鳥人族の後継者は世界最強   作:ウエストモール

57 / 79
最近、メトロイド熱が高いのでメトロイドゼロミッションとフュージョンを始めるためにスイッチオンラインの追加パックを購入しました。比較的新しい部類の作品なので操作がやりやすいですね


49話 六人の勇士

「痛いのをぶっ食らわせてやるですぅ!」

 

 魔獣軍団を最初に出迎えたのは猛烈な爆発だった。大きめのエネルギー弾が何度も着弾し、爆発して中央集団の魔獣達を吹き飛ばしていく。

 

 爆心地にいた魔獣は木っ端微塵になり、離れていたとしても爆風を受けて肉体を損傷する。爆発の衝撃で空中に放り投げられた魔獣もおり、地面に落下して死に絶えていた。

 

 エネルギー弾の軌道を辿ってみると、外壁の上で大筒のような武器を腰だめで構えているシアの姿に行き着く。この武器の名は爆筒といい、清水から貸与されたものだ。爆発するエネルギー弾を放つことができる。

 

 シアのヘッドセットからは目元を覆う半透明なバイザーが出現している。飛び道具を扱うことを想定した照準システムが搭載されており、ハジメによって爆筒とのリンクが確立されていた。それにより、腰だめ撃ちであっても正確に弾を叩き込めているのだ。

 

 エネルギー弾の爆発から逃れようと左右に移動する中央集団だったが、軍団の両翼にも猛烈な攻撃が襲いかかっていたため、彼らの運命は察するところだ。

 

「オリジナル魔法を披露するときが来たな」

 

 シアの左隣には清水がいる。彼はオリジナルの魔法を編み出しており、今回は左翼集団に向けて使う予定だった。早速、詠唱が始まる。

 

「罪過の獣よ、我が盟約により顕現し、その力を示せ “ゴモラ”!」

 

 左翼集団の目の前の地面から闇属性のエネルギーが太い円柱状になって吹き出し、二本の角を持つ巨大な獣の上半身に変化する。神による裁きを受けて焼き尽くされた町の名を冠するこの魔法は、拘束に使われる闇属性のエネルギーを巨獣に変形させて直接攻撃を行うものだ。

 

「蹂躙しろ、ゴモラ!」

 

 こちらを見下ろしてくるゴモラに及び腰になる魔獣達だが、逃がしてやるつもりはない。清水が右腕を振り下ろすのとシンクロしてゴモラが動き、巨大な右腕で纏めて叩き潰す。さらに、口から闇属性のブレスを左翼集団に向けて放ち、かなりの数を吹き飛ばした。

 

「ユキトシに負けていられぬな。本物の竜のブレスというものを見せてやろうぞ!」

 

 逆サイドの右翼集団はティオが担当していた。“竜化”や“竜穿”は使用せずに通常状態のまま、前に突き出した両手の先から黒い極光を放つ。竜穿状態のブレスよりも威力は低いが、魔獣に対してはオーバーキルもいいところである。

 

 殲滅の黒き炎は射線上のあらゆる存在を刹那の間に消滅させ、右翼集団の後方まで貫通する。そのまま腕を右方向に水平移動させることによって薙ぎ払い、一切を消し飛ばした。

 

「吹き荒べ頂きの風 燃え盛れ紅蓮の奔流 “嵐焔風塵”」

 

 さらに、ティオは魔法を行使する。魔力の消費を抑えるために敢えて詠唱し、集中力を高めて発動されたのは、火と風の複合魔法だ。巨大な炎の竜巻が敵集団へと向かい、魔獣達を宙へと巻き上げてダイナミックに火葬してしまった。

 

 三人の攻撃で先鋒はほぼ壊滅したが、それでもかなりの数の後続が控えている。味方の屍や、焼き焦げたり抉られたりしている地形を乗り越え、歩みを止めない。再び目の前が魔獣軍団で埋め尽くされそうになるも、ここでユエが動いた。

 

「”壊劫“」

 

