鳥人族の後継者は世界最強   作:ウエストモール

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久しぶりの戦闘回です


47話 迫る脅威

『スキャニング完了』

 

 ハジメはスキャンバイザーを起動し、目の前の大物を解析する。

 

『強化されたゼーベス星人と同系統の改造が施されていることを確認。強靭な四肢による高い機動力と近接攻撃、口からの火炎攻撃に注意してください』

 

『全身が頑丈な甲殻に包まれており、現在保有している武装は通用しませんが、顔面と胸部のコアらしき器官のみ脆弱性が確認されています』

 

『また、低温に対する耐性がかなり低く、アイスビームの使用を推奨します』

 

「パイレーツの新兵器……お前を破壊する!」

「ガァァァァ!!」

 

 解析が終わり、アームキャノンを向けながら挑発すると、立ち上がって二足歩行となったゼータが火炎弾を飛ばしてくる。それと同時にハジメはスタートダッシュを切り、火炎弾を躱して接近していく。

 

 ハジメを狙って黄緑色の火炎弾が次々と放たれるが、サイドステップを挟んで何度も方向転換し、ジグザクな動きで連続回避する。

 

(反応が早い……少しでも気を抜けば……)

 

 火炎弾の回避はギリギリだった。ゼータの反射神経や俊敏性はハジメに匹敵しており、かなりの強敵といってもいいだろう。なお、ハジメは攻撃を避けながらもミサイルをコアに叩き込んでいたりする。

 

 敵が至近距離に迫ったところで、ゼータは四足歩行に戻って火炎放射を繰り出してくる。それを予見していたハジメは跳躍してそれを飛び越え、アームキャノンによる打撃をお見舞いした。

 

「ガァァァ!?」

 

『アイスビーム、オンライン』

 

 ゼータの頭部が地面に叩きつけられ、少しばかり動きが止まる。ハジメはその傍に降り立つと、頭部を掴み、至近距離からアイスビームを叩き込むと、追い討ちのミサイルを連射していく。

 

 途中で正気に戻ったゼータが頭を振ったことでハジメは引き剥がされ、そこに横薙ぎのテールアタックが迫ってくるも、スライディングで避けて懐に潜り込む。

 

「くらえ」

 

 アームキャノンの砲口は青く輝いており、ビームには凍結効果が重ねがけされている状態だ。ハジメは目の前にある胸部のコアのような器官に対して、すれ違い様にアイスビームをぶちこんだ。

 

「ギァァァァ!?」

 

 急所のコアが凍結し、ゼータは悲鳴を上げて大きく怯む。ハジメが下をすり抜けた直後、その場から大きく飛び退いた。

 

「ガァァァァァァ!!!」

 

 ゼータは怒り心頭だった。今まで彼は自分にダメージを与えた存在と遭遇したことがなく、ここまでやられたことに怒りと恐怖を感じていた。そして、思った。目の前の存在を排除しなければならないと。

 

 怒りのままにハジメへと接近し、強靭な脚部で殴り殺そうとするが、それを見切ったハジメが繰り出したアームキャノンによる打撃で打ち上げられる。

 

 ここからハジメの猛攻が始まる。空中に浮いたゼータにミサイルを撃って滞空時間を伸ばし、尻尾を掴んで仰向けの体勢になるように地面へと叩き付けると、完全に剥き出しのコアにミサイルを連射する。

 

 ゼータも負けじと強烈な蹴りを放って引き離すと、怯んだハジメに飛びかかる。そのままハジメを押し潰したように見え、クラスメイト達の方からは悲鳴が上がるが……

 

「危ないな……」

 

 ハジメは片足だけでゼータの巨体を支えていた。コアは相変わらずキルゾーンに入っているのでミサイル連射が続き、ラストに最大チャージアイスビームをぶちかますと、身体強化を両足にかけて蹴り飛ばした。

 

「グアァァァ!?!?」

 

 ゼータが再び立ち上がることは叶わない。全身の甲殻は赤く変色し、コアからは激しく桃色の電撃が放出され、悲鳴を上げながら爆死した。

 

「討伐、完了……」

 

 

 

 

 

 時間をハジメがゼータを撃破する前に戻そう。ハジメ以外のメンバーは有象無象と称したスペースパイレーツと魔獣の混成部隊と戦っていた。

 

「さて、暴れる時間だ」

 

