あるTS転生者は千刃学院にて最強の剣士を目指す 作:星色 空
レイア先生が大五聖祭の出場選手を高らかに発表した次の瞬間。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!」
一人の男子生徒が声をあげた。
「ん、どうした?」
先生は短くそう問いかけると、静かに男子生徒の返答を待った。
「何というか、その……。リアさんとローズさんが選ばれるのは……仕方がありません。リアさんが五歳のときから魂装を使えるのは有名な話ですし、ローズさんはあの桜華一刀流の正統継承者……悔しいけど、僕らよりも確かに格上でしょう。だから、この二人については納得ができます」
「ふむ、それで?」
「ですが……このアレン=ロードルとかいうよくわからない剣士が、栄誉ある大五聖祭の出場選手に選ばれる理由がわかりませんっ!」
結局こうなる、と。彼はいったい、どう認めさせるのだろうね?楽しみにしていよう。
反論の声を上げた男子生徒に、2人の男子生徒も加勢する。
「そうですよ! 何故俺たちが外されて、こんな得体の知れない男が選ばれるんですか!?」
「納得できる理由を教えてくださいっ!」
この3人、さっき彼のことを無視して怒られていた3人か。
そんな彼らの問いかけに対してレイア先生は、
「理由? そんなもの、実力以外にないだろう」
淡々とそう答えた。
しかしまあ、彼らはそんな言葉で納得はしなかったようだ。
「……実力? どの流派にも所属できない我流の剣士が! 実力で僕たちを上回っていると!? ばかばかしい!」
「理事長……お気は確かですか?」
「彼の出身校――グラン剣術学院を知っていますか? 片田舎にある小さな剣術学院で、例年五学院への進学者はゼロ。今年度は一人ドドリエルとかいう少しはマシな奴もいたようですが、現在は消息不明。世間的にも全く無名のボンクラ校なんですよ?」
へぇ、そんなところから推薦を貰うほどの剣士が、ね。ますます手合わせしてみたくなってきた。こう言うと、戦闘狂みたいだけど、強い相手とは戦っていて楽しいからね。
そうして彼ら三人の熱心な主張を聞いたレイア先生は、
「それで、結局お前たちはどうしたいんだ?」
意外にも度量が深く、彼らの話を一旦は飲み込んでいた。
「それは……もう一度、しっかりと出場選手の選考をしてほしいです」
「そ、そもそも大五聖祭の選手選考は、実技試験の結果を加味して行うのが通例のはずですよ」
「そ、そうですよ! 今回のこれは、あまりに異例です! 選考のやり直しを要求します!」
レイア先生が一歩退いたことで、彼らの声量は徐々に大きくなっていった。
しかし、そんな勢いは先生のたった一言で一気に失速する。
「ふむ、つまりお前たちは理事長である私の決定に対し――不服があると言っているんだな?」
「「「……っ」」」
この発言には三人だけでなく、教室全体がシンと静まり返った。
誰も彼もが黙り込み、緊張感が張り詰める。
当然だ。
どれだけ性格に難があろうが、この学院の理事長なのだから、絶大な権力を持っている。本当にこんな人に理事長職を与えて良かったのかは、些か疑問が残るが……
そういうわけなので、下手なことを言えば、即退学になってもおかしくはないのだが。
彼らもここまで言ってしまった以上引っ込みがつかなかったのだろう。
「……あ、あります。やはり納得できませんっ!」
なおもレイア先生に噛みついた。
一人の発言を皮切りに、他の二人も口を切った。
「こんな無名も無名な三流学院出身の――それも我流の剣士にうちの代表は務まりません!」
「俺たちは三人とも、名門と言われる剣術学院出身者です! それもほとんど首席に近い成績で卒業しているんですよ!? あんなどこの馬の骨かもわからない奴に、実力で劣っているわけがありませんっ!」
アレンくん、君、言いたい放題言われてるね……
肝心の本人は、少し悲しそうに見ているだけだったので、特に問題なさそうだけど。
すると、レイア先生は、
「ふー……。なぁ、アレンよ」
ここで、私は察した。同様に彼も察しているだろうが、これは碌な事を言わないだろうと。
続いた言葉は、何というか、予想通りのものだった。
「……なんですか?」
と、彼は返事をしていたが、その後に。
「お前……人望ないなぁ!」
レイア先生はケラケラと楽しそうに笑った。
……え?本当にこんなのがこのクラスの担任、しかも理事長で良いの?
「はい。残念ながら、そうみたいですね」
この状況でも、ちゃんと冷静に返せている。まあ、明らかに怒らせるための発言だからね。
「うーん……反応が悪い。リアと違ってつまらんやつだな……」
まあ、こんな感じでレイア先生の性格は酷いものではあるが、結局はクラスの全員がアレン君の出場を認めることになった。
あの戦いぶり、やはり一度戦ってみたいね。
ちょっと省略してしまったけど、原作の方と内容一緒だから許してほしい!