現在の保有アビリティをまとめました
・パワービーム
装着者の生体エネルギーを変換して放つ、アームキャノンに標準装備されたビーム。
+チャージビーム
アームキャノンの内部でエネルギーを増幅することで破壊力を高めたビーム。最大までチャージすると、ノーマルミサイルと同等の威力を持つ。
+スペイザービーム
横に三列に並んだビームを同時に発射する。三発同時の発射によって攻撃範囲が広がるだけでなく、ビームの出力が強化されている。
・ノーマルミサイル(最大保有数:30発)
通常のミサイル。対象をロックオンして発射する。生体エネルギーによって生成されており、補給の際にはコンセントレーションという行動で補給するが、その際は身動きが取れなくなってしまうため、撃ち過ぎとタイミングに注意する必要がある。
・モーフボール
自走が可能な球体に変形する能力。再現の難しい鳥人族の技術の一つであり、スペースパイレーツが再現を試みた際に被験者が複雑骨折で死亡した。本作においては、ブーストボールとスプリングボールの能力も内包している。
・ボム
小型の時限式爆弾。原作ではモーフボール状態の時のみ使用可能だが、本作においてはアームキャノンからも撃てる設定となっている。
・スピードブースター
走行中に背面ブースターを噴射して高速ダッシュを行うことが可能な能力。その際に発生したエネルギーを纏うことで、ダッシュ中に接触した敵や障害物を破壊する。
ハジメは再び大迷宮の探索を開始した。寝ている間にパワードスーツの修理は完了しており、ピカピカの状態である。現時点で最初の階層から五十層は降りているのだが、突破にはパワードスーツが必須な場面が多かった。
例えば、生身を晒せば即死するような超高温の階層が存在していた。その温度はゼーベスのノルフェア並みであり、ノーマルスーツでは完全に防ぐことができず、スーツは持続ダメージを受け続け、肉体にも負荷がかかっていた。バリアスーツがあればダメージ無しで通過できるのだが、無い物ねだりはできない。
超高温の階層では、いかに速く通過するかが重要だった。この階層には超高温に適応した魔獣が生息し、その熱耐性によってビームに対する耐性も高かった。この地獄を速く抜け出すため、ハジメは無駄な交戦を避け、道を塞ぐものだけを排除するしかなかった。
その際、スピードブースターが大いに役立った。使用は助走できる空間がある場合に限られるが、高速ダッシュを可能とするこのアビリティは、突破するまでのタイムを大幅に短縮することに貢献した。
エネルギーを纏った高速ダッシュで進路上の障害物を破壊し、接触した敵を問答無用で粉砕していくその姿は、魔獣からしたら恐ろしいものだったに違いない。
また、地下にも関わらず密林が広がる階層もあった。ものすごく蒸し暑い階層であり、所々に生身なら即死する毒液で満たされた池があるなど、生身で来たい場所ではない。
ハジメがそこで最初に遭遇したのは、巨大なワームだった。大海蛇と同じく“気配遮断”を持っているのか、地中からハジメを襲撃して丸飲みにしてしまった。ハジメは消化液によるダメージを受けるが、モーフボールに変形すると複数のボムを出し、体内で爆発させることで撃破した。
また、地球のファンタジーで出てくるトレントに酷似した魔獣も現れた。トレントモドキの攻撃手段として、鋭い木の根による串刺し攻撃や、先端に鎌がついた腕状のツルによる攻撃、幹から爆発する種を飛ばす攻撃があった。
なかなか殺意の高い植物なのだが、頭部に実っている赤い果実は食用になるものだった。本来、魔獣の肉は人間にとって毒であるが、スキャンによってこの果実には毒が無いことが分かったのだ。
久しぶりの食事であり、その果実が美味しかったこともあって、ハジメはトレントモドキの殆どを狩り尽くしてしまった。そのことについて、後にハジメは鳥人族の後を継ぐ戦士としてあるまじき行為であったと反省している。
そして、気付いた時には五十階層に到達していた。五十階層を探索していると、明らかに後付けされている異質な場所を発見する。その開けた空間には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉があり、扉の両脇の壁には、地球の神話に登場する単眼の巨人であるサイクロプスのような彫刻がそれぞれ一体ずつ埋め込まれていた。
この扉の向こう側には状況を変える何かがある。ハジメはそんな予感を感じると同時に、危険な何かと直面する予感も感じていた。
(一体、何が潜んでいるのだろうか?)
