女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可) 作:異種百合推進委員会
「見なさいジスタ。この子がメアリよ。とってもかわいいでしょ」
「……はい」
「ジスタさんですね。メアリです。よろしくおねがいしますね」
声が小さいけどメアリの前だから許してあげよう。メアリはあたしが持ってきたお芋を焼いてくれるらしい。ジスタを手伝いに向かわせて、お先に椅子に座る。捨てられた子犬みたいな顔をしてた。
「で、真面目な話とは」
意図を汲み取ってくれたレイも向かいに座る。昨日とは違い声がちょっとガチトーン。
「ジスタ捕まえたとき、魔族狩りに追われた、って言ってたのよね」
「捕まえたとかいう不穏な言葉が聞こえたが一旦横に置いて」
最初の一言で頭を抱えさせてしまった。でも罠に掛かってたんだから捕まえたで間違いないと思う。助けたのもあたしだからマッチポンプだけど。
「この辺りは魔界から離れている。魔族を見たら襲われるのは普通じゃないか? この村が特殊なだけだ」
「まージスタだけならそれはそうなんだけどねー」
「他にも被害者が?」
「メアリを保護した時も、追い剥ぎに襲われたって言ってたのよ」
「ふむ」
レイの目つきが鋭くなる。やっぱりここまで言えば気になるらしい。
「仮定だが、メアリを襲った集団とそのジスタだったかを襲ったのが同じ集団ならば、この近辺を縄張りにしている可能性は高いな。私は今のところそのような噂を聞いたことはないが」
「まだ街へ繋がる街道とかは狙ってないんでしょうね。だってその辺りって結構関所とか兵士とか居るでしょ」
「……」
答えずに黙ってしまった。なんか変なことを言っただろうか。
「ん、どしたの?」
「いや、こちらの警備体制を探っているようにも聞こえたからな」
「あー」
言われてみれば、そう受け取られてもおかしくない。はいと答えてもいいえと答えても情報になっちゃうわけだ。本当に必要ならあたしは自分で見に行くけど、誰もがそうとは限らない。たとえばそれこそ、ジスタなんかは怖くて近づきもしない。あたしは話を変える。
「じゃあそっちはスルーして。近くにそんな野蛮人が居るのはよく無いと思うのよね。いつこの村を襲うかも分からないでしょ?」
「私に行けと?」
「別にどっちでも良いけど。あたしが気になってるのは、流石に殺すのはやりすぎかなーってとこ」
メアリを襲ったって一点だけでミンチにしてあげても良いんだけど、せっかく仲良くなれたのにそんなことで敬遠されたり決別したくない。レイなら白狼騎士団なのだから治安の維持も仕事なはずで、お伺いを立ておくのは悪いことじゃないはずだ。昔、お手伝いのつもりで他所の幹部の獲物を横取りしたらマジギレされてしばらく追いかけ回されたことがある。あの時は前の魔王様が仲介してくれたが、今回はそういうことをしてくれる人は居ない。
「……不思議な部分で気を遣うんだな」
「似たようなこと、魔王様にも言われたことあるわ。お前は不器用だーって」
「部下としてお前を使うのは大変そうだ。魔王の気苦労が窺えるよ」
くつくつとレイが笑う。
「そう? 自慢じゃないけど、一度認めたらそうそう裏切らないわよ?」
「そうかもな。腹芸は苦手そうだ」
「そういう意味じゃないって」
腹芸苦手なのは事実だけどさ。だからジジイ共にこうやって放り出されるし、魔王様に話は通ってなかったりするわけで。もうちょっとうまくなった方が良いのかな、なんてことは考えたりするけど。ここに来なかったらメアリにもレイにも出会えていないわけで。案外なるようになるから、慣れないことはしない方が良いってことにした。
「で、野盗疑惑か。勘違い、という可能性もあるし私が出向くべきだろうな。それにメアリとジスタにも話を聞いておいた方が良いだろう」
「あー早とちりって可能性もある?」
「それに明確な被害がなければ動けない。捕縛して法廷のある街まで護送するのが普通だが、相手が荒くれ者の場合はこちらの生死が優先になる」
「殺しちゃって良いってこと?」
「いや、出向くときは私一人で良いさ」
「一人で大丈夫?」
大丈夫だとは思うけど、万が一ってこともある。人質とか取られたら、レイは動けなくなっちゃうタイプに見えるから。
「心配なら後ろから離れて着いてきてくれれば良い。面倒だと思うかもしれないが、お前の姿を見られてあらぬ噂を立てられても困るしな」
「あ、そっか」
この村だからあたしは許されてるわけで、街に移送した野蛮人があたしのことを告げ口したら確かに大変だ。そういう発想は全然無かった。殺すのは良くないよなー、で。バレても逃げられるって思ってたからだけど。レイや何よりメアリに被害が及ぶのは嫌だ。魔族がやらかすならあたしが〆れば良いけど、人間側の都合だと簡単に口出しすることも出来ない。あたしだって街一つ二つ相手にするのは苦労する。
「まあ私も今の暮らしは案外悪くないと思ってるんだ」
「デレた?」
「デレるも何も敵対的だったのは最初くらいだろう」
「それもそっか」
でも、レイも結構楽しんでくれているらしくて、あたしはちょっと嬉しかった。自分で言うのもなんだがちょろい。
おいはぎたちはかっとで
ひょうかかんそうおまちしております