鳥人族の後継者は世界最強   作:ウエストモール

12 / 79

メトロイド世界の敵クリーチャー、耐久力が現実の生物よりも明らかに高いですね。クリーチャーによってはミサイル一発で死なない奴とかいるし。そういうわけで、本作の大迷宮では原作よりも敵の耐久力が上がってます。

今回の話は少し短いです。


11話 溶解液に潜むもの

 鎧熊を倒し、鳥人像からスペイザービームを入手したハジメは、階下への階段を発見する。階段を降りていくと、先程とは雰囲気が異なっていた。

 

 そこは、無数の気泡が常に発生する透明な黄色い液体の上に足場が浮いている階層だった。その液体の正体は水ではない。

 

(溶解液か……落ちたらまずいな)

 

 黄色い液体は溶解液であった。それも強力なものであり、最低限の防御機能しかないノーマルスーツでは完全に防ぐことはできず、長時間浸かってしまえばスーツが崩壊し、ハジメは死に至るだろう。

 

 ハジメは溶解液の上に浮く足場を飛び移りながら進んでいく。溶解液に落ちれば大ダメージは確定であり、最悪の場合死ぬので慎重に進む。

 

 所々で溶解液に生息するサメやワームのような魔獣が溶解液から飛び出てくるが、“気配感知”の技能で奇襲を察知し、スペイザービームの弾幕かアームキャノンによる打撃、蹴り技で対処していた。

 

 さらに足場の上を進むと、広々とした空間に出た。そこには百メートルはある橋がかけられており、その先には道があるのが見える。橋の周囲には空中足場もある。勿論、橋の下は溶解液で満たされており、危険度は変わらない。

 

 アームキャノンを構えて周囲を警戒しつつ、橋の上を進んでいく。何も起こらないことを願って進むのだが、橋の半ばまで来たところで異変は起きた。突然、溶解液の中からコポコポ……という音が聞こえてきたのだ。

 

 ハジメは足を止め、音が聞こえてきた方を向くのだが、その瞬間に何かが飛び出してきた。“気配感知”の技能があるにも関わらず、ハジメは反応できなかった。飛び出してきた何かは大きな顎でハジメの下半身に噛みつくと、その勢いのまま溶解液に頭から潜っていく。

 

(クソ……!)

 

 現れた敵に噛みつかれたまま、溶解液にダイブすることになったハジメ。溶解液による持続ダメージを受け続け、エネルギーシールドが削られていく。

 

(巨大な海蛇か……気配が一切感じられなかった)

 

 敵の正体は、黄色い複数の目と鋭い牙を持ち、体が甲殻に覆われている巨大な海蛇だった。気配遮断の技能を持つ大海蛇は、溶解液の中を素早く泳ぎ回り、気配を遮断したまま、勢いのままに空中へ飛び出してハジメを捕まえたのだ。

 

 ハジメは状況を打開すべく、ミサイルを大海蛇の頭部に直撃させて怯ませるのだが、大海蛇の身体が光るエネルギーに包まれたかと思うと、泳ぐ速度が倍以上となった。

 

(この加速……まさか、スピードブースターか!)

 

 スピードブースターはハジメのパワードスーツに搭載することのできるアビリティであり、残像が生じる程の高速ダッシュを可能にする。その際に生じたエネルギーを体に纏うことで、あらゆる敵を粉砕する体当たりを繰り出せる。この大海蛇はスピードブースター能力を持っているようだ。

 

 大海蛇はスピードブースター能力で加速し、ハジメを捕まえたまま溶解液の海を縦横無尽に駆け巡る。エネルギーを纏った大海蛇は無敵状態となっており、いくらミサイルを当てても傷を付けることはできない。

 

(これ以上溶解液に浸かるわけには……)

 

 エネルギーシールドは相当削られており、ノーマルスーツの表面に溶解液の影響が出ていた。だが、脱出のチャンスが訪れた。

 

 次の瞬間、大海蛇はイルカのジャンプのように空中へ飛び出す。それと同時にスピードブースターの制限時間が来たのか、通常の状態に戻っていた。すかさず、ミサイルを連続で直撃させると大海蛇は口を開き、空中でハジメを解放した。

