やはり人を見かけで判断するのはまちがっている。   作:復活のマサニキ

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前回のあらすじ





俺の抱き枕が作られてた






以上



彼女たちはまちがい続ける

これから話すのは、後に「ヒキガヤくん騒動」と呼ばれたとか呼ばれなかったとか…

まぁそんな事の顛末である。

 

俺が知らない間に、俺が写ってる抱き枕カバーを小町が製作したらしく…雪ノ下と由比ヶ浜がそれを貰ってしまったってのが始まりだ。

 

犯人(小町)は受験勉強の隙間時間に少しずつ作ってたらしい。

もちろん現場は差し押さえ、製作途中の物品も押収・処分した。

 

抱き枕カバーはアイツらが貰ったもんだけだったみたいだが、まだ2.3個もなんか作っててビビったわ。

抱き枕カバー以外にも作ろうとしてたなんて…てか勉強の合間にやる事じゃないよね?

君そんな器用だったっけ小町ちゃん…

 

アイツらに渡ってしまった物もちゃんと回収した。

回収して驚いたのが、カバーと枕が一体化してた事だ。

元は小包サイズだったのに、余計な事を…

おかげ様で持ち帰るとき小さく出来なくて、顔の部分だけ隠して帰ったわ。

 

しかしアイツら凄え落ち込んでたけど、あれはどういう意味だったんだろうか…

聞いてしまったら最後、取り返しがつかなそうなので止めておいた。

触らぬ神に祟りなし…

 

宣言通り、回収後暫く部活を休んで様子を見ていたが、案外大人しくしてるみたいだったから2.3日で戻って来たが…後で楽観視していた事を深く後悔するのだった。

 

 

 

翌日

 

ガラッ

「よう」

 

「あ、ヒッキー!やっと来た〜」

 

「あら、久しぶりねサボり谷くん。今まで何をしていたのかしら?」

 

「いや来なかったのは君たちが原因だからね?てか雪ノ下、何もなかったかのようにして俺が悪いことしたみたいな言い方はやめろ」

 

「…?何の事かさっぱりだわ」

 

「コイツやべぇな、抱き枕取り上げられて記憶飛んでんぞ」

 

「あ、あはは…まぁゆきのんは抱き枕がないとダメっていうのは本当なんだし」

 

「そういえばそうか、あれからちゃんとした抱き枕買ったのか?」

 

「えぇ、姉さんが丁度いいのを持って来てくれたの」

 

「へぇ…」

 

返事をしながら椅子に座り、鞄から読みかけの本を取り出していつもの体勢になる。

しかし雪ノ下さんが持って来てくれたか…

あの人の事だからタダでって訳じゃなさそうだから怖いけど、あの人もやっぱシスコンだな。

 

「あ、ゆきのんゆきのん。新しいぬいぐるみが完成しそうってさっき連絡あったよ」

 

「あら、早かったわね」

 

「ぬいぐるみ?またパンさんか、本当好きだな」

 

「女子の会話に聞き耳を立てるのはどうかと思うわよ、潰されたいの?」

 

「ちょ、怖い怖い、怖いよ雪ノ下さんすみませんでした…」

 

あんまり強い言葉を使うなよ、泣いちゃうぞ。

てか潰すってどこをだよ怖すぎんだろ。

同じ空間に居るんだから聞こえちゃうのは仕方のないことでは?

もしかしてそんなに抱き枕取り上げられた事恨んでるんですか…?

 

「今度は着せ替えが出来るって言うし、楽しみだね〜」

 

「えぇ、とても待ち遠しいわ」

 

パンさんの着せ替えぬいぐるみとかどこに需要あんだよ…あ、目の前にいたわ。

 

「てか、由比ヶ浜もパンさんハマったのか?」

 

「え、あー、うん、そんな感じ!」

 

なんか歯切れの悪い返事だな…

まぁ雪ノ下が悪徳セールスマンみたく推したから話でも合わせてるのか。

 

コンコン

 

「…どうぞ」

 

「失礼するよ…って比企谷!?」

 

来訪者は川なんとかさん…もとい川崎だった、なんか悩みでもあんのか?

