女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可) 作:異種百合推進委員会
「あー、危なかった」
ちょうど良く近くにあった洞穴に逃げ込むことができたのであたしもミランダも事なきを得た。グリフォンはあたし達をまだ探しているみたいで、足音と唸り声が響いてくる。
「ミランダ大丈夫?」
「ああ、ギルネリア様のお顔と匂いがこんなに間近で」
「大丈夫なら離れてちょうだいね」
なんかトリップしかけていたのでべりべり引き剥がす。よだれが出そうなやばい顔になってるの怖いんだけど。やっぱり助けなくて良かったかな。
「いやぁ、あたしの動物避けってやっぱりモンスターには効かないのね。イノシシとかにも効かないからそうなんじゃわないかとは思っていたけど」
「この近辺でグリフォンが確認されたのは三年前が最後の筈……」
「まあ、前にワイバーンもおかしいって話してたし。異常事態って奴なんじゃない。縄張りだったのか知らないけど、凄い気が立ってるみたいだし」
あれから隠れながら帰るのは無理だ。何より、村の近くにこんな凶暴なモンスターが居るんじゃ、いつ村人を襲うかも分からない。それじゃメアリが安心できない。
「じゃ、ちょっとそこで待ってて」
「どうなさるんですか?」
「あんなのにうろつかれたら邪魔でしょ? ちょっとぶちのめしてくるわ」
グリフォンはワイバーンよりも格上のモンスターとして扱われるけれど、あたしにとっては大差無い。あ、でも死体は残しといた方がミランダは喜ぶかな。
「はぁい、雑魚モンスター、あたしはこっちよ」
洞穴から出てグリフォンの前に姿を見せる。自分から襲ってきたくせに怒り心頭とばかりに牙を鳴らしていた。モンスターはどいつもこいつも、自分が最強だと疑って仕方がないような顔をしている。
さて、どう倒そうか。吼えられてもうるさい、翼で逃げられると面倒だ。あたしは魔法陣でグリフォンの四肢を捕まえる。首を落とすか、心臓を抜き取るか。
「グギャアアアオ」
「あっつ」
動けないと分かったグリフォンの口から火の玉が撃ち出される。うーん、どういう原理なんだろうか。魔法に近いと言えば確かに近いのかもしれない。なんとなくで使っているものを説明しろと言われても、少なくともあたしは無理だ。片手で止めた火球が延焼しないように、重力でしっかり押し潰して消火する。うん、悪いものを吐き出すその口は縛り付けてしまおう。
魔法陣を開く。闇が布のように長く長く浮かび上がり、グリフォンの顔にへばりつく。何も通さない。絶対に剥がせない包帯だ。ぐるぐると頭全部を包み込んでやれば、呼吸できなくなったグリフォンが空気を求めて暴れようとする。でも、がっちり足も固定してあるからその場から起こせるのは翼をはためかせた風くらいだ。時間が経てば、暴れる気力もなくなって窒息死するだろう。そしたらグリフォンの標本……標本であってるのかな? まあいいや、活造りの完成だ。
「ミランダ、もう出てきて良いわよ」
声を掛けると、周囲を警戒しながら洞穴から出て来る。ちょっとおっかなびっくりな様子だ。フィールドワークをよくしてるって言っても、ここまで近くに迫られたのは初めてなのかもしれない。
「ギルネリア様? あのグリフォンは……」
「見ての通りよ。研究にはもってこいじゃない?」
「生きたままの検体が……!? いや、それよりもギルネリア様、お顔に傷が!」
「えっマジ?」
慌てて顔を触ると、何処か引っ掛けたのか、薄皮が切れてちょっとだけ血が流れていた。
「あちゃあ。気を抜いてたわね。反省反省。ミランダの方は怪我無い?」
「わたくしは無事ですがあの……ギルネリア様であれば」
ミランダの言いたい事はなんとなく分かった。だから指を口元に当ててしー、っとジェスチャーする。
「あたしでも、あの位置からミランダを巻き込まずってのは無理よ」
グリフォンはたいした敵じゃない。でも、あの瞬間あの場所で魔法を使っていたら、ミランダに傷一つつけない自信はなかった。だから一旦逃げて、安全な場所に退避してもらったのだ。
「それにこのくらいならアズキの手に掛かれば跡なんて残らないわ」
「アズキ様には医術の心得があるのですか?」
「っていうか、あの子の魔法、治癒魔法よ?」
本人はもっぱら殴り合いの時に使うけど。
「あたしのことは良いから。せっかくきれいに残したんだし、なんか上手いこと使ってちょうだいよ」
じゃないとかけた手間分苦労しただけになってしまう。ぼうっとしてたミランダは弾かれるようにグリフォンの体に触れたり、毛を切り取ったりし始めた。あたしはその間、二匹目の乱入が来ないかと辺りを見渡しておく。
「……グリフォンの死体は常に酷く損壊した状態で発見されていました。今回採取できた検体は何歩分も飛ばして研究を進めるかもしれません」
「そりゃ良かったわね」
面倒なことしたかいがあるってものよ。ま、人間の研究だから魔族のあたしは何も得られないような気もするけど、それはそれ。
「今回の件、どのような謝礼をご用意すれば良いか」
「要らないわよ」
「え?」
不思議そうな顔をする。ミランダは本気で分かってないみたい。
「友達へのプレゼント、あんまりお返しとか考えないでしょ?」
ぎるねりあにきずをつけるだと
かんそうひょうかおまちしております