 呟かれる魔法名。それは神代魔法を発動させるためのトリガーであり、ミレディ・ライセンより授けられた重力に干渉する魔法。難易度は高いものであり、魔法の天才であるユエであっても魔力の練り上げとイメージの固定にかなりの時間を要するものだ。

 

 ユエの詠唱と同時に迫る魔物の頭上に、強化型ゼーベス星人を押し潰すのに使われたのと同じ渦巻く闇色の球体が出現する。しかし、以前と違うのは、その球体が形を変化させたことだ。薄く薄く引き伸ばされていく球体は魔獣達の頭上で正四角形となる。

 

 やがて、太陽光を全て遮る闇色の天井は眼下の魔獣目掛けて一気に落下する。彼らは何が起こったのか理解する前に体の全てを均等に押し潰され、百メートルほど陥没した地の底で大地の染みとなった。

 

 後続の魔獣達は、突然前方の地面が消えたために次々と巨大な穴の中へと落ちていく。突進の勢いを直ぐには消せなかったのと、後続が後ろから押し込んで来るためだ。そして瞬く間に、数千体の魔物が大穴に落ち、タンクから魔力を取り出したユエによる再びの魔法でプレスされ、魔獣のミルフィーユが完成した。

 

 町の人々からすれば、大地ごと魔獣が消滅したように見えるだろう。戦場に吹く風が潰された魔獣の血の臭いを町へと運んだことで吐き気がする者が続出したが、それでも人々は圧倒的な力で敵が蹂躙されていく様子に沸き立ち、町の至る所で歓声を上げた。

 

 その後も魔法攻撃が続き、魔獣軍団は町の外壁に取り付くことすらできず、一方的に蹴散らされていった。

 

「南雲、そろそろ第二段階に移行しよう」

「そうだな、清水。今度はこちらから仕掛ける番だ」

 

 現時点で残りの敵は八千から九千といったところだ。最初の数を考えると壊滅状態として評価できる被害であり、ここまでの被害を出した段階で敵の指揮官を狙った斬首作戦を実行する予定だった。戦いを早期に終わらせるためには必要である。

 

 斬り込みメンバーは攻撃に参加していなかったハジメとノクサスを主軸に、シアと清水を加えた四人であり、ティオとユエは魔力の消耗が多いので後方待機となった。

 

 ユエが突撃を援護するために魔法を発動する。

 

「“雷龍”」

 

 護衛任務の時にも使った雷の龍が激しくスパークしながら暗雲より舞い降り、前線を蹂躙していく。味方が吸い込まれて滅されるのを見た後続が二の足を踏んだので、ハジメが動く。

 

『スーパーミサイル、オンライン』

 

 ハジメが立ち止まった後続の敵集団に向けてスーパーミサイルを放ち、広範囲に拡散する爆風によって、元々乱れていた陣形に大穴が穿たれる。そこに四人は突入した。

 

『スペイザー、オンライン』

 

 アームキャノンを前方へと向け、目の前の敵を排除するため、三発同時に発射されるスペイザービームをひたすら連射することで道を切り開き、突き進んでいく。例えるなら砕氷船である。

 

「闘争の時間だ、イグニス!」

 

ズバッ!

 

 その左隣を行くのはノクサスだ。己の半身と言える魔剣イグニスに血色の魔力刃を纏わせ、擬似的に倍近くの長さにした刀身を振り回し、一撃で複数体を切り捨てる。ハジメのような殲滅力はないものの、確実に敵を屠る堅実な戦い方だ。

 

 二人を止められる者はいない。敵はこの二人を包囲しようとするが、その後方を行く清水とシアが暴れてそれを阻む。

 

「はあっ!」

 

 清水は前進しながら高速回転し、両腕の鉤爪で敵を切り刻んでいく。最後は切り払いに派生してフィニッシュを決め、盛大に土煙を巻き上げて停止する。

 

