タイムカプセル   作:イオリス

3 / 14
第2話 希のバー

音ノ木坂学院高校から、比較的近所にバーがある。絵里はそこの常連だ。

 

「ここに来ると落ち着くわ。」

絵里は、日本だけでなく、祖母の生まれ故郷にあるロシアの酒も多数あるこの店を気に入っていた。

 

ウォッカも、日本では滅多に入らない強いものが置いてある。

 

また、ボルシチやピロシキなどロシア料理も充実している。

 

 

「いらっしゃいま・・・、・・・えりちやないか。」

出迎えたのは東條希。絵里の高校時代からの友人だ。

 

希は、μ'sの名付け親である。また、メンバーの精神を陰から支えてきた、縁の下の力持ちと言うべき人物である。

彼女は、大学を卒業したが、普通の就職活動はしなかった。

 

(希ったら、結局オカルト関係のことができる仕事を選んじゃったわね。)

希にとっては、そうしたことは生きる上で欠かせないのだろう。

 

(バーを開かせたきっかけは私にあるけどね。)

絵里は、クォーターとは思えないほど、ロシア人である祖母の血が強く、日本でよく置いてあるウォッカでは全然足りなかった。

 

普通の居酒屋や、研究室の酒は弱くて物足りないと嘆いていたところ、希が

「ウチに任しとき!」

と、居酒屋を開き、強い酒を用意してくれたのだ。

 

 

ちなみに、この店は元μ'sメンバーの集合場所としても、良く使われる。

9人揃うことはなかったが、それでも何人もの元メンバーが何回か来たり、亜里沙や雪穂の大学の卒業式の内輪パーティーにも使われてきた。

 

もちろん、圧倒的に利用頻度が高いのは、絵里であるのは言うまでもない。

 

(私、ここに来て何百回くらいお酒を飲んだかな・・・・・・。他の店では、物足りないのよね。)

絵里がテーブルに座ってあれこれ考えていると、

 

「・・・・・・ん、お客さん!?」

希が声をかけてきた。

 

「え・・・・・・、あ、ごめん。」

絵里は、ようやく気がついた。

 

「気がついたところで、ご注文は何になさいますか?」

希は、バーのマスターのモードに戻った。

 

「そうね・・・。まずは、いつものにするわ。」

 

 

「かしこまりました。」

絵里の言う、「いつもの」とは、ウォッカのサイダー割のことだ。

(μ's解散から10年か・・・。思えば、あの頃ほど充実した時間はなかったわね。)

絵里は、10年前・・・。μ's時代の自分を思い出していた。 絵里は最初、スクールアイドルの活動には反対だった。廃校を阻止するために発足されたスクールアイドル活動が邪魔になると考えていたからだ。

(あの頃の私は頭が堅くて周りが見えてなかったわね・・・。)

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。