ハジメは構えたアームキャノンに左手を添え、油断せずに扉に近づいていく。“気配感知”はもちろん発動させているし、全ての感覚を研ぎ澄ましていた。
特に何も起こらず、ハジメは扉の目の前に立つ。扉をよく見ると装飾が施されており、中央には二つの窪みのある魔法陣があった。
(見たことのない魔法陣だ……)
ハジメは魔法に対する理解を深めるため、魔法陣についても徹底的な調査を行っていた。だが、目の前にある魔法陣はいずれにも該当せず、式を読み取ることができなかった。おそらく、相当古い形式の魔法陣なのだろう。
(錬成なら開けられるか?)
そう思いながら、おもむろに魔法陣へと左腕を伸ばすハジメ。もう少しで左手が魔法陣に触れるのではないかと思われた瞬間、扉から放たれた赤い放電によってハジメの手は弾き飛ばされてしまった。スーツのエネルギーシールドが若干削られたようだ。
その直後、異変が起こった。
「「オォォオオオオオオ!!」」
突然、雄叫びが部屋全体に響き渡る。ハジメは咄嗟にバックステップで扉から離れると、アームキャノンを扉の方向に照準し、構えた。
「なるほど、お前達は警備員というわけか」
扉の両脇に埋め込まれてあった二体のサイクロプスが、周囲の壁を破壊して現れる。最初は壁と同化するため体色は灰色だったが、少しずつ暗緑色に変化していく。サイクロプスは近くの壁から全長四メートルの大剣を取り出すと、侵入者に対処しようと接近してきた。
最初に接近してきたのは、ハジメから見て右側のサイクロプスだった。雄叫びを上げながら大剣を高く掲げると、ハジメに向かって勢いよく振り下ろしてくる。
位置エネルギーと大剣の重み、サイクロプス自身のパワーも合わさった一撃であり、まともに受ければ無事ではすまない。だが、ハジメは避けなかった。
次の瞬間、ガキンッ!という金属同士がぶつかり合う音が響き渡り、サイクロプスの大剣が半ばからへし折られる。分離した刀身が回転しながら宙を舞い、ハジメの背後に突き刺さった。
振り上げられたアームキャノンとぶつかり、半ばからへし折られた自慢の得物を見て、困惑するサイクロプス(右)。だが、ハジメは容赦なくミサイルを放ち、その頭を粉砕してしまった。満を持して登場したと思ったら、この有り様である。これを哀れと言わずしてなんと言うのか。
(悪く思わないでくれ……)
そう思いつつも、ハジメは左のサイクロプスにアームキャノンの砲口を向け、次のミサイルを発射する。ミサイルは哀れな獲物の命を刈り取るのかと思われたが、サイクロプスの体が直撃の寸前に発光し、ミサイルに耐えてしまった。
(固有魔法……防御力を上げたのか……)
これはサイクロプスの固有魔法、“金剛”である。魔力を使って金剛の如く防御力を向上させる魔法なのだが、このサイクロプスの場合はノーマルミサイルに耐える程の強化が可能らしい。
「オォォオオオ!!」
ミサイルに耐えたサイクロプスは雄叫びを上げてハジメに突進すると、振り下ろしでは弾かれると思ったのか大剣を横薙ぎに振るう。ハジメは咄嗟にモーフボールに変形して回避すると、サイクロプスの足元に置き土産のボムを複数配置して退避した。
数秒後、ボムが一斉に起爆する。ボムを武器だと思っておらず、油断していたサイクロプスは爆風に足を取られて仰向けに転倒するのだが、その視界には自分の頭に向けられたアームキャノンの砲口が映る。
「終わりだ」
発射されたチャージビームがサイクロプスの眼球に吸い込まれる。眼球は一瞬で蒸発し、増幅されたビームのエネルギーによって内側から膨れ上がった頭部が風船のように破裂した。この時、サイクロプスは“金剛”を使用していたが、その効果は眼球に及ばなかったようだ。
直後、ハジメが倒した二体のサイクロプスの体が粉末状に崩れ落ち、それぞれが倒れていた場所には拳大の魔石が残されていた。
(この形、まさか……)
ハジメは二つの魔石を回収すると、扉にある窪みに嵌め込む。すると、赤黒い光が魔法陣に走り、魔力が供給される。何かが割れるような音の後、少し扉が開いた。
扉の隙間から中を覗き込むと、そこは光源の無い暗黒の世界だった。そこで、ハジメは“夜目”を発動して暗闇に適応する。
その中は大理石のように艶やかな石造りになっており、幾本もの太い柱が規則正しく二列になって並んでいる。その部屋の中央にあるのは、光沢のある巨大な立方体の石が置かれていた。ズームして石をよく見ると、ハジメはその石の中央から人間の上半身が生えていることに気が付いた。
(人間……!?)
