【偶像×相棒】   作:後藤陸将

46 / 67
推しの子最終話、特にどんでん返しがないことにはホッとしたものの、こんな終わりかぁという感じでしたね。
推しの子最終巻書き下ろしエピソードで明かされる真実というのが気になるところではありますが。
ニノ、リョースケ、カミキのホワイダニットを揺るがすようなこととかをそんなところでしないでほしいと祈るばかりです。


第46話 二度目の呼び出し

 中園に呼び出され、トリオ・ザ・捜一の三人と特命係の二人は、刑事部長室を訪れた。

「貴様ら、被疑者死亡で終わる事件の捜査をいつまで続けているつもりだ」

 内村がトリオ・ザ・捜一を睨みつける。

「お前たちが不必要な裏付け捜査をして送検作業をサボっていることなど、部長はとっくにお見通しだ!!」

 中園も内村に追従する。

「しかも、よりにもよって特命とつるんで……プライドはないのか!!捜査一課としてのプライドは!!」

「ですが、菅野が被害者(ガイシャ)の情報をどのように入手したのかを解明しないままでは……」

 三浦が言い訳をして切り抜けようとするものの、内村はそれを許さない。

「しつこいストーカーが仕事場から尾行して住所を見つけ出すことなど、よくあることだ。その線で送検するのに支障はない」

「菅野は宮崎で当時の被害者(ガイシャ)の主治医も殺害しています。被害者(ガイシャ)の情報を継続的に入手できた可能性は否定できません」

 たまらず伊丹も反論するが、内村の態度は頑なだった。

「では聞くが、貴様らは今までの裏付け捜査でその情報入手経路についてどこまで解明できているのだ?」

被害者(ガイシャ)が、事件の一週間ほど前に昔の男と連絡を取っていることが公衆電話の通話記録から確認されています。おそらくは、その男が菅野に被害者(ガイシャ)の宮崎での入院先や、事件直前の新居の住所をもらしたのではないかと」

「男?例の双子の父親か?」

 中園の問いに、芹沢が答える。

「はい。被害者(ガイシャ)の男――神木輝、慶明大学に通う大学生ですが、この男が被害者(ガイシャ)の生んだ双子の父親であることはDNA鑑定で裏が取れています。また、神木輝は4年前に軽井沢で心中した姫川愛梨名義の携帯電話を現在でも所有していると思われ、こちらの心中事件にも関与しているものと思われます。現在、裏付けをしているところですが、おそらく姫川愛梨の一人息子の上原大輝の父親も夫である上原清十郎ではなく、この神木輝が遺伝子上の父親である可能性が高いです」

「人気アイドルの隠し子の父親が同年代の大学生で、加えて4年前に心中した女優との間で不倫関係、子供を産ませてたということか?」

「現状、集められた情報を繋ぎ合わせるとそういうことになるかと……」

 中園と芹沢のやりとりを聞いていた内村がここで口を挟む。

「なるほど、週刊誌の記事としてなら立派な捜査結果だな。貴様ら、警察を退職して週刊誌の記者にでも転職してはどうだ?いい記者になれると俺は思うぞ」

「部長の仰るとおり、これは確かに表紙を飾れそうな大スクープですな。刑事にしておくにはもったいないほどの捜査能力……いや、取材能力でしょうか」

 中園もここぞとばかりに内村の嫌味に便乗する。

「お前たちの集めた証拠など、状況証拠に過ぎん。それに、住所や入院先をもらしたことをどうやって確認する?よしんば、それができたとしてもそれだけではとても刑事事件として立件できんぞ。週刊誌の記事にするには十分な証拠だがな」

 中園の言葉に、伊丹たちも黙り込んでしまう。確かに、中園の言う通りだからだ。

「ですが、宮崎の事件も、今回の事件も、ひょっとすると、姫川夫妻の心中も、神木の教唆による可能性がある以上、送検は早計ではないかと」

「この事件は国内の注目度も高い。送検までにまごまごしていては余計なやっかみを買いかねん。とっとと送検して、幕引きとする。これが警察としての決定だ」

 内村はそう言い放つと、これまでずっと放置されていた特命係の二人に視線を初めて向けた。

「杉下、貴様は菅野に被害者の住所を教えた人物が、宮崎の事件にも共犯として関与しているといっていたな、その、神木とやらの指紋は、宮崎の事件現場で採取された指紋と一致したのか?」

「いえ、神木輝の指紋は、宮崎の事件現場で採取された指紋と一致しませんでした」

 淡々と事実を告げる右京に対し、内村はしてやったりと言わんばかりの表情を浮かべる。

「ほう、貴様の推理も今回は見事に外れたようだな!自慢の推理力にも陰りが出てきたのではないか?どうだ!?」

 煽るように言った中園に向かって、尊が反論する。

「お言葉ですが、神木輝が宮崎の事件に全く関与していないとは考えられません。宮崎の事件では、菅野と神木以外にもう一人、共犯者がいたという可能性も否定できないのではないでしょうか」

「神戸!!貴様には聞いていない!!」

 中園は再び激しく吼える。

「つまらない憶測で送検を妨害するだけでも大きな問題だというのに、勝手なことを言いおって!!そもそも!特命に!!捜査権はない!!!毎度毎度余計なことをするな!!」

 徐々に声量を上げながら怒号を上げる中園が流石に耳障りだったのか、内村が不愉快そうに口を開く。

「うるさいぞ、中園。それに貴様、俺の台詞を全部取る気か」

「も、申し訳ございません!!どうぞ、部長からお話しください!」

 顔を真っ赤にして頭を下げる中園を見て満足したのか、内村は咳払いすると再び口を開いた。

「もういい。今日はもう遅いから、明後日まで待ってやる。伊丹、お前たちはそれまでに菅野を送検する準備を固めておけ。そして、杉下!!神戸!!」

 突如呼ばれてビクリと体を震わせる尊をよそに、内村はあくまで厳然な態度のまま言い放った。

「これ以上余計な真似は絶対にするな。わかったな?」

「お話はそれだけでしょうか」

「おい、杉下、返事は」

「でしたら、僕はこれで失礼します」

 右京は中園に返事をすることなく勝手に話を切り上げると、一礼して部屋を退出する。それを追うように尊も慌てて頭を下げて刑事部長室を後にした。

「どうするんですか?これから」

 尊は速足で廊下を歩き、先に刑事部長室を後にした右京に追いついて声をかけた。

「後二日で菅野が被疑者死亡で送検されてしまいます。しかも、伊丹さんたちも今度こそ送検作業を止められませんよ」

「菅野が送検されようとされまいと、僕たちがやることは変わりません。ですが、その心配には及ばないと思いますよ。そもそも、送検まで後二日もあるではありませんか」

「え?」

 右京は自身の言葉の意味を掴みかねている尊に対し、そのまま言葉を続ける。

「その間に、雨宮吾郎殺害の共犯者から話を聞けばいいだけの話です」

「でも、一体誰が雨宮吾郎殺害に関与したんですか?指紋は神木と一致しなかったんですよ」

「ああ、その指紋の持ち主については、既に見当がついています」

 突然右京が放った爆弾発言に尊は思わず立ち止まるが、右京は立ち尽くす尊を無視してスタスタと歩いて行ってしまうのだった。

「え、いつの間にって、っちょ……説明の一つくらいしてくれたっていいでしょうよ!!」

 尊は悪態をつきながら小走りで右京を追いかけた。




ドラマなら絶対CMが入るタイミングですが、本日の更新はここまで。
いつの間にか真実につながる鍵をつかんでいながら勿体ぶるのが右京さんの悪い癖。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。