 今回の清水の戦闘スタイルは、両腕の鉤爪を使用した手数で攻める高速戦闘だ。彼は剣だけに留まらずに飛び道具や格闘術を習得しており、鉤爪を駆使した近接戦闘もその一つだ。

 

 清水が腕を振り回す度に多くの敵がサイコロステーキに変えられていく。そこへ全身に機械の装甲を纏った大蛇の魔獣が突っ込んでくるも、突進を跳躍で回避し、空中で回転して素早い連撃をお見舞いする。

 

 装甲大蛇は彼の下を通過している間に頭部から尾先に至るまでの隅々を瞬時に切り刻まれ、長かった立派な胴体がズタズタにされて息絶えた。

 

「うりゃぁ!」

 

 シアの方は右腕に装備した巨大な鈍器を振り回して戦っている。これは豪腕という武器で、見た目通りの名前である。これも本来なら清水が使う装備だ。

 

「ダッシュアッパーですぅ!」

 

 トカゲ型の魔獣との距離を詰め、右腕の豪腕で顎にアッパーを叩き込んで粉砕する。この攻撃のフォームはハジメのアームキャノンを駆使したカウンターとほぼ同じであり、師匠の技を弟子が受け継いでいた。

 

 そこへ鎌をチェーンソーに換装した四本腕のカマキリモドキが襲いかかってくる。四本腕による連続攻撃が迫るが、シアは重力魔法で体重を軽くすると、身軽な動きで翻弄した。完全に牛若丸と弁慶のそれである。

 

 そして、カマキリモドキが気付いた時には懐に入り込まれており、細い胴体に豪腕が叩き付けられる。その一撃で胴体がひしゃげ、脚部が外れて達磨となり、最後に頭を叩き潰されて絶命した。

 

「まだまだ行きますよ!」

 

 シアは止まらない。敵が数で圧殺するように肉壁で取り囲もうとするも、独楽のように回転しながら豪腕を振るって一緒くたに吹き飛ばす。もはや竜巻のようであり、何者も寄せ付けない。

 

 やがて、回転を止めて各個撃破に移ろうとしたシア。とりあえず一番近くの敵を潰そうと踏み込みの体勢に入ったが、次の瞬間に右後方より接近する気配に気付いた。

 

 シアは一切慌てず、振り向き様に豪腕を動かしてカウンターを決めようとする。が、その四足歩行の魔獣はそれを予期していたかのように減速して避けてしまった。

 

「こ、こいつらは……?」

 

 両目で敵をハッキリと認識する。それは狼のような容姿の魔獣なのだが、全身に漆黒の装甲を纏っており、バイザーの下で四つの赤い目が輝いているのが見えた。また、尻から伸びるテールにはブレードが装備されている。シアは複数体の彼らに囲まれていた。

 

(今までとは明らかに違うような……)

 

 シアは目の前の敵に違和感を覚えていた。ここで戦ってきた魔獣は基本的に体の一部分のみを機械化していたり、全身であっても継ぎ接ぎ感が否めなかったのだが、これに至っては違う。

 

 漆黒で統一感があり、パーツの形状もかなり洗練されている。頭部のバイザーといい、テールブレードといい、多くの時間と資源、高度な技術を費やして生み出されたことは想像に難くない。

 

 事前の清水による分析では、襲来する魔獣の1/3は闇属性魔法で洗脳支配されたもので、後は洗脳された強い魔獣に従う雑魚集団。だが、奴は洗脳支配されておらず、何処かの魔獣の配下というわけではない。そして、地上の魔獣ではあり得ないようなプレッシャーを放っていた。奈落にいてもおかしくないだろう。

 

(こいつら、俺に近い気配がある……まさか、フリードの野郎が関わっているのか?)

