女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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あまおとのする(※そとではあそべません)

 今日は雨。ざあざあ、と大きな雨粒がおうちの入り口辺りの地面をばちばち叩いている。水が入ってこない作りになってて良かったなあ、とあたしは雨に当たらないように外を眺めていた。

 

 こうも雨が酷い日だとメアリ達のところに遊びに行くのも億劫になってしまう。ここら辺の地域はこれからしばらく雨が続いた筈だから、おうちで過ごす日も増えるだろうな。

 

「やっぱり、暇よね」

 

 ここに居るのはあたしとアズキ、それとジスタ。乙女三人のおうちにしてはこの洞穴はかなり地味だ。まず物がない。元々緊急避難場所なわけだし、ベッドとか、会議用の椅子やらはあるけど、娯楽になるものがほとんど無い。やることと言えば、ジスタみたいに雨模様を眺めていることくらいだ。

 

「えっと、ボクはこういう日があっても良いと思いますけど」

「甘い、甘いわジスタ」

「えぇ……」

「確かに一日二日とかなら気分転換になるわ。でも、場合によっては十日間以上この天気が続くのよ。雨音だけでそんなに時間潰せる?」

「それは、難しいかもです……」

 

 ジスタも事の重大さを分かってくれたようだった。魔族なんだからたいした長さじゃないだろうって? 長生きでも暇な一日は物凄く長く感じるものなのよ。

 

「ギルネリア様は、以前はどのように過ごしていらっしゃったんですか?」

「あたし? あたしはね……寝てたわ」

「寝てた……」

 

 かわいそうなものを見る目であたしを見るな。だって仕方ないじゃんすることなかったんだし。十年くらい一人ぼっちだったんだぞ。思考を虚無にして時間を潰すことが得意になってしまったわ、虚無の魔女だけに。

 

「あとあれね。トラップ作って遊んでたわ」

「あれってギルネリア様の自作だったんですか」

 

 わりと殺す気満々の奴から、ジスタを捕まえたぐるぐる巻にする程度のぬるい奴まで、実は全部あたしの手作りだ。一年かけて一個の完成度を高めたりとかしていた。トラップ作ってた時期は退屈を感じることはなかったなあ。

 

「部下に手先が器用な子が居てね。ちょっと習ってやってたのよ。掛かったのはジスタが初めてだけど」

「それは言わなくて良いですよぉ」

 

 だって作ったところで誰も攻めてこなかったし、攻めてこないから途中からトラップ起動オフにしてたもんね。今だから思うけどあの時トラップオンにしてたら本当に危なかった。メアリを失うのは世界の損失だわ。

 

「だからおもちゃなりなんなり揃えようかなぁって。今なら誰かお留守番して城に戻ることもできるし」

「この間の奈落会議で戻った時には何か持ってこなかったんですか?」

「持ってきたわよ。ミランダにあげる用の本とか」

「お土産だけだったんですね」

「そうなのよ」

 

 おもちゃになるようなものなんて城には無いし、良い物が思いつかなかったのよね。情報通な知り合いとかいれば良かったんだけど。魔王様と『奈落の英傑』じゃ話にならない。

 

「そういえばアズキさんは? 姿が見えませんけど」

「アズキは自分の部屋で本読んでるわね」

 

 この前ミランダから貰った人間文字の本をこの機会に読破するのだと言っていた。だいぶ分厚かったし、真面目なあの子のことだから飽きることも無いだろう。

 

「はぁ。なんか趣味とかあたしも作ろうかしら」

 

 お料理、と言いたいところだけどこのおうちには台所みたいな場所は無い。自分で作ろうかな、って思っても台所って何が必要なんだろうか。お鍋と包丁とお皿とか色々あるし。火は掛ける場所あるけれど。そういう部分でも知識が足りない。

 

 レイはたぶんゆったりと糸をよっているのかな。前に観察してたら数時間は平気でやってたし。メアリは、何してるかな。レイのお手伝いだろうか。

 ミランダは何やっても時間が足りないだろうな。あの子の知識欲は何処までカバーしているんだか。

 

「あーうー」

 

 考え事に思いを馳せても暇だ。暇で仕方がない。

 

「ジスター、なんか面白い話無い?」

「そんなこと急に言われましても……マルバツゲームでもやります?」

「なにそれ」

「えっ知らないんですか? 子供の遊びですよ」

 

 聞いたことはある気がする。マルバツ。マルとバツをつけるゲーム? 有名な遊びなんだろう、たぶん。やったことないけど。

 

「まあ、あたしが子供のときって遊ぶとか無かったからなあ」

「ギルネリア様が子供の頃というのは……」

「あ、ごめん今のナシ。聞かなかったことにして」

 

 ジスタが興味を持ってしまいそうだったので慌てて口を塞ぐ。あたしの子供の頃の話はあんまりしたくない。なんていうか、嫌いなのだ。あたし自身が。もうまともに知ってる奴なんてマコラのジジイくらいしか居ないんだから、わざわざ増やすこともない。マコラが知ってるの本当に嫌だな、死ねとまでは言わないから頭打つかボケて記憶喪失になってほしい。

 

「ごめんね。あたしから話振ったのに」

「ああ、いえ……」

 

 気まずい雰囲気になってしまった。雨のジトジトした湿気のせいで余計に居心地が悪い。

 

「あーあ、早く晴れないかなあ」

 

 そしたら全部忘れてはしゃげるのにね。




あめのきせつですね

かんそうひょうかおまちしております
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