「……だれ?」
弱々しい女の子の声が聞こえてくる。
声の主は下半身と両手が立方体の中に埋められており、長い金髪が垂れ下がっている。その髪の隙間から覗いているのは、低高度の月を思わせる紅の瞳。年齢はおそらく十二、三歳くらいだろう。そして、美しい容姿をしていた。
「君は……何者だ?」
迷宮の奥に封印されているのだから、危険な存在の可能性がある。ハジメはアームキャノンを向けて警戒しながら問いかけた。
スペースパイレーツはマザーブレイン主導の元、強化兵士計画を推し進めていた。対銀河連邦軍は勿論のこと、腕利きのバウンティハンターや南雲ハジメに対抗するためだ。
この強化兵士計画だが、サイボーグ化と肉体強化の二つの側面から進められている。サイボーグ化は文字通り、生身を機械化することによる強化である。肉体強化はあくまでも生身のままの強化であり、肉体を変質させるものとなっている。
肉体強化の際に使用されるのは、とある放射性物質だ。とある星で発見されたこの物質は、それを取り込んだ生物の体力や筋力を増幅させる効果がある。だが、多量の放射性物質を体に取り込むことは死と隣り合わせの行為であり、急激な変化に耐えられずに死亡するか、死亡しなくとも脳神経がイカれて廃人コースである。
パイレーツは実験で大量の死者と廃人を生産していたのだが、そんなある日、異世界からの使者が現れ、魔法という技術が発展している世界のことをマザーブレインは知る。そして、魔力というエネルギーに目を付けた。
魔力には物体や肉体を強化する効果がある。マザーは高濃度の魔力を注入して予め被験者の肉体を強化した上で、例の放射性物質を投与する方式に切り替えた。高濃度の魔力を注入する時点で死亡する個体もいたが、放射性物質よりも死亡率は低かった。魔力による強化が施された被験者は放射性物質に対する耐性も上がっており、当初よりも死亡率は下がっている。
あの時、MBが檜山に投与した光球は例の放射性物質を塊にしたものであり、檜山は元々魔力によって肉体が強化されていたため、魔力注入は省かれていた。死亡する可能性がある代物であるが、檜山は肉体強化に適合している。すぐ死ぬチンピラのようなキャラの彼が肉体強化に耐えるなど、一体誰が予想できただろうか。
「目が覚めたようですね、檜山大介。気分はいかがですか?」
「チッ、ふざけやがって……あんなに苦しいとか聞いてねえぞ……だが、体から力が溢れてくる感じがする……いいぜ、これなら天之河の野郎をブッ飛ばせるなぁ……」
MBを睨み付ける檜山だったが、体内から力が沸いてくるのを感じたことで、態度を一変する。
「取り敢えず、適合したようですね。そんなあなたに贈り物があります」
部屋が明るくなり、円筒形の透明なカプセル型のユニットが姿を現す。人が一人収まるサイズであり、中には緑色を基調とするパワードスーツが鎮座していた。
「こいつは何だ?」
「あなた専用のパワードスーツです。強化されたとはいえ、あなたは地球人種に過ぎません。耐久力の面で不安があるため、これを贈らせていただきました」
それは、マザーブレインが開発したパワードスーツだった。基本性能だけならハジメのパワードスーツに匹敵している。全身を緑色の装甲で包み、ヘルメットの前面を黄色のバイザーで覆い、後頭部には赤いポニーテール状のパーツが存在していた。
武装は右腕から展開する鎌状のビームブレードと、バトルハンマーという拳銃型の飛び道具だ。バトルハンマーは別の世界線ではエネルギー弾を撃つ武装であるが、ここでは生体エネルギーを変換した大口径実体弾を放つ武装となっている。
「俺専用のパワードスーツ……こいつで俺は最強だ! フ、フハハハハッ!!!」
(やはり、檜山大介は愚かな男です。最終的には南雲ハジメにでも始末してもらいましょう……)
「檜山大介、あなたにはこのパワードスーツを運用するための訓練をしていただきます。扱うことができなければただの棺ですので……」
スペースパイレーツの手によって強化兵士となった檜山。渋々ながらも訓練を終えた後、彼はパイレーツ戦闘部隊を率いて殺戮に加担していくことになる。彼の運命やいかに……
この話で言及した放射性物質ですが、フェイゾンではないのでご安心?ください。フェイゾンを出したら流石に世界が終わるのでね……