それから時間は流れ、約束の日の前日となる卒業式がやってきた。
今年度の絵里は、2年F組の担任である。
ちなみに、去年、絵里は初の3年生のクラス担任をしていたが、3年の卒業後のホームルームでは途中から号泣していた。
(私の卒業の時も、担任の先生は泣いていたわね。今年も泣くのかしら。)
絵里の担任だった先生は、今年も3年C組で、絵里が卒業した時にいたクラスと同じである。
卒業式は、絵里達が卒業する時とは異なり、粛々と進行していった。
卒業式の後の行事や飲み会も終わり、自宅に帰った。
その日は絵里の妹の亜里沙も来ており、絢瀬姉妹の再会となった。
学校で卒業式をやったためか、絵里は自分の卒業式を思い出した。
「穂乃果ったら、『μ's』の歌で送辞をしてくれたわね。あの時は、本当に驚いたわ。」
卒業式に西木野真姫の伴奏で『愛してるばんざーい』の曲を歌ったのだ。
『愛してるばんざーい』は、元々音楽室で真姫が一人で弾き語りをしていた曲で、もちろんμ'sを代表する曲の一つだ。
つまり、穂乃果はμ'sの曲で、卒業式の送辞をしたのだ。
「穂乃果さんらしい送辞の仕方だったわね。」
亜里沙も穂乃果のことを思い出して笑った。
「あれほど感動した卒業式は、全国どこにもないでしょうね。」
絵里は、学校では滅多に見せない、心からの微笑みを浮かべた。
「送られた側はもちろん、送った側にも一生の思い出に残るわ。」
あの卒業式は、外部から参加しただけの亜里沙の心にも残るものだった。
「まあ、卒業式の私物化だと言われれば、それまでだけど。」
一つの部活動の歌を卒業式と言う場で演奏すると言うことは、普通に考えれば、批判されて当然である。
「まあ、あの年くらいはいいんじゃない?だって、μ'sが音ノ木坂を救ったんだし。」
亜里沙の言う通り、廃校を阻止した救世主であるμ'sだから、許されてもいいだろう。
生徒や職員、保護者も、全員とまでは言わないが、ほとんどが認め、理事長も「今年度に限っては認めます。」と言った。
もっとも、そのために穂乃果は翌年には生徒会長の座を外れ、結局、答辞も別の生徒に譲ることになったが。
穂乃果本人は、生徒会長の座から降りられてホッとしたのは言うまでもない。
「穂乃果のおかげで卒業式まで退屈しないですんだわ。」
絵里は、エネルギッシュなかつての後輩を思いだし、笑っていた。
「さて、明日もあることだし、寝るわ。」
「お休み、お姉ちゃん。」
絵里は、μ'sだから許された明日の集まりのために、眠りについた。
今日は、ここまでにします。かつてのμ'sメンバーが再会するのは、8月3日の穂乃果ちゃんの誕生日までお預けと言うことでお願いします。