「ゴルシ!どこだゴルシ!」
「ココダヨー」
「ッ!?捕まえたぁ!」
「ふはははっ!掛かったなトレーナー!それはアタシのぱかぷちだっ!メンマとチャーシューで仕込んだマイルドわさび味のポテチをやろう!」
「ほぁぁぁぁっ!ほぁぁぁっ!」スゥゥゥゥ
「な、やるならゴルシちゃん本人ににやれよ〜!」
こんな感じの物語、始まります。
◆
❴おかしなトレーナーとおかしなウマ娘❵
春、それは新学期、それは入学の季節、咲き誇る桜が生徒たちを出迎える、世間一般の常識はここ中央トレセン学園でも変わらない。中高一貫の体制を取っており国内最大の敷地面積を持ち設備は世界有数の最新機器を取り入れたウマ娘たるもの目指すは中央とまで言われる一大施設。
そんなトレセン学園では将来有望な若葉たちが己の為に、家族の為に、はたまた義務の為に、異なる様々な事情の胸に秘めて乙女達が集う。
一概に言えることは皆真面目に勉学に励みに来たということだ。
「トレーナーさんあ"い"だがっ"だよ"ぉ"ぉ"ぉ"!!!」
「うぉぉぉぉん!俺もだぁぁぁっ!」
そんなウマ娘たちをかき分けて一人と一頭が抱き合っていた、まるで生き別れの家族と出会った時のようなそんな悲壮と喜びの混じったシーンにほだされやすいウマ娘は涙した。
校門から校舎までやたらと長い道の真ん中で繰り広げられていてなおかつ大声で抱き合うもんだからほぼ全てのウマ娘達がこのシーンを見ていた。
片方はトレーナーの証であるバッチを付けたどこにでも居そうな普通のヒト息子、一方ウマ娘の方は例に漏れず美人であり薄紫の長い髪が美しく頭には被り物、一応二人はスーツと制服だが何故だろう犯罪臭がする。
「よう所で君誰?」
「トレピッピは誰?」
いや知らんのかい
その場にいたウマ娘のほとんどか「お前ら正気か?」と言う言葉をグッと飲み込んだ。
「お前ら正気なんか?」
いや1名黙って無かった。しかし二人は我関せず。
「俺はここの新人トレーナー、この春から配属になった「吉良吉影か?」誰が爆弾魔じゃい!「分かった海原雄山だろ!」チョイスが女子高生のそれじゃねんだよ!!!」
「アタシはゴールドシップっていうんだ!よろしくな!」
「終始マイペースっ!?まあいいや、俺は金島 海舟(きんじま かいしゅう)よろしく!」
「ほーん金トレ、強そー」
「テキトーに略すな、ちゃんと金島トレーナーって呼びなさい」
この間ずっと抱き合っていたので一部のウマ娘は良からぬ妄想を膨らませて爆発していとかしないとか、その後二人は何事もなかったように離れそれぞれが入学式のために職員室と教室へ歩いていった。
「嘘でしょ・・・誰もツッコまないの?」
君は正しい。
そして入学式は終わり、次の日、ウマ娘達にもトレーナーにとっても大切な大切なイベントが発生する。
「ただいまより選抜レース始めますね、緊張せずに力を出し切りましょう!」
「【力走!】皆に期待しているぞ!」
緑のお姉さんの方が駿川たづな理事長秘書、猫を載せた扇子の少女が秋川やよい理事長、理事長よりはりじちょーと呼ぶのが似合うかもしれない。
さて、話を選抜レースへ移すとしよう。
選抜レースはウマ娘達のアピールの場である、ここで記録を残せば優秀なベテラントレーナーから誘いが来ることもあるし、強いチームに勧誘されることもある。
よって上を目指す彼女等の一発目の見せ場は異様な空気感に包まれる、あの子より強く、あの子より疾く、あの子より前へ、闘争心の剥き出しになったウマ娘はまさに一番ギラついている。
「あー焼きそばは如何っすかー!」
「今なら一パック二百円二百円!お茶セットは三百円!安いよ安いよー!」
ゴールドシップ、と言うウマ娘を除けばだが。
「ゴールドシップさん!レース前にふざけてはいけません!」
「たづなさん!女には破らなねばならぬルールがある、やらねばならぬ仕事がある!」
「おっ美味そう、お茶セットくれー」
「まいど〜あっ金トレピッピ、ありがたや~」
「金島だからね、そっちは浸透させないでくれよ?」
「あたぼーよ!」
「金島トレーナーも一緒になって相手しないのーつ!」
ゴールドシップの奇行は周囲の人間の度肝を抜いたが、それで笑う者がいて、それで入れ込みすぎた気持ちが戻った者がいて、奇抜な生徒に頭を抱えた先生が居た。
このあと行われたレースは非常に心晴れやかで爽やかなレースになり、嫌な緊張感は消えて皆が全力を出せる雰囲気が出来上がっていた。
それもこれもゴールドシップという存在が中心になって引き起こした訳だ、ひょっとしたら彼女は大物なのかもしれない。
他のウマ娘の為の奇行、そう見るならりじちょーも笑顔で許すというもの。
「金トレ、このレース勝ったら面倒見てくれよ、ダメ?」
「え?俺新人だけどいい?」
「アタシについてこれるやつは今の所ゴールデントレピッピだけよ?」
「よし!一位だったらトレーナーになってなおかつ今日は焼肉行こうぜ!」
「おっしゃ!待ってな最高のサーモンとデーモンを食わせてやるぜ?」
「いやそこは俺が奢る流れーっ!?というかデーモン何!?」
そして彼女はなんやかんやぶっちぎり一位になり金島トレーナーの財布が何故かまんじゅうでいっぱいになった、翌日には元に戻っていた、おぉ怖い怖い。
後に金島トレーナーは「デーモンがあれ程旨いとは・・・」と語るが、別のお話。
◆
❴ハチャメチャのウェーブ❵
「トレピッピ!飯ができてございますわよ!」
「飯?ゴルシが用意してくれたのか?」
たりめーだろ?そう言ってゴールドシップは事務作業に従事していた金島トレーナーをデスクからソファへ誘導し、自分は机を挟んだ正面へ座った。
「特製ゴルシちゃんスープ、中身はスパイスをとにかくぶっ込んだ」
「つまりこれは?」
「カレーではない、断じて違う」
「でもこれじゃがいもとか玉ねぎとか」
「昨日のポトフの余りでございますわよ」
「ふーん、これは夢か」
「おうそうだぞさっさと目覚めて仕事しろ、練習メニュー考えてくれよなー頼むよー」
ここでようやく目が覚め、突っ伏していたデスクから飛び起きる。周りを見るともう夜も夜中の午前一時、夢の中のゴールドシップに起こされなければ朝まで寝ていた。ありがとうゴールドシップお前が助けてくれたお陰で明日の練習までにメニューが書き上がると意気込んだが、変な時間に目覚めて腹が減った。
そして丁度デスクには一皿の差し入れが置いてあるアルミで包まれ中は見えないがそれを外すと
「ひぃぃぃやぁぁぁぁぁっ!?」
訳の分からないカレーが置いてある、夢と同じ、いやまて今が夢?夢の中で夢を見た?いや誰の夢だった?俺は一体?――
「きゅう」
金島トレーナー、気絶して再就眠――
「おっ早かったな?二度寝か?やっぱり食う?」
ガバッ、とまた起きた。
「よぉ金トレ、差し入れだぞ」
「お、おお」
「お?」
「俺のそばに近寄るなぁァァァ!!!???」
寝ても覚めても例のカレーが出てくる出てくる、まさかゴールドシップに呪われた?そんな憶測もしたくなる程肝が潰れた、もう駄目だ目の前にいるゴールドシップが信用ならない、よってここは隔離、金島トレーナーは自らを隔離して閉じこもった。
「・・・からかっただけなのになぁ、
金島トレーナーはしばらく夢を見れなくなった。南無。
あっ、あの二人仲がいいね!