ネタは主にスマブラ、スターフォックス、ファイアーエムブレム、新・光神話パルテナの鏡あたりから持ってくる予定です。なお、大半が未プレイです。
訓練と座学が始まってから二週間が経過した。ハジメは騎士団員を相手に模擬戦を繰り返す一方で、自身の持つ技能である錬成を練習していた。それらの結果、ハジメのステータスに変化が生じた。
南雲ハジメ 17歳 男 レベル:10
天職:戦士/錬成師
筋力:1100
体力:1020
耐性:800
敏捷:1200
魔力:300
魔耐:150
技能:槍術・棒術・短剣術・操鞭術・投擲術・格闘術[+身体強化]・射撃術[+狙撃][+早撃][+命中率上昇]・気配感知・夜目・遠目・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成]・言語理解
ここで、ハジメの持っている技能について解説しよう。
まずは、天職の名前にもなっている“錬成”だ。金属や地面の形を変えたり、金属同士をくっつけたりする技能であり、主に金属製の武具や道具の生産に使用されている。武器に対する知識が豊富にあるハジメにピッタリな技能といえるだろう。
その派生技能として“鉱物系鑑定”と“精密錬成”が出現している。前者はあらゆる鉱物を触れることで解析する技能であり、王国直属の鍛冶師達の中でも上位の者しか持っていないという。後者はその名の通り精密な錬成を行う技能である。
槍術、棒術、短剣術、操鞭術、投擲術、格闘術といった面々は見ての通りであるし、“射撃術”はあらゆる飛び道具に関して適性があることを示している。
“気配感知”は付近の敵の気配を感知する技能。“夜目”は暗闇でも明るい場所と同様に周囲を視認できる技能であり、暗視装置も必要ない。“遠目”は遠方まで視認できる技能であり、ある程度の距離までなら望遠鏡いらずである。
“言語理解”というのはあらゆる言語を理解することができる技能であり、トータスの言語を理解することができたのはこれのお陰だ。
また、ハジメは戦闘訓練や錬成の練習以外に、トータスに関する情報収集も行っている。その際、ハジメは反逆者という存在を知った。
“反逆者”とは、神代に神に挑んだ神の眷属達のことであり、その幹部は七人いたと伝わっている。彼らは世界の全てを手に入れようと神に対して反旗を翻したらしい。無論、その目論見は破られており、彼らは世界の果てに逃亡している。
また、彼らに協力していたとされる者達の名も残されていたのだが、それはハジメがよく知っている存在だった。
その名はチョウゾ。ハジメを自らの後継者として今まで育ててきた鳥人族の正式な種族名である。彼らは、トータスにおいて反逆者と同列の存在とされていたのだ。
鳥人族は高度な技術と戦闘能力を持つ種族として伝わっており、大昔に異世界からトータスに来訪したという。彼らは反逆者に手を貸していたが、反逆者の敗走と同時に姿を消した。彼らは元の世界に帰ったのではないかと言われている。
鳥人族はその名の通りに鳥のような姿をしているため、トータスでは現在に至るまで鳥の意匠を使うことは禁じられている。なお、鳥の肉を食べることは禁じられていない。
ハジメは鳥人族がそのような扱いをされていることに驚愕した。鳥人族は平和を大切にする種族であり、世界を征服しようとした者達に力を貸すはずがないのだから。
神の意向で動くこの世界に残されている情報は、事実をねじ曲げられている可能性が高い。ハジメは鳥人族に関わる者として、反逆者や鳥人族について真相を明らかにしたいと考えた。
それらの情報に加えて、ハジメは七大迷宮という存在を知った。
七大迷宮はトータスにおける危険地帯のことである。七大迷宮は七大と呼ばれてはいるが、場所が判明しているのは【オルクス大迷宮】と【グリューエン大火山】、【ハルツェナ樹海】の三つのみだ。残りの四つは古文書においてその存在が仄めかされているだけであり、詳しい場所は不明となっている。
予想されている場所としては、大陸を分断している【ライセン大峡谷】や南大陸の奥地にある【氷雪洞窟】という場所があるようだった。
