鳥人族の後継者は世界最強   作:ウエストモール

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前作のコピペになっている部分が多いですが、加筆訂正した部分も結構あります。


25話 ハウリア族を救え

 外では襲われる危険性がある為、ハジメはシアをジャガーノートに収容して話を聞くことにした。右側にあるユエの席の向かい側に席が増設され、そこにシアは座る。ハジメはスーツを解除しており、シアはハジメが人間族であることに驚いていた。

 

 シアはウサミミと少し青みがかったロングの白髪が特徴的な少女なのだが、それ以上に存在感があるものを持っていた。それは、彼女が動く度に揺れる二つの双丘。シアは巨乳の持ち主だった。

 

 ユエはシアの巨乳をガン見しており、その視線には嫉妬が込められていた。自分の小さな胸と見比べているユエは、余程シアの巨乳が羨ましいのだろう。

 

「今までの経緯を聞かせてもらおうか」

 

 そして、シアに対する事情聴取が始まる。

 

「改めまして、私は兎人族ハウリアの長の娘シア・ハウリアと言います。実は……」

 

 シアは改めて名乗ると、今までの経緯を語り始めた。それを要約するとこうだ。

 

 【ハルツィナ樹海】に住んでいる兎人族の一派、シア達ハウリア族は数百人規模の集落を作って暮らしていた。兎人族は聴覚と隠密行動に長けた種族なのだが、その他の能力に関しては他の亜人族よりも劣っていたために見下されており、フェアベルゲンの長老会議に代表を派遣することが許されていなかった。

 

 争いを嫌う温厚な彼らは一つの集落全体を家族として扱っており、仲間同士の絆が特に強い種族であった。また、特に女性や少年は可愛らしい容姿をしており、人間の国では愛玩奴隷として高い値が付けられる。

 

 ある日、そんなハウリア族に異常な女の子が生まれた。本来ならば、彼らは濃紺の髪をしているのだが、その子は青みがかった白髪であった。何よりも問題だったのは、その子が亜人族にないはずの魔力を持っており、直接魔力を操る能力と、とある固有魔法を使うことができたということだ。

 

 その女の子こそがシア・ハウリアである。つまり、シアはユエと同類であったのだ。それを聞いた瞬間、ユエはハッとした表情になった。

 

 彼女の固有魔法は“未来視”というものであり、「〇〇したらどうなるか?」という風に仮定した選択の結果としての未来を見ることができる。ただし、一回の使用で魔力が枯渇してしまうらしい。また、危険が迫っている際に勝手に発動することがあるが、その場合は通常の三分の一の魔力しか使わないらしい。

 

 そして、魔獣と同じ力を持つ子が生まれたことに、ハウリア族は困惑した。普通であれば迫害されることは間違いないのだが、彼らは仲間や家族の絆が深い種族であったためにシアを見捨てるようなことはせず、隠して育てることにした。

 

 樹海深部のフェアベルゲンでは、発見した魔獣は速やかに殲滅しなければならないという規則があり、魔獣がどれだけ忌み嫌われているか分かるだろう。そんなフェアベルゲンにシアの存在が露見すれば、間違いなく処刑されてしまう。また、魔力を持つ他種族が樹海に侵入した際には、すぐに抹殺することが暗黙の了解となっている。

 

 ハウリア族は十六年もの間彼女を隠して育てていたのだが、つい最近になってシアの存在がフェアベルゲンに露見してしまった。そして、ハウリア族は全員で樹海から脱出した。

 

 行く先の無い彼らが目指したのは、北の山脈地帯。未開地なのだが、山の幸があれば生きていけると彼らは考えた。人間に捕まって奴隷になるよりはマシだと思ったのだろう。しかし、運悪く彼らは人間族の国家であるヘルシャー帝国の部隊に見つかってしまった。

 

 一個中隊と出くわしたことで、やむを得ず南に逃走するハウリア族。女子供を逃がすため、男達が勇敢にも立ち向かっていくのだが、訓練された兵士との戦力差は歴然であり、半数程が捕らわれることになった。

 

