鳥人族の後継者は世界最強   作:ウエストモール

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メトロイドプライム、メタリドリーを倒すところまで来ました。四回目の挑戦でようやく勝利できた……


22話 溶岩竜

 後継者仕様となったグリューエン大火山は危険度が上がっていた。

 

 通路のあちこちにはトラップの火炎放射器が配置され、パワードスーツにダメージを与える程の火炎を一定のインターバルで放射して行く手を阻んでくる。

 

 特にマグマの上に浮かぶ足場の近くに設置されていることが多く、タイミングを合わせて足場から足場に飛び移らなければならない。場所によっては空中と地面の両方のマグマから顔を出したタツノオトシゴのような魔獣の攻撃も同時に来るので、気を抜くことはできない。

 

 ちょうど、ハジメ達が進んでいるのは多数の足場がマグマの上に浮いている場所であり、火炎放射器や魔獣の攻撃を掻い潜りながら別の足場に飛び移っていた。

 

『グラップリングビーム、オンライン』

 

 左手と一体化しているデバイスからロープ状のビームを斜め前の天井に撃ち込み、ジャンプでは到達できない程に離れた足場へターザンのように飛び移る。

 

 着地した瞬間を狙って空中のマグマから顔を出した海馬モドキが火炎弾を放ってくるが、体を少し傾けることで回避すると、アイスビームで反撃する。標的は瞬時に凍結し、足場の上に落下して砕け散った。

 

「ユエ、来ていいぞ」

 

 足場の周囲を“気配感知”も駆使して警戒し、安全を確認したハジメは対岸のユエを呼ぶ。ユエは頷くと、ローラーダッシュで勢いを付けて空中に飛び出す。それではハジメのいる足場に届かず、重力に引かれて高度が下がっていくが、心配はご無用だ。

 

「“来翔”」

 

 ユエは風属性魔法を発動し、自身の周囲に上昇気流を発生させた。ユエが軽いこともあり、上昇気流は彼女の体を容易に持ち上げる。上昇気流を使った擬似的な二段ジャンプにより、ユエは無事に対岸に渡った。

 

 やがて、踏み外したらマグマ真っ逆さまの足場エリアの先にあったブルーゲートを通過し、マグマが全く存在しないエリアに出る。そこを進んでいく二人だったが、接近してくる気配があった。

 

「ユエ、前方から何か来るぞ」

「ん……」

 

 やがて、通路の向こうから蟹のような魔獣が姿を現す。ハサミとなっている第一歩脚が大きく発達し、それ以外の歩脚は殆ど退化しているような状態だ。一対の複眼は蜻蛉のようであり、胴体に完全に埋め込まれている。だが、問題はその胴体の幅がニメートル近くあるような巨体であり、それが浮遊しているということだ。

 

「こいつは……ゼーベスに似たような奴がいたな……」

 

 ゼーベスにいた似たような奴というのは、高温地帯のノルフェアに生息するゲルーダという飛行生物のことだ。硬い甲殻を持っている蟹のようなクリーチャーであり、体内の高熱エネルギーを放出することで飛行し、ハサミを振りかざして突進してくるのだ。

 

 この蟹モドキもゲルーダと同じ特性があり、固有魔法によって生成された高温エネルギーを放射することで空中を飛び回る。蟹モドキは二人を発見すると、空中を突進してきた。

 

「俺が防ぐ。魔法の準備を」

 

 ハジメはユエの前に出る。両腕のハサミを振りかざしてくる蟹モドキに対して高速でアームキャノンを振り上げ、突進を弾き返す。普通ならここからハジメが反撃するのだが、ここではユエが反撃の担当だ。

 

「“瞬凍”」

 

 ユエが魔法名を呟いたのと同時に発射されたのは、超低温の冷気を圧縮した冷却弾。アイスビームと同等の効果を発揮する氷属性魔法であり、ユエのオリジナルだ。

 

 ユエの冷却弾によって瞬時に凍結させられた蟹モドキは、地面に落下したのと同時に爆発した。体の表面が凍結したことで高熱エネルギーを逃がす場所がなくなり、甲殻が内側からの圧力に耐えられずに砕け散ったのだ。

 

「よくやった、ユエ」

「ん……これくらい当たり前」

 

 ハジメはユエの頭をヘルメット越しに撫でようとするのだが、ハジメの手はアームキャノンに添えられる。そして、通路の奥にキャノンを構えた。

 