 

 空中に放り出されたハジメは姿勢を巧みに制御して空中足場に着地すると、すぐさま大海蛇の奇襲を警戒する。その直後、コポコポ……という音が聞こえてきた。

 

 ハジメは音が聞こえはじめた瞬間に、その方向を向いていた。そして、大海蛇が高速で飛び出してくるが、背部のスラスターでジェット噴射しながら側宙を行って高速で回避し、そのまま橋に飛び移る。

 

 何度も大海蛇は常人では回避不能な速さで突撃を繰り返してくるが、ハジメはその尽くをジェット噴射を併用した側宙で回避していき、余裕があればすれ違いざまにミサイルを頭部に叩き込んでいく。

 

 それを繰り返すうちに、ハジメは大海蛇の性質を理解した。それは、大海蛇がスピードブースター能力を使用するのは攻撃を受けた直後のみであり、受動的であるということだ。実際、ミサイルを叩き込んだ瞬間に使用してきている。

 

(スピードブースターは使わせない……次で終わらせる……)

 

 溶解液の中で大海蛇は泳ぐスピードを上げ、その勢いのまま水面から飛び出し、獲物に襲いかかろうとする。だが、飛び出した瞬間その獲物がこちらを向いて待ち構えていた。

 

「“豪腕”」

 

 腕力を強化する魔法を右腕に集中させ、待ち構えていたハジメ。そのまま、飛び込んできた大海蛇の下顎を狙い、右腕のアームキャノンを超高速で振り上げる。その突進は強烈なカウンターで弾き返され、大海蛇は脳震盪を起こして昏倒。その頭部を橋の上に横たえる。

 

 ハジメは昏倒する大海蛇の頭部にアームキャノンを向けると止めのチャージビームを叩き込み、頭部を吹き飛ばした。

 

 頭部を失った大海蛇の死体は急速に崩壊していき、その場には多数のエネルギーボールと謎の球体が残される。ハジメが球体に触れると、それはパワードスーツの中に入っていく。スーツ全体を白い光が走った後、バイザーに表示が出た。

 

『スピードブースターを入手しました』

 

『走行中に背面ブースターを噴射して高速ダッシュを行うことが出来ます。その際に発生したエネルギーを纏うことで、ダッシュ中に接触した敵や障害物を破壊します』

 

「やはり、スピードブースターだったか」

 

 スピードブースターを入手した後、ハジメはその場を立ち去る。橋を渡った所にある道を進むと、その先には次の階層に続く階段が存在していた。本当ならすぐにでも行きたいところだが、ハジメは休憩することにした。

 

 パワードスーツを見てみると、溶解液によって装甲が溶けた痕跡が多く存在し、無残な姿になっていた。また、精神力によって維持されるパワードスーツが多くのダメージを受けたことで、ハジメの精神も疲弊している。

 

 パワードスーツのダメージであれば、スーツの自己修復機能により、あまり時間をかけずに修復されるだろう。だが、それと同時にハジメの精神を休ませる必要があった。

 

 ハジメは錬成で通路の壁に穴を空け、休憩用の小部屋を作り出す。空間がある程度広がったところで入口を閉じ、ボロボロのパワードスーツを解除すると壁に寄りかかって寝た。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

「まったく……無粋な連中じゃ」

 

 島を出発したティオは、“竜化”の派生技能である“部分竜化”で展開した黒き竜翼で空を飛び、海上を進んで大陸を目指していた。彼女が竜化して飛ばないのは、目立たないようにするためだ。だが、彼女の祖父が危惧した通りに神の使徒による妨害があった。

 

 空中のティオを包囲するのは数百体の下級使徒であり、それを指揮する上級使徒が一体存在していた。

 

「アインスと申します。神の使徒として、主の盤上より不要な駒を排除します」

 

 ティオの目の前にいるのは、アインスと名乗る上級使徒。ノイントと同じ顔と姿をしており、美しい顔だが常に無表情だ。

 

