ。あいつと、対話できるように」




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