「ユエ、新手だ。しかも、複数体……」

 

 通路の奥から現れたのは、先ほどの蟹モドキも含めた魔獣の集団であり、今までの階層に出てきたものを強化したような個体もチラホラ見受けられた。

 

「ん……複数種類による集団……ちょっと面倒だけど負けるつもりはない」

「あぁ。やるぞ、ユエ」

 

 ハジメとユエは、前方より迫る魔獣の集団に対して攻撃を開始した。

 

 

 

 

 

「“風刃”……“氷槍”……“雷槍”……」

 

 ローラーダッシュ特有の甲高い駆動音を響かせながら、ユエは魔獣の集団を高機動で翻弄して魔法を叩き込んでいく。魔法の天才であるユエの魔法は本来のものより高い火力を持っており、強化された魔獣であっても一撃で倒されてしまう。

 

 その背後からコウモリ型の魔獣が迫るが、別の場所で戦っていたハジメが反応し、チャージビームで撃破する。

 

「ありがとう、お父様。後ろから来てる」

「あぁ、お互い様だな」

 

 ハジメが咄嗟にしゃがむと同時に、ユエの放った氷の槍がハジメの背後の蟹モドキに突き刺さり、内側から凍結させる。二人は互いの背後をカバーする形で連携し、魔獣の集団を蹴散らしていった。

 

 散発的に襲ってくる魔獣と交戦し、トラップを回避しつつ二十五階層ほど降りていったハジメ達。グリューエン大火山の三十五階層に到達したわけなのだが、そこには大きなマグマの池が存在していた。

 

 ハジメとユエがマグマ池の畔に接近した時、急に巨大な気配が池の中に出現する。そして、マグマから飛び出てきた巨大な長い腕がハジメ達に迫ってきた。

 

「逃げろ!」

 

 ハジメは咄嗟にユエを突き飛ばす。そのお陰でユエは腕から逃れられたが、ハジメは巨大な腕に捕まってしまった。しかも、両腕を自由に動かせない状態である。

 

「くっ……!」

 

 長い腕によって振り回されるハジメ。常人であれば気絶してしまうような勢いであったが、ハジメは意識を失うことはなく、自身を掴んでいる手の中でチャージビームを放って拘束を解除すると、マグマ池の畔に着地した。

 

「お父様、大丈夫? 私なら普通に避けられたのに……」

「すまない。体が勝手に動いてしまった。どうやら、咄嗟にユエを庇う癖があるらしい」

 

 オルクス大迷宮を攻略していた時、ハジメは結構な割合でユエを庇っていた。装備も充実している今となっては庇う必要性が下がっているのだが、父親として子を守る意識は根強く残っているらしい。

 

 やがて、先ほどの長い腕の本体がマグマ池の中から姿を現す。長い腕に比例するように体は巨大であり、上半身だけをマグマから出してハジメ達を見下ろしていた。

 

「溶岩竜……とでも呼ぶべきか」

 

 溶岩竜の長い両腕は鞭のようにしなり、胴体から伸びている首は首長竜のように長い。首の先についている頭部には牛のような二本角があり、両目は飛び出ているなど、その全てが特徴的だった。完全に異形である。

 

 溶岩竜は長い首にある赤く発光する放熱孔から蒸気を噴出すると、縄張りの侵入者に対して咆哮した。

 

「ギエェェェェェェッ!!!」

 

 咆哮の後、溶岩竜は長い腕を沿岸に叩き付けるとそのまま横方向に打ち払い、侵入者を磨り潰そうとするが、二人は跳んで回避すると攻撃を始める。

 

『ノーマルミサイル、オンライン』

 

「“氷槍”!」

 

 ミサイルと氷の槍が主の体表に直撃するが、その強固な体表は攻撃を一切受け付けない。溶岩竜の耐久力はこれまで出てきた小型の魔獣をゆうに超えており、ミサイルは勿論のこと氷属性魔法を受けても平然としている。

 

 さらに、周囲のマグマに腕を突っ込み、腕を引き抜くと同時に複数のマグマの塊を飛ばしてくる。マグマの直撃を受ける訳にはいかないため、ユエはローラーダッシュで、ハジメは背面ブースターを噴射することで回避した。

 

『お父様。あの魔獣、体の孔から蒸気をずっと出してる。もしかすると、その孔が弱点かも』

『そのようだな。おそらく、放熱するための孔だろう。ピンポイントでそこを突けば、ダメージを与えられるかもしれない』

 

 互いの距離が離れてしまったため、ヘルメットに装備された通信機で会話する二人。攻撃を回避しつつ観察していたところ、溶岩竜の放熱孔は首と両手の甲、頭頂部にあることが判明していた。

 

『首と手の甲にある放熱孔を攻撃したところで致命傷にはならないだろうが、頭頂部なら致命的なダメージを与えられるはずだ』

『でも、頭頂部の孔に攻撃が届くかどうか』

『大丈夫だ。作戦は考えてある……』

 

 ハジメの立てた作戦に基づき、二人は動き始めた。薙ぎ払い攻撃と飛来するマグマの塊を続けて回避すると、ハジメがチャージアイスビームを首の放熱孔にぶつける。

 

(凍れ!)

 

 アイスビームが直撃した瞬間、溶岩竜は怯む。そして、放熱孔から噴出されていた蒸気が凍りつき、放熱孔も含めた首の大半が氷に覆われた。

 

「“緋槍”!」

 

 ユエが凍結した放熱孔に炎の槍を直撃させる。アイスビームの効果で超低温になった所に高温の攻撃が直撃したため、その温度差もあって大きなダメージが入った。

 

「グガァァァァァァ!!!」

 

 矮小な人間風情の攻撃でダメージを受けたことに怒り狂い、鼻と頭頂部から激しく蒸気を吹き出しながら咆哮する溶岩竜。

 

 両腕に炎を纏わせ、そのまま地面に叩き付けるのだが、同時に二人の足元が赤熱化する。嫌な予感がして退避した直後、そこから火柱が発生した。

 

『ユエ、足元に気をつけろ!』

『んっ!』

 

 溶岩竜は両腕を交互に激しく叩き付けていき、叩き付ける度に二人の足元から火柱が発生する。ユエはいつも通りにローラーダッシュで、ハジメはブースターを噴射しながらの連続側宙で全て回避していく。

 

 やがて、怒りのままに激しく動き続けたツケが回ってきたのか、疲弊した溶岩竜は手を地面に置いたまま動けなくなる。手の甲の赤く光る放熱孔からは絶えず蒸気が吹き出しており、激しい動きで体内の温度が上昇し過ぎたことが窺える。完全に無防備であり、攻撃のチャンスだ。

 

(今だ!)

 

 手の甲の放熱孔にチャージアイスビームが直撃し、蒸気の凍結によって腕が地面に拘束される。ハジメは拘束された腕に接近すると、長い腕の上を駆け抜けて溶岩竜の頭部に到達した。

 

(こいつで終わりだ!)

 

 アームキャノンが唸りを上げ、内部でアイスビームが増幅されていく。溶岩竜が片方の手でハジメを払い落とそうとするが、高く跳躍して回避。再び着地すると放熱孔にキャノンを突き刺し、増幅されたエネルギーを解放した直後に退避する。

 

「ギエェェェッ?!」

 

 致命的なダメージを受けた溶岩竜は悲鳴を上げ、身体中から爆発が発生する。長い腕がちぎれ飛び、腹部が破裂し、ついには頭部が吹き飛ぶ。溶岩竜の死体はゆっくりとマグマに沈んでいった。

 

「ん……終わった?」

「あれで生きていたら逆に怖いぞ……」

 

 溶岩竜が完全に沈んだ後、マグマ池の水位が徐々に下がりはじめる。やがて、池のマグマが全部抜けるのだが、その底はかなり深いものであり、そこにはアイテムが配置されていた。

 

「ユエ、少し待ってろ。アイテムを取ってくる」

 

 ハジメは斜面を滑り降り、アイテムのある底まで到達する。そして、アイテムに触れた。

 

『シーカーミサイルを入手しました』

 

『シーカーミサイルは、最大五発の高威力小型ミサイルを斉射し、複数のターゲットに命中させる能力です。入手時、ミサイルの最大保有数が十発増加します』

 

 ハジメが新たに入手したアビリティは、シーカーミサイルだった。複数の標的に対して同時に高い火力を叩き付けることが可能なこのアビリティは、ハジメに高い殲滅力を与えてくれるだろう。

 

 新たなアビリティの獲得後、ハジメとユエは再び動き出す。これ以降、特に何事もなく三十五階層の探索を終えると、発見した次の層へと続くエレベーターに乗って降下していった。




溶岩竜の元ネタはメトロイドOtherMのゴヤケードですが、改変した部分もあります。
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