女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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はじめてのしんにゅうしゃ(※これでともだち?)

「落ち着いた?」

 

 帰り方が分からないし行くアテも無いとまた泣くので、とりあえずふかふかソファに座らせてやる。ちょっと埃被ってるけど仕方ない。だって使う機会も無いんだもん。

 こくこく頷いている女の子。たぶん大人になるよりちょっと前くらい。人間は十五で大人って聞いたことあるから十二とか三くらい?

 よく見るとかなりかわいい。きれいってよりはかわいい。庇護欲がぎゅーっと刺激されるタイプ。

 

「じゃあ尋問たーいむ」

「尋問?」

 

 尋問ってか質問。

 

「あなたのお名前は?」

「メアリです」

「メアリちゃん。苗字は無い感じ?」

「はい」

 

 人間の仕組みはよく知らないけど、身分が低いと苗字とか持たないんだったっけ。不便だなあ。

 

「じゃあ次の質問。どうしてここへ?」

「それは迷い込んで」

「違う違う。なんで集落を出ちゃったのか」

「それは……」

 

 ぎゅっと服の裾を掴んでいた。もしかしてあたし、かなりデリケートな話題に触れちゃったかもしれない。

 

「住んでた村が、モンスターに襲われて……」

 

 モンスター。あたし達魔族とも違うやべー生き物。知性っていうか知能は人間にも劣るんだけど、代わりに持ってるパワーとか特殊能力が洒落にならなかったりする連中。

 魔族の領土でもモンスターが暴れて集落が潰れるのはよくあることだ。あたしが討伐に駆り出されたこともある。

 

「お母さんが、あなただけでも逃げて、って」

「ごめんごめん。辛いこと思い出させたかったんじゃないの。ほら泣かないで」

 

 涙をこらえて、歯を食いしばってるメアリはいたたまれない。人間でもまだ子供だろうに、一人で放り出されたんだからそりゃ心細いよね。あたしの前に追い剥ぎにも追われてたって言うし。

 

「私、一人ぼっちになって」

「えーあーうん。あたしも一人ぼっちだよ。元気出して」

 

 これはバッドコミュニケーションな気がする。あ、でも泣き止むのをやめてこっち見てくれた。

 

「ギルネリアさんも一人なんですか?」

「うん。お仕事だから」

「ずっと一人……とても、寂しいですよね」

「ぐはっ」

 

 うっか゛わ゛い゛い゛。でもそのせいで言葉のナイフがどストレートに来た。

 

 あー、駄目だ。あたし完全に絆されてる。この子を殺す気になんてなれない。頑張って生きようとした子を、一応なんて理由で殺せない。だってそれやったらもう、倫理観的にアウト。魔王様が許してもあたしが許せない。

 

 だけどどうしよう。ここに住んでもらう、ってのも考えたけれどそれもかわいそうだ。だってあたしの話し相手くらいしかすることが無い。人間の一生は短いのに、大切な時間取っちゃったら申し訳なさでいっぱいになる。やっぱり人間は人間と暮らすのが一番だろう。

 

 近くに人間の集落、あったよね。そこに送ろうか。でもまた酷い目にあわされたら嫌だから、なんか保険をかけておきたい。過保護かな? 仕方ないじゃん、こうやって話した相手なんて何年ぶりだか分からないんだもん。色々と世話を焼きたくなるのだ。

 

「よし、じゃああたしがメアリを人間のたくさん居るところに送ってあげる。その代わり、これを持って?」

「これは?」

「あたしからのお守り。嫌なことがあってもメアリも守ってくれる」

 

 メアリにあげたネックレスは、持ち主の危険を察知して魔法を撃ってくれる。人が死ぬような威力にはしてないけど、数日は立ち上がれないくらいのダメージになってるはずだ。

 

「ありがとうございます!」

 

 ネックレスをかけて笑う姿尊すぎ。えっ天使? 神がこの世に与えたもうたかわいさの化身?

 危ない魔王様から宗旨替えするところだった。

 

「じゃあすぐに出発しようか」

 

 めちゃくちゃ名残惜しいけど。このままだと手元に置いておきたくなっちゃう。

 あたしはメアリを連れて外に出る。太陽が眩しい。そっかぁ、太陽ももうめったに浴びてないもんなあ。健康に悪いし、これからは散歩くらいしようかな。

 

「メアリ、あたしに掴まって」

 

 お姫様抱っこすると、畳んでいた翼をばっと広げる。

 

「わぁ」

 

 メアリがきらきらした目であたしの翼を見てる。さっきまであることにも気付いてなかったかもね。そんなこと言ってたらちゃんと飛べるか自分でも怪しくなってきた。安全運転で行こう。

 

 軽く地面を蹴るとあたしの体は大空に飛び上がる。うん、調子は案外悪くない。空からなら、人間の集落もよく見える。

 

「ってあれ?」

 

 その集落を取り囲んでる飛行物がたくさん。遠目からだからはっきりとは確認できないけど、あれはワイバーン(卑竜)の類いか。

 

「村を襲った……」

 

 メアリがぎゅっとあたしに体を寄せた。小さく震えてる。なるほどこいつらがメアリの居たとこを襲ってそれだけに飽き足らず、これから送ろうとした場所まで攻撃しているわけか。

 

「メアリ、ほんのちょっとだけ目を瞑っててね」

 

 メアリの抱え方を変えて、片手を自由にする。あんまり人間自体に加担するつもりはないけど今回は例外。メアリの為だから。

 

 何をするのかって?

 

 トカゲどもに身の程思い知らせてやるのさ。




かわいいはせいぎ
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