七大迷宮は誰にも攻略されておらず、その奥底は前人未到となっている。そして、これらの迷宮は反逆者が作ったのではないかと予想されている。
ハジメはこの七大迷宮に目を付けた。反逆者が作ったのであれば鳥人族が関わっている可能性があり、奥底には世界を越えるための手段が眠っているかもしれない。
神に反逆するほどの者達であれば世界を越える手段を持っているだろうし、鳥人族は異世界から来訪したのだから、同様の手段を持っているだろう。そして、反逆者と鳥人族の真実も分かるだろう。
ハジメは、最初は近場にあるオルクス大迷宮に乗り込もうと考えた。訓練と座学が全て終わり次第、ここを離脱して迷宮の攻略に挑もうというのだ。
当然、魔人族とは戦わないということであり、間違いなく光輝はハジメのことを非難するだろうし、戦争に強制参加させようとするだろう。
そんなある日、事件が起きた……
その日、ハジメは訓練時間前から鍛練していたのだが、ある光景を目撃した。それは、クラスメイトの一人である清水幸利が数体の人影によって訓練場の人気のないエリアに連れ込まれるところだった。
闇術師の清水幸利は、地球においてオタクと分類される存在であった。性格は根暗に近く、夜中までゲームをしていたことによる授業中の居眠りや寝坊をよくしているため、授業態度はよいとは言えない。そして、彼は裏で虐められていた。
ハジメがその後を尾行していくと、彼は四人の男子生徒に囲まれて殴る蹴るの暴行を受けていた。その四人とは、小悪党組である。強い者に媚びを売り、弱い者には徹底的に攻撃する彼らのことを、ハジメは良く思っていなかった。
「なあ、清水。俺達と訓練しようぜ! お前はサンドバッグな!」
檜山がそんなことを言った直後、近藤が槍の石突を使って清水の背中を殴打する。清水は「ぐぁ!?」という声を上げて前方に倒れた。
「訓練はまだ終わらないぞ?」
今度は中野と斎藤が、各々が得意とする属性の下級魔法を倒れている清水に向けて撃つ。中野は炎術師、斎藤は風術師の天職を持っており、それぞれ火属性と風属性を得意としていた。
「ここに燃撃を望む、“火球”」
「ここに風撃を望む、“風球”」
清水はその場から何とか飛び退いて火球を回避するが、その直後に風球が腹部に突き刺さり、体をくの字に折って嘔吐した。
「おいおい、ここで倒れられても困るぜ。折角、訓練相手として選んでやったのによぉ」
檜山は蹲る清水に接近すると、その腹部を何度も蹴りつける。他の三人も加勢したことで、その暴力はエスカレートしていった。だが、それはいつまでも続かない。
「そこまでだ」
乱入してきた声の方に檜山達の視線が集中する。そこにいたのは、もちろん南雲ハジメである。
「たった一人に寄ってたかって……恥ずかしくないのか?」
「まっ、待てよ南雲……俺達はこいつを訓練してやってただけで……」
ハジメの問いかけに檜山は狼狽する。ハジメは彼らの所業にキレており、無意識に殺気も飛ばしていた。力で弱い者を押さえ付けるという所業が、スペースパイレーツと重なったからだ。
「訓練? 違う……これは一方的な暴力だ。団長に報告させてもらう」
「ちょ、待てよ!」
(こうなったら口封じだ! 俺達は強くなってるし、四対一なら勝てるはず……)
この場を切り抜けるため、ハジメを数の暴力で倒すことを画策する檜山。彼が他の三人にアイコンタクトを取ると、その意図を察したのか三人は戦闘準備を始める。常に一緒にいる彼らだからこそ、檜山の考え方をよく理解しているのだろう。
だが、彼らには誤算があった。確かに彼らは強くなったのだが、ハジメはそれ以上に強い。そして、実戦を知らない彼らと異なり、ハジメは場数を踏んでいるし、トータスに来てからも鍛練は怠っていない。少なくとも、ハジメに勝てる要素など存在しないのだ。
(おっと……やはりそう来るか)
雰囲気の変化から、ハジメは小悪党組が何か仕掛けようとしていることを察知していた。まあ、元々予想していたのもあるが。
「お前ら、やっちまえ!」
檜山の号令で、子悪党組はハジメに襲いかかる。
「くらいやがれ!」