 

「おう…なに、俺お邪魔?なんかごめんね?」

 

「い、いや、そういう訳じゃないんだけど…」

 

えーその反応やっぱお邪魔じゃないですかー

泣きそう、何で俺の周りにいる奴は酷いやつばっかなんだ!

 

「川崎さん」

 

現実に打ちひしがれていたら、急に雪ノ下が雰囲気を変え真面目な口調で川崎の名を呼ぶ。

 

「貴女が来たという事は…」

 

「…あぁ、出来たよ」

 

「…そう、丁度良かったわ」

 

なんかアニメの1シーンみたいなやり取りしてるけど、話が見えて来ない。

俺が来なかった間に相談でもあったんか?

でも出来たとか言ったな、なんだ?

 

「なぁ、何か相談でもされてたのか?」

 

「いえ、今回はこちらが川崎さんに相談したのよ」

 

雪ノ下が川崎に相談?

不思議な組み合わせだが…

 

「相談ってなんn…」

 

「今日はここまでにするわ。比企谷くん、私たちはこれから用事があるから鍵をお願い出来るかしら?」

 

「お、おう…」

 

チャリ

 

相談内容を聞こうと思ったら雪ノ下に遮られてしまった。

しかもめっちゃ早口だし…どしたの雪ノ下さん。

 

「では行きましょうか。比企谷くん、また明日」

 

「ちょ、ゆきのん!またねヒッキー!」

 

「………じゃ」

 

ガラッ ガララッ トン

 

嵐のように帰っていった3人。

部室にポツンと取り残された俺は、急な事で理解が追いつかず動けなかった

 

「…………俺も帰るか」

 

抱き枕の件もあるから少し怪しいが、考えすぎだな…

読もうと思ってた本を鞄にしまい、帰宅の準備を始めた。

 

 

翌日、休み時間に戸塚との会話の中で最近耳にした単語を聞いた。

 

「ぬいぐるみが好きなのか」

 

「う、うん…笑わないでね?」

 

昨日の部活での話をしたところ、どうやら戸塚はぬいぐるみが好きみたいで。

ぬいぐるみを手に取り遊ぶ戸塚…想像しただけでもう、最高です。

 

「好きなもんなんて人それぞれだし、他人がどうこう言う立場なんてねぇよ。それに戸塚なら似合うから安心しろ」

 

「もうっ八幡!それって僕が女の子っぽいって事?」

 

怒った顔も可愛いです…おっとこれ以上はいけない

 

『トツハチィ!』

 

『ちょ海老名!?』

 

外野がちとうるさいが無視だ、関わってはいけない。

あの人何にでも反応すんじゃん、なんかもう慣れたわ。

 

「そ、そんな事ないぞ戸塚。それよりさっきの話の続きでな、由比ヶ浜が新しいぬいぐるみがどうとか言ってたからアイツなら可愛いの知ってるんじゃないか?」

 

「由比ヶ浜さんが?そうなんだ、後で聞いてみようかな」

 

…なんか前にもこんな感じの会話があったような…デジャブってやつだな、まぁいいや

もしぬいぐるみ買ったらその時は1枚写真撮らせてください…

 

ジー…

 

「ん?」

 

周囲から視線を感じ、戸塚から外してその方向を見ると…

 

「……………」ジー

 

川なんとかさんがめっちゃガン飛ばして来てた

えぇ…怖

俺アイツに何かしたかな…

 

「…!!」プイッ

 

あ、気付いた。

何やってんだアイツ…

昨日もちょっと挙動おかしかったし。

 

この時はあまり気にしてなかったが、それを境に妙な事が起こり続けた。

ある日は…

 

「比企谷くん、貴方普段どんな服を着るのかしら」

 

「あ?服?」

 

「そうよ、あまり派手なのは性格上着ないわよね?」

 

「あー、まぁそうだな。派手すぎず地味すぎず、普通のやつだ」

 

「そう…(ならこれは少し違うわね)」

 

なんか小声で言ってるけど…急にどうしたコイツ

ブツブツ言いながらノートに書いてるし…

その質問なんか意味あったの?

