こんな技を使うオリ主の欠陥魔導士が復讐を遂げる話。
技の(パク)リスペクトのみで、オリ転生者もガンダムもファイターも師匠も出ません。
「何故わざわざ、相手に隣接してから放つのですか。それも掴みかかるとか。確かに確実性の確保とすれば解らなくもないのですが」
「凡才以下の俺と比べるな、紅魔族きっての天才児様。俺の魔法は生来の欠陥と資質の問題で射程が極端に短い。この籠手のお陰で自爆する事無く射てるようになったが、元々武術と組み合わせたのも苦肉の策だ」
「…私が事情を知らなかったとはいえ、言葉に刺がありませんか?」
「俺の嫉妬と八つ当たりに過ぎん。この凡才にかまけている暇があったらさっさと仲間の所に戻れ、鍛練の邪魔だ」
「そんな言い方!」
「はっきり言う、迷惑だ」
格好良さに拘らない、生まれを間違ったストイックな紅魔族の"どどもん"。魔力が平均的紅魔族より大分高いにも関わらず、生来の欠陥で著しく魔法の射程が短い。
しかし彼にはやり遂げなければならない事があった。冒険者として王都で活躍していた両親(ららいぞー、みきみき)を謀略で貶め、失意のまま去らせる事になった敵、魔王軍幹部(セレスディナ)への復讐を誓っていた。
強い魔法で毎度自爆していた彼は、魔道具師ひょいざぶろーの作成した、射程が短くなる代わりに魔法の強化と指向性を与えるガントレットと出会い、旅立ちを決意する。
尚、里でもストイック過ぎて触れざる者とか言われる上、元ネタのような師匠も仲の良い幼馴染みも仲間も居ない独りシリアス。
冒険者登録してもソロで、何かの練習のように人型モンスターや人間の賞金首を執拗に狩る事や、一時的に組んで戦闘スタイルを間近に見た他の冒険者は"狂気を感じる近接アークウィザード"とアダ名を付けた。
強化魔法を自身にかけ、近接職のような速度で接近してきては打撃と共に手足から魔法を放ち、止めにモンスターを掴み上げて魔法を直接叩き込むのだからさもありなん。
「なあどどもん、あんたに師匠とか居たりするのか?」
「いや?集中のための文言、まあ呪文は古代ノイズの古文書でしっくり来るものを使っているだけで、独学だが?」
「参考までに古文書って見れるか?」
「それ自体は難解だったから現代風に訳したものがこれだ。因みに俺の名前の由来もこれからだな」
「どれどれ…、やっぱGガンかよしかもコミカライズの解説同人!どんだけコアな趣味の奴が書いたんだよ!?」
転生でも無いけど微妙に影響受けていたという。ノイズの設定って便利。
独り鍛練を積み、圧倒的な力を持って目的を遂げるには、散々ネタ魔法と言われた爆裂魔法も必要だと、他の魔法で制御技術を磨きながら、修得に邁進する。
遂に爆裂魔法を修得して、近距離でぶっぱなす姿を見た冒険者から"狂ってる近接アークウィザード"と呼ばれるようになった。
イカレたアークウィザードが各地で事ある毎に復讐のため魔王軍幹部の女を捜している(人間側にセレスの存在は殆んど知られていない)と噂が流れ、魔王軍からは要注意危険人物扱いである。
シルビア、ウォルバク、セレスディナ、魔王の娘は過去のやらかしで紅魔族の糞真面目な復讐鬼が現れたかもしれないとして顔色を悪くし、特に行動を注視していた。ポーズや口上をキメないタイムラグ無しで襲って来る隙が無い紅魔族なんてのは悪夢でしかない。
ウィズはなんちゃって幹部だが女性なので、どどもんと初めて会った時は、私何かやっちゃいました!?と終始顔色が悪くなった。
アクセルに現れたセレナの手腕、ウィズのうっかり証言を聞いたどどもんは、セレナこそ目的の魔王軍幹部だと確信。弱体化し捕まって投獄されても絶対大人しくしている筈は無いと確信していた。