「まあ、よい。妾を邪魔立てするというのなら、押し通るのみじゃ……“竜穿”」

 

 ティオがそう呟くと、彼女の体が光に包まれ、動きやすさを重視したような黒色の薄いアーマーに覆われる。和風というよりは、洋風な雰囲気だ。さらに、顔面には竜の頭部を模した仮面が形成された。

 

 これは彼女の持つ技能、“竜穿”によって竜鱗を変化させて形成したアーマーだ。“竜穿”は人の形を保ったまま竜化形態以上の能力を発揮し、体の一部を自由自在な形に変化させる技能であり、ごく稀に竜人族の王族にのみ発現する。

 

 “竜化”の派生技能である“部分竜化”に似ているが、部分竜化の場合はステータスが竜化形態ほどに上昇せず、変化させられる形も竜の体に存在するパーツに限られているため、自由自在に変形できる“竜穿”は、非常に汎用性に優れた技能であるといえる。なお、燃費が悪いので長時間の使用はオススメできない。

 

「その能力……たしか、五百年前の記録に……なおさら排除する必要がでてきました。総員、攻撃開始……」

「ティオ・クラルス……推して参る!!」

 

 下級使徒が一斉に銀翼から分解効果のある銀羽の魔弾を射出する。銀羽にはホーミング性能があり、まるで生きているかのようにティオへと殺到した。

 

「これを避けられるはずがありません。あなたはここで終わりです…………何っ!?」

 

 無表情だったアインスの顔が歪む。彼女が見たのは、銀羽の群れを翻弄する黒い人型の姿。竜翼にブースターのようなパーツを形成し、魔力を噴射して超高速で飛行している。

 

 銀羽の群れは必死に食らいつこうとしているが、ティオは急加速や急制動を駆使して全ての銀羽を振り切っていく。

 

「一度に多く撃てばよいというものではないぞ。せめて、数回に分けて撃つべきじゃ。さて、今度はこちらからいかせてもらうかの……“竜砲”」

 

 ティオが右腕を横に向けると、右腕に竜の頭を模したアームキャノンのようなパーツが形成される。これは“竜砲”といい、腕部のアーマーが変形したものだ。

 

「竜のブレスを食らうのじゃ!」

 

 ティオは竜砲を下級使徒の集団に向けると、砲口から極太の継続型ブレスを発射する。複数の下級使徒が防御もできずに飲み込まれ、その付近にいた者はその熱量で火の玉に変わっていく。右腕をさらに動かし、生き残りの下級使徒を容赦なく凪ぎ払っていった。

 

「ふむ、汚い花火じゃ……」

 

 空中に僅かに残る火の玉を見て、ティオはどこぞの王子のようなセリフを吐く。そんな彼女の背後からアインスが双大剣で斬りかかるが、直撃の寸前で彼女の姿が掻き消えた。

 

「消え……が、がはっ?!」

 

 次の瞬間、大剣を握ったアインスの両手が切り飛ばされ、宙を舞う。そして、ほぼ同じタイミングで胸から黒色の馬上槍のような物体が突き出てきた。

 

「な、何故……?」

「お主が遅すぎた、それだけのことよ」

 

 ティオは槍に変形した右腕をアインスの背中から引き抜く。左に持っていた竜帝と同様、槍にもベッタリと血が付着している。双方についた血を振り払った後、竜帝を鞘に戻し、右腕の変形を解除する。

 

「さて、行くとするかの」

 

 ティオは燃費の悪い“竜穿”を解除し、再び竜翼を羽ばたかせて大陸への針路を取る。その場に残されたのは、海面にプカプカと浮かぶアインスの死体だけだった。

 




大海蛇の元ネタはメトロイドフュージョンのイシュタルですが、教皇と名前が被っているので名称は大海蛇になりました。当初は溶解液ではなく、普通の水のつもりでした。

ティオがアーマーを纏った姿は、カラーを黒にしたカムイ(女)みたいな感じです。ティオさん、本来の世界線よりも戦闘能力が上がってます。

竜穿の元ネタはファイアーエムブレムですが、オリジナル要素が強めになってます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。