 清水はそう言いながら羽織っていたフード付きの黒ローブを一気に脱ぎ捨てる。その下から現れたのは体のラインが出るような服であり、ムキムキとなった彼の肉体が強調されていた。

 

 ロボットアニメのパイロットスーツと騎士の礼服を融合させたようなこの服は白色を基調としており、アクセントのように黒色の部分が所々にあったり、表面に金色のラインが走っていたり、肩に緑色のクリスタルが埋め込まれていたりと、かなりお洒落だ。

 

 これはティオが清水に与えた装備の一つで、竜人族がチョウゾテクノロジーや独自に発展させた技術を使って生み出した戦闘服である。竜人族が装備することが前提なので、彼らと比べてステータスの低い種族にはまず扱えないのだが、人外と化した清水には関係ない。

 

「まずはこいつを使わせてもらう!」

 

 虚空から現れた剣と銃が合わさったような形状の武器が清水の手に収まる。これも竜人族製で、その名を撃剣という。

 

 なお、急に武器が出現したのは竜人族が保有していた収納系アーティファクトによるもので、性能はハジメが作った劣化版宝物庫に近い。

 

 清水は次々と飛来するビームを回避しながら突撃し、撃剣の先端付近にある銃口からマシンガンのように光弾を放って倒していく。

 

「グギャァ!?」

 

 そして、近接攻撃の間合いに入ったゼーベス星人に対して撃剣を振るい、彼らの首と胴体を一撃で泣き別れにしてしまう。

 

「ウォォォォ!!」

 

 その背後からブルタールがメイスを振り下ろしてきたが、清水は高く跳躍して回避し、後方斜め上に移動すると撃剣に魔力を込めつつ振り下ろす。ブレード部分に魔力の刃が纏われ、背後から唐竹割りにしてしまった。

 

「おっと、強化型も来たか」

 

 そこに突っ込んできたのは強化型の黒い甲殻に全身を覆われたゼーベス星人。隊長クラスなので最前線に出ておらず、生き残っていたようだ。

 

 撃剣から放たれる光弾を頑丈な甲殻で耐えて接近し、通常型よりも高度な近接攻撃を仕掛けてくる。

 

「もう少し手加減とかないのか?」

 

 清水は文句を言いながらも中国拳法のような動きで激しい近接攻撃を捌いていく。放たれた前蹴りを剣の腹で受け止めると上方に振り上げて弾き飛ばし、その隙に彼は新たな武器を取り出した。

 

 空いている片手に掴まれたのは、スナイパーライフルと杖を合体させたような武器だ。名を狙杖といい、連射性能が低い代わりに威力が高いものとなっている。

 

「貫け!」

 

 清水は腕を跳ね上げるように狙杖を構え、敵の頭部に照準を合わせた。そして、最大の溜め射撃をお見舞いする。放たれた貫通力の高いレーザービームが空中を突き進み、敵の頭部を貫いた。

 

「賊徒共、覚悟せよ!」

 

 一方、ティオは“竜穿”を発動させていた。彼女は風の鎧を竜鱗で構成されるアーマーの上に重ね掛けし、竜翼をはためかせて超低空飛行で吶喊する。

 

 そのため、敵の飛び道具の殆どは頭上を流れていき、たまたま彼女に当たったとしても風の鎧で弾かれる結果に終わるだけだ。

 

 右手にはアーティファクトの剣である竜帝が握られ、両足と片腕は鋭い刃物のように変形している。膝と肘からも刃が生え、翼もブレード状になっているので、全身が凶器の状態である。

 

 いくつもの剣閃が空間を走る。四肢の刃がゼーベス星人を次々とバラバラにし、触れたものを全て傷付けていく。そして、刃と化した竜翼が接触した両側のブルタールを真っ二つにした。

 

 さらに、空高く舞い上がると二体の強化型に狙いを定めて急降下。両足は槍のように対象を貫くような形になっており、獲物を見つけた猛禽類のように向かっていく。

 

「はあっ!」

 

 ティオの鋭い足先が真上から突き刺さり、強化型ゼーベス星人の頭蓋をぶち抜く。脳髄をやられて生きていられる者はなく、呆気なく絶命した。

 

「流石です、お二人共! 私も負けてられないです!」

 

 シアは二人を称賛する。そんな彼女の周囲には物言わぬ骸となったゼーベス星人が何十体も折り重なって倒れており、たった今ブルタールをワンパンで撃破したところだった。

 

「ちょっとお借りしますね」

 