最初に突っ込んできたのは近藤だった。槍術師の天職を持つ彼は、並みの人間の目では捉えられない程の速さで槍を突き出す。その槍は鞘が外されて刃が剥き出しとなっているため、人を殺せる状態だった。なお、彼には人殺しをしようとしている自覚はない。
対するハジメの武器は両腕に装備した黒色の籠手。つまり、格闘のみである。だが、ハジメには槍を捌ける自信があった。この籠手はハジメが製作したものであり、アザンチウム鉱石というこの世界で最高硬度の素材でできている。
ハジメは右の籠手で槍先を受け流しながら距離を詰め、空いている左手で手刀を作ると、急所のこめかみに一撃を叩き込む。
こめかみに強い衝撃を受けた近藤は平衡感覚を失ってふらつき、最終的に気絶する。その際に手放した槍は、ハジメによって回収された。
「てめぇ!」
近藤が倒れたのを見た軽戦士の檜山がショートソードを抜刀して動き出した。近藤と同時に向かって来なかったところを見るに、連携など全く考えていないらしい。
「はっ!」
ハジメは槍の柄を使って檜山の足を払う。足元への注意がお留守になっていた檜山は対応できず、そのまま転倒する。そして、ハジメは彼の頭部に槍を突き刺そうとした。
殺気を乗せて放たれた槍は檜山へと一直線に向かい、彼の頭部に刺さる……ことはなく、頭部の側の地面に深々と刺さった。
「ひっ!?」
先ほどまでの威勢は何処に行ったのだろうか?彼は死への恐怖で悲鳴を上げると、得物を手放してしまう。ハジメは得物を奪うと、檜山の鳩尾に拳を叩き込む。檜山は激痛に悶絶し、気絶した。
「ここに焼撃を……」
「ここに風撃を……」
少し離れた所にいた術師の二人は、接近戦担当が倒れた瞬間、魔法の詠唱を始める。だが、それをハジメが見逃すはずがない。槍とショートソードを投擲して詠唱を妨害する。
槍とショートソードはそれぞれ二人の頭部の真横ギリギリを通過して背後の壁に突き刺さる。二人が怯んだことで魔法は不発に終わり、その隙にハジメは動き出した。
地面を蹴り、ハジメは二人との距離を詰める。ハジメのステータスは筋力と敏捷が特に優れており、普通に地面を蹴るだけでも“縮地”という技能に匹敵する素早い移動が可能だ。次の瞬間、二人の鳩尾に拳が突き刺さった。
「清水、大丈夫か?」
全員が気絶したのを確認すると、ハジメは清水の所に駆け寄り、起き上がらせようと肩を貸す。暴行を受け、清水はボロボロの状態だった。
「ありがとう、南雲……」
見たところ命に別状はないようだ。だが、骨や内臓にダメージが入っている可能性があるため、ハジメは清水を香織の所に連れていって回復魔法をお願いしようとした。が、その手間は省けた。
「ハジメ君! 何があったの?! 檜山君達は倒れてるし、清水君はボロボロみたいだけど……」
訓練時間が近付いており、訓練場に移動中の香織が近くを通りかかったらしい。
「こいつらが清水に暴力を振るっていたので止めに入ったんだが、こいつらに攻撃されたので反撃した。それだけだ」
「ハジメ君、怪我はない?」
「大丈夫だ。それよりも、清水の方を頼む」
元々檜山達のことを良く思っていなかったこともあり、檜山達ならやりそうだということで香織はハジメの言うことを信じた。
「天の息吹、満ち満ちて、聖浄と癒しをもたらさん “天恵”」
香織の回復魔法が発動し、ボロボロになった清水の身体を癒していく。完全に治った訳ではないので、しばらく安静にする必要はあるだろう。
その後、ハジメは香織と清水を伴ってメルド団長の所へ行き、事が起きた経緯を説明した。メルド団長も彼らが何かをやらかすのではないかと予想していたらしく、檜山達には謹慎が言い渡されることになった。
数日後、メルド団長からとある発表があった。それは、訓練の最終段階として実戦訓練を行うため、【オルクス大迷宮】へ向かうということであった。
この訓練の後、魔人族との直接的な戦いに参加する者と後方に留まる者に別れることになっているのだが、現時点において九割以上の者が戦いに参加するつもりらしい。
彼らには戦いに対する危機感はないようだ。もしかすると、彼らは戦いをゲームのようなものだと思っているのかもしれない。ハジメからすれば、戦場など碌な場所ではない。果たして、彼らは戦力として使い物になるのだろうか?