女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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へんなひとがきた(※ちょっとこわい)

「見ない顔だが名前と所属を伺っても?」

「ええ、名乗り遅れました。わたくし、天覧研究室のミランダと申します」

 

 天覧研究室、聞いたことない名前だ。研究室って言うくらいだから何かを研究してるんだろうけど。

 

「天覧研究室……首都(キピタ)に拠点を置くモンスター研究の最先端、でしたね」

「あらご存知なのですか?」

「名前くらいは。その天研の人間がどうしてこのような場所に?」

 

 ここから人間の首都まではかなり遠い。村から街に出て、そこからまた幾つも街を経由しないといけない筈だ。散歩でやってきましたーって来ることはそうそうない。

 

「この近辺でワイバーン(卑竜)の大量発生が起きていたことはご存知でしょうか」

 

 ワイバーン。メアリの村を滅ぼし、この村にも襲ってきた低俗な翼トカゲ。やっぱりあれは異例の大軍団だったらしい。

 

 ここからでもメアリの顔が暗くなっているのが分かる。出来るなら今すぐ抱き締めてあげたいけど、ここで顔を出したらレイの気遣いを無駄にしてしまう。ううっ、後でめいっぱい慰めてあげるからね。

 

「それが?」

「わたくし達はその集団を観測していたのですが、こっきりと足取りが途絶えたのです。この近辺で」

 

 お前なら何か知ってるんだろう、とでも言いたげな顔だ。

 

「それは不思議な話ですね」

「さらに言えば、近い時期、魔族の姿も観測されていますわ」

 

 それはたぶんあたしのことだ。観測されちゃってたか、やっちゃったな。ここは居心地が良かったから。バレたくなかったんだけど。でも、まだ村との関わりはバレてないならギリギリ残れるか。いや、みんなへの迷惑を考えたらやめた方が良いかな。

 

「本当なら大変なことだ。私の方でも調査してみますよ」

 

 レイはこんな状況でもしらを切る。ミランダとかいう女はその様子をニタニタ笑って眺めている。なんか嫌な表情だ。城のジジイ共に近い顔。

 

「それには及びませんわ」

「……どういう意味でしょう」

「実は、こちらの方で魔族を既に一匹、確保していますの」

 

 あたしじゃない。じゃあ、ジスタだ。ちょっと目を離したらすぐに捕まる子なんだから。手間がかかる、なんて。

 頭は冷静でも、アタシの心は冷静じゃなかった。飛び出して、ミランダを引きずり倒し、首を掴む。まだ殺さない。レイの前だし、ジスタの居場所を聞き出さなきゃ。

 

「ギルネリア!」

「あたしのかわいい部下を、どうしたって?」

「あ、あ……」

 

 ミランダの目が揺れる。まだ息ができなくなるような締め方はしてない。だから、質問には答えさせる。

 

「本物の魔族に触ってもらえるなんて! このミランダ、幸福で胸がはち切れそうですわ!」

「……は?」

 

 きらきらとしたお目々に殺意が削がれる。この状況でその感想はだいぶ頭がおかしい人なのではないだろうか。

 

「ああ、失礼。少々ブラフをかませて頂きました。村の方にお聞きしたらここに魔族の方がいらっしゃるとお聞きしたので」

「……魔族を確保したというのは」

「でまかせですわ。ご安心を、この近辺を観測しているのはわたくしだけですもの」

 

 どういうこと? 相手の言っていることがよく分からなくて、どうすれば良いのか。レイに視線で助けを求めると、彼女も困惑気味に眉をひそめていた。

 

「整理すると。魔族が居るという情報を得たあなたは、魔族に会うためにこのような茶番を仕組んだ。そして、この村に魔族が居るという情報はあなたしか持っていない。そういうことで良いのか」

「じゃあジスタは」

「無事ということだな。こいつの言うことが真実であるならば」

「神に誓って真実ですわ。虚言を用いたことを神に誓うのもおかしな話ですけれど」

 

 よく分からないけど、敵ではないし、ジスタも危なくない、ってことで良いらしい。あたしが手を離すと名残惜しそうな顔をしていた。もしかしてこれは、いわゆるヘンタイという奴ではないだろうか。

 

「うふふ……天研では魔族の研究なんてさせて頂けませんもの。こんな機会が巡ってくるなんて思ってもいませんでしたわ。その翼はどう背中とつながってどう羽ばたいているのか。彼ら彼女たちの膂力や鋭い牙や爪はどのような環境における進化なのか。何より魔法とはいったい何なのか。どうして魔族だけが魔法を持ち、人間には習得できないのか。なぜあれだけ多種多様な魔法が繁栄するに至ったのか。モンスターは生物としては興味深いものですが魔族には遠く及びませんわ。だってあれらは結局は野生動物の延長線上でしかありませんもの。知性も品性も無く、豪雨や山火事などの自然災害と何も変わりありませんもの。検体一つあればだいたいのことは分かってしまうモンスターよりも生きた存在を長時間、多人数観測し続けなければならない魔族の魔法研究とは全然格が違います。はあ……わたくし思い出してくださいまし今の手の感覚を。人間と同じ、少女の柔らかい手でしたわ。でもあれは首の骨を簡単に折ってしまうでしょう。そう考えるだけで腰が抜けてしまいそう」

「……殴って良い?」

「……やめておけ。喜ぶだけだ」

 

 流石のあたしもドン引きのヘンタイがそこに居た。




なんだこいつ

かんそうひょうかおまちしております
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