 自らが倒したブルタールからメイスを拝借するシア。一回転するようにしてメイスを振り回すと、一斉に飛びかかってきていたゼーベス星人の集団が弾き飛ばされた。中には強化型も一人だけ混じっている。

 

「ハンマーもいいですね。まるで、前から使っていたかのように馴染みます」

 

 そして、メイスを引きずりながら歩く彼女の先にいるのは、先ほどの攻撃で唯一死なずに生き残った強化型であり、再び立ち上がろうとしている。

 

「ダメですよ、立ち上がっては」

 

 シアは容赦なく身体強化を最大にしてメイスを頭部に振り下ろし、強化型ゼーベス星人の頭を叩き潰した。

 

 それでもなお、ゼーベス星人は群れをなして向かってくる。突き出されたハサミを掴んで腕から引きちぎり、それを武器にして他の星人の頭部に突き刺す。

 

 片腕だけになった星人を盾にしてビームを防ぎ、仲間の攻撃で絶命した後は投げ飛ばして足止めに使う。

 

 左右から同時に二体が迫るが、姿勢を屈めると両側に腕を振り回して粉砕する。そのままウサギのように跳躍すると、クルリと一回転して背後の敵をオーバーヘッドキックで蹴り砕いた。

 

 そのタイミングでシアの顔面に強化型ゼーベス星人の鋭い一撃が肉迫するも、彼女は首を捻るだけで回避し、即座に反撃を入れる。

 

「お返しです!」

 

 シアは敵の顔面……の中でも目を狙って貫手を放つ。その手刀にはエネルギーフィールドが纏われており、先端はかなり鋭いものとなっている。

 

 目は脳と直結している器官であり、剥き出しになっている部分の中でも脆い部類に入る。シアの手刀は易々と目に突き刺さり、その奥にある脳髄を破壊した。

 

「私、成長してますね」

 

 スペースパイレーツの殆どは三人によって抑え込まれている状態だ。だが、彼らの目を掻い潜ってウィル達を狙おうとする輩もいる。

 

 しかし、ウィル達には最強の魔法使いが護衛についていた。

 

「新しい装備を見せてあげる」

 

 ユエの周囲に現れたのは、六基の十字架のようなデザインの物体だ。それはクロスビットといい、ミレディが使ってきた武器をハジメが再現したものだ。

 

 基本的な仕組みは無人偵察機と同じである。唯一違うのは武装搭載の有無だけで、クロスビットにはビームを先端から放つことができる機能がある。

 

「攻撃開始」

 

 しばらくユエの周囲を衛星のように周回していた六基のクロスビットが素早く動き出し、迫るゼーベス星人に対して死角からビームを直撃させる。

 

「この子達から逃れられる?」

 

 クロスビットはユエに操られ、まるで猟犬のように襲いかかる。彼らは迎撃を試みるも、一基すら捕捉することができず、その牙で命を刈り取られていく。

 

 強化型がクロスビットによる波状攻撃を強行突破し、死なば諸共と言わんばかりにウィルの首を取ろうとするが、いきなり現れた障壁に阻まれる。

 

 よく見ると障壁の四隅にはビットが配置されている。クロスビットには生成魔法で空間魔法を付与したワイヤーと鉱石が組み込まれており、それぞれを起点にして空間遮断結界を展開できるのだ。

 

 防御力は折り紙付きで、理論上はスーパーミサイルも数発は防げるものとなっている。結界魔法を使うよりも素早く出せるので優秀である。

 

「これで終わり。“亜空切断”」

 

 ユエはとある空間魔法をリストブレイドに重ね、強化型ゼーベス星人を空間ごと切り捨てる。空間に一筋の光の線が走り、それに沿って肉体の片割れが滑り落ちた。

 

 この技は初めて強化型と戦った後、訓練の末にユエが習得したものだ。空間魔法はかなり難易度が高く、魔法の天才である彼女もかなり苦戦していた。なお、この技を命名したのは清水である。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

「さて、ここで何を企んでいるのか聞かせてもらおう。末端が知っていることなど限られているだろうが……」

 

 戦闘終了後、ハジメは生き残りのゼーベス星人にアームキャノンを突きつけて尋問していた。その四肢は潰されており、抵抗されることはない。そして、彼は片言で命乞いをした。

 

「イ、命ダケハ……」

「拒否権はない。今すぐ死にたくなければ話せ」

「分カッタ……ハ、話ス!」

 