 

 一方、清水も機械狼と対峙していた。清水は自身に近い気配を彼らに感じており、フリードが自分にしたようなことを施されているのではないかと予想していた。人間を魔獣擬きに改造できるのなら、魔獣をさらに強化することもできるのではないかと。

 

 予想はほぼ当たっていた。機械狼の正体は、フリードの魔法によって強化された狼型魔獣をパイレーツが機械で改造したものだ。マザーがもたらしたチョウゾの技術も使われている。ハイブリッド魔獣とでも呼ぶべきだろう。

 

「どうやら躾が必要らしいな、犬っころ」

 

 清水は鉤爪を構えて機械狼と交戦する。テールブレードを受け止めて火花を散らす中、背後に回り込んだ二体が口元から左右にビームブレードを発振させて突撃してくる。

 

 咄嗟に鍔迫り合いを中止して後方宙返りで避け、落下しつつ真上から二体に爪を突き立てようとするが、それを予期したかのように躱される。空振りに終わって爪は地面に刺さるのだが、そこへ正面の個体が飛びかかってきた。

 

 飛びかかり自体はスライディングで避けるが、それ以降、互いに互いの攻撃を回避し続ける光景が広がる。その最中、清水は敵が予期したように攻撃を避けてくる仕掛けについて考えていた。

 

(未来予知か……? 単なる予測か……?)

 

 真っ先に思い浮かぶのはシアと同じ未来予知なのだが、彼女ですらポンポンと容易に使えるものではないので、その線は薄い。可能性が高いのは、勇者も持っている”先読”だろう。そうでなくては、今頃はビームブレードの餌食になっていたはずだ。

 

「試させてもらうぞ」

 

 その瞬間、飛び込んでくる機械狼。清水はそこに向けて鉤爪を振るうが、タイミングが明らかにコンマ一秒ほど早い。だが、それが彼の狙いだった。爪の部分が僅かに輝き、そこから光刃が飛んで敵に斬撃が浴びせられた。その光景に、残りの二体は驚きを隠せない。

 

「「!?」」

「驚いたか? これは射爪といってな、飛び道具としての機能も兼ねてるんだ。流石に想定外には対処できないだろうな」

 

 “先読”はあくまでも目に見える情報や前提知識を元に予測するだけの技能であり、未来を見ているわけではない。鉤爪に射撃機能があるなんて予想できないだろう。

 

『シアさん、こいつらの能力は……』

『そのようですね、シミズさん!』

 

 清水はシアに通信を送るが、彼女も同様の結論に辿り着いていたようだ。丁度、豪腕に取り付いて一時的に押さえ込もうとしていた機械狼を、豪腕に内蔵されていた射撃機構によるゼロ距離射撃で撃破したところだった。

 

『シミズさん、ここは予測を越えるほどのスピードでやっちゃいましょう!』

『あぁ、そうだな!』

 

 シアはデッドウェイトとなる豪腕を脱ぎ捨て、重力魔法で身軽となり、身体強化も可能な限り最大限にかける。清水は元から高速戦闘スタイルだったので、追加で身体強化をかけて速度を更に上げる。二人はこれまでよりも速い速度で機械狼を強襲し、撃破していく。

 

 やがて、それぞれ残り一体のみとなった機械狼。二人は目の前の個体へ”先読“をさせない程の速度で急速接近すると、上空へと打ち上げてそれに追従する。

 

 清水は射爪によって何度も斬撃を浴びせ、同時に光刃も飛ばして切り刻み、シアはガントレットによる乱打をお見舞いしてボコボコにしていく。そして、ついに終演の時が訪れる。

 

「死ね!」

「終わりですぅ!」

 

 装甲はボロボロになり、顔面を覆っていたバイザーが割れて赤い四つ目がその姿を見せる。彼らは最後の一撃をくらい、バラバラにされた。

 

 

 

 

 

「あらかた片付いてきたようだ、同志ノクサス」

「そのようだ、同志ナグモ。魔獣の一部が逃げ出しているのも確認できる」

 

 すでにリーダー格の魔獣は大半が四人によって駆逐されており、その配下だった魔獣の多くは故郷たる北の山脈地帯を目指して逃亡を開始する。

 

「問題は、指揮官が何処にいるかだが……」

「探す必要はないだろう。どうやら、向こうから来てくれたようだ」

 

