ヴィランな少女は学園生活満喫中、ついでに雄英高校潜入中   作:シャンデラ

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第0話 金色の侵略者

 「一応言っておくけど、雄英なら合格したよ。」

 

 電話がつながった瞬間、開口一番で。

 

 時は夕暮れ。帰路につくサラリーマンや学生、買い物帰りの主婦に紛れて、私はハッキリとそう宣言した。

 

 『……雄英の入学試験の実施日は今日では?』

 

 「だからなに。合格したって言っているでしょう?」

 

 電話先の男の反応は悪く、軽くため息。イライラと電話のボディを指でたたく。

 

 『おや、これは失礼いたしました。確かにあなたほどの方が高校の入試で失敗するわけないですね。何にしても喜ばしい出来事です。』

 

 こちらのいら立ちが伝わっていないのか、いないのか。あくまで相手は丁寧に、ただしどこか神経を逆なでするような不快さで返事をしてくる。

 

 「……私にとっては全然喜ばしくなんてないのだけれど。そもそも私が今更ヒーローの学校なんて馬鹿みたいだし。」

 

 『しかしこれで確かに、あの学校へのコネクションが出来た訳です。』

 

 「知らないしそんなの。そもそもどうして私なの?私の”個性”の強みをもっと生かせる仕事を紹介してほしいわ?」

 

 『いえいえ、私はあなたこそが一番この仕事に向いていると思いますよ。』

 

 ……こいつは明らかに私の事をからかっていた。次会ったら刺し殺してやると心に決めて、自分を落ち着かせる。

 

 「癪に障る言い方ね。私が一番だなんてはずはないわ。もっと逆らわなくて、失っても困らない、そんな都合のいい駒がいるはずよ?正直に言わせてもらうと無理に私を使おうとする理由がわからないのだけど。」

 

 『いえ。今回の仕事は前提として雄英のヒーロー科に合格できる人でないと任せられません。だからこそのあなたです。』

 

 「ふん……あそこは貴方にも縁のある場所のはずだけど。知り合いもいるでしょ?罪悪感とか感じないのかしら?」

 

 『??……何の話ですか?』

 

 「いえ、知る必要もないことだったね。忘れて頂戴?」

 

 あまりにもむかついたから、軽く反撃を入れた。望んでいた通りの反応が返ってきて少しだけ溜飲が下がる。

 

 利用されているのは、私だけじゃない。電話の向こうの靄男も同じだ。

 その自覚があるだけ、私の方がまだマシだ。もしかしたら知らない方が幸せなのかもしれないが。

 

 「……いいわ。それで?ほかの仕事はないのかしら。気に入らない奴は?都合の悪い奴は?成功までは保証しないけれど、私の”やり方”はとにかくローリスクよ。」

 

 『それでは後ほどガラテアに資料を送っておきましょう。しかしお気を付け下さい。あなたはもう雄英高校のヒーローの卵なのですから。』

 

 ガラテアというのは私の敵名だ。最も私をそう呼ぶ人物は片手の指の数ほどもいないが。

 

 (それにしても……)

 

 まさか私が女子高生になるとは……。妙な事態になったものだとつくづく感じる。

 

 もちろん私も高校を受験した以上書類上は中学生ではあるのだが、実際に学生生活なんて本当に久しぶりだ。黒霧にはああいったが、高校への潜入任務がどこか楽しみな自分もいる。

 

 よりにもよってヒーロー科というのは本当に悪趣味だが、だからこそ面白いというもの。

 

 「フフッ……」

 

 おかしくて、思わず笑いも漏れてしまう。周りの人が不思議そうに私を見るが別に構わない。

 

 (卒業まで誤魔化し切れるかな……?ちょっと無理がある気もするけど。)

 

 歩きながら思案する。

 

 (んーー、適度なところで切り上げないとまずいことになりそうね。馬鹿正直に仕事を続けて正体がバレるのも間抜けな話だもの。)

 

 リスクは可能な限りケアするべきだ。このあたりに関しては入学までにじっくりと考えよう。警戒するべきことは多い。

 

 (あーあ。どうしてこんなことになったのかしら……。それにしても本当に悪い冗談ね。)

 

 ガラテアは、困ったように微笑んだ。




 取り敢えず完結を目指します。そんなに長くはならないはず……。
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