音ノ木坂学院高校の廃校の危機を救ったアイドル研究会。今や、部に昇格し、予算や顧問もつくようになった。
そうなれば、当然今までよりも結果が求められるようになる。
「はい、ワン・ツー、ワン・ツー。・・・そこ、遅れているわ!」
絢瀬絵里が手拍子を振りながら、部員達を指導する。
絵里はかつて、μ'sのメンバーの中でも、ダンスの振り付けを担当していた。
彼女は、高校卒業後は理科系の大学に行き、理科の教員免許を取得した後、母校である音ノ木坂学院高校に戻ってきた。
今や、彼女は音ノ木坂学院高校の理科教員(専門:化学)にして、生徒指導担当、アイドル研究部の顧問だ。
学校を愛し、学校とともに生きてきた彼女にふさわしい生き方と言えるだろう。
それからダンスをしばらく続け、やっと今日の目標を達成した。
「じゃあ、一休みしましょう。次はボーカルレッスンに入るわ。」
絵里が休憩していると
PrPrPrPrPrPrPrPrPrPrPrPrPr
絵里のスマートフォンから電話だ。
「ちょっと外すから、時間になったら始めていて。」
生徒の返事を確かめてから、絵里は部室を出ていく。
「あ、穂乃果?私よ。・・・うん、二週間後ね。・・・その日は、学校は休みだけど、特別に鍵を開けさせてもらうように、南理事長にお願いしておくわ。」
相手は、高坂穂乃果だった。
「・・・うん、・・・μ'sだけの日、になるようにしておくから。」
解散後、それぞれの道に向かって歩み始めたμ'sのメンバー。その全員が卒業式の翌日に集まる。
(久しぶりにあの9人が集まるのね・・・。)
μ's・・・。それは、9人の音楽の女神からつけられた名前である。
9人の女神により、音ノ木坂学院高校は、廃校から救われたといってもよいだろう。
(それにしても10年か・・・。)
絵里は大学院まで行き、高校理科の専修免許を持った訳だが、その間には、色々あった。
絵里が教育実習に参加した年度からは共学化したりもした。
(男子が入ってくるのは、正直違和感あったわね。)
伝統ある女子校であったが、時代の流れや、他の高校の廃校に伴う転編入を引き受けているうちに変わっていったのだ。
(とにかく、また廃校の危機なんかにならなくて良かったわ。)
PiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPi
(おっと、いけない。もう練習の時間ね。)
先に始めてるようには言ったが、絵里が監督するのは義務であるため、急いで戻る。