 ノクサスがそう言った直後、ハジメは空から接近する気配を感じる。それは二人のすぐ上にやって来ると、こちらを見下ろしていた。

 

「おのれ、異教徒共が! 我らの計画を邪魔するとは、万死に値する!」

 

 現れたのは機械化されたプテラノドンモドキに騎乗している髪をオールバックにした魔人族の男だ。怒り心頭な様子の彼は、魔獣に命じて攻撃を開始した。

 

 機械翼竜の口内から大砲が出現し、こちらにビームを発射してくる。二人は左右に散開し、ビームはその間を通過するだけに終わる。

 

「ええい、消し飛ばしてくれるわ!」

 

 機械翼竜は大量のマイクロミサイルやボムを斉射し、二人をまとめて始末しようとする。だが、その程度でやられる二人ではない。

 

「同志、ここは私にお任せを!」

 

 ハジメの前に出たノクサスは魔剣イグニスを風車のように回転させ、無数の魔力刃を飛ばして飛来物を迎撃する。そのまま敵への攻撃にも使われ、直撃はしないものの動きを封じることができた。

 

「そこだ」

 

 ハジメはその隙にエネルギーを最大チャージしてスペイザービームを放つ。最大威力の三列に並んだビームは右の翼に当たり、それを切断した。

 

「おのれ、死なば諸共よ!」

 

 片翼を失い、姿勢制御への支障でまともに飛べなくなった敵は、ブースターを吹かしてその犯人であるハジメに向かって突撃してくる。

 

『敵内部のエネルギー反応増大、自爆と思われます』

 

「ノクサス、俺を踏み台に!」

「承知!」

 

 それだけのやり取りで十分だった。剣を鞘にしまったノクサスは飛び上がり、ハジメの肩を踏み台にしてさらに高度を上げ、突っ込んでくる魔獣に騎乗する魔人族に向けて一直線に進む。

 

「チェストォー!!!」

 

 渾身の叫びと共に放たれた抜刀術。それは魔人族の首を容易く斬り飛ばし、痛みを感じる間もなく絶命させた。そして……

 

「悪く思うな」

 

『アイスビーム、オンライン』

 

 残った機械翼竜が亡き主の命令そのままに突っ込んできて自爆しようとする。ハジメはそこにアイスビームを叩き込んで凍結させることで自爆を阻止し、アームキャノンの一撃で破砕した。

 

「我が同胞よ、安らかに眠れ……」

 

 ノクサスは魔人族の首を回収し、瞼を閉じてあげると泣き別れた胴体に合わせて祈りを捧げた。ハジメも隣に並んで弔った後、謝罪の言葉を彼にかける。

 

「すまない、ノクサス。君に同族を斬らせてしまった」

「構わない。同族を斬るのも覚悟の上。この魔剣も、隠れ里を守るために何度も同族を斬ってきた経歴がある。死んだ彼のためにも、より良い世界を作らねば……」

「あぁ、そうだな……」

 

 この時点で生き残りの魔獣軍団は全て山脈地帯に逃げ帰っており、ハジメ達の完全勝利に終わった。だが、ハジメには違和感があった。

 

「しかし、不自然だ。パイレーツが一人として姿を現さない……」

「あの軍団は全て囮だった可能性が高い。パイレーツとやらは、彼女を狙うためにすでに動き出しているのだろう」

「それは不味い、先生を守れる者が少な過ぎる。早く戻らなくてはならないな」

 

 踵を返す二人。途中で清水とシアと合流し、速やかに防壁のある町の方へと向かっていった。狙われているであろう先生を守るために。

 

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

 

 ウルの町に戻ると、先生達が待っていた。最初に話しかけてきたのは、護衛隊リーダーの優花だった。

 

「南雲、これで終わったの?」

「いや、まだだ。侵攻こそ退けたが、敵が虎視眈々と先生の命を狙っている可能性がある。警戒を簡単に解くわけには……」

 

