鳥人族の後継者は世界最強   作:ウエストモール

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前の作品よりもクラスメイトとの絡みを増やしました


3話 異世界召喚

 あれから一年が経過した。ハジメは二年生となり、クラスも新しいものとなったのだが、相変わらず香織と同じクラスであった。更に、いざこざの火種となりそうな生徒が何故か集まっていたが、その話は後回しにしておこう。

 

 一年の間、出会いも多かったが、その全てが良い出会いではなかった。校内の不良四人組に呼び出され、暴力を振るわれたので普通に返り討ちにしたり、香織の幼馴染を名乗るイケメンに絡まれて敵愾心を向けられたりするなど、面倒事もあった。

 

 ハジメと香織の距離は、以前よりも近づいていた。鈍感なハジメも流石に香織の好意には気付いており、友達以上の関係にはなっている。また、香織と関わることでハジメの人間関係も広がりを見せていた。

 

 ハジメとしては、香織を一度助けただけなのに、彼女が自分に好意を向けてくるのか疑問だった。あの一回を除けば、彼女と接触したのは全て校内であり、彼女に好かれるようなことは目の前でしていない。よくしている人助けの瞬間だって見られていない。

 

 ハジメは知らなかった。香織が自分のことを謎に高度な技術を駆使してストーカーしており、ハジメの行動は結構な割合で監視されていたということを。白崎香織という人間は、興味を持った相手に執着してしまう存在なのだ。

 

 香織がハジメのことを完全に好きになったのは、人助けをよくしているハジメの優しさを知ったからだ。なお、ハジメのことをストーカーして知ったというおまけ付きであるが…

 

 その気になれば二人は恋人の関係になれそうなものであり、ハジメも彼女のことが好きになっていた。だが……とある理由から友達以上恋人未満の関係に留めていた。

 

(彼女と俺は、生きる世界が違う…)

 

 平和な世界で暮らしてきた者と、戦いと隣り合わせの世界を生きてきた者。両者は決して完全に惹かれ合ってはならないのだと、ハジメは考えていた。また、船の修理が終わればハジメは戻らなければならない身であり、なおさら恋人関係になるわけにはいかなかった。そもそも、親密な関係になった時点で手遅れ感が半端ないのだが……

 

 それはさておき……ハジメのクラスメイト達からの評価は、大半は良いものであった。それは、普段のハジメの振る舞いから来ているものだ。

 

 ハジメは鍛錬と船の修理のために早寝早起きしており、決して授業中に居眠りをしないため、授業態度は良好だ。勉強について質問すれば分かりやすい説明をしてくれるし、運動神経も抜群である。そのお陰で、当初は香織と一緒にいるハジメに対して敵愾心を向けてきた男子生徒も、一部を除いて態度を一変させていた。

 

 敵愾心を向けてくる一部の馬鹿という火種を抱えている状況ではあるが、ハジメは平和な世界に馴染みはじめている。だが、その日常はある日を境にして崩壊することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 月曜日。それは、多くの人が憂鬱に感じる日であり、一週間の始まりの日である。だが、そんな日でもハジメは変わらない。

 

 この日もハジメの朝は早い。早起きするとスターシップの修復状況の確認へと真っ先に向かい、その場で戦闘訓練も行う。家に戻ると母が忙しい仕事の合間を縫って作り置きしてくれた朝食を食べると、そのまま学校に向かう。

 

「ハジメ君、おはよう!」

 

 教室に入ったハジメは、窓際の一番後ろにある自席に座って本を読んでいた。そこに、香織が歩み寄ってくる。

 

「おはよう、白崎さん」

 

 ハジメは香織に挨拶を返すのだが、四人の男子生徒からの敵愾心を乗せた視線が突き刺さる。彼らはハジメと因縁のある者達だ。檜山大介、斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の四人であり、以前ハジメに返り討ちにされた不良四人組だった。

 

 小悪党組と呼ばれている彼らはまだ懲りていないのか、敵愾心を向け続けている。まあ、ハジメは彼らを取るに足らない存在であると認識しているため、完全に視線を無視しているのだが。

 

 小悪党組の視線を無視して香織と会話を楽しむハジメ。だが、そこに少々面倒な乱入者が現れる。

 

「香織、今日もまた南雲に構っているのか? 恩人とはいえ、南雲も学校に慣れたはずだし、サポートはもう要らないと思う。本当に、香織は優しいな……」

 

 そんなことを抜かす彼は、天之河光輝。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人。それに加え、身長約180センチメートル、引き締まった体、サラサラの茶髪に優しげな瞳、強い正義感を持つモテ男。

 

 その特徴を聞くなら、彼は最高の人間だろう。だが、彼は思い込みが激しい人間だ。先ほどの発言もそうだ。

 

 光輝は、香織がハジメといつも一緒にいる理由を、学校に慣れていないハジメをサポートすること及び、校内に知人のいないハジメが一人にならないようにするためだと思い込んでいた。以前、ハジメに絡んできたイケメンとは彼のことだ。

 

 だが、香織は純粋にハジメのことが好きなのだ。校内の大半の人間はそれを理解しているが、彼だけは理解していなかった。

 

「光輝君、何言ってるの? 私は楽しいからハジメ君と話しているだけだよ?」

 