またある日は…

 

「ね、ねぇヒッキー。この雑誌の中で着てみたい服ってある?」

 

「お前もか」

 

着てみたい服なんて聞かれてもなぁ。

見せて来たのはメンズ物の服が沢山載っている雑誌だった。

普段、外出はあまりしないから服には無頓着だしなぁ、適当でいいか。

 

「あー、これとかじゃね?」

 

「…ふぅん、分かった!」

 

「おう?」

 

なにが分かったなのだろうか

そしてまたある日は…

 

「お兄ちゃん!ちょーっとこれ着てみて」

 

「なにこれ、俺の?」

 

この服どっから持って来たの、しかもサイズピッタリだし…

 

パシャリ

 

パシャリ?

 

「よし」

 

「よしじゃない、なぜ撮った」

 

「研究〜」

 

「おい待て」

 

コイツは前科があるからな、また何か企んでやがるな。

勉強しなさいって言ったでしょ!

 

「次は何するつもりだ、変な事はさせんぞ」

 

「次はってなにさ!違うよ!小町は雪乃さんに頼まれたの、だから小町じゃなくて雪乃さんに聞いてよ」

 

雪ノ下?

なんでまたアイツが出てくるんだ、しかも頼まれたとか…

考えるより聞いた方が早いな…ってアイツの連絡先知らんかったわ、今度聞くか。

 

___________________________________________________________

 

周囲が謎の行動をし始めてから翌週、小町の口から雪ノ下の名前が出たので問い詰めてみるか…

と、思っていた矢先、放課後平塚先生に捕まり時間を食ってしまった。

 

余計な仕事を押し付けられておかげで疲弊し、しおれ顔のピカチュウよろしくトボトボと部室へ向かっていると、部室の扉が少し開いていた。

 

普段、いかなる時も閉めっぱなしなので少し気になった。

話し声は聞こえるので二人はいるのだろう、なんで閉めてないのか。

ドアに手を掛け、開けようとした瞬間…

 

「さすがヒキガヤくんね」

 

ピクッ

え?俺?

急に名前呼ばれたから驚いたわ、なに流石って…

 

「うん、何着せても似合いそうなんだけどねー」

 

「比企谷の妹から聞いた話とかも組み合わせて作ったから、変じゃないはず」

 

また川崎も来てるのか。

てか何の話だ…先週の服の話か?

ふむ、話が見えてこねぇ…取り敢えず入るか。

 

ガラッ

「うっs…」

 

ガタガタンッ!

 

「こ、こんにちは比企谷くん」

 

「や、やっはろーヒッキー!」

 

「………….」

 

なんだその慌てっぷりは、てか雪ノ下いま何か隠したな。

怪しい…前のことがあるから余計に怪しい。

 

「……雪ノ下」

 

「な、なにかしら」

 

「…なにしてたんだ?」

 

「なにも隠してなんてないわよ」

 

うわコイツ自滅しやがった。

ポンコツすぎるぞ雪ノ下

 

「…………」ジー

 

「…………」ダラダラ

 

しかし無理矢理ってのも絵面がちょっとマズイ、上手いこと誘導出来ないだろうか…

あ、そうだ。

 

「……猫」ボソッ

 

「…!」ピクッ

 

「猫カフェでも、うちのカマクラでもいい。好きなだけ触れ合えるようにしてやる。だからその隠したものを出しなさい」

 

「……っ、……くっ!」

 

なに女騎士みたいな事言ってんだ

めっちゃ苦悩してるぞ、あの猫大好きフリスキーなコイツが。

猫と同じくらい好きなもの…パンさん?

でもそれは知ってるし、隠すほどのものではないはず…

 

「……分かったわ」

 

観念したのか、隠したものをテーブルの上に出してきた。

なんだただのぬいぐるみじゃないか、話は知ってるし隠さなくても……

ん?

 

「……なんか、見たこと、あるような」

 

いや、見たことあるっていうか。

俺じゃね?

毎朝鏡の前で洗顔してるから自分の顔ってのはすぐ分かった、しかしだ。

 

だからこそ謎、なぜそのぬいぐるみがデフォルメされた俺みたいなのか

つい最近経験したなぁ…この感じ。

 

「はぁ…またかお前ら!」

 

コイツら懲りずになにしてやがる!

カバーの次はぬいぐるみか!

ていうかなんで俺なんだよ!

