タイムカプセル   作:イオリス

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第9話 タイムカプセル 1

「これからタイムカプセルを開けるわ。」

絵里は、メンバーをタイムカプセルの位置に案内する。

 

「じゃあ、開けるわね。」

絵里は、そう言うと、1つめの思い出の品を取り出した。

 

「・・・これは、i-Pod。」

「いきなり、私のものからか・・・。」

i-Podを埋めたのは真姫だった。

「そこには、私がμ'sで作った曲が入っているの。・・・9人で歌った曲から、私1人で歌った曲までね。」

真姫は、μ'sの作曲もしてきた。全部となれば、CD何枚分にもなるだろう。

 

『音楽が好き』

真姫がμ'sに入って音楽活動をしてきた理由だ。

 

「真姫ちゃんって、本当に音楽が好きなんだね。自分にあてたメッセージまで音楽だなんて。」

凛が優しく微笑む。

 

「そうね・・・。研修医も終わる頃の私にあてたメッセージとしては最高だったわ。」

10年後を予想して、思い出の品をタイムカプセルに詰めた真姫。

そこには、当時高校1年生とは思えない深い考えがあった。

 

 

「じゃあ、次は・・・、・・・ノートね・・・。・・・イラストブックか・・・。」

「それは、私の。」

ことりのノートだった。

 

「中身は、・・・当時書き留めておいた、μ'sの衣裳の原案だよ。」

ことりはみんなに見えるように衣裳のデザインを見せた。

 

「衣裳って、こんなにあったのね。ちなみに、これって、コピーとかはとったの?」

衣裳に興味を持つ辺り、何だかんだ言って、真姫も女子だ。

 

「ううん、とってないよ。こういうのって、流行り廃りもあるし、前のアイディアが後のアイディアを邪魔することもあるんだ。」

 

 

ことりが10年前と変わらぬ柔らかスマイルで返事した。

 

「わかるよ、ことりちゃん。私もアイディアをノートに取ったりとかしないから。」

「穂乃果のは、ただ単に面倒がって取らないだけでしょ。」

「あーっ、海未ちゃんひどいよ。」

穂乃果と海未は相変わらず漫才をしている。

 

「私は、この衣裳を着て歌うのが楽しみだったな。」

 

『歌うのが大好き』

ことりがラブライブの東京予選で念じた言葉だ。

 

 

「それでは次は・・・。タロットカード・・・、と言うことは・・・。」

「うちやね。」

何の面白みもなく、希だった。

 

 

「希、なんでそんなもん埋めたのよ。」

にこがつまらなさそうな顔をする。

「なんやにこっち、まだ仕置きが足らんようやな。」

希が目以外を微笑ませながら、にこをみる。

「だから、わしわしはいいって!」

にこがない胸を、手で隠す。

「これはな、音ノ木坂学院で3年間使っていたタロットカードや。音ノ木坂学院のスピリチュアルな力を吸収した特別の品やで。」

希お得意のスピリチュアルがでた。

 

「まあ、言い換えれば、うちの学校の日々を見守ってくれたカードと言うことや。」

他者にはわかりにくいが、とにかく希にとっては大事なものと言うことだ。

 

『この毎日が大好き』

希は、いいことがあった時も、嫌なことがあった時も、常にそう感じて生きてきた。

 

 

「気を取り直して・・・、この衣裳は?」

「それ、凛のだ。確か、当時の2年生の人達が修学旅行中だった時の。」

それは凛が女の子として開花するきっかけになったイベントライブの衣裳だ。

「あの時は、凛ちゃんもなかなか衣裳を着ようとしなかったよね。・・・やっぱり、昔男の子達に言われたことを気にしてたよね。」

花陽は、当時のことを思い出した。

 

「あの時、凛が着るよりかよちんが着た方が似合うと思ったのは、本当だよ。でも、だからこそかよちんと真姫ちゃんが背中を押してくれた時は嬉しかった。こんなに凛を応援してくれるんだなあって。」

凛は話ながら、目に涙を浮かべていた。

 

「凛ちゃん・・・。・・・だって、私達はずっと仲間じゃない・・・。これからも支えあっていこうよ。」

凛と幼稚園の頃から一緒で、それぞれの道を歩んでからも、ずっと連絡をとっては会っている花陽ならではのセリフだ。

「この服は入らないかもしれないけど、いつかまたこういう服を着て踊りたいな。」

凛は、うっとりした笑顔を服に向けていた。

 

『踊るのが大好き』

凛は、自分をかわいく見せたいと言う気持ちを、このメンバーの中でも、誰よりも強く持っていた。・・・いや、今も持っている。

 

 

「佳境に入ってきたわね・・・。・・・次は、所々傷んだ扇子・・・。」

「私のですね。」

海未のものだと言うことはみんなわかる。

 

「μ'sには直接関係ないものかも知れませんが、これは私が2年生まで使っていた扇子です。」

 

つまり、海未がμ's時代まで使っていた扇子と言うことになる。

 

 

「普通、このような扇子は捨てるのものですが、これは私にとっては努力の結晶でした。では、一つ舞ってみましょう。」

海未は、そういうと、日舞の一つで歌いながら舞う、曲舞(くせまい)を一曲舞った。

 

一同、海未の舞う姿に見惚れる。和装であることが、より舞を引き立てる。

 

「言葉よりも行動で語るのが、海未らしいわね・・・。」

絵里は、ぼうっとしながらも、冷静な分析は忘れなかった。

 

「さすが海未ちゃんやなあ。ここまで精神的な力を感じる舞は、日頃の努力の結晶や。」

希にしては、珍しく真面目なまとめ方をしたので、他のメンバーはうなずいて黙った。

 

『がんばるのが大好き』

海未は、それを言葉で語るよりも、表現することでみんなに伝えていた。

 

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