 相変わらず先生の命が狙われていることを忘れてはならない。もしも先生が命を落とすようなことがあれば、その瞬間にハジメ達の敗北となるのだ。

 

 今も愛子の周囲ではハジメとシアと清水の三人が警戒に当たっている。町中なので死角が多く、かなりの緊張感があった。

 

「!?」

 

 その時だった。シアの“未来視”が急に発動し、愛子の小さな体躯がいくつもの弾丸に貫かれる瞬間が見えたのは。

 

「伏せて!」

 

 シアは叫ぶ。愛子とクラスメイト達はいきなりのことに対処できずに棒立ちで、清水がSPのように愛子の姿勢を低くさせる。

 

「フィールドウォール!」

 

ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!

 

 シアのガントレットから発生した力場を結合させた半球状のバリアに銃弾が次々と命中しては弾かれていく。本当ならば、愛子に当たっていたはずの銃弾である。

 

「このクソアマが、邪魔しやがって!」

 

 そんな声が聞こえてきたのは、ウルの町の上空からだ。見上げると、そこには小型飛行機械の上に立っている緑の人影があった。

 

「緑色のパワードスーツ……そうか、お前は檜山か」

「そうさ、俺は檜山だ! 南雲、てめえが生きていると聞いたときは、はらわたが煮えくり返るような思いだったぜ。クソが、あのまま死んでいればよかったんだよ!」

 

 檜山はそう吐き捨てると、いつの間にか持っていた小型の球体を投げつけてくる。それが爆弾であることを察知したハジメは、咄嗟に放ったアイスビームで凍結させた。

 

「返すぜ!」

 

 清水が凍結した爆弾を前方に蹴り飛ばし、空中の檜山の近くに到達したところを、ハジメが撃ち抜く。爆発が起き、彼の乗っていた飛行機械が損傷したことで、そのまま地面に落下することになった。

 

「南雲ぉぉぉぉ!!!」

 

 地面に落とされたことが癪に障ったのか、檜山はハジメの名を叫んで激昂する。自業自得とはいえ彼に対する恨みはかなり強いものであり、殺意は最高潮に達していた。

 

「ヤツの相手は俺がしよう。檜山があのようになったのには、俺にも責任がある。園部、とりあえず先生を安全なところに……」

「わ、分かった!」

「ま、待ってください南雲君! まずは話し合う機会を……」

「そんな機会があるように見えますか? もう、話し合いの段階は過ぎている。やらなければ、こちらがやられるだけです」

「うっ……」

 

 檜山はすでに右腕から出現させたビームブレードを振りかざしてこちらに向かってきており、到底話し合えるような状況ではない。愛子だってそれは分かっていたが、理性に感情が勝ってしまったのだ。

 

 何も言えなくなった愛子を横目に、ハジメは一歩前に進み出る。砲身に左手を添えるいつも通りのスタイルでアームキャノンを構え、迫り来る元クラスメイトを待ち構えた。愛子にとっては地獄といえる、生徒同士の命を懸けた対決の始まりである。

 

「檜山……お前の凶行を終わらせる」




元ネタ一覧
・痛いのをぶっ食らわせてやる
→みんな大好きバトルシップのあれ

・爆筒
→新光神話パルテナの鏡に出てくる神器の種類

・清水のオリジナル魔法〈ゴモラ〉
→ベヨネッタに出てくるアイツ。ウルトラマンの方ではない。ベヨネッタとゴモラはスマブラに出てるから任天堂判定でいいよね(よくない)

・豪腕
→新光神話パルテナの鏡に出てくる神器の種類

・射爪
→上記と同じ

・機械狼
→原作の四つ目狼に、メタルギアライジングのブレードウルフとガンダムSEEDのバクゥの要素を融合させたイメージ

・小型飛行機械
→スパイダーマンのグリーンゴブリンが乗っているグライダーのイメージ。同じく緑色なので採用。投げた爆弾もそれが元ネタ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。