やべー女と夜の街   作:飲んだっくれ

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息抜きで書いた




 

 人間なんて酔っぱらったら最後バカになる。

 

 なんて言葉を聞いたのも、今や懐かしい記憶。

 お酒というものを知らずに過ごしてきた甘酸っぱい青春の日々は、なんと色褪せない毎日を過ごしていたことかと後悔する毎日である。

 

 お酒を飲んでしまえば、いくら博物図鑑片手にメガネをかけた秀才とて、たちまち生まれたての赤ん坊がごとき姿で泣きじゃくるのは、万国共通この世の真理ともいえる事象のひとつだろう。

 

 たとえば隣に気の置けない腐れ縁の野郎がいるとして、そいつが空になったグラスをチラつかせたとする。すると、人間やることはなんだろうか?

 

 そう、答えは飲みコールを高らかに叫び、空いたグラスへ瓶ビールを注ぐことだ。

 

 喋りが面白くないと感じれば、問答無用でソイツの口を塞ぎ。

 水を飲む狼藉者には、どこからともなく無色透明な日本酒を渡し。

 ゲロを吐きそうなゾンビには、ハッテン場とも呼べるトイレへと連れ込み、すべての毒素を口から吐き出させてから勇者として返り咲いてもらう。

 

 タクシーが来るまでの間、道路で這いつくばるなんて日常茶飯事。

 気が付けば、誰かが馬乗りして殴ってくることなんてしょっちゅうあることだ。

 

 そんな修羅が如き経験をしてもなお、俺は今日も今日とて街を出て酒をかっくらう。

 

 今宵のお供はカートン買いしたパーラメントであり、ネオンサインの光を紫煙で乱反射させたまま、その千鳥足を次の戦場へと駆り立てる。

 

 一緒に飲んでいた友達は、早々に俺のことを見限ってしまった。

 いや、少し語弊があったかもしれない。

 どちらかと言えば、俺が彼らを見捨てたのだっけか? ちょっと前のやりとりを思い出してみよう。確かあれは、店を出てすぐあとのことだ……。

 

 

『夜はやっぱ女の子と飲みたい! 野郎とばっかじゃつまんねぇ!』

『はいはい、だったらキャバクラでも行ってきな』

『お金ない……貸して~』

『ふざけるな、馬鹿。何万いくと思ってんだ。まだその金でソープいった方がマシ。おら次の店行くぞ』

『やだー! 俺は女の子と飲むー! ナンパしてきてー!』

『めんどい奴だな! もうお前が適当にナンパしてこい!!』

『カズのケチ! 彼女無し! 俺が成功してもひがむんじゃねーぞ!!』

 

 

 ……うん、どう考えても俺が全面的に悪かった。

 だが反省の色は微塵もない。

 

 次の店を探してトボトボ歩いているうちに、最初の酒の酔いがじんわりと抜けてきた。

 あ”~、今頃アイツ絶対に一人で帰ってるだろうな、などと予感めいた事を思う。この世は悪い予感ほど的中する。そうできているのだ。

 思い立ってスマホのメッセージアプリを開くと、案の定「帰る」の一言だけがポツンと表示されている。確か今日、アイツの家に泊まる予定だったんだ。ダメ元で、部屋の鍵だけ開けておいてくれるよう頼んでみるか。……まあ、十中八九、既読スルーだろうけど。

 

「おっと」

「あ、ごめーん」

 

 ロインを見ながら歩いていたせいで、すれ違い様に女の人とぶつかってしまった。

 

 ふむ……と、俺はぶつかった相手、つまり目の前の女を品定めする。身長は恐らく150センチそこそこ。スカジャンにワンピースというラフな格好だが、それがまた妙に色っぽい。顔はめちゃくちゃ可愛い。ていうか、普通に好み。この至近距離で漂ってくるアルコールの匂いから察するに、未成年ってことはまずないだろう。手に持っているのは渋いラベルの日本酒、鬼ころし。飲み慣れてる証拠か。

 酒の趣味がオッサン臭いってことは、きっと話も面白いに違いない。

 

 よし――――ナンパしよ。

 

「ねぇ、お姉さん。ちょっとこの辺りでいいお店しらないっすか?」

「えぇ? なに~? 君、もしかして観光客?」

「そんな感じなんすよねー。さっき友達に置いてかれて、飲み足りないから次探してるんす」

「はは、置いていかれたってww」

 

 んー、そだなー。と言いながら、お姉さんはスマホを探す。

 だけど、どうやら何処かで落としたみたいで頭上に「?」を浮かべて、小首を傾げた。

 めちゃくちゃ出来上がってんな。ちょっと声かける相手間違えたかもしれない。いや、むしろ大正解か?

 

「あ~~~、何系探してる感じ?」

「バーがいいっすね。飯いらないんで」

「バーね、バー……あー、じゃあ知り合いのところ教えてあげるよ。カラオケ込みで安いし」

「まじで!? じゃあ、お姉さんも行きましょう!」

「え? わたしも? まぁ、いっか! 行こう行こう!」

 

 俺がお姉さんの隣に立って誘うと、意外と乗り気になってくれた。

 酒が入ってると、もうなんでもOKしたくなるよね、わっかるー。

 

「お姉さん、お名前は?」

「えー、お姉さんでいいよ。君は?」

「俺は…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すーいすーいすいすいすい! 優斗が飲まなきゃいやだっちゃ! 1優斗!」

「はい!」

「2優斗!」

「はい!」

「3優斗からの死・亡っ!!」

「ぶふぁ! ごち!!」

 

 連れてこられたバー店内にて。カウンターで俺の隣で「さくらんぼ」を熱唱する”きくり”ちゃん。

 あれ、なんで俺テキーラショット飲みさせられてるんだっけ。

 まぁいいか。きくりちゃんが楽しそうに、飲ませてくるし。ここ飲み放題にテキーラ入れてくれてるから、値段変わんねーし。

 うんいいよね。問題ない。俺が急性アル中にならない限り、このまま平和は続くのである!

 

 

 

 あー、パーラメントがうまいんじゃー。




JASRACのあれかなと思ったけど、よく考えたらすーいすいはただのコール。
あとパーラメンは、ただのタバコの銘柄。決して、大麻とかじゃない。
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