そして遂に、復讐の機会は訪れた。脱獄したセレナことセレスディナは、魔王城への逃亡の最中にゼスタ率いるアクシズ教徒の集団に遭遇。包囲を抜けるべく切り札と呼べる伝説の人造魔獣を呼び出した所に、どどもんは追い付いた。
「俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!ばぁく裂!エクス、プロオぉージョン! …ヒィイト、エーンド!」
「それ伝説の魔獣の傀儡!秘密兵器だったんだけどぉ!? ば、爆裂魔法を掴みの近距離でぶっぱした上で魔力の余波で追撃とかマジの殺意しか無いんだけど!?復讐したらお前も只じゃ済まねえんだぞ!?こちとら復讐と傀儡の神の神官ぞ!?」
「知った事か。王都で貴様に貶められ、失意の中で去った我が父ららいぞーと我が母みきみきの敵(かたき)、今こそ討たせて貰うぞセレスディナ!」
ずびしっと指差すポーズは決まってはいるが、紅魔族の基準からすれば地味も良い所である。
「紅魔族の癖にポーズも付けず終始どシリアスとか有り得ねーだろ基礎キャラ付け忘れんなふざけてんのか!いやご免なさい!今私弱いの!助けてよ何でもするから!」
「遺言はそれでいいか? …俺のこの手が真っ赤に燃える!」
発生する魔力の風、複雑な魔法陣が展開していく。
「ひ、ひいっ、マジ死んじゃう、あんなの直撃食らったら魂まで消し飛んじゃうから!び、美女が命乞いしてんのにマジ顔で迫って来るとか有り得ねーんですけど!?」
「勝利を掴めと、轟き、叫ぶ!」
「聞いてよ!聞いてってば!お願いです!お願いします!ご両親にも謝罪します!か、かい、改宗だってして魔王軍幹部もやめまじゅがりゃっ!何でもしますかるヴぁ!?」
カズマと異なり別の意味で男女平等といわんばかりに、魔力が纏わりつく右腕で容赦なくアイアンクロー。
「ばぁく、裂!エクス…!」
「うびゃぎゅわー!? …ぷくぷく(じょばー)」
「言質、取ったぞ? …ではあとは頼む、ゼスタ殿、カズマ」
顔面と下半身が大変な事になっているセレスディナを地面に下ろし、遠巻きにしていたアクシズ教徒の中から現れたゼスタとカズマに後を任せる。
アクシズ教徒の前に気絶した女性を放置する、と書くと物凄く鬼畜な事をしている気分になるのは気のせいでは無いだろう。
「アクア様を貶めし悪辣なる邪教徒とはいえ、何とも憐れなものでございますな。改宗手続きに当たり身支度は整えさせましょう。ああ、濡れた元の服はそのままで。私が引き取ります」
こんなであるからして。
「…いいのかよ、ご両親の敵なんだろ?」
「事前に提案された内容で復讐は遂げられる。あと勘違いさせたようだが、別に死んでないぞうちの親」
「うっそだろ!?あんな最初っから終始シリアスしてたってのに!?」
両親は依頼達成率も含め王都で評判が高かったが、魔王=美少女という嘘を信じなかった事から謀略で評価をがた落ちにされた上で、紅魔族だから強かったと言われてテンションが著しく下がり、里に引っ込んだ。
紅魔族とはいえそこまで優秀とは言い難く、それでも努力を積んで活躍してきた両親を尊敬してきたどどもんは、そんな噂を流した魔王軍幹部を追い詰めて完膚なきまでに再起不能にする事で復讐を遂げようと決意したのが真相。
結果的に、魔王軍幹部にして搦め手で人間側を翻弄した傀儡と復讐を司る女神の神官セレスディナは、遠巻きに取り囲むカズマやアクシズ教徒の衆人環視の中で盛大に失禁した上でアクシズ教に強制改宗させられた。
「めぐみん、お前も実はどどもんの親御さんの事、知ってたのか?」
「えっ、私もてっきりお亡くなりになってるものだと!? 父も母も里の親世代も、沈痛な面持ちで話を避けてたんですから!」
「うわぁ…」
「因みに古代ノイズの時代から代々続くトーフ屋だ。逢ったことあるだろう?」
「うち、滅多な事では買えませんでした」
「…そうか」