 

「仕方ないじゃない。可愛かったんだもの、ヒキガヤくん」

 

「何言っちゃってんの!?」

 

開き直った上におかしな事言い出しやがった

これ可愛いとかお前…お前ぇ、俺だぞ!?

 

「えー可愛いと思うよ、ひきぐるみ」

 

由比ヶ浜お前もか、てか変な名前つけるな。

なんだひきぐるみって。

 

「…あたしもいいと思う、服作ったのあたしだし」

 

川崎さん?君も何してるの?

だから最近よくここに来てたのか。

てか服作ったって…まさか

 

「前に着せ替えとか服関係のこと聞いてきたのって…」

 

「このためよ」

 

「因みに、あんたの妹から聞いて色んな服作ってみたから」

 

なんてこった…俺が着せ替え人形になっちまった…

川崎こんなところまで才能発揮してんじゃねぇよ…

てかお前はなんでめっちゃ堂々としてるのん?

また没収ですよ?

 

「構わないわ、またすぐ手に入るもの」

 

「ええい心を読むな!そうだ、これどこで作りやがった!小町はあれから何か作ってる感じはない…」

 

「姉さんよ」

 

あの人かー!

チクショウ最悪だ、バックに魔王がいるなんて…

あの人暇人かよ、本当なにしてんの?

 

『作っちゃった☆』

 

やべぇよコイツら…

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

「こんな状況で入れるなよ!」

 

ガラッ

 

「失礼するよ」

 

入ってきたのは葉山だった、なぜお前がここに…

てか今来るんじゃない!

 

「何か用かしら、葉山くん」

 

「あぁ、陽乃さんからアレの試作品が出来たって聞いてね。雪ノ下さんが持ってるそうだから見にきたんだ…っと、比企谷もいたのか」

 

は?アレって…これ?

 

「おま…お前も知ってたのか!?」

 

「あぁ、まぁね。陽乃さんに少し協力したんだ」

 

「馬鹿野郎なんで止めない!」

 

「あの人を止められる訳ないだろ?というかなんでそんなに慌ててるんだ?」

 

逆になんでお前は冷静なんだよ!

え、これ俺がおかしいの?

もう八幡わからないよ。

 

「…もしかしてこれの事知らなかったのか?」

 

「知ってたらこんなことになってねぇよ…」

 

「あー、ご愁傷様」

 

ぶっ飛ばしてやろうかこのやろう

他人事みたいに言いやがって。

 

「これって俺の分もあるのかい?」

 

「えぇ、そのはずよ」

 

なんだって?

お前いまなんて言いやがった

 

「そうか、なら良かった」

 

「なら良かった、じゃねぇよ!馬鹿かお前は、絵面考えろ!」

 

俺のぬいぐるみを持っている葉山…

オエッ…想像しただけで気持ち悪い。

それ見て喜ぶのあの腐女子くらいだぞチクショウ。

 

「…雪ノ下、これ知ってるやつあとどれくらい居る」

 

「そうね、少なくとも戸塚くんや一色さんなどは知ってるわね」

 

戸塚も知ってるのか…しかし俺のぬいぐるみを抱いて微笑む戸塚…

うん…最高!

 

とびきり気持ち悪い笑顔を見せて、俺は考えるのをやめた。

 

比企谷八幡の脳内処理が追いつかず、ショートした事によりその日は終わった。

その後、平塚先生やルミルミなどにも知れ渡り、知り合いの殆どがヒキガヤくんを持っている状態になり手に負えなくなっていた。

 

そしてそれだけに留まらず、キーホルダーまで製作される始末。

雪ノ下さんはなんでも出来るんですね(白目)

まぁ、そんなこんなで俺関係のグッズが製作された訳だが…

 

「これ似合いそうじゃない?」

 

「いいわね」

 

「可愛い〜!」

 

「案外派手なのも似合うじゃないか、比企谷」

 

「うっせほっとけ」

 

約1名変なのもいるが、コイツらが楽しそうにしてるならそれも悪くないと、ほんの少しだけ思えてくるのは俺も毒されてるって事なのだろうか。

 

にこやかにしているコイツらと、俺のぬいぐるみを抱きしめている戸塚を撮った写真を見て、俺はそう思った。

 

 

やはり人を見かけで判断するのはまちがっている。続

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