女幹部さんは友達が欲しい(※恋人でも可) 作:異種百合推進委員会
「うふふふ……なんて滑らかな手触りなんでしょう」
「ミランダ……手付きが変態親父みたいになってるわよ」
なんちゃらとかいう薬品の調整の為にミランダの家に連行されたは良いが、いや良くないが。本当に隠せるほど上手いこと行くのだろうか。
「これは失礼、ギルネリア様の翼が素晴らしく撫で心地が良かったもので」
「そりゃどうも。で、なんとかなりそう?」
「おそらくは」
案外あっさりと言ってのけるわね。自信があるのかしら。
「ギルネリア様は、物が見える仕組みについてご存知でしょうか」
「物が見える仕組み? 光を目が捉えてーって奴?」
「ええ、実はこのゴクジュンサイが変色するのは、光が大きな要因となっているのです」
「難しそうな話になってきそうね。簡単にできる?」
「簡単にですか、そうですね……光が通ることで色が変化するのなら、その通る比率を制御すれば透明になるのではないか、という実験です」
「そんなこと出来るの?」
「理論上は。ただ、現実とは事情も異なりますから……」
ミランダが鏡を持ってきてあたしの前に置く。薬品を塗り塗りされたあたしの翼は確かに変な色に変わっていた。ただ、透明とは言い難い。
「虫の羽みたい」
「ここからどうにかしてもう少し透過率を上げられれば……」
透過、光を通せば良いってことか。なんか上手いこと出来ないかな、とあたしも色々考えてみる。まあ専門知識があるわけじゃないから、全然良いアイデアなんて浮かばないんだけど。
「せめて魔法でどうにかなったらなー」
……ん? 魔法?
あたしが得意なのは重力魔法。あとそれと闇魔法。なんか、上手くいきそうな魔法じゃない?
「ねえ、ミランダ。光って重力掛けたら沈むかな」
「はい? 一説には光は重力の影響を受けるとされていますが」
「あたしの重力魔法で曲げたらさ、実現できそうな気がしない?」
「それは……! ええ、可能性はあります」
「じゃあ早速挑戦してみましょ!」
魔法を使うのだから魔法陣も隠さないといけない。あたしの腕ならそこは別に問題にはあんまりならないけどね。鏡を見ながら重力魔法使ったり、闇魔法使ったりでどうにか透明にならないか何度も試してみる。なんてったって、翼が縛り付けられるかどうかの瀬戸際なのだ。翼に変なの塗りつけるのとどっちがマシかと言われると、ギリギリこっちの方がマシ。
「んー、どう? 見える?」
「もう少し闇強めでしょうか。ああ、もうちょっとだけ弱く」
「お、良いんじゃないこれ?」
後ろだから鏡だけじゃよく分からない。ミランダにも確認してもらったが、グーサインを頂いた。
「後でレイとメアリにも確認してみましょうか」
「はい。これだけ近くに居ても輪郭すら朧ですから、先ず気付かれることはないと思います」
「いえーい!」
これで隣町に行くことも無理じゃなくなった。いや、誤魔化せるってだけだから好んで行こうとは思わないけど。
「しかし、ギルネリア様はどうして……」
「ん? どうしてって何が?」
「ギルネリア様にとって今回の外出、リターンに対してリスクが大き過ぎるのでは、と思いまして」
「友達と遊びに行くのにリスク・リターン考えたりしないでしょ」
でも、まさかそれをミランダにも指摘されるとは思わなかった。ジスタ辺りなら耳にタコが出来るくらい言ってくるのも分かるけど。
この村に居るのと話が違う、というのをミランダは言いたいのだろう。広い街に向かうということは、レイの他にも、戦える人員が居る。もしレイがあたしをハメるつもりなら、囲んで棒で叩かれる、ってことは十分有り得る話だ。街だったらあたしも逃げ切れないって思われているのかもしれない。
「正直ね、リスクの話するならあたしよりレイとメアリよ。あたしは一人でも逃げられる。レイが相手でも、なんなら人間全員相手にしても逃げるだけなら余裕よ」
それはレイだって分かってる。あの子があたしを殺そうとするんだったら、そんな回りくどいことをするよりも、あの子の家で、あたしが寝ている間に首を掻っ切った方が確実だ。
それより、魔族と一緒にいた事を見咎められた方がずっと危険で、でも、あの子達はあたしと一緒に行きたいと言ってくれた。だからあたしはそれに甘えるし、いざという時は二人を抱えて逃げる。
「そこ気にするんならミランダはどうして協力してくれたの?」
「わたくしは既に有益なデータが取れましたので。ゴクジュンサイの迷彩としての実用化に加え、ギルネリア様の魔法データも得られましたから」
「そゆとこ、意外ときっちりしてるわよね」
「研究者ですもの」
まあ強かな方があたしも相手しやすい。
「ゴクジュンサイの光学迷彩については長年研究が続けられていましたが、ついぞ実用化には至っておりませんでした。ですが今回のデータでギルネリア様の編み出した屈折率を参考に再現できれば天研でも使用可能に。そうしたら今までよりも安全かつ至近距離までモンスターに近づくことが可能に……ふふふふふふ」
やっぱりヘンタイだわ。
ゆるふわなごつごうとちしきでできています
かんそうひょうかおまちしております