タイムカプセル   作:イオリス

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第10話 タイムカプセル 2

「海未の舞の次は・・・、あら、これは『μ's』と書かれたDVD?」

「フッフッフッフ。いよいよにこにーのものが出てきたわね。」

これはにこのものだった。

 

「それにしても絵里。気が利かないわね。主役は最後って、言っているでしょ。」

にこが文句を垂れる。

「時間に遅れてくる主役もどうかと思いますよ。」

真姫が突っ込みを入れる。

「うっさい!」

にこがすねたように言う。

 

「にこ先輩・・・。・・・この中身は何ですか?」

花陽が中身を気にする。

「いい反応ね、花陽。さすがは私の後継者にふさわしいわ。」

にこが機嫌を直す。

「これはね、私を中心としたμ's全部のライブ映像よ、ライブ映像!」

にこが得意気に語る。別に、にこがセンターになることはほとんどなかったが。

 

「まあ、にこが入った後だから、最初の方は絵里や希はいないわね。」

にこがえりのぞの方を見ながら言う。

「希、にこへのわしわし、手伝ってあげようか?」

「そうやね、にこっちの胸は大きくしてあげたいし。」

「あんた達、根に持ちすぎ。」

えりのぞにこ漫才が炸裂する。

 

「にこ先輩が、μ'sのライブ映像をタイムカプセルに入れるなんて。本当にアイドルが好きだったんだ。」

「今もよ!過去形にしない。」

凛の感想にダメ出しするにこ。

 

「にこ先輩は、介護士の専門学校に行く傍ら、アイドルも目指していましたからね。」

海未がにこの卒業後の話をする。

 

「結局、介護士として、高齢者や障害者のアイドルになったわね。」

真姫が、笑いながら言う。

「ふん!勤務先の社長の息子の心まで射止めたアイドルなんだからね!わかった、絵里!」

にこが絵里の方を向く。

 

「なによ、現実に戻さなくたっていいじゃない!」

「ふふーん、にこは死ぬまでアイドルよ。」

文句を言う絵里に、勝ち誇るにこ。

 

『アイドルが好き』

にこは生涯、アイドル・・・偶像としての道を貫くつもりだ。

 

 

「次は・・・炊飯器?」

絵里は、何だこれは?と言う顔をする。

「そ、それは・・・私の・・・。」

炊飯器をタイムカプセルに入れると言う珍事を成し遂げたのは花陽だった。

 

「なんで炊飯器なの?」

みんなを代表して、穂乃果が質問する。

 

「てか、炊飯器くらいどこのだって同じでしょう。」

にこが呆れたように言う。

「にこ先輩、そういうこと言っちゃダメだよ。」

今度は凛がダメ出しをする。

 

「これは・・・、μ's用に持ち込んだ炊飯器なの。・・・みんなでご飯を食べた思い出の・・・。」

花陽がアヘ顔で説明する。

 

「・・・花陽、その顔はやめなさい。いい話が台無しよ。」

真姫がドン引きした表情で突っ込みを入れる。

 

「・・・は、ゴメン・・・。」

花陽が我に戻る。

「花陽は、本当にご飯が好きなんですね。それでこそ、日本人です。」

海未も、基本的に主食はご飯だ。

 

「・・・それで、大好きなμ'sのメンバーと一緒に・・・、これで炊いたご飯を、また食べたいなあって思ったの・・・。」

好きな食べ物が「ご飯」である花陽ならではのエピソードだ。

 

「さっき凛ちゃんが背中を押してもらったって話をしてくれたけど、私もμ'sに入る時は凛ちゃんや真姫ちゃんに背中を押してもらったよ。・・・その後も、みんなにはお世話になったし・・・。」

花陽も感極まり、目に涙を浮かべる。

 

「それは、私達もおんなじだよ。ね、みんな。」

ことりがそう言うと、他の7人も微笑みながら、無言でうなずいた。

 

『メンバーが大好き』

花陽は、独特のアイテムで饒舌に語る。

 

 

「いよいよ、大詰めに入るわね。・・・穂乃果、何かしら、この布?」

「え、それは私のだけど、何でわかったんですか?」

布は絵里のものでない以上、当然残った穂乃果しかいない。

 

(さすが、あほのか・・・。)

絵里が苦笑した。

 

「あーっ、絵里先輩、今失礼なことを考えませんでした?」

アホの子でも多少は人の感情は読めるようだ。

 

「気のせいよ、気のせい。」

絵里が苦笑したまま返す。

 

「もう少し、穂乃果には洞察力が必要ですね。」

海未はボソッと言った。

「海未ちゃん、何か言った?」

「別に。」

穂乃果の追及を軽くかわす海未。

 

「まあいいや。・・・海未ちゃん、こっち持って・・・。これって広げるとね・・・、μ'sの旗になるんだ。」

 

 

穂乃果と海未が広げると、そこには『μ's』の文字が大きく書いてあった。

 

「最初は、棒ごと埋めようかと思ったんだけどね・・・。」

「あんた、ほんとにアホね・・・。」

穂乃果の話に呆れるにこ。表情だけなら、穂乃果以外全員あきれている。

 

「まあまあにこっち。穂乃果ちゃんのは、まさにμ'sのタイムカプセルにふさわしい中身やないか。」

希が命名したμ's。その象徴的なアイテムにこうして再開できたことは、希にとっては自分のもの以上に嬉しかった。

 

「μ'sでセンターを一番多くやってきた穂乃果ちゃんならではだね・・・。」

ことりがクスリと柔らかく微笑む。

 

「こうして見ると・・・、μ'sって、再結成しそうな勢いだね・・・。」

 

花陽の頭のネジが外れかけているようだ。

「じゃあ、いっそ、再結成だにゃーっ!」

凛が勢いで言う。

「・・・って、私は無理よ。研修医が終わっても忙しいのには変わりないんだから。」

真姫は冷静に突っ込む。

 

『μ'sが大好き』

穂乃果は、どんなこともストレートに表現した。

 

 

「最後に、・・・私ね。」

絵里のアイテムは、音ノ木坂学院の校舎をバックにした写真だ。

そこには、μ'sのメンバーだけではない。絵里の妹亜里沙や穂乃果の妹雪穂、さらにはμ'sを影で支えてきたメンバーが写っていた。

「これは、えりちの呼び掛けで撮った写真やな。」

「そうよ、廃校阻止のために特に動いてくれたメンバーと喜びをかみしめたかったの。」

 

絵里は、一年の後半から生徒会活動に携わり、迫り来る廃校の危機に直面してきた。

その想いが強すぎるあまり、素人の集団だったμ'sには、最初は強い抵抗があった。

やがて、μ'sも同士であることを受け入れると、絵里は誰よりも積極的に活動した。

ちなみに、絵里達の卒業後に廃校の危機が起こるが、それは別の話。

 

『学校が大好き』

絵里が、音ノ木坂学院を誰よりも愛しているのは間違いない。

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