「え? ああ、本当に香織は優しいな」

 

 やはり光輝は分かっていない。結局、いつも通りの光輝だった。

 

「光輝、また南雲君に構って欲しいのかしら?」

 

 そんなことを言いながら、今度はとある女子生徒が現れる。彼女の名は八重樫雫。二大女神の片割れであり、香織の親友だ。身長172センチメートル、長い黒髪のポニーテール、侍を彷彿とさせる凛とした雰囲気。

 

 その雰囲気の通り、雫は剣道の大会で何度も優勝している猛者であり、彼女の実家は剣道場を営んでいる。ちなみに光輝もそこの門下生であり、彼女の幼馴染だ。そして、美少女剣士として取材をよく受ける彼女は、年下の女子から『お姉さま』と呼ばれて慕われている。

 

「し、雫!? 別に南雲に構って欲しいわけじゃ……」

 

 雫の発言が余程効いたのか、天之河は逃げるように去っていった。

 

「南雲君、うちの光輝がごめんなさいね」

 

「別に大丈夫だ。もう慣れた」

 

 雫はまるで光輝の母親かのようにハジメに謝罪する。彼女は暴走しがちな光輝のストッパーとしての役目を持っており、いつも苦労しているようだ。

 

「よっ、南雲。今日も光輝の奴に絡まれたみたいだな。ほんと、光輝は全くブレないぜ…」

 

「おはよう、坂上。天之河の奇行には慣れたが、ずっとあのままでは困る。叩いたら直ったりしないか?」

 

 また別の男子生徒が現れる。彼の名は坂上龍太郎といい、光輝の親友だ。短く刈り上げた髪、鋭さと陽気さを併せ持つ瞳、身長190センチメートル、熊のような大柄な体格が特徴的な脳筋野郎であり、努力や熱血、根性が大好きな人間だ。

 

「フッ、それで直るなら何度でも叩いてるぜ……。しかし、南雲の奴が冗談を言うようになるなんてなぁ。俺、感動してるぜ」

 

 当初、ハジメは冗談を全く言わない人間であり、真面目でつまらない人間という評価をされていた。だが、香織をはじめとする同級生と交流していくうちに、冗談を言うことを学んだのだ。

 

 これが、このクラスの名物とも呼べる毎朝の光景だった。皆、この日常がいつまでも続くと思っていた。しかし、今日ばかりはそうとはいかない。

 

 

 

 

 

 それは、昼食の時間の時だった。教室には、先ほどの授業の片付けをしている社会科教師の畑山愛子と、クラスの三分の二くらいの生徒が残っていた。

 

 この場にいない生徒は真っ先に購買に向かった者達であり、教室に残っているのは弁当を持ち込んでいる者達だ。

 

「ハジメ君、今日も作ってきたよ」

「ありがとう、白崎さん」

 

 そんな中、香織がハジメの席にやって来る。両手に持っているのは二つのお弁当箱であり、それを机の上に置くと、当たり前のようにハジメの目の前に近くの椅子を持ってきて座った。

 

 香織はハジメの弁当を作るだけに留まらず、一緒の席で昼食を食べる関係でもあった。そのため、クラスメイト達は二人が恋人の関係であると認識している。

 

「やっほー、カオリン。今日も南雲君のために愛妻弁当を作ってきたんだね」

 

 二人がいざ昼食を食べようとした時、香織と親しい女子生徒である谷口鈴が吸い寄せられるようにやって来た。

 

 彼女は身長142センチメートルというクラスの中で最も低身長であるが、その小さな体躯には無尽蔵の元気が詰め込まれており、短いツインテールが特徴的だ。よくピョンピョンと跳ねており、その愛らしさからマスコット的な存在として扱われている。

 

「鈴ちゃん!? べ、別にそんなんじゃないから! いつもハジメ君が楽しそうに食べてくれるから、作ってるだけで……」

 

 香織は必死に否定するが、手遅れである。

 

「あぁ…私もカオリンの愛妻弁当食べたいなぁ。本当に南雲君が羨ましいよ……」

 

 結局、いくら香織が否定したとしても愛妻弁当の判定であった。

 

「も、もう……愛妻弁当じゃないのに///」

 

 ハジメは『実質、愛妻弁当では?』という声が口から飛び出そうになったが、何とか飲み込んだ。

 

 その後、光輝が乱入してくるトラブルもありながらも、何とか二人はお弁当を完食する。だが、その直後に事件が起きた。

 

 突然、光輝の足元が光り始めたのだ。その光は、魔法陣に変化すると更に輝きを増していく。その異常事態には教室の全員が気がついたのだが、まるで金縛りに遭ったかのように魔法陣を注視していた。

 

「皆! 教室から出て!」

 

 魔法陣が教室の全体に広がった時、未だに教室に残っていた愛子先生が、すぐに教室から出るように叫ぶが、時すでに遅し。

 

 ハジメは教室から離脱することができなかった。窓を突き破って飛び降りれば脱出も可能だったかもしれないが、それでは香織を置いていくことになるからだ。

 

 その後、魔法陣から強烈な閃光が発され、光が消失した時には教室にいた者全てが何処かに消えていた。この事件は、白昼の教室で起きた集団神隠しとして世間を騒がせることとなる。

 




次回からようやく異世界です。
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