女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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あまおとのする(※ごらんしん)

「うーん、しまった」

 

 窓から外を見てうなる。雷まで鳴ってる豪雨。大丈夫かなぁ、火事なんかにならないと良いけれど。ちょっとだけ晴れ間が出て、意気揚々とレイのところに遊びに来たらこれだ。完全に帰れなくなってしまった。

 

「アズキとジスタが心配するわよね」

「言っても、この天気の中帰るわけにもいかないだろう。せめてもう少し雨が弱くならないと」

「ひゃう! 凄い音ですね」

 

 雷の音にびっくりするメアリを抱き締める。そりゃあたしはメアリと仲良くいられるし、足止めをくらっても問題ないんだけど、罠に掛かったー、みたいな勘違いをしないと良いけど。

 

「罠に掛かったくらいじゃ死なないだろうお前は」

「まあねー……ところでレイ」

「なんだ?」

「なんであたしの背中ずっと触ってんの?」

 

 今の構図はこう。絨毯の上で、怯えるメアリをあたしが後ろから抱きしめて座っている。その後ろからレイが膝立ちであたしの背中、具体的には翼の付け根を触っている。あたしはそんなに効かないけど、人によっては擽ったがるデリケートゾーンだ。

 

「もしかしてあたしの羽毟ろうとしてる?」

「そんなことするか」

 

 いや魔族の翼を使った装飾品って人間の間だと流行りみたいな話を聞いたことあるからつい。実際に魔族の羽なんて使ってなくて、そこら辺の鳥の羽とかを誤魔化して売ってるのが大半らしいけど。

 

「いや、その翼隠せないかと思ってな」

「隠す? 隠してどうすんの?」

 

 この村の人間はみんなあたしが魔族だってことを知ってるし、村の外から来る人間には、ってもミランダしか来たことないけど会わないようにしてる。隠す必要が何処にあるのやら。

 

「近くの街に演劇団が来るって話を聞いてな。メアリに見せてやりたいと思ってるんだが」

「ふーん劇団ねえ。面白そうで良いじゃない。それが何の関係?」

「……そういうところは鈍いなお前」

「どゆこと?」

「ギルネリアさんも一緒に行けないかな、ってレイさんとお話してたんです」

 

 メアリがあたしの胸元に頭を擦りながら言う。演劇かー、あんまり詳しくはないけど興味はある。魔族にとって演劇といったら、誰々がどれだけ強くて栄華を誇ったかって武勇伝みたいな話ばっかりだ。芸術じゃなくて威光を示すのが目的だから仕方ないんだけど。

 

 ……ん?

 

「まさか人間の街にあたしを連れて行く気!?」

「まだ案が出ただけだがな」

「いやいやレイ、あなた自分の役職覚えてる?」

 

 魔族を人間の街に、それも幹部級を連れて行くなんて反逆行為で即刻処刑されてもおかしくない。堅物のレイがそんなこと言い出すと思わなくてあたしも思わず声が上ずる。

 

「内通という意味であればこうして同じ屋根の下にいる時点で手遅れだ」

「そうかもしれないけど、わざわざバレやすい場所に連れてく必要は無いじゃない! あたしは逃げられてもあなたやメアリが危ないわよ!」

「ああ、だからどうにかしてバレない方法は無いかと」

 

 マジか。レイの中ではあたしを街に連れて行っても問題ないらしい。その、あたし『奈落の英傑』なんだけど。絶対やらないけど、あたしがやろうとしたら、レイに止められるまでに街一つくらいなら滅ぼせる。絶対やらないけど。

 

「レイって時々あたしよりずっと破天荒よね」

「それは否定しないが」

 

 破天荒じゃなきゃこんな所に来たりしないか。って言ったら怒られそうなので黙っておく。

 

「はてんこー?」

「すっごい自由な人のことよ」

 

 他人に迷惑かけるくらいね。メアリとは縁遠い言葉だわ。雨で気温が上がらないから、少し高めのメアリの体温はちょうど良い湯たんぽになる。このままもう一眠りしてしまいそうだ。

 

「お前は……言う程自由でも器用でもないな」

 

 レイのそれはきっとつい出てきてしまった独り言だったんだろうけど、眠かったあたしはうっかり返事をしてしまった。

 

「なにがー?」

「あ……聞こえていたか」

「うん、ばっちりー」

「……お前は自由で好き勝手振る舞うように見せているが、そんなことは無いという話だ」

「そっかー」

 

 あんまり頭回ってない。うつらうつらしながらレイの言葉を聞いてる。

 

「自分一人で対処できる範囲じゃないと、お前は無茶を言わない。お前が強いから、周りを気にしてないように見えるだけで、実際は義理とか迷惑とか、そういうものをきっちり考えてる」

「そう……かな……?」

「前の祭りの時、後始末を率先してやったのはお前だと聞いてな。酒を一滴も飲まなかったんだろう」

「まー、あじゅきもれいも飲んでたし?」

「そういうところだ。この村に来ているのも、自分の庇護下だと思い知らせる為だろう? 一度来てしまったなら、繋がっている疑いを晴らすことは出来ないから。それなら迂闊に手が出せないようにしようと」

 

 そんなに、ちゃんとしたことはかんがえてない、つもりだ。

 

「まあ、いいさ」

 

 レイの手が、あたしの頭に触れる。ちょっとごつごつしてるんだけど、でもやわらかくてやさしい手。

 

「お前の世話焼くのは私の勝手だからな。おやすみ、ギルネリア」

 

 うん、おやすみ。あたしはぬくもりを感じながら眠りについた。




いっかげつまいにちとうこうできました。これからもよろしくおねがいします

かんそうひょうかおまちしております
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