 ゼーベス星人は白状した。自分達は魔人族と協力し、魔獣の軍団を作って重要拠点であるウルの町を陥落させようとしていることを。

 

「そうか、やはり協力していたのか。魔獣の軍団……ユエ、周辺にそれらしき影はあるか?」

「ん……見つけた」

 

 すでにユエが無人偵察機を空に上げており、このゼーベス星人が言っていた魔獣の群れを発見していた。

 

「これは……万単位はいるな」

 

 映像を見たハジメの発言を聞いて全員が目を見開く。しかも、どうやら既に進軍を開始しているようだ。方角は間違いなくウルの町がある方向であり、半日もしない内に山を下って一日で町に到達するだろう。

 

「は、早く町に知らせないと! 避難させて、王都から救援を呼んで……それから、それから……」

 

 万単位の魔獣が攻めて来るなど、もはや戦争である。馬車での移動中、散発的に襲ってきていた少数の魔獣との戦闘とは訳が違う。経験したことのない深刻な事態に、愛子は慌てていた。

 

 一人の神殿騎士とチートスペックとはいえ少数の生徒達では、たちまち物量に押し潰されてしまうだろう。そのため、少しでも早く町へと緊急事態を伝え、救援が来るまで避難するのが得策だ。

 

 と、皆が動揺する中、ウィルはハジメに対して提案する。

 

「ナグモ殿……あなた方なら、この脅威を何とかできませんか? 一度救っていただいたというのに烏滸がましいかもしれませんが、あなた方の力が必要なのです」

 

 その言葉で、全員が一斉にハジメ達の方を見る。パイレーツを蹴散らしたハジメ達ならば万単位の魔獣であっても対処できるのではないかと、その瞳は期待の色に染まっていた。

 

「出来なくはない。だが、この地形では討ち漏らしが出てしまう。残党が町に向かうようなことがあれば、新たな犠牲者を生むことになる。どちらにせよ、一刻も早く町に報告して避難を呼び掛ける必要がある」

 

 ハジメは自身の意見を伝える。迎撃すること自体には賛成だが、ここでは起伏の激しい地形が遮蔽物となってしまうために殲滅戦がやりずらく、討ち漏らしが戦力不在の町を襲うようなことがあれば、人的被害が出てしまうと考えていた。

 

「分かりました、南雲君。町に戻りましょう」

 

 愛子が町へと戻ることを了承したので、すかさずハジメがアームキャノンを操作して置いてきたビークルを呼び寄せる。数分足らずで無人のジャガーノートが轟音と共に到着し、目の前に停車した。

 

「おっと、奴のことを忘れるところだった。悪いがお前には死んでもらう」

「マ、待テ……! 知ッテイルコトハ話シタ!」

「パイレーツが約束を守ったことがあるか?」

 

ドガッ!

 

 ハジメは星人をこの場で処刑した。いくら慈悲の心があるハジメであっても、パイレーツに対する慈悲だけは持ち合わせていなかった。

 

「南雲君、殺す必要はなかったのでは?」

「先生。こいつらは無抵抗の人を平気で殺すような連中です。生かしておく必要はありません」

「でも、無抵抗の相手を殺したのは南雲君も同じです。先生として、これだけは見逃せません!」

 

 愛子は身長190センチはあるパワードスーツを着たハジメに対して物怖じせず、詰め寄っていく。

 

「先生は奴らを知らない。スペースパイレーツは積極的に人を殺しにいく無慈悲な連中です。やらなければ、こちらがやられます。俺は、奴らと数年前から戦い続けてきました」

「数年前……でも、それってトータスに来る前から……」

「おっと……話し過ぎてしまいました。今のは忘れてください。俺が全てを話すその時までは」

「………」

 

 愛子はこれ以上言葉を発することができなかった。自分の生徒がかなり前から荒事に身を置いていたことを知り、ショックを受けたからだ。

 

「事態は一刻を争います。では、出発しましょう……」

 

 全員が乗り込んだのを確認し、ハジメはジャガーノートを発進させる。一行は背後に大群という暗雲を背負い、様々な思いを抱きながら、ウルの町へと戻った。




清水の武器の元ネタは全て〈新・光神話パルテナの鏡〉に出てくる神器です。なお、作者はプレイしたことがありません。撃剣と狙杖以外も出す予定です

ユエが最後に使った技は当初の予定にはありませんでしたが、急に思い付いたので入れました。元ネタはもちろん、ポケモンの技です。
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