女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可)   作:異種百合推進委員会

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おでかけだいさくせん(※さくはない)

「ということで、どうやったらバレずに隣町に行けるのか作戦会議を始めます!」

 

 あたしが高らかに宣言すると、レイの家に集まったみんなの反応もまばらだった。

 

「あの、ギルネリア様。本気で仰ってるんですか?」

「ジスタ、これに関してはあたしもあなたの気持ちが分かるわ」

「えっ」

「でもこの作戦。発案者はあたしじゃなくてレイよ」

「そ、そんなぁ」

 

 ジスタの表情の意味はあたしにも分かる。レイはまともだと思ってたのに。そんな感じ。

 

「実際、人に紛れるにはあたし達の翼は目立ち過ぎるわ」

 

 翼の大きさや形はそれぞれ違うけれど、魔族にとって翼で空を飛ぶことはアイデンティティって言えるくらい大事なことだ。あたしの羽根はムクドリって鳥に近い見た目をしている。そして結構大きい。これを隠そうなんて考えたこともなかったから、大きさを恨むなんて初めてだ。

 

「マントのような衣服で隠すというのはどうなんだ?」

「そうね、レイの意見は一番最初に出るものだと思う」

 

 実際、人間の住処へ密偵なんかに向かう魔族は、そうやって翼を隠している者も居るらしい。

 

「でも二つ問題があるわ。一つはあたしの翼は大きくてマントでも目立ってしまうこと」

「もう一つは」

「今の時期が暑くて、しかも雨季であるということよ」

 

 羽がそもそも水分を吸って重くなってしまう季節。座っているだけで汗が滲むような日に、マントなんてものを羽織ったら。

 

「間違いなく蒸れる」

「…………」

 

 そこか? という視線を感じるけど死活問題。蒸れるってことは気分が悪くなって、無意識に動かしてしまう可能性がある。そしたら一瞬でバレバレだ。蒸れない、っていうのは大事な要素なのよ。

 

「答えにくい質問であったら申し訳ないのですが」

「どうしたのミランダ。糸口になりそうならどんどん聞いて」

「では遠慮なく。魔族の斥候の方が隠している方法などがあればそちらを参考にしてみればよろしいのでは?」

「良い視点ね! アズキ、そういう情報については何か聞いたことある?」

 

 悲しいことに、あたしはそういう役割にはとんと疎いのだ。だってあたしの仕事って、単騎で暴れるか大物にぶつけられるかのどっちかが殆どだから。

 

「羽織りを使う、そも人目につかんようにする、辺りは聞いたことありやすが……一番多いのぁそういうのに長けた魔法ですかねえ」

「魔法、ですか?」

「変身や幻影。見た目を変えたり誤認させたりできる魔法の持ち主が、そういう仕事に当てられるってことでさぁ」

 

 分業と専業が進んでる魔族らしい話だが、今の状況では役に立たない。重力魔法じゃ見た目は変えられない。

 

「プルメオの奴が居れば何か思いついてくれる気もするんですが」

「あー、確かに」

「プルメオ?」

 

 メアリが首を傾げる。

 

「あたしの部下の一人よ。手先が器用な発明家って感じの子ね」

「あんヒトのカラクリは凄いですからね」

「呼べるのか?」

「それはちょっと難しいわね」

 

 あの子は確か北方で任務についてる筈だから。北方は今、『奈落の英傑』が三人も派遣されるくらいごたごたの火薬庫だ。あたしが行くだけでも無闇につついちゃうのに、人員奪っていったとなったら何処に飛び火するか分かったもんじゃない。待てばいずれ来るはずだし、あの子の立場を悪くするようなことはしたくないな。

 

「見た目を変える……カラクリ……皮算用ですが、試してみたいことがごさいますわ」

「ほんと?」

「はい。実はこちらの薬品なのですが」

「待って今何処から出したの?」

 

 胸の辺りからぽこんと出てきたような気がしたけど。えっ普段からそういう場所に色々忍ばせてるの。なんでそんなとこに入れておく必要があったの。カバン持ってなかった?

 

「乙女には秘密がたくさんあるものですわ」

「ねえどうしようあたしこの子のこと本気で怖くなっちゃったかも」

「私は天研が変人揃いという噂が真実だったと実感しているよ」

 

 この話は深掘りするとどんどん怖くなっていく気がするから一旦置いといて。

 

「その薬品がどうしたって?」

「見ていただいた方が話が早いかと」

 

 そう言うとミランダは薬品を彼女の腕に垂らす。思ったよりもどろっとしていて、へばりつくような感じだ。色は透明なんだけど、眺めていると見る見る彼女の肌と同じ色に変わっていく。

 

「こちら見ての通り、状況に応じて変色するものなのですが、こちらを使えば、翼を目立たなくすることが可能かもしれません」

「凄いんだけど、何から出来てるのそれ」

「こちらはゴクジュンサイと名付けられた水草でして、オオナマズというモンスターが生息する水辺から採取できますわ」

「色々持ってるなお前……」

「研究所の人間ですもの」

 

 怖いけど、これで翼を目立たなくすることはできるかもしれない。怖いけど。

 

「あとはもう翼を縛り付けるしかないな」

「えっ」

「動かないようにしっかり押し付けて縛り付けるしかないだろう。」

「頑張ってミランダ。できるだけ協力するから」

「ふふ、お任せください」

 

 あれ、縛られるのが嫌過ぎてもっとやばい地獄に片足突っ込んだかもしれない。




いちだいじけん

かんそうひょうかよろしくおねがいします
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