 最終的に、魔法の使えないライセン大峡谷に逃げ込むことで帝国から逃れることができた。しかし、帝国軍は大峡谷の入口に陣を敷いてしまった。ハウリア族が大峡谷の魔獣に襲われて出てくるのを待っているのだろう。

 

 やがて、ハウリア族は魔獣に襲われる。食われる前に帝国に投降しようとしても、魔獣に回り込まれてしまい、大峡谷の奥に逃げるしかなかった。

 

 絶対絶命の状況に置かれた最中、シアは“未来視”で自分達を助けてくれるバリアスーツを纏ったハジメの姿を見る。シアが単独行動していたのはハジメに助けを求めに行くためであり、その途中でゼーベス星人と遭遇し、ハジメに助けられるに至る。

 

「気がつけば、六十人いた家族も今は四十人しかいません。このままでは全滅です、どうか助けて下さい!」

 

 シアは悲痛な表情で懇願した。

 

「状況は理解した。君の家族を助けてもいいと思っているが、条件を付けさせてほしい」

「条件……ですか?」

「あぁ。君達を助ける代わりに、樹海の案内人として雇ってもいいだろうか?」

 

 亜人族以外の種族は、樹海において必ず迷うと言われている。そのため、樹海を移動する際は亜人族の協力が不可欠であった。

 

 だが、普通に考えて人間族に協力してくれる亜人族など居るはずがない。奴隷を使う手もあるだろうが、それではフェアベルゲンからの印象が悪くなるだろう。

 

 そこで、ハジメはシアを利用することにした。彼女の家族を助ける代わりに、彼女達に樹海を案内してもらおうというのである。

 

「もちろんです! 家族を助けてもらえるなら、樹海の案内だって何でもします!」

「なら、交渉成立だ」 

「あ、ありがとうございます! これで家族を助けられますよぉ……」

 

 ハジメが右手を差し出すと、シアはその手を取って感謝しながら大粒の涙をポロポロと流す。

 

「状況は刻一刻と悪化していくだろう。シア、家族の場所は分かるな? 今すぐ救助に向かうぞ」

「はい。お願いします、ええと……」

「ハジメだ。こっちはユエ」

「ん……よろしく」

「ハジメさんとユエさんですね。二人とも、よろしくお願いします!」

 

 ハジメはハウリア族を救助するため、ジャガーノートを発進させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え? ユエさんも私と同じように直接魔力を操れたり、固有魔法が使えるんですか?」

「ん……」

 

 シアの家族を助けに行くためにジャガーノートで移動中、シアはユエと後部座席で会話していたのだが、そこでユエが自身と同類の存在である事実を知る。

 

 すると、シアは目を輝かせてユエの小さな手を両手で包み込み、こう言った。

 

「ユエさん! 私とお友達になってくれませんか?」

「お友達……? 私、友達との付き合い方が分からない……」

 

 今まで、ユエには友人と呼べる存在は皆無だった。一応、王族だったユエには遊び相手のような存在はいたらしいが、遊び相手として与えられた存在であったために友情が育まれることはなく、先祖返りで力に目覚めて王位に就いてからは両親を含めた周囲から畏怖や尊崇の念を向けられ、友人のように接してくれる者はいなかった。

 

 そして、叔父に裏切られて王座を奪われ、オルクス大迷宮の地下深くに封印されてから三百年間、全く身動きを取れないまま誰とも接することなく孤独な状態だった。そこから解放してくれたハジメのことは父親として、戦士として尊敬しており、友人ではない。そこに現れたのが、シアだった。

 

「でしたら、私が最初のお友達になります! 人はみんな違う存在なんですから、付き合い方は少しずつ理解していけばいいんです」

 

(まるで、太陽みたい……)

 

 ユエはシアのことを太陽のような存在だと評価した。シアは自身と正反対な明るい存在であり、光を放っているように見えたからだ。月とは異なり、太陽は自ら輝く。自身が月なら、彼女は太陽だとユエは考えた。

 

(もっと、シアのことを知りたい……)

 

 ユエは、寡黙な自分と正反対なシアという存在に感心を持った。自分と異なる存在について知ることで、何か変われるのではないかと。

 

「ん……私、シアと友達になりたい。これからよろしく、シア」

「はい! よろしくです!」

 

 二人は握手する。その時のユエはいつもの無表情ではなく、微笑んでいた。

 

(これでよし……)

 

 一方、二人の会話に聞き耳を立てていたハジメは、ユエが新しい人間関係を構築できたことに安堵していた。

 

 元々、ハジメはユエに自分以外の様々な人と関わってほしいと考えており、その第一歩として選ばれたのがシアである。ユエのことをここまで気にかける辺り、ハジメは親バカなのかもしれない。否、親バカだ。

 

 やがて、ジャガーノートはシアの家族が隠れている辺りに到達する。

 

「ハジメさん! あそこです!」

 

 いつの間にか操縦席のすぐ後ろに来ていたシアは、座っているハジメの上に身を乗り出して前方を指差す。頭の上にシアの巨乳が乗る状態になったが、ハジメは動じない。

 

 フロントガラス越しに見えたのは、岩場に身を潜めるハウリア族達のウサミミだった。その数から推測するに間違いなく二十人はいる。四十人いるとシアは言っていたため、見えない部分に残りの二十人がいるのだろう。

 

 そんなハウリア族を上空から狙っているのは、ワイバーンのように前脚と翼が一体化している飛行型の魔獣であり、体長は五メートル程であり、長い尾の先にはモーニングスターのような棘のついた膨らみが存在していた。

 

「ハ、ハイベリア……」

 

 それを見たシアの声は震えており、怯えていることが分かる。どうやら、あの魔獣はハイベリアというらしい。そのハイベリアが六頭、ハウリア族が隠れている岩場の上を旋回していた。

 

「ハジメさん、お願いします!」

「任せろ」

 

 ハジメはジャガーノートの上部にあるハッチを解放して外に出ると、白い光に包まれてバリアスーツを装着する。そして、コンバットバイザーでハイベリアを捕捉してアームキャノンを構えた。

 

 それと同時に、一頭のハイベリアが動く。ハウリア族が隠れている大岩に急降下すると、縦に一回転して勢いを付け、その勢いのまま遠心力を乗せて尻尾の先端を大岩に叩き付けることで、その大岩を粉砕する。隠れていたハウリア族は悲鳴を上げて飛び出した。

 

 ハイベリアは地面に這いつくばる獲物に対し、その大顎を開いて襲いかかる。奥の方でも同じ事態が起こっており、それも合わせて合計二体のハイベリアが地上の獲物をロックオンしていた。

 

 しかし、ハイベリア達は知らなかった。獲物としてロックオンされているのは、自分達の方であったということを。

 

ドォンッ! ドォンッ!

 

 突如として飛来する、光の尾を引く二発の飛翔体。一発目は手前の個体に、二発目は少し遅れて奥の個体に突入する。爆音が二連続で峡谷に響き渡り、標的は肉片に変わった。

 

「な、何が……?」

 

 ハウリア族の一人が呆然としながら、自分達に襲いかかろうとしていたハイベリアが一瞬で肉片となり、その肉片の雨が周囲に降り注ぐ光景を見て呟く。

 

 飛翔体は更に飛来する。仲間がやられたことで警戒していたハイベリアであったが、音速で突っ込んでくる飛翔体に反応できず、さらに二体の肉片が増えた。

 

「だ、誰か……向こうから来るぞ!」

 

 誰かが叫ぶ。全員の視線が飛翔体が飛来してきた方向に向く。そこから姿を現したのは、右腕にアームキャノンを備えたパワードスーツの戦士。ハウリア族もハイベリアもその姿に釘付けになっており、それは現れただけでこの場を支配していた。

 

 だが、それが仲間を肉片に変えた存在であると判断した残り二体のハイベリアは、咆哮を上げてパワードスーツの戦士……ハジメに攻撃を仕掛けていく。

 

(取り敢えず、死者は出ていないようだな)

 

 ハウリア族の状態を確認しつつ、ハジメはハイベリアに対応する。

 

 先に向かってきた個体が大岩を割る威力を誇る尻尾叩き付けを繰り出してくるが、ハジメは冷静にアームキャノンを振るって弾き、お返しにチャージビームを叩き込む。

 

 もう一体の方については、急速に接近して尻尾を掴んで地面に叩き付け、踏みつけることで動きを封じ、頭部をチャージビームで吹き飛ばした。

 

「周辺に脅威なし。オールクリア」

 

 直後、ジャガーノートがハジメの背後で停車し、そこからシアが飛び出てきた。

 

「シア! 無事だったのか!」

「父様!」

 

 出てきたシアに真っ先に声をかけてきたのは、濃紺の髪をした初老の兎人族の男性。ウサミミを生やしたおっさんという微妙な組み合わせである。シアは父親と抱きしめ合い、涙を流しながら互いの無事を喜ぶ。そして、シアは今までの出来事を父親に説明した。

 

 ハジメとユエはその様子を温かい目で見守っていたのだが、互いの話が終わったのかシアとその父親が近づいてきた。

 

「ハジメ殿、ユエ殿でよろしいか? 私はカム・ハウリア、シアの父でハウリア族の族長をしております。この度は我々を救ってくださり、ありがとうございます。この恩、一族総出で返させて頂きます」

 

 カムと名乗ったハウリア族の族長は、ハウリア族一同と共に深々と頭を下げた。

 

「それには及ばない。こちらとしては、樹海の案内さえしてもらえれば十分だ。しかし、亜人族は人間族に対していい感情を持っていないと聞いていたが……」

 

 彼らは人間族によって仲間を失っており、更には峡谷に追い詰められている。それにも関わらず、彼らは人間族のハジメに対して一族総出で恩を返す意志を示した。生き残るにはそれしかないと割り切っている可能性もあったが、彼らからは嫌悪感のようなものが一切見えなかった。

 

 ハジメの疑問に対して、カムは苦笑いで返す。

 

「シアが信頼する相手です。ならば、我らも信頼しなくてどうします。我らは家族なのですから」

 

 ハジメは思った。彼らは警戒心が薄すぎると。彼らが一族全体を家族として扱うほど絆の深い種族であることは知っていたが、仲間が信頼しているからといって初対面の人間族を信用するとは、人がいいにも程がある。だが、簡単に信用してもらえるに越したことはない。

 

「ところで……聞きたいことがあるのだが、構わないか?」

「えぇ、答えられる範囲でしたら」

「鳥人族……またはチョウゾという種族に聞き覚えはあるか?」

 

 ハジメがそんなことを聞いた理由。それは鳥人族を亜人族がどれ程度まで認識しているか調べるためである。予言が失伝している可能性もあり、フェアベルゲンとの無意味な争いを避けるためにも必要なことだった。

 

「鳥人族ですか。勿論、知っております。かつて、フェアベルゲンの前身だった亜人族の国が滅亡の危機に瀕した際、鳥人族の助力で乗り越えたという話が語り継がれていますので」

 

 さらに、カムはこんなことを語った。

 

「そういえば、小耳に挟んだ程度の話なのですが、各種族の長老には鳥人族に関するとある予言が伝わっているそうです。内容までは分かりませんが」

「なるほど、それを聞いて安心した」

 

 鳥人族の予言は忘れられていない。そのことに安堵するハジメであった。それと同時に、亜人族の長老達に会う必要があると考えた。

 

「もしかして、ハジメ殿は鳥人族と関係があるのですか? 着ている鎧が鳥人族のものに良く似ていましたので」

「関係もなにも、俺の鎧……パワードスーツは鳥人族が作った代物だ。俺自身、彼らに育てられ、彼らの因子を受け継いでいるからな」

 

 ハジメが鳥人族の関係者であるという事実に、ハウリア族の間に衝撃が走り、普段なら静かな筈のライセン大峡谷が騒がしくなった。




☆ゼーベス星人
スペースパイレーツの中でも惑星ゼーベスを本拠地とする連中。体の色は赤く、茹でられたカニにも見えなくない。その甲殻は一般的な銃火器による攻撃を容易に弾き、ハサミから放つビームは人間の体に大穴を開ける程であるが、パワードスーツを着用したハジメの敵ではない。ザコ敵扱いなので沢山出てくる。

前話でゼーベス星人の情報を載せるのを忘れてました。
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