なんか先生拾ったんだが……   作:紫彩

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第三話

「一週間後……一日過ぎて、六日後ですか。決戦の日は」

「……うん」

 

モブ子の襲撃から翌日、私達はミレニアムの一室に集まっていた。

黒服達がベアトリーチェが言っていたことや、やるべきことのまとめをボードに書く。

 

「予測は当たってしまいましたが……クロコさん、どうでしたか?」

「ん、黒服の言う通りほぼ同じだった」

「同じ、って?」

「モブ子は私のように恐怖に反転している……言うなれば、テラーと化していた。過程が違うから、正確には違うものだろうけど……」

 

なるほど、クロコとほとんど同じということならあそこまで強いのも頷ける。

少しも嬉しくない。

 

「しかもアリスまで連れ去られた。でも、なんで?」

 

椅子に座っていたヒナが疑問を溢す。

私が答える。

 

「アリスには……正確には、その中にいる子には特殊なロボットを操れる能力みたいなのがあってね」

「操って少しでも戦力増強する気、ってこと?」

「……それだけじゃない気がするけどね」

 

こればっかりは勘になっちゃうけど。

壁に背中を預けて立っていた地味子が手をあげる。

 

「じゃ、後はどうする。イカレクソ女は丁寧に決戦の日を決めてくれたが」

「やれることは三つ、というところでしょうか」

「三つ?」

「ええ。一つが、情報収集。一つが、味方収集」

「味方収集て。ゲームのガチャかよ。で、あと一つは?」

 

人差し指を立て、ゴルコンダが言った。

 

「努力&強化、です」

「そういうこった!」

 

 

 

 

 

そういうわけで連れてこられたのは、いつもの所(エンジニア部)だった。

 

「親の顔より見た部室……」

「言うほど見ましたか?」

「もっと親の部室見ろ定期」

 

ワカモと地味子の二人と(メンタル維持のために)軽口を叩きながらいつもの組を待つ。

ちなみに来たのは私達三人だけ。他のメンバーは学園の事もあるので各々行動し始めた。

 

数分経つと、ウタハが出てきた。

 

「すまない、待たせたね。少しこの改造に時間が掛かってね」

 

そう言って狐の仮面を見せてきた。

って、それって……

 

「ワカモのやつだよね?強化フォームの」

「ええ、メンテナンスついでにと、預けていたのです。肝心な時に使えなかったのですが……」

「だからあの時……忘れてるのかと思ったわ」

「この話題はこれで止めない?」

 

なんか寒気が……

 

「とりあえず全体的に出力を向上させて、ブースト移動も出来るようにしたよ」

「ありがとうございます」

 

ワカモが仮面を受け取って仕舞う。

 

「それで、本題だ。とりあえず地味子、来てくれるかい?」

「? 分かった」

「二人は来てもらって悪いが、広場で待ってくれるか?」

「分かった、行こう」

 

 

 

そうして前にスーツのテストをした時に使った広場に来た。

のは、いいんだけど……中心にいる、あの子って。

 

 

「正義ちゃん?」

 

 

どうして?まあ、呼ばれたからなんだろうけど……

声を掛けようかと思ったけど、それは出来なかった。

理由はというと。

 

「……なぜ、正座を?」

「さあ……」

 

あそこだけ空気がかなり違うかったから。というか、なんで正義ちゃんもスーツを着て、刀も持ってるの……?

話しかけることも出来ないし、かと言ってワカモと雑談して気を散らさせてもいけないので、黙って待つことにした。

 

「待たせたな……って、正義ちゃん?」

 

数分後、見たことのあるスーツを纏った地味子が現れた。

 

「なんで中心で正座?」

「さあ……というか地味子も、その恰好……」

「ああ、モブ子が着けていたやつとほぼ一緒だ。で、ここに行けば分かると聞いたんだが……」

 

 

「……来ましたね」

 

 

突然正義ちゃんはそう言って、刀を手に取り、鞘から抜いた。

 

「地味子さん、前へ」

「……分かった」

 

何かを察したのか、正義ちゃんの目の前へと歩いていった。

地味子が正義ちゃんの持っている刀二本分の距離で止まると、正義ちゃんは語り出した。

 

「私は、モブ子さんとの関わった時間は、皆さんより少ない。ですが、その短い時でもあの人が、明るく、優しく、そして……

 

 

弱いことを知った」

 

 

「……」

「私は彼女の護衛として、友人として、そばにいたはずなんです!それなのに、この体たらくはなんですか。分かっていたはずです、弱いはずなのに、彼女は身を張れることを!」

 

叫びきった正義ちゃんは、刀を地味子に向けた。

 

「私は強くなります。私が信じた正義と……モブ子さんのために。……あなたは、どうですか」

 

地味子は一度だけ目を瞑り、リボルバーを握る。

 

「そうだな……私も、知ってたはずで、守るはずだった」

 

一発、弾丸を込める。

 

「でも、違ったんだよ。初めて出会ったあの時から、ずっと、私は守られてた」

 

二発、弾丸を込める。

 

「確かにあいつ自身に戦う力は無いし、面倒ごとを引き寄せる体質のせいで怪我をよくする」

 

三発。

 

「でも私達が戦えてたのは、あいつが……モブ子が、私達の心を守っていたからなんだ」

 

四、五。六発。

 

 

「あいつは強い。……だから私は強くなる。追いついて、並ぶために」

 

 

静かに言いきった地味子は、銃口を正義ちゃんに向けた。

向けられた正義ちゃんは静かに笑い、すぐさま引き締めた顔になって、構えた。

 

「……もう言葉はいりません。やりましょう」

「ああ」

 

そして、地味子の放った銃声と共に、戦いの火蓋は撃ち落された。

 

 

「どうだい、彼女達は」

 

二人の戦いを見ていると、後ろからそう声が掛かった。

 

「ウタハ……」

「これは、正義ちゃんの提案なんだ。決戦は、近接戦が主になるだろうから、とね」

 

正義ちゃんが斬り込み、それを地味子がリボルバーで受け止める。

 

「モブ子と戦う内の一人は、必ず地味子だから。出来る全てを注ぎたいとも言っていた」

「だから……」

「ああ。専用にチューンしたスーツの性能を確かめたかったから、というのもあるけど」

 

蹴りで距離を取った地味子が全弾撃ち、それをもろに受けながらも正義ちゃんは詰め寄り斬りかかる。

 

「思ったんだけど、あれって刃大丈夫なの?」

「潰してあるから大丈夫だろう。……多分」

「……まあ、大丈夫か、二人だし。ワカモはどうする?やってみ……って、あれ?」

 

ずっと黙っていたワカモに声をかけようとしたけど、座っていたはずのワカモはいなくなっていた。

 

その代わりと言わんばかりに、一枚の紙が置いてあった。

 

 

『わたくしも、為すべきことを為してきます』




今回から強化パートとかが続くので少し短めになるかもしれませんが許してください。

Qなんで強化が戦闘形式なの?透き通るような世界観に似合わなくない?
A作者が特撮が好きだから。ビルドはいいぞ。
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