女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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へんなひとがきた(※ひとのことはいえない)

「あれ、今日はレイ居ないの?」

 

 ミランダに出会いたくないなっていつもよりこっそり遊びに来ると、居たのはメアリだけだった。いつもなら編み物とかしている筈のレイの姿がない。外で鍛錬していた様子も無いし、本当に居ないんだろう。

 

「レイさんはミランダさんの調査? のごえいをするって」

「ふーん、あの人ちゃんと仕事はするんだ」

 

 適当に椅子に座ったら、メアリが台所からメレンゲお菓子を持ってきてくれる。そうか、レイが居ないのか。

 

「メアリ、ちょっとおいで」

「どうしたんですか……わっ」

 

 メアリを招き寄せて抱き上げる。お膝に乗せると、髪から砂糖の甘い香りがした。

 

「ぎゅー」

 

 メアリはジスタよりも小さい。あたしと比べても頭一つ分近く違う。柔らかくて、壊れそうなのに、こうやって抱きしめてると凄い安心する。

 

「どうしたんですか?」

「んー、メアリに出会わなかったら、あたしはここに居なかったなーって」

 

 メアリが迷い込んでこなかったら、あたしは結局人里に降りてくるなんてことは考えても実行しなかっただろう。そうしたら、あのワイバーンの群れを倒すこともなくて、レイと出会うこともなかった。あの時、メアリがあたしのことを庇ってくれなかったら、レイはあたしを信用してくれなかったに違いない。

 レイに聞かれるのはなんだか小っ恥ずかしいから、こういう時じゃないと素直に言えない。だってレイはあたしより年下なのにお母さんみたいな顔してくるんだよ。恋人も居ないのにずるくない?

 

「一人でずっと寂しかったから、メアリが助けてくれたんだなあ」

 

 そこから巡り巡って、ジスタがやってきた。魔王様とあたしの勘違いも解けて、順番にだけど部下が戻ってくるって話にもなった。あの薄暗いだけのおうちも、これからどんどん賑やかになっていくだろう。レイとメアリを簡単にはおうちに誘えないのは悲しいけれど。

 

「私も、ギルネリアさんに助けてもらわなかったら、何処かでお腹が空いて死んじゃってたと思います。それだけじゃなくて、こうやって村にも届けてもらって返しきれないくらいで」

「あーもうかわいいなあ」

 

 もっとぎゅーっと強く抱きしめる。本当に優しい子だ。あたしが関わってるのが申し訳ないくらいに良い子。分かってて甘えてるあたしは悪い子だけど。

 

「今はまだ難しいけど、旅行とかにも行きたいね」

「旅行、ですか?」

「うん。あたしとレイとメアリの三人でさ。予定がついたらジスタも連れて」

 

 部下がやってきたら、あたしも長期間おうちを離れることができるようになる。そしたら、何日もかけて遠い場所の美しい景色を見るのだ。レイもきっと暇だし一緒に来てくれるでしょ。

 

「メアリは海って見たことがある?」

「海って、大きな湖みたいなものですよね。お話には聞いたことがありますけど、見たことは」

「この辺りからだと遠いもんね。見渡す限りずーっと水面で、いろんなお魚が居るの。川に居るのとは全然違うのよ。メアリくらい大きいのも居るんだから」

「私よりおっきい……!」

「それで、海の水はしょっぱいの。波がざばぁんって高くて、見応えがあるわ」

「へえ……見てみたいです!」

「ね、みんなで水着を着て遊ぶの。砂のお城を作ったり、泳いでみたり。人間の方の文化は分からないけど、魔族の方だと海の近くではお祭りをするの。甘いお菓子だったりみんなで踊ったり、きっと楽しいわ」

 

 頭を撫でてぷれぜんする。お城の方に居る時も、あんまりお祭りとか楽しめなかったからなあ。あたしが行くとみんな萎縮しちゃって、こっちが申し訳ない気持ちになってしまった。

 

「あ、私ピクニック行きたいです! お花がきれいなところで、持ってきたお弁当をみんなで食べるんですよ」

「良いねえ。天気が良い日だとぽかぽかして暖かいし。でもお料理できるのメアリくらいだし」

 

 レイは不器用だし、あたしやジスタはそもそもお弁当作るような文化がない。ミランダは、考えないようにしよう。

 

「それだったら、ピクニックに向けて練習しましょうよ。ギルネリアさん、以前お料理の勉強したいって言ってましたし」

 

 言われてみればそうだ。せっかくいろんなことに挑戦できるのに、なんだかんだ先延ばしにしてた。

 ピクニックのお弁当を自分で作る。うん、良い目標じゃない。

 

「じゃあメアリはあたしの先生ね」

「先生……! 任せてください!」

 

 先生っていう言葉の響きがお気に召したようで、るんるん気分で胸を張る。んんーかわいい。とてもかわいい。こんなかわいい先生に教えてもらえるならなんだって上手くなれそうだ。失敗作はレイに食べてもらおう。たぶん戦闘糧食とかで慣れてるし、お人好しだからちゃんと食べてくれるだろう。

 

「ただいま……ん、ギルネリアも来ていたのか。メアリ、窮屈だったら逃げても良いんだぞ」

「あたしとメアリは仲良しだから良いんですー」

「すー」

「まあ気にしないなら良いが……随分楽しそうだな。何か良いことでもあったのか?」

 

 あたしとメアリは顔を見合わせて